深海棲艦に提督が居たら良いのになぁと気軽な気持ちで書いているので、本当に艦これのファンの方々には申し訳ないですが、温かい目で見ていただけたら幸いです、よろしくお願いします
平昭0080年
第二次工業革命の時代の波に乗り世界は工業生産に傾きを見せた
平昭0081年
この頃から食料生産不足に伴う世界規模の飢餓が起こり、金を持つもの、持つ国が食べれて、持てない国は滅び行くしかない時代へと変わり始めていた
平昭0082年
そして食べれない国は指導者である名島 章の下、連合を組み戦争が起きた
分け与えるべきだという
「共生主義連合」
持つべき者が生き残るという
「適者生存主義連合」
この2つの巨大勢力のぶつかり合いを第三次大戦と呼ぶ
平昭0083-2月 第三次世界大戦勃発
平昭0083-4月 第三次世界大戦前期
共生主義側の圧倒的な物量で少数勢力である適者主義側は苦戦を強いられたが、適者主義勢力は防衛ラインを死守するだけであった
そんな適者主義勢力の戦法を取るのに、不安のようなものを感じる者もいた、忠敬もそんな気を感じていたが上層部はそんな事も気にせずに攻撃を続けた
平昭0083-6月 第三次世界大戦中期
適者主義側からステルスシステムを導入したホバリング駆逐艦「ルトゥーリーバ」の登場により共生主義の勝利は砂の城のように簡単に崩れ落ち、適者主義勢力が逆転し、共生主義側から適者主義側に亡命する者も現れ始めた、そんな時代
平昭0083-6月22日
桐生 忠敬は決断した
忠敬「………ブラオメーアを囮に使う、船員、船から降り、脱出せよ」
船員「桐生艦長、我々もブラオメーアと、そして艦長と運命を共にしたく
忠敬「………いや、ブラオメーアには私が残る、どちらにせよ、戻ったとしても戦艦と巡洋艦含めて四艘も墜としてしまった、打ち首だろう」
忠敬「それに、貴様らにはまだ進むべき明日と、名島 章閣下と共に歩める可能性がある、それをこんな所で散らせてなるものか」
船員「………桐生…艦長…」
忠敬「………さらばだ、地の獄で貴様らの戦果、期待して待って置くぞ、西宮、後の事は任せた」
西宮「了解しました、桐生艦長の勇姿、必ずや本国にお伝えしてみせます…」
忠敬「よし、皆、急いで脱出船に乗り込め、敵は待っちゃくれねぇぞ」
そう言って敬礼をすると船員達は涙をぬぐい敬礼を返して脱出船へ乗り込んで、この戦線から徹底して行った
忠敬「すまねぇなブラオメーア、もっとこの海を駆けたかっただろうに、俺と運命を共にさせて悪いな」
改装空母艦ブラオメーア、艦載機もいない、こいつと俺の二人きりの静かな艦内、ブラオメーアとの思い出を思い出す
解体処分寸前の輸送艦を頭を下げて譲り受けた事
整備班や建造班などの力を借りて改装空母としてブラオメーアを作り替えた事
最新式のタービンを頭を下げて譲ってもらった事
こいつとの思い出には色んな奴等の顔が出てくる、嬉しいような寂しいような変な気持ちになるのはなんでだろうか
忠敬「…………さてと、最後の一暴れだ、ぱーっと行くか、な、相棒よ」
船は答えない、しかし、答えなくても答えは決まっている、最後まで脱出中の船員が死なないように戦う、それが俺の答えだった
敵艦が5隻、こちらに主砲を向けているいつでも撃てると言った感じだ
背負っているロケットランチャーを構えて敵艦の主砲を狙い
忠敬「俺が潔く死ねるかよ、墜ちな!」
そう言って放つ、そして五秒後に着弾し一隻の主砲が燃え上がる、それが始まりの合図のように主砲、連装砲、魚雷がこちらに目掛けて向かってくる
忠敬「へっ!このブラオメーアはそんじょそこらの船とは違うんだよ、対魚雷砲……今だ!」
そう言って持っていたボタンを押すと海面60度向けて、槍のような者がバラバラに発射され、魚雷を寸前で爆発させていく
忠敬「そら!もう一発だ!」
それと同時に、砲撃の少ない場所を狙ってバズーカを放つと、敵艦の砲弾にバズーカが着弾し、一隻の主砲と連装砲を使えなくする
しかし、こちらの被害も大きく、敵艦から放たれていた魚雷以外を全て被弾してしまっていて
忠敬「よし、やってやったが、もう持たねぇな……」
持って来た6連ミサイルランチャーを敵艦に向けて構え
忠敬「俺の最後の抵抗だ!虎の子受けとれ!」
そう言って引き金を引くと6連ミサイルは三隻に分かれて着弾し、主砲と魚雷の発射口に当たり、爆破して沈んでいく
忠敬「ざまぁ、みやがれ…」
忠敬「…………じゃあな、ブラオメーア、お前と海を走れて楽しかったよ……」
そしてブラオメーアは大きな渦を作りながら死ぬものを飲み込むような黒い海へと沈んでいった
青い
深い
暗い
自分の意識が暗い闇の中へと溶けていくような感じだ
闇に溶けた意識は何処へ行ってしまうのだろうか等と考える間もない
泥のような眠気に襲われた
「目覚めなさい……」
暗い中で透き通った声が聞こえ、泥のような眠りから目が覚める
「目覚めなさい、人間……」
女性の声が聞こえた、暗い中で目を開けているが、周りも暗く目を開けているのか、閉じているのか分からない
「目覚めるのです、桐生 忠敬……」
忠敬「…………ここは何処だ…」
「ここは母なる海、生命の始まりの、最も近い場所…」
暗い中で透き通った声は、単語を並べるように喋った
