転生者は平穏を望む   作:白山葵

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ある意味でのこのタイトル。

pixivと交互で書いていくつもりですので、投稿日が少し開いてしまうかもしれませんが、書き・描き続けていきたいと思っとります

原作視聴推奨で書き続けていたとはいえ、なんというか…戦車描写難し…。




第31話 異変

 

「んんっぬぅぅ!!」

 

 ガガガァー!! …って、すごい音。

 建物の横から貫通するみたいに…火を上げながらズガガァー!! ボーン!! …って。

 

「……う~ん」

 

 大きな音って、まだ慣れないなぁ…普通にびっくりしちゃう。

 

 神社の石階段を戦車で下る…なんて事、人生であるなんて思ってもみなかったよ…。お尻痛いし…。

 追いかけっこ状態が続いたんだけど…市街戦ってやっぱり視界が悪いよね。後、ほとんど車道を走るしかないからこうやって追われる立場になると、後ろからの砲撃が結構コワイ。

 ほとんど孤立しちゃってる状態だし…建物で周りが見えないのあるし…無線から状況報告が入る度、さっきのレオポンチームみたく「やられちゃった」の報告も相まって…どんどん不安になってきちゃう。

 だから他のチームと合流できた時は、その不安が安心に変わった。

 

 …結局、追いかけっこは続いている訳だけどね。

 

 って、え……ちょっと待って。

 

 戦車って潜水もできるものなの? ハッチから外の様子を見てみようかと思ったら、なんかおっきなのが海からザパァ~って出てきたんだけど…。

 背の高い、頭でっかちの戦車…プラウダのマークがついてる。

 

「大丈夫、砲身よく見て」

 

 即座にみぽりんの声が聞こえて来たのと同時に、それに反応する麻子。

 戦車が前後に揺れて…あの戦車の射線をずらしているんだろうけど…小さく麻子から息が漏れていた。

 

 …なんか変。

 

 華もなんか調子悪そうだ。

 今はもう大丈夫そうだけど、試合開始直後は砲撃した後に何か呟いていた。決まって外した時だけ。

 いつもは例え外したとしても、なにか言ったりしないのに今日は違った。…どうしたんだろ。

 

「 …チッ 」

 

 …。

 

「は…華ぁ?」

 

「え? はい、なんでしょう?」

 

「し、舌打ちは乙女として…ど…どうかなぁ?」

 

「あら私、無意識に…ごめんなさい」

 

 こ…コワイ。はっきり言って今日の華は、すんごい怖い…。

 今も前方のチャーチルへの砲撃が少しハズレ…その車体横をカスった。

 他の車輛への攻撃に少し外したりしても、そんな反応ないのに…チャーチル相手だと、さっきからコレだヨ。

 

「どうしたの? 今日ちょっとお…おかしいよ?」

 

「いえ…どうにも照準が…それより」

 

「それより…?」

 

 

 

「泥棒猫さんが目の前にいると思うと、つい♪」

 

 

 ……。

 

 た…隆史君…恨むよ。

 

 こんな華、初めて見たんだけど…私は眼を逸らすしかできなかった…。

 

 

 

「わっ!」

 

 

 突然の大きな音で、現実に引き戻されたような気分…まぁ…この華もずっと見てられないけど…。

 

 でも…ち…ちがう。普通の戦車の砲撃と違うよ…。そもそも発砲した時に何時もよりも音や振動で、空気が少し震えたのがわかるくらい。

 あの海から出てきた戦車の砲撃で、大洗ホテル1階の一角が吹き飛んじゃった…。

 

 ずかーんって…大きな煙と火柱が上がっているよ…。

 

 えっと…あの戦車…って確かノートに描いたよね、アレ。…えっと、何て戦車だっけ。かーべー…あぁ、KV-2だ。

 続いて大きな衝撃と大きな音を立て、大洗シーサイドホテルの外壁が一発で穴開けちゃった…。中の部屋を貫通してたんだよね? アレ。

 またガガーとか大きな音を立てて、ホテルの反対側までドドーッて火柱が突き抜けていっちゃった…。

 

 …。

 

 止まっている訳にも行かず、またすぐに走り始めるⅣ号戦車…私達。

 思わずハッチから頭を出して、後ろを振り向いてしまった。そして確認して…危ないし怖いからすぐに車内へ戻る。

 

 …。

 

 

 それで、思わず大きなため息が零れてしまった。

 

「……はぁ」

 

 まだ大きな黒い煙を立ち上げていた場所…を見て安堵した。

 隆史君が前に市街戦はあんまり好きじゃないって言っていた事を少し思い出した。

 特徴的な建物の曲がり角。その手前に着弾したようだった。被害は出ているかもしれないけど、直撃したって訳じゃなさそうだし…煙でよく見えはしなかったけど…うん。

 

