東方紅転録2部 ─NAMELESS MIST─   作:百合好きなmerrick

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間に合わなかったのです()

まぁ、気を取り直して。最後の締めは幻想郷ならではのお遊びで。

では、ごゆるりと


特別編三日目「出会いの終わり」

 Renata Scarlet

 

 ──紅魔館(図書館)

 

 ティアが来てから3日目。そして、今日はティアが帰る日。最後に楽しい一時を過ごす前に、その準備のために図書館へとやって来た。まぁ、楽しい事をするのも、外は日光が邪魔という理由で、図書館でする事になったから都合が良い。

 

 そのついでだが、パチュリーにティアはもう帰れるのかも聞きに行ったのだが──

 

「ああ、それなら昨日のうちに終わったわ。意外と簡単にできたのよねぇ」

 

 ──と言うので、今は楽しい事のための準備をしている。思った以上にパチュリーが万能で、気遣いがとても上手なのに驚いた。親友であるお姉さまのためだろうけど、そうだとしてもとても嬉しい。パチュリーのお陰で、ティアと長い時間を過ごせたのだから。

 

「⋯⋯この紙に書けばいいの?」

「はい。ルールは先ほど教えた通りです。この紙には、技名を契約書形式に書くだけで、他には何もする必要は無いです。もちろん、その技名を体現した技を考える必要がありますけどね。なので、今から考えるのはその技ですね。最初に大まかな内容を別の紙に書いて、そこからどうやって弾幕を展開するかも考えてみましょう。今回は少なくても3枚、時間があれば5枚作ってみましょうね」

「ティアちゃん。難しかったら、お姉ちゃんと同じでも良いからね?」

「うーん⋯⋯」

 

 最早ここまで話してたら、たとえ今誰が来たとしても何をしてるか分かるだろう。私の言う楽しい事の正体は、『弾幕ごっこ』である。楽しくて、恐らくティアの世界でしていないであろう遊びはこれしか思い付かなかった。相手がもしも人間なら悩む遊びだったが、同じ吸血鬼だから話は別だ。それなりに硬いだろうし、耐久も再生力も高い。もちろん、手加減はするけど、吸血鬼だから事故死する可能性はほぼ無いだろう。

 

「せっかくだから、自分のを作ってみる。思い付いたの、いっぱいあるから」

「そっかー。困ったり、悩んだりしたら遠慮無く言ってね。できる限りの事はするからね」

「うん、ありが──」

「居たー!」

 

 女性の大きな声が図書館内に響き渡る。毎日のように聞き慣れたようで、稀にしか聞かないこの声。もう1人の私であり、片割れでもあるミアだ。ようやく、家に帰ってきたらしい。天界に行ってたらしいし、これくらいかかるのも不思議では無いが。ミアはティアを見つけると、一目散に近付き、その小さな身体で自分よりも僅かに大きなティアを抱え上げた。ミアより大きいとは言っても身長は勝ってる。だが、胸では圧倒的に負けてるから、ミアの方が小さく感じるのだ。

 

「美鈴から聞いたよー! ティアちゃん、よね? 初めまして! ミアだよー」

「⋯⋯びっくりした。レナ姉と瓜二つ。違いは翼の有無だけ? それと性格かな?」

「そうねー。でも、仲は良いからね? 昔は色々あったけど。自己嫌悪とかも無い仲良し姉妹だから安心してね」

「なかなか会えない人なのですけどね。疎遠になりがちです」

 

 ミアの放浪癖は今に始まったことじゃない。私はしばらく会わない事にも慣れている。だけど、ミアとティアが会わないというのは流石に可哀想だ。ティアは楽しみにしてたし、ミアも知ったら喜ぶはずだ。実際今出会ってそうなったし。だから、ティアが居る時に帰ってきてくれて本当に良かった。

 

「何作ってるのー? あ、スペカね。それなら手取り足取り教えてあげれるよ?」

「大丈夫だよ。自分で作ってみたいの。でも、ありがとうね」

「ふふっ、いいよいいよ。困った時は遠慮無く言って良いからね」

「うん、その時はお願いするね」

 

 ティアは私達に見守られながら、黙々と作業を行う。一生懸命に作るその姿は、見てて微笑ましいものがあった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「できた! お姉ちゃん達! 終わったよー」

