――次の場面に移った。
結は辺りを見渡した。
外だ。見覚えがあるような、ないような。広い道を、沢山の学生が歩いている。
つまり、ここは通学路なのだろう。結は別の中学校だったためあまり来たことはないが、早島中学の生徒はこの道を毎日通っているらしい。
事実、目を凝らせば、遠くには校舎が見えた。アレが早島中学なのだろうか。
と、そんなことを思っていると、ふと後ろで話し声が聞こえてきた。
「あ、貴女はあの時の……」
「……げえっ」
振り返れば、夏音とサチが鉢合わせたらしく、両者共にびっくりした顔をしている。特にサチは、嘘だろうと言わんばかりの表情だった。
「やっぱり。見覚えがあると思ってたんです。同じ学校の生徒だったんですね。貴女」
夏音が妙に納得して言えば、サチは文字通り頭を抱えた。
「ちくしょう。こんな展開ありかよ。マジで頭が痛いんですけど」
「むっ」
夏音はその様子が嫌だったのか、頬を膨らませ、「相変わらず失礼な方ですね」とちょっと怒った。
「とは言え、先日はどうもありがとうございました。貴女のおかげで助かりました」
「……ふん。ま、船花様にかかれば当然のことだし」
そうお礼を言われて、満更でもなさそうなサチである。
本人は隠しているつもりかもしれないが、得意げに鼻の穴がぷくっと広がっていた。
「それで、キュゥべえにも伝えておいたんですが、改めてお礼をさせて欲しいんです。魔法少女のこととか、色々ありますし」
最後の方、やけにコソコソ言って、夏音はサチに対して耳打ちする。
サチは思いっきり渋面を作っていた。
「その話は奴から聞いてる。ったく、マジであの白狸は余計なことしかしねえ」
小声で返しなら、しかし怒り心頭と言った感じで悪態をつく。それに関して言えば、結も大いに同意する。
「ていうか、テメエ、本気かよ。死にかけたくせに、まだ魔法少女になるつもり?」
だが、どちらかと言えば夏音の方に激怒しているようだ。サチはぐっと眉間に皺を寄せて、夏音を睨みつける。でも、彼女も引かなかった。
「確かにまだ怖いんですけど、願いが叶うと言われて、無視は出来ません。私にも思い描く夢があります」
「……お前が思う以上に大変なんだけど?」
「はい。しかしそれを承知の上で、魔法少女のことを知りたいんです」
「……」
すると、こいつマジで正気で言ってんの? と驚いたようにショートカットの少女は目を瞬かせた。
「はぁ……。そこまで言うならしょうがねえなあ。分かったよ、テメエの話は聞いてやる」
もう一度ため息を吐いて、サチはうんざりした風に頷いた。
夏音はパァっと擬音がつきそうな程、明るい笑顔を作ったのだった。
◆◇◆◇
そして、時間は流れて放課後である。
場所は早島でも有名な喫茶店。そこで夏音とサチは、二人で紅茶のお茶っぱを選んでいた。
「こんなことで良いんですか?」
とは、夏音の疑問である。
彼女としてはもっとキチンとしたものを……と考えていたのだろうが、サチとしてはこちらの方が良いようで、実に満足気に鼻歌を歌っている。
「お茶の方が長く持つし、入理乃と一緒に楽しめるから最高なんだよ。丁度切らしてたしある意味助かったわ」
「それは良かったですが……ていうか入理乃!? 入理乃って、あの阿岡入理乃ですか!?」
夏音がびっくりすれば、サチは何処か誇らし気に微笑み、
「そうだよ。有名人だもんな、アイツ。後で紹介すっからちょっと待ってなよ」
そう言って、お茶っ葉の袋を一つ手に取る。気に入ったもののようで、カウンターに直行して購入(夏音のお金で)。結構お高いせいか、一瞬夏音が物凄く死んだ目をしていた。
財布の中身が空になったんだろうなと、結はなんとなく察した。
「さて、連絡すっか」
二人はそのまま外に出ると、適当な公園に入り、ベンチに座った。