 アソコ…私が告白した場所すぐ横だ。

 

 よかった…無事そう…。

 

「あたっ!」

 

 少し額に冷たい感触…。思わず頭を無線機に寄せてしまったんだけど…振動でゴツンと音がした…痛い…。

 いけない、いけない。変に感傷的になっちゃった。

 

「沙織?」

 

「あ、ごめんなんでもない。ちょっとおでこ、ぶつけちゃっただけ」

 

「…何やってるんだ」

 

 …。

 

 隣から麻子の少しあきれた声。

 返事するついでに、何気なく彼女の様子を伺ってみた。

 

 …やっぱり変。

 

 何度か隙間から麻子の様子を覗いて見てはいるけど、明らかに普段以上の力を込めて操縦してます…的な感じで、疲れてきてる。戦車の操縦って車と違って複雑で…一度やらしてもらったけど、すんごい疲れちゃった。

 だとしても、もう運転に慣れているだろうし、確かに麻子は体力がある方じゃないけど…今までやってきた試合とか比べと、明らかに疲弊しているって感じだよね…。

 

「…んっ」

 

 さっき、みぽりんにギアの調子がどうのって、言ってたけど…。

 また小さく踏ん張る様な声が漏れた。戦車の操縦って、車とか違ってアクセル踏めば動くモノじゃなかったよね。

 一度一度、操縦するごとに、麻子の声が大きくなっていく気がする…

 

「ちょっと麻子、大丈夫?」

 

「…大丈夫だ。問題無い」

 

 小さな汗をかきながらも、いつもの様に少しぶっきらぼうな返事。…頑張ってるっていうのが伝わってくる…。

 前の麻子だったら考えられなかったよね…。大体「眠い」…の一言でサボっていたのにね。なんだかんだ、あんこうチームの中で、一番変わったのって麻子かもしんない。

 

 …ちゃんと、良い意味でね。

 

 でも…流石に…どんどん目に見えて辛そうになっていく麻子。この状態、一応みぽりんにも伝えておいた方がいいかも。

 みぽりんの位置からじゃ彼女の姿は見えないだろうし、麻子の今の様子はわからないかもしれない。

 

 振り向くと脚が見えた。みぽりんがいつもの様にハッチから体を出してるだけみたいだけど…アレ? ゆかりんも?

 どうしたんだろ…。

 

「…エリカさん達も到着した。この状況は良くない…」

 

「やっぱり、ティーガーⅡに後ろ取られると、プレッシャーが凄いですねぇ…………あっ…」

 

 …ん? ゆかりん?

 なんだろ…一瞬、声が凍り付いた気がしたけど…なんかあったのかな…。

 私も一応…。って、ハッチから少し覗いてみると、さっきの頭でっかちの戦車の付近まで、聖グロリアーナの平べったい戦車と一緒にてぃーがーⅡが迫って来ていた。

 というか、試合の車輛が一斉に集まってきているかも……っとぉ、先にみぽりんがまた、考え始める前に先に麻子の状況伝えておかないと…。

 一度考え始めたら、みぽりんすっごい集中するから邪魔しちゃ悪いよね。

 

「みぽり…」

 

 

 声を掛けようとしたその時、無線から音がした。

 

『 あ~…こちら大波さんチーム本部。あんこうチーム応答して下さい 』

 

 その前に私のお仕事が来たよ…。もうほぼ無意識にヘッドフォンを装着してしまっている辺り、私も板についてきたのかなぁ。

 本部…テント側からの無線って、初めてかもしれないよね…そういえば。あ、違うか。1回、隆史君の全体点呼があったよねぇ。

 今となっては懐かしいけど、あの話すると今でも隆史君、顔少し赤くして「勘弁してください」って嘆くんだよねぇ…っと、イケナイイケナイ。

 

「はい、こちらあんこう」

 

『 えっと…なんて言えば…えぇ~とっ 』

 

 …なんだろう?

 電話と違って無線機って、喋る方の一方通行だから言い淀んで仕舞われると滞っちゃうんだけど…。

 戦車の走行音とかで、ちょっと聞き取り辛いしね。でもこれもちょっと懐かしい…初め私もそうだったからね。

 

『 Ⅳ号戦車…試合開始時から何か不具合はありませんでしたか? 』

 

 …。

 

 ……ん?