 

 作業を始めてから数十分後。各々が──ティアを気にしながらも──本を見たり談笑したり、自由にしている時にその声が上がった。作り終えた達成感に嬉しそうにするティアの手には、5枚の紙が握られている。恐らくは、全てがスペルカードなのだろう。時間があればと思ってたが、想定以上に早く終わった。それも、私達の助け無しで。これなら余裕を持って遊ぶ事ができる。

 

「思ったより早かったね。どう? 自分での出来具合は」

「多分、上手くいったと思う。お姉ちゃん、私の、見てくれる?」

「うん、もちろん! じゃ、まずは練習しよっか。お姉様達、良いよね?」

 

 颯爽とティアの元に向かったフランがみんなに大きな声でそう話す。その質問に当たり前のように頷いて返すと、フランはティアを引っ張って空中に浮く。広い図書館ならではの行動だ。今から、この図書館で弾幕ごっこを始めるのだろう。

 

「まずはお試しから。本番は次ね。ティアちゃん、どれでも良いからスペカ1枚使ってみて。私が全部避けてあげるから」

「うん。あ、よろしくお願いします」

 

 フランの挑発的な発言を挑発だと気付いてないのか、ティアは礼儀正しくもそう返す。下から見てると何をしてるのか見づらいが、どうやらどれにしようか迷ってるようだ。5枚のスペルカードを見比べて、頭を傾けてる。対するフランはワクワクしながらティアの1枚目のスペルカードを待ちわびる。

 

「⋯⋯これにきーめた! お姉ちゃん、覚悟はいい?」

「いいよ。遠慮したら、すぐ終わっちゃうからね?」

「うん、もちろん本気だよ! 罪源『エンヴィティア』!」

 

 ティアが1枚のスペルカードを手に取って大きく上げ、声高らかに宣言する。展開された弾幕は粒状の弾幕を辺り構わず撒き散らした。狙う場所は適当に見えて、その内の1つはフランを狙い、他の弾幕は逃げ場を狭めるように計算され尽くしている。それはまるで、お姉様の不可能弾幕『フィットフルナイトメア』のようだ。あっちは名前の通り避けれるものでは無いが。

 

 フランは慣れた動きで、かすり(グレイズ)を狙って余裕を持って避けている。お姉さま達も流れ弾を軽く避け、手練のような雰囲気を出していた。対する私は避けるのが苦手なので、『イージスの盾』という防護壁を使って守ってる。

 

「アハハッ! ティアちゃん凄いね! 初めてにしては綺麗だし、狙い方も上手だよ!」

「うん、ありがとう! じゃぁ、当たって負けちゃお?」

 

 ティアが悪魔のような笑みを浮かべたその瞬間、弾幕の密度が濃くなる。フランの顔からは余裕が消え、流れ弾はより一層激しさを増し、私達を襲った。が、それでもフランは当たる事無く、余裕が消えても笑顔で避け続けた。

 

「凄い凄い! ティアちゃん、本当に上手だよ! だから、私も本気で──って、あれ」

 

 久しぶりに狂った笑みを見せるフランだったが、突然消える弾幕を見て呆気にとられ、動きを止めた。

 

「あ。効果時間終わっちゃった」

「ありゃりゃ。残念⋯⋯」

「ごめんね、お姉ちゃん」

「ううん、いいよいいよ。次もあるしね。それを楽しもっか」

「うん!」

 

 ティアとフランはしばらく空中で話した後、仲良く手を繋いで降りてきた。私達もすぐさまそこへ集まり、ティアを褒め称える。

 

「ティア、凄かったね。レミリアオネー様より上手」

「何故そこで私が出てくるのよ。ま、上手なのは認めるけど。ティア、良かったわよ。今度は私と一緒に遊ばない?」

「レミリアお姉様、次も私だよ。ティアと約束したしー」

「連続なんて強欲ねぇ?」

 

 今にも2人で弾幕ごっこを始めそうな2人の間に、ティアが割って入る。昨日に続き、喧嘩の仲裁に積極的な妹だ。私は気弱だから、とても頼りになる。

 