サチが携帯を出してから電話をかけ始める。
「もしもし? うん、私、船花サチ。実はさ――」
それから数分ぐらいやり取りが続いた。どうやら入理乃がごねているらしく、サチはちょっと困った顔をしていた。最終的には「とりあえず来たほうが良いって!! じゃあな!!」と、サチが一方的に電話を切った。
「クソッタレめ。臆病なところは相変わらずじゃんか。直せば良いものをさあ」
愚痴るサチに対し、夏音はバツが悪そうだ。
「やっぱりご迷惑だったんでしょうか。話をしたいだなんて、そんな……」
「ああ、何言ってんだ?」
だが正反対に、サチはイライラし始めた。
「何で今更そんなことを気にしてんだよ。そもそもどうしてお前が気を使う必要があるんだ?」
「いや、だってどう考えても、阿岡さんとって私って邪魔な存在じゃないですか。唐突に押しかけてきたもんですし」
「そりゃそうだ」
サチは力強く同意する。
本当のことだったが、それはそれであまり良い気分ではなかったらしく、夏音はちょっとムッとしていた。
「ま、魔法少女になりたいって時点でめちゃくちゃ目障りだけどね。本当はやめて欲しいから、ガチで」
しかし、次に言ったその言葉は、彼女らしからぬ真剣なものだった。皮肉混じりでも、本気で夏音のことを考え、普通に生きて欲しいと思っているようだ。
でも、サチは夏音のすべてを否定した訳ではなかった。
「けれどさ、何かを叶えたい気持ちって止められないんだよね。私だって身勝手な願いで、身勝手な望みを叶えたし。結局、本人がどうしたいかなんだよな」
「……船花さん」
「だから、どうしてもってんなら無理に止めない。アイツのために遠慮なんかすんなよ。テメエには魔法少女のことを知る権利がある」
「……」
「その代わり、よく考えて選びなよ。後悔することになるからね」
実際に魔法少女が言うからこそ、そこには重みがあった。
夏音はごくりと唾を飲み込んだ。
改めて魔女のことを考えて、緊張しているのかもしれない。
「……船花さんは後悔なさっているんですか? 魔法少女になって」
そのためか、夏音は結構踏み込んだことを聞いた。
サチはみるみる内に、複雑な表情となっていった。
「そりゃあ……なんつーか、いくら何でも遠慮のない質問だな」
「すみません」
「謝らないでよ。むしろそのくらいのが付き合いやすいわ」
本当に気にしてなさそうな雰囲気で、彼女は話し始めた。
「――そうだな。確かに一言で言えば、後悔してるよ。まさかあんな結果になるだなんて。でも同じくらい、お義父さんや入理乃に会えたのは良かったんだ。二人に会えて自由になれたんだよ」
それでも船花サチの顔は、普段からは想像がつかない程、弱ったような、悲しんでるような、そんなどっち付かずの微笑だった。
少なくとも結は、初めて見る。
そう言えば、サチのことは何も知らないな、と実感したくらいだ。
(今までは同じ地域に住む、魔女を奪い合うライバルという認識が強かったしね……)
あるいは、自分の都合で勝手に迷惑をかけたという子供か。
とにかく、結にとって、船花サチとはその程度の存在だった。
しかし、思っている以上に、サチは多くのものを抱えているらしい。
だが、よく考えてみれば、彼女も魔法少女なのだ。
過去に一つや二つ、辛い経験があってもおかしくない。それこそキュゥべえに縋る程の何かが――
「……」
そこまで思考を走らせ、でもサチのことを知って何になるのだろうと、結は思った。
だって何処までも行ってもサチは他人でしかないからだ。それに他人だからこそ、勝手にその心に踏み込みたくはなかった。人様の家を物色したくないのと同じだ。
でも、そうやって思っている間にも、会話はどんどん進んで行く。