 

『 被弾等の被害ではなく、故障もしくは……何? あぁ…えっと、普段に比べての違和感みたいなモノはありましたか? 』

 

 コレ…今、なんで聞いてきたんだろ…。しかも本部から。

 今までにはこんな事なかったよね? そもそもテント側からの無線使用って、緊急時以外にはダメだったような…。

 

 …。

 

 なんだろう…すごく嫌な予感が…。

 

 

 ………。

 

 

 

「みぽりんっ」

 

 

 

 

 

 

 ◆

 

 

 

 

 

「ふっふ~ん♪」

 

 鼻歌…なんて無意識にでも試合中するものじゃない。

 いや、無意識にでもこんな事今までに一度もなかった。というか、勝敗を抜かして、無条件にこんなに楽しく感じる事なんて…。

 ミホーシャには悪いけど、無意識ですから? 仕方ないわよねぇ…。

 

 現状、数では負けいても…このまま試合には負ける気がしなわねぇ。

 高台の車道から砂浜を進むミホーシャ達を見下ろして……改めて思うわ。

 

 ずるいっ!!!

 

 何この高揚感っ! 確かに青森の時、タカーシャも私達の試合を応援しに来てくれたわ。でもね…同じチームとして試合に参加するって事がここまで違うとは思わなかったわっ!

 変に張り切って、良いとこ見せようとか…そんな事するほどもう、未熟じゃないわ。でもね…こう…理屈じゃないのよ。

 

 …んっ?

 

 突然震えたジャケットのぽっけ。

 確かに試合中、チーム同士の携帯での通話は禁止はされてはいないけど、あまり褒められたモノではない。

 

 

「…なによ?」

 

『 あら、随分なご挨拶ですわね 』

 

 せっかくの気分に水を差された感がすっごいけど…まぁいいわ。

 

「なにが挨拶よ。で? 何の用? 無線じゃ言えない事でもあんの?」

 

 ミホーシャにお掛けられているのに時なのに、随分と余裕あるわね。

 

『 いえ? カチューシャが鼻歌交じりにご機嫌なご様子……の、様な気がしまして 』

 

「鼻歌なんてしてないわよっ!!」

 

『 浮かれるのは結構ですが…ちゃんと着いてきていますわよね? 』

 

 …この…一々変に感が良いというか、なんというか…。どこかに盗撮カメラでも仕込んでんじゃないわよね…?

 ダージリンならやりかねないし…。

 走行しながらだというのに、この憎ったらしい声は良く通るのが癪だわ。

 絶対良い顔して、ほそく笑んでるわ、あの娘!

 

 ……ん?

 

 そうね…そうよねぇ?

 

「浮かれてるのはどちらかしらぁ? …貴女普段、そんな軽口程度で試合中電話なんてしてこないわよねぇ?」

 

『 ……っ 』

 

「あら図星ぃ? 聖グロリアーナの隊長様がそんな事で良いのかしらぁ?」

 

 一瞬息を飲んだ様な息遣いが聞こえてきたので、間違えではないようね。

 嫌味たっぷりで来られたので、嫌味たっぷりで返してやったわ。いい気味なので、また嫌味で返される前に本題に入ったげる。

 

「…で? 何の用よ」

 

 ダージリンが、本当に軽口程度の要件で、態々電話なんてしてこないでしょうし。

 

『 …まぁいいですわ。ねぇカチューシャ、お気付きなっていて? 』

 

「何がよ」

 

『 相手のフラッグ車、少し様子が…と、言いますか…動きがおかしくありません? 』

 

「ミホーシャ?」

 

『 えぇ 』

 

 …一概に違うとはいない。神社へ上がる辺りから、どうにも動きがぎこちないというか、なんというか…。

 でも、人の予想外の行動するのは相変わらずだし…。

 

『 みほさんのチームの操縦士…冷泉麻子さんでしたわよね? 』

 

「あのちっこいの?」

 

『 貴女に言われたくはないでしょうに… 』

 

「うっさいわねっ!! でっ!? なにっ!?」

 

『 調子でも悪いのでしょうかね? 』

 

「…なによ、そんな事?」

 

 相手の調子なんて知らないし、知ったこっちゃない。試合中どっか損傷したかもしれないし…よくある事じゃない。

 んな事で一々、このカチューシャに電話…。

 

「…」

 

 いや。ダージリンがそんな事を気にするって事、自体が変。あの娘、他人を過大評価も過小評価もしない。

 なんだかんだ…一番最初の大洗としてのミホーシャ、その相手が聖グロリアーナ。夏の全国大会も彼女達の試合をずっと追って見ていたようだし…ある意味で大洗の成長をリアルタイムでずっと見てきた。

 そんな彼女が、態々個人的に私に連絡を取ってきた。杞憂かもしれないし、あくまで憶測。無線を通して全員に聞かせるのも…って感じかしらね?