「お姉ちゃん、お姉様。喧嘩はめっ。どうせなら、みんなで一緒に遊ぼ?」

「えっ、みんなで? ⋯⋯良いわね、それ。でも、6人じゃ少し多いし⋯⋯何回かに、何人かに別けて遊びましょうか」

「さんせーい。フラン、あみだくじ作って!」

「ルナが作れば⋯⋯ま、いいや。最初は2対2で良い?」

「ええ、お願い。もちろん、ティアは確定だからね」

 

 そそくさと机に向かい、1枚の紙を持って戻ってくる。そこへ各自、自分の名前を書き込んで、くじを完成させる。そして、その結果──

 

 

 

 

 

「あ、レナ姉とだ!」

「よろしくです、ティア」

「当たらなかったかー。まぁ、レナ、頑張りなよー」

「はいです。頑張りますね」

 

 ──私とティア対お姉さまとフランになった。図らずも、原作にいない姉妹と原作の姉妹対決になった。ティア側になったからには負けられない。別世界や平行世界の姉として、見本を見せなければならない。

 

「あ、ふーん。レミリアお姉様とかー。あれ、試してみる?」

「良いわよ。レナ、被弾は2回、弾幕は4回。どちらも2人合わせてで良いかしら。ルナやミアも待たせちゃうし」

「もちろん良いです。なので、早速始めますか」

「ええ。⋯⋯始めましょうか」

 

 4人とも一斉に宙へと舞い上がり、全員揃って身構え、スペルカードを手にした。

 

「先行は譲るわよ?」

「先の方が不利じゃないですか」

「でも、お姉様の言う事は聞きたい。良い?」

 

 ティアがチラリとこちらを見て尋ねた。自分の意見を押さずに、私に求めてくるのは可愛いものだ。だが、こういう時くらい、自分の意見を押してほしい。もしかしたら、これが最後の遊びになるかもしれないのだから。

 

「はい、もちろん任せますよ。今回の主役はティア、貴女ですから。あ、でも。危なくなったら、1枚だけ使いますけどね」

「ありがとう。食圧『ハマルラフム』!」

 

 ティアがスペルカードを宣言したと同時に、辺りから魔力でできた何かが複数体現れた。1つ1つがしっかりとした形を成しており、モコモコとしている。

 

「あら可愛い。⋯⋯羊かしら?」

「うん、正解。さぁ、みんな。頑張れー」

「フラン、しっかり避けなさいよ」

「はいはい。分かってるよ」

 

 お姉さまとフランは互いに距離を取り、数多の羊から逃げる。羊以外に弾幕が出てこないからか、先ほどの弾幕よりはかなり簡単に見える。

 

「⋯⋯そろそろ良いかな。さぁ、私のモノになって!」

「あの、ティア? 待っ──」

 

 ティアは引き止める間も無く、急速に速度を上げて飛び始めた。そして、自分の放った羊の1匹へと近付き、その羊に()()()()()()()()()

 

「何を⋯⋯!?」

「ティアちゃん!? ⋯⋯あ、なるほどね」

 

 だが、羊に当たったティアに傷は無い。むしろ、元気が出てるようだ。発光してるように⋯⋯あれ、本当に発光してるように見えるんだけど。

 

「あはっ、いっぱい集めるよー!」

「嫌な予感がするねー。先に、潰しちゃおっか。禁忌『レーヴァテイン』。燃えちゃえ!」

 

 フランが身長に合わない程大きな炎の剣を作り出し、扱いきれてないかのように、大雑把に振ってみせる。実際は小さくすれば簡単に振れるだろうが、そうしないのは射程距離を上げるためだろうか。ともかく、じっとしていては当たるかもしれない。ここはフランに倣って、大雑把に避けよう。

 

「燃やさないでよ、もぅ。あ、ごーひきめ!」

「フラン! 私まで当たっ⋯⋯ぶなっ!?」

 

 徐々に集めていくティアに対し、フランは大雑把に剣を振りながらも的確に羊を潰していく。潰した時に現れた弾幕もかき消して。

 

「⋯⋯3分の1くらいかな。お姉ちゃんのせいで、ほとんど消えちゃった」

「悪いねー。私、手加減はしない人だから」

「いいよ。それでも充分集めれたから。じゃぁ、おねーちゃん。一緒に逝こ?」

 