サチは良い機会だと言わんばかり、入理乃の凄さを語って聞かせている。夏音は真剣に頷きつつ、「やっぱり阿岡さんは別格なんですねえ」と時折褒めていた。機嫌を取るためのようだが、サチには分からないようで、褒められる度に笑顔になっていった。
「テメエ、分かってんじゃん、見直したよ! ウハハハハハハ!」
「そうですか――って、痛いです、叩かないで下さい! 痛い!」
しかしサチのテンションが高くなっていくごとに、夏音は背中をバシバシ叩かれて痛がっているのもあって、面倒くさそうだ。結が自然と苦笑いを浮かべるのも無理はないだろう。
「もう……本当に貴女は阿岡さんのことが好きなんですね」
やがて呆れ気味に夏音は言った。
「最初てっきり不仲なのかなって思ってたんですけど、全然違うじゃないですか」
「あったりめえだろ! 船花様と入理乃はな、三年間もコンビを組んでるんだぞ! テメエに疑われるような関係じゃねえよ」
「いや、何だか対して彼女に怒っていたので。喧嘩をしょっちゅうなさるのかなと思ってしまっただけです」
それは先程の電話のやり取りから想像したことだろう。
確かその部分だけ切り取れば、サチが一方的にイジメているように見える。
だからか、サチも一瞬、ぐっと喉を詰まらせた。
「別にアレはその……アイツを一方的に詰りたかった訳じゃねえよ。単に、いつものように自信なさげにしてるからムカついただけ。アイツ、テメエのことも怖がってるからさ。そんなで良いって言えねえだろ」
「しかし、そうは言っても、あまり話したこともありませんし、人見知りな方ですから、それはそれで――」
「そんな問題じゃねえよ!」
サチが怒鳴る。夏音が驚いたように目を見開いた。
「私は――船花サチ様は! アイツにもっと広い世界を知ってほしいんだよ! こんな世界にも良いところは沢山あるって! もっと優しい人もいるはずなんだって。それをアイツは避けてる!! 私はそのことが許せないんだよ!」
その叫びは、何処までも入理乃を思う、強い強い気持ちだった。
結は切なさでいっぱいになった。
何故ならサチの思いはすれ違っているからだ。
入理乃だって、サチが大切だろう。けれど、入理乃は多分、真逆のことを考えている。彼女は二人だけの世界で完結したい。故にサチの気持ちとは相入れず、入理乃の思いとは反発する。
どう足掻いても、伝わるはずがない。
だけど、肝心のサチは、そのことを知らず、入理乃を変えていきたいようだ。だが彼女自身、あまり人と仲良くするタイプには見えなかった。
そのため、次には落ち込んでいた。
「私だって頑張ったけど、こんな弱い自分じゃ入理乃は何も変わらない。どうしたら良いか……」
「そうですか。色々と考えていらっしゃってたんですね」
だが、夏音はサチの気持ちを察したようだ。
励ますように微笑んだ。
「分かりました。ならば協力します」
「え?」
「この先どうなるか分かりませんが、この瞬間、この時は、阿岡さんと友達になろうと思います。どれだけ嫌われても、私が貴女と一緒に、彼女を引っ張っていきますよ」
「お前……そんなこと本当に良いのか?」
「当たり前です。船花さんは命の恩人ですから。これぐらい構いません。むしろ、船花さんとも友達になりたいくらいです。折角出会ったんですからね」
「……」
今度はサチが目を見開く番だった。
そして、しばらくすると、おかしそうに口の端を釣り上げた。
「テメエ、変な奴だよ」
「何ですか。変な奴って」
「良い意味でだよ」
釈然としない夏音に、サチはスッと手を差し出す。
「仕方ねえな。そういう事なら友達になってやるよ。えーと――」
「菊名夏音です」
「夏音」
夏音が手を握り返したら、サチは心の底から嬉しそうにしていた。
年相応の、幼い笑顔だった。
と――その時であった。
「――船花ちゃん?」
見ると、そこにいたのは、中学生くらいの女の子だった。
パーカーのフードを深く被り、茶髪を二つ結びにしている。おどおどした態度が特徴のこの少女は、サチのパートナー、阿岡入理乃。
すぐにサチが気がつき、喜色満面に立ち上がった。
「入理乃!」
だがその腕の中には、白い動物が抱き抱えられていた。
「ボクもいるよ、サチ」
「アー……お前まで来てたのかよ」
「その反応はないだろう? 相変わらずだね、キミも」
すると横から夏音が挨拶をした。勿論、サチ同様立ち上がって。
「こんにちは、キュゥべえ。お久しぶりです」
「うん。久しぶり。と言ってもそこまで日数は立ってないけどね」
キュゥべえは夏音の方を向いて答える。
入理乃もまた、夏音に向き直り、ボソボソと話しかける。
「えーと。貴女が……菊名夏音さん?」
「はい。阿岡さんもお久しぶりですね。小学生以来ですか?」
「――ええ」
「これも何かの縁です。よろしくお願いします」
サチにしてもらったのと同じように、夏音は入理乃に手を差し出した。
だが、入理乃はそれをじっと見るばかりで……心なしか、表情も引き攣っているように見えて……そんな調子なので、夏音がいくら待っても、その手を握り返しはしなかった。
ただ、こくんと、小さく頷き返しはしたが。
(――けど、どう見ても、夏音ちゃんを警戒しているように見える)
何故か彼女は、異様に夏音を凝視していた。
魔法少女になりたいという以外にも理由がありそうだ。
過去に何かあったのだろうか……と思っていると、キュゥべえが「さて」、と切り出した。
「まずは改めて確認させてもらおうか。夏音、キミは魔法少女のことを色々知りたい。それで合ってるね?」
「はい」
「続けて入理乃、サチ。ボクがお願いした通り、夏音に魔法少女のことを教えてあげることは出来るかな? キミ達だって、色々思うところはあるだろうし」
「まあな。けど話してみて分かった。夏音は悪い奴じゃねえ。船花様に断る理由はないな」
サチは思ったより柔らかい口調で言った。
入理乃がピクリと眉を動かしたことには気付いていなかった。
「入理乃、お前はどう思う?」
そのせいか、相棒に無遠慮とも言える態度で聞いていた。
勿論、電話で入理乃と揉めたせいか、強制する気はないようで、
「お前が嫌なら、この話はなかったことにするぞ」
と、付け加えた。
夏音も一瞬、話が違うくないか? と言った顔をしたが、「そうです、そうです」と便乗した。
しかし、入理乃はここでノーと言える性格でもないだろう。
サチをチラリと見ると、
「船花ちゃんが良いなら……」
「本当にそれで良いのかい?」
キュゥべえが驚いたように口を挟む。
「アレだけ嫌だって言ってたじゃないか。何か心変わりでもしたのかい?」
「まあ…船花ちゃんが認めた相手だから……」
サチが受け入れれば、文句はないと言ったところか。
それにしては不満がありそうだが、ここでグッと我慢することにしたのだろう。
「そうかい。なら決まりだね」
なので、最後にキュゥべえが話をまとめた。
今後の方針が決定した瞬間だった。
そして、彼は一つの提案をする。
「じゃあ、話が終わったところで、ボクから良いアイディアがあるんだけど、どうかな?」
「アイディア?」
「魔法少女体験コースだよ」
その後の詳しい説明によると、どうやらサチと入理乃、二人の魔法少女の活動に、夏音を同行させて欲しいとのことだった。
そうしたら、実感も湧くし、分かりやすいだろうとキュゥべえは言う。
「元々は見滝原で、巴マミが後輩にやっていたものなんだ。効果もあったし、丁度良い機会だと思うよ」
「見滝原ねえ……」
サチが腕を組んで考え込む。
まあ、見滝原は隣町だし、巴マミも有名だ。複雑な気持ちになるのもおかしくない。
が、彼女は首を傾げて、不思議なことを呟いた。
「見滝原って何処ら辺だよ?」
(え……?)