 

 だって…。

 

「しかたないわねっ」

 

 体を戦車外へと出し、直接目で砂浜を並走する彼女達を見下ろしてみた。

 暗にこちらかも、ミホーシャの動きを確認してほしい…そういった事なんでしょう。確かに少し高台にいる私なら、全体的にその彼女の動きを確認できるからね。

 

 …。

 

「…そうね、貴女が言わんとしている事が、なんとなく理解できたわ」

 

 ぎこちない。

 

 そう言った理由がなんとなく解った。そう…なんとなく。

 下手に双眼鏡なんかで拡大してみるより、視野を広く全体的に見てみる方がはっきりと分かった。

 

「でも…ほぼまっすぐ走ってるから、見ている分には一概にそうだとは言えないわ」

 

 所々建物に視界を遮られるけど、特におかしくない…とは断言できない。

 今もその前を走るダージリン達を追いかけているだけなのだけど…でも…なんでしょうね…。

 たまに動きが引っ掛かると言うか、何と言うか…射線をずらそうと蛇足運転を繰り返してはいるのだけど、これはもう感覚としか言えない。

 追いかけられているダージリン達は、ある意味で一番近くにいる。近距離で見ればその違和感が得に色濃く見えるのだろう。

 

『 …そう 』

 

 後はもうミホーシャ達を誘導し、追いつめるだけ…という所でコレだ。

 

 …薄気味悪くてしかたない。

 

「演技…とも考えられるわよね」

 

『 今のみほさんなら、どんな手も使ってきそうでしょう? 』

 

「は? 今のミホーシャなら?」

 

 どういう事よ。いつも通り、ワケわっかんない事してきそうじゃない。

 

『 小心者の私としましては、戦々恐々と… 』

 

「あ、もうそういうのいいから、どういうこと? 時間がないの。早くして」

 

『 …… 』

 

 誰かさんに似て、軽口が今日はいつもより多いわね。

 やっぱり浮かれてるじゃないって、喉元までその言葉が出かかる。でも、そろそろ目的地に到着しそうだし割愛する。

 めんどうじゃないの。

 

『 試合開始前のみほさん 』

 

「開始前? あぁ、今預かってる娘の事?」

 

 黒森峰の娘よね。だからなによ。

 

『 どうも…いつもの彼女とは違うような…そんな気がしましたわよね? 』

 

「あぁ…まぁ、えらく攻撃的というかなんというか…ちょっと驚いたわ」

 

『 私達の砲手が言うには…どうもアレがみほさんの「本質」…らしいですわ 』

 

「砲手って…あぁ、あのウサミミの事?」

 

『 ウサ…ふふっ。まぁ合ってますわ 』

 

 …本質?

 

『 先にカチューシャが言ったように、一言で言うなれば「攻撃的」。でも彼女…自身の事になると酷く冷淡になると私思いますの 』

 

「……冷淡ねぇ…」

 

『 まぁ戦車搭乗時に限りますけど…言い換えれば冷静とも言えますが、私から言いますと…事、戦車道に関しますとみほんさんは… 』

 

「まどろっこしいわねっ! 結局何が言いたいのよっ! 時間がないって言ってるでしょっ!?」

 

『 …… 』

 

「ダージリン?」

 

 一呼吸置いて、ミホーシャから随分とかけ離れたイメージをダージリンが言葉にした。

 

 

『 冷酷 』

 

 

 本当に何言いたいの、この娘。

 

「…はぁ?」

 

『 やはり彼女も西住流…その根本にあるソレが、今の彼女を彼女と言わしめている 』

 

 ……本格的に意味不明なこと言いだしたわね…。確かにミホーシャが戦車搭乗時、いつもと雰囲気が変わるのは私も見てるわ。

 去年の決勝戦の時は、姉の方が表立っていたから目立ちはしなかったけど…そりゃ当然、彼女も西住流よね? 黒森峰は完璧な統率力と物量。

 でも今の彼女には少なくとも物量はないし、統率力も…まぁ悪くはないけど、完璧には程遠いと思うし…何を今さら。今必要な事はミホーシャの話をする時じゃないわよ。

 もうこの通話切ろうかしら。

 

『 …西住流…その根本ってご存じ? 』

 

 戦車道を履修している者は、一度は調べるでしょ。現状最古にして最大の流派ですもの。

 でもねぇ…なによ、今さらお浚いって訳? こんな時に?

 

 大体、そのミホーシャは相変わらず……ってっ!?