 大雑把に振るわれる炎の剣を掻い潜り、フランへと近付く。そして、ある程度近付いたその瞬間、ティアの身体が更に発光して、大きな音共に爆発した。だが、煙が晴れた場所から現れたティアの身体に傷らしきものも、汚れすらも付いていない。

 

「ふ、フラン!?」

「ゴホッゴホッ、大丈夫。煙でむせただけで、被弾は避けたよ。レーヴァテインで守ったから」

「あーあ。残念。人喰『エンプーサ・ラミア』!」

 

 ティアは自分の周囲に妖夢の半霊のようなモノを出現させ、その全てをお姉さまとフランへ向かわせた。相手にある程度まで近付くと爆発して中から弾幕がばら撒かれた。2枚連続でスペルカードを避けるのは流石のお姉さまとフランでも難しいらしく、お姉さまに至っては慌てた様子で懐からスペルカードを取り出していた。

 

「早っ!? フラン、後ろに。 『レッドマジック』っ!」

 

 そうしてスペルカードを取り出したお姉さまは、即座に宣言した。更には姉らしく、フランを守るように前に立ちはだかった。宣言したスペルカードは複数の小弾に加えて大きな大弾を放つというもの。それをティアの弾幕にぶつけて相殺していく。かつて異変の時に見た、霊夢のように。しかし、お姉さまの方が若干押され気味なのか、徐々に後退してるようにも見える。

 

「お姉さま。終わり切る前にさ。あれ、やっちゃお?」

「ごめん。ちょっと待ってちょうだい。結構押されてる⋯⋯っ! ──よしフラン、いいわよ!」

「うん! 紅魔苻『ブラッディ──』」

「『──カタストロフ』!」

 

 互いの弾幕が弱まった一瞬の隙を付いて、お姉さまとフランが手を繋ぎ、スペルカードを宣言する。2人して一緒に弾幕を放ち始めた。仲が良さそうで嬉しいけどとても妬ましいし、羨ましい。

 

「多いなぁ⋯⋯」

「ティア、後ろも気を付けてください。あの大弾、どこかに当たれば破裂して弾幕密度増えます」

「あ、レナ! なんで教えるのよー」

 

 お姉さまはナイフのような弾幕を周囲にばら撒き、フランは一定間隔で大弾を放つ。大弾は壁や床に当たった瞬間に幾つもの小弾として弾けるから、鬱陶しい事この上無い。私は試しにこのスペルカードを受けると、十数秒程度で被弾した。時間が経てば経つ程、密度が濃くなって避けにくくなるのだ。

 

「レナ姉、このスペルカードは任せるね。私は、最後の1枚に賭けてみる」

「⋯⋯分かりました。1人で2人分なんて本当は大変なのですけどね。妹のためです。数回しか防げませんが⋯⋯あ、できれば耳を閉じてくださいね。聖石『リア・ファル』!」

 

 ティアが何かの準備のために少し離れたところで、スペルカードを宣言する。宣言と共に私の上空に大きなダイヤモンドが現れた。

 

「あ、やばっ」

「え、あれ何?」

 

 お姉さまは知らないから当たり前として、これを知ってるフランは顔を暗くするも弾幕を放つのを止めない。恐らくは、お姉さまの事を思っての事なのだろう。残念だけど、遊びでもお姉さまやフラン相手に勝負事で手加減するつもりは無い。

 

「よし⋯⋯叫べ!」

「っぐ、きたっ!」

 

 ダイヤモンドから小さな唸り声が聞こえ始めた。それは次第に大きな叫び声へと変わり、衝撃波のような球状の弾幕を幾つも発射する。耳を塞ぎたくなる程の大きな声にたじろぐも、私は耳を塞いで我慢して放ち続けた。お姉さまやフランも耐え凌ぎ、構わずに弾幕を放つ。

 

「ありがとう、レナ姉。──移動(ラド)。堕落『シンシスター』」

 

 ふと、視界の片隅で翼を動かすのを止め、地に落ちるティアの姿が見えた。慌てて近付こうとして落ちた先を見るも、ティアの姿は消えていた。

 

 そして、顔を上げた先に見えるお姉さまとフランの後ろに、先ほど地面に落ちたはずのティアが見えた。運良く弾幕は避けてるが、ただ落ちてるだけなのでいつ当たってもおかしくない。

 

「⋯⋯お姉ちゃん。今度こそ、当たろうね」

「え、いつの間──」

「バイバイ」

 

 フランが気付いたその時、ティアは笑顔でそう呟いた。そして、間も無くしてティアの身体が真っ白に光り始め、その場で大きく爆発し、無数の弾幕をばら撒いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あーあ。負けちゃったー!」

 

 弾幕ごっこが終わった後、フランはボロボロの服装で寝転んでいた。お姉さまも疲れ切った様子で、机にもたれかかってる。

 

「ティアちゃんズルくない? 背後に回って自爆とか、避けようないじゃん」

「ごめんね、お姉ちゃん。あまりにも当たらなかったから⋯⋯」

「ふんっ、別に良いよー。次やる時は絶対に負けないから。次はティアちゃんがボロボロになってもらうからね」

 

 しゅんとするティアに、フランは笑顔でそう返す。それにはティアも挑発と受け取ったらしく、機嫌良く頷き返した。

 

「ボロボロにって⋯⋯。フラン、目的変わってます。服、着替えます?」

「いいよ、後でで。それより早く次しようよー」

「なら早く名前書きなさい。次は私がティアを倒してみせるわ」

「ラスボスか何かですか⋯⋯」

 

 その後も何回、何十回とみんなで弾幕ごっこを繰り返した。ティア対私や、ティアとフラン対ミアとルナなど、様々な対決が行われた。途中、咲夜や美鈴も参加したりして、私達は永遠にも感じる程長い時間、楽しい一時を過ごした──

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「⋯⋯楽しかったよ。ありがとうね」

 

 そして、その日の夜。いよいよ、ティアとの別れの時間がやって来た。皆が図書館に集まり、ティアはパチュリーによって配列されたルーンの石の前に立ってた。

 

「あっちの私にもよろしくねー。それと、また会えたらいいね」

「何か困った事があったら、遠慮無く私に聞きなさいよ。世界は違えど、それくらいはするはずよ」

「うん。ありがとうね、お姉ちゃん、お姉様」

 

 みんなが別れを告げていき、最後に話し終えてないのは私だけとなる。だからなのか、ティアは最後に私の前に立ち、笑顔を向けてくれた。

 

「⋯⋯何と言ったら良いのか分からないです。一緒に居たいですが、貴女がここに居てはあちらのお姉さま達に悪いです。私があちらに行くのも、こちらのお姉さま達に悪いです」

「でも、この出会いはとても貴重で嬉しい事。忘れるなんてイヤ」

「はい、そうですね。ですので、会わなかったら良かった、なんて事は思いません。ティア、何か困った事があれば、お姉さま達に頼ってくださいね。きっと、私はそちらには居ないでしょうから」

 

 居ない者に、手助け等できない。だから、ティアにはお姉さまやフランを頼ってもらう他無い。私にできる事が無いのは悔しいが、そこは愛おしい姉と妹が居るから心配は無いだろう。

 

「⋯⋯じゃぁ、レナ姉。またね。⋯⋯あ、でもね。レナ姉によく似た人は居るよ。性格は全然違うけど。ともかく、その人に困った事があれば頼るね」

「私に⋯⋯? まぁ、その人に悪いですが、良いと思いますよ」

「⋯⋯うん。じゃぁ、ね。長くなって余計に悲しくなるのはイヤだから、そろそろ行くね。また、いつか⋯⋯tia(ティア)!」

 

 ティアは最後にそう言い残し、ルーンに触れる。そして、光と共に姿を消した────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ──Hamartia Scarlet──

 

 いつか見た夢の続き。それを見る事は全く無い。だけど──

 

「ウロー! 遊びに来たよー」

「最近よく来るわね? 何かあった?」

「うん。ウロによく似た人に、頼って良いと言われたから」

「わたしに⋯⋯? って、それわたしじゃないんじゃ意味が⋯⋯まぁ、良いや。とりあえず、そこの椅子にでも座りなさいな」

 

 ──ウロと出会う事で、その夢で見た人を思い出す事ができる。また近くに居るという感覚も味わえる。もちろん理由は分からないけど。そのお陰で、あの別れで悲しくなる事は無い。

 

 だけど⋯⋯またいつか。レナ姉達に会えると良いな────




ティアちゃんのスペカ、実は罪妹録とは別に新しく作った物です。なので、罪妹録では