結は思わずびっくりする。
入理乃も変なことをキュゥべえに質問していた。
「えと……その巴マミさん? って人がやってたの……? 具体的にはどんな感じ……?」
まるで巴マミを知らない口ぶりだ。
こんなのあり得ない、と結は再び驚く。
巴マミは強すぎるから警戒対象だったはずだ。それにそもそも、見滝原なんて誰もが知っている町ではないか。
それこそ、結だって遊びに行ったり、ゲームを買ったり、何度も何度も――
「……?」
(いや、本当にそうだったっけ?)
そこで何故か、そんな疑問が浮かんだ。
何かがおかしくないかと。
――そうだ。
何かが変なのだ。
本当は巴マミも見滝原も知らない。きっと遠くにある町で、早島の隣と言えば、それこそ飛雄角か“牛木草”……、
「牛木草?」
自分で言ってて違和感が薄れる。
聞いたことのある名前だ。
牛木草。
早島の経済圏と深く繋がり、働き口や若者の遊び場となっている町。この町があるからこそ、早島が成り立っていると言っても過言ではないくらい、大きくて人がたくさん集まる都会だ。
だから、結も頻繁に通っていた。
時には魔女狩りなんかもして……そこに住む強力な魔法少女の名前も把握していた。
確か名前は色梨こゆり。
「……。それがいつの間にか巴マミに変換されている? じゃあ僕達が見滝原と思い込んでいたところは――牛木草?」
……どうしてそうなったのだろう。
誰かに記憶を改竄された?
何が目的で。
しかし、そう思った直後、キュゥべえがポツっとため息吐いた。本当に本当に小さな、結にだけ聞こえるような声で。
「うーむ、やはり魔法陣の問題か、魔法少女への効果は甘いな」
「は……?」
「
キュゥべえがそう吐き捨てた瞬間、彼の瞳がギラリと光った。
「“何を言っているんだい? 見滝原は隣町で、巴マミは皆もよく知っているベテラン魔法少女だろう?”」
その途端である。
夏音、サチ、入理乃が、棒人形のように固まった。
やがて、意識を取り戻したようにハッとなるも、それぞれぼんやりしたように目を瞬かせた。
「あれ? 何だったっけ?」
「……えーと、確か。隣町が見滝原……で?」
「そうだよ。隣町と言えば見滝原! 見滝原と言えば巴マミ! 何でこんな情報を忘れてたんだよ! ああ、もう!!」
サチが嫌そうに顔をしかめる。
だが全員、自分達の異常さに気付いているのだろうか。
皆、さっきと言っていることが逆転している。
結は鳥肌が止まらない。
(何だ今の。まさか記憶がおかしいのはコイツが原因!? 本当にキュゥべえなのか!?)
口調も一瞬違ったし、何らかの力を行使していた。
絶対あの白い動物じゃない。
得体の知れない何かが化けているとしか思えない……!!
「夏音ちゃん! 皆!!! コイツ何かがおかしいよ!」
結は堪らなくなって叫んでいた。
しかし、目の前の光景はただの映像。声は届かない。手を伸ばしても触れることは出来ない。
「……ッ」
もしこの場に本当にいたのなら、と思わずにはいられなかった。
そしたら、どうにか出来たはずなのに。
「くそ……」
結はそのまま黙ってことの成り行きを見守るしかなかった。
三人は魔法少女体験コースをやることに決めようで、さっきからその会議で盛り上がっている。
夢中になり過ぎて放置されてしまった白い獣は――ただ結を見て、笑っていた。