忠敬「………そうか…俺は確かブラオメーアと一緒に沈んで……なるほど、ここがあの世ってやつか」
そうすれば全てに合点が行くと考えていると、透き通るような声が違いますと言い
「ここはあの世、死後の世界ではなく死後と生前の中間、貴方の言う、死後の世界の扉の前」
扉の前と言われても真っ暗闇で全くわからない状態だった
「よく理解できていないような顔ですね」
こんな暗闇の中で声の主はこちらが見えているようだ
忠敬「それで、こんな変な所に呼びつけて、俺にどうして欲しいんだよ?」
「……貴方に後悔はありますか?」
突然、よく透き通る声はそう聞いてきた
忠敬「………後悔か……死んじまった事には後悔はしてねぇ……ただ…」
そう、一つだけ後悔があるとするならば、相棒、ブラオメーアの事だった
忠敬「ブラオメーアには悪いことをしたな……こんな馬鹿な男に付き合わせて最後に沈んじまったんだからな」
忠敬は自身の船に愛着があった、そうでなければ大規模な改装などはしないし、ある意味、相棒のように慕っていた船だったのだ
「…………謝りたいのですか?ただの兵器ですよ?」
透き通った声は疑問視するように尋ねた
忠敬「兵器である前にブラオメーアは俺の海を駆けた相棒だ、もっと色んな海を駆けたかったのを俺が無理強いしたのだ、謝りたいさ」
そう言うと声の主はやはり間違ってなかったと言って続けて
「………あなたになら、この母なる海を託すことが出来ます……」
そう言って暗闇に青い優しい光が周りを照らした
忠敬の目の前には口から首下にかけて傷痕の残る女性がいた
ティアマト「私は原初の母ティアマト、全ての生物の母であり、この海の女神……」
ティアマト「私はこの原初の扉の近くで青き海が汚されていくのを見てきた、人間たちによる身勝手な理由により汚されて行き、最後には殺し合いの血で汚されて行った」
ティアマト「あなたの力を信じて頼みがあります、これ以上、海を汚さないように戦いを終わらせて欲しいのです」
ティアマトは忠敬に頭を下げてそう言った
忠敬「ちょ、ちょっと待て、海の女神?戦いを終わらせる?すまねぇが、少し説明を頼めるか?」
そう言うとティアマトは頷いて話始めた
話は、自分とブラオメーアが沈んだ後の話だった
第三次世界大戦後期
兵の亡命に劣勢になり衰退した共生側であったが共生側海軍最高指揮官である名島 暁は最終戦線まで抵抗した
しかし、適者側は新人形兵器「艦娘」の登場に伴い最終戦線の共生艦は壊滅
白兵戦となり司令室で立て籠っていた共生側の兵士及び、最高指揮官は銃殺、女性兵は連行され、第三次世界大戦海上戦は終結する
忠敬「…………なるほどな……負けてしまったか……」
ティアマト「私の願いはただ一つ共生勢力を壊滅させて欲しいのです」
忠敬「少し無茶だな、船を持っていても勝つのが難しい、船もないんじゃ、俺に出来ることは少ないぞ?」
ティアマト「その点では問題ありません、貴方はもう人間では無いのですから」
目の前の彼女は俺を中々驚かせる事を言って来た
忠敬「…………人間じゃないってどういう事なんだ、確かに神様と話している時点で人間から少し離れた気はするが……」
ティアマト「では、聞きますが貴方はどうして深海で息が出来ているのですか?」
確かに、そう言われるとそうだ、そもそも息をしていない気さえ……まさかっ!?
俺は思い出して、手首の脈に指を当てる…………脈がない!……
ティアマト「貴方は死んでしまったんです、私の加護で人間ではなくなっています、艦娘以上に匹敵する力になっています」
忠敬「なるほど、俺に艦娘を殺して適者側の最高指揮官を殺せということですか?」
ティアマト「はい、早い話、そうなります」
忠敬「冗談じゃない」
俺ははっきりそう答えた
ティアマト「何故です、貴方も部下や上官を殺された恨みを晴らしたいとは思わな…
忠敬「思わない、そんなことをしても死んだ奴等は帰って来たりしない」
ティアマト「しかし!しかし……」
優しい顔だった彼女は少し声を荒げて
ティアマト「分かりました……この扉の先に貴方の言うあの世というものが……
忠敬「おいおい、なに勘違いしてんだよ」
忠敬「俺は艦娘を殺したりはしない、最高指揮官もだ、これが戦いを止めるための戦いなら、俺は虐殺はしない、それが俺がお前と交わす契約だ」
俺はそう言ってニッと笑って見せた
ティアマト「………やはり、私の見込みは間違っていませんでした、貴方の考えに賛同します、この海を血で汚すことのない戦いを望んでいます」
彼女は優しく微笑んだ
忠敬「で、話は変わるがブラオメーアと俺は一緒に墜ちたんだが、ブラオメーアが見当たらないデカい船だから見つかるはずなんだが」
ティアマト「あぁ、彼女なら……恥ずかしがらなくて大丈夫……出てきてください」
彼女というのに少し引っかかったその引っかかはブラオメーアを見てはっきりとわかった
「ヲ…………ヲ、ヲヲ……」
彼女もまた艦娘であるのだと
忠敬「ブラオ……メーアなのか?」
ブラオメーアと思わしき少女はヲッヲッと言いながら覚束ない足取りで俺の服にぼふっと抱きついた
ティアマト「まだ人の形に慣れてないのでしょう、貴方の相方です慣れてない所はあるでしょうがよろしくお願いします」
いや待て、まだ話はと言おうと思ったが目の前にいたティアマトはどこかへと姿を消していた