 

 黒森峰…?。

 

 ティーガーⅡがⅣ号戦車の真横に付き、何度か砲撃している。しかしミホーシャは砲撃を返す処か完全に無視。執拗に目の前のダージリン…チャーチルを隙あらば砲撃している。

 …が、そんな事、この場面で基本やらない。黒森峰側からすれば、フラッグ車を目の前にしている状態だから、多少の無茶はできるだろうけど…ミホーシャ側からすれば危険極まりない。

 

 一言で言えば…勝利至上主義。

 

 どんな犠牲を払ってでも、勝利する事。

 

 今のミホーシャのみたく、チームワークとか…一丸になるとかの言葉とは程遠い…要は最後に勝てば良いって流派よね。

 現に今みたく、ティーガーⅡは自身の存続よりもフラッグ車であるⅣ号を刺し違えてでも堕とす…っていうのが目に見えてるけど…ただ…今のミホーシャは違う…なんだろう。

 何か…執念地味て見える…。

 

 いつの間にか、それなりにチャーチルとの距離を詰め始めていた。その現状でほぼ真横のティーガーⅡをほぼ無視したかの様な形で、執拗に前方のダージリン達を砲撃している。

 もちろんティーガーⅡの動きに注意しているのも分かるのだけど…。

 

「なによ。つまりミホーシャが怖いっての? 泣き言を言う為に態々電話してきたのかしら。なっさけないわねっ」

 

『 正直申しますと、このまま目的地に進むだけの状況…特にする事、ございませんの 』

 

 

 

 

 

「暇つぶしで試合中に電話してくんじゃないわよっ!!!」

 

 

 

 

 

 私の声が聞こえたのか……後ろから「ごもっともですね」って、突っ込みが聞こえたわよ…。

 

「もういいっ! 切るわっ!!」

 

『 いつもと動きが微妙に違う彼女 』

 

 私の声を無視して、突然真面目な声に戻り、当然負ける気は毛頭無いと頭につけて呟く様に言続けた。

 

『 みほさん、今は邪道の西住流とか言われてましてね? それは言い換えれば新しい西住流。私のみほさんへの印象…それを軸に考えますと… 』

 

『 「勝利」の為に、仲間と一丸になって、なりふり構わず、どんな手でも使う 』

 

 …。

 

 どんな手…と言うのがすっごく引っ掛かった。

 確かにミホーシャの発案する作戦とやらに準決勝で目の当たりにした。狡猾でもあり…かといって突然信じられない程、大胆でもあり…。

 

『 加えて…ほら。私達、サプライズとして半場騙すような形で、隆史さん引き抜いてますわよね? 』

 

「……だっ…だからなによ!」

 

『 いやね? みほさんちょ~…と、オコだったかしらぁ~って… 』

 

 オコってなによ、オコって。貴女段々おかしくなってない?

 そもそも確かにそんな形になっちゃったけど…ミホーシャは特に何も言ってなかったじゃない。

 むしろ仕方がない…てな感じで、許してもらったわよね…。

 

『 そんな状況で後ろを取られているのは…少々、恐怖を感じますわ 』

 

 ……。

 

 思わず視線を下に戻すと…今度は何かハッチから体をだして、黒森峰の娘となんか睨み合ってるし…。

 …あ、いや、オカシイ。あの娘、そういうタイプじゃないわ。

 挑発にも乗りそうもない程、試合中は冷静になるタイプ。今日の彼女は…試合前から色々といつもと違う…。

 

『 カチューシャ 』

 

「なによ…」

 

『 私、この状況が楽しくも感じますの 』

 

 楽しい? …若干、ミホーシャがこわ…怖くないっ!! ちょっと不気味に感じて来ただけだけどっ!!

 ソレを提示して来たダージリンが、急に真反対みたいな事を言った。

 

『 残念ながら大洗学園との試合はもう…私には無理でしょうね 』

 

「ダージリン?」

 

『 今のみほさんと、本当に本気で試合をしてみたいと… 』

 

 

 

 

 〈 ザッ…… 〉

 

 

 

 

 ダージリンの声を無線の雑音が邪魔をした。

 

 彼女が何を言わんとしているか、解りかけた所で…「邪魔」が入る。

 

 テント側からの無線は、基本緊急事態以外は禁止されている。それはタカーシャも当然解っているはずだ。

 

 

 

 〈 ザザッ… 〉

 

 

 

『 えっ…… 』

 

 

 ダージリンから小さく声が漏れた。

 どやら彼女達にもその「邪魔」が入ったようだ。

 

 

 無線から流れてきた「 邪 魔 」が。

 

 

 




はい閲覧ありがとうございました。

PINKも書かな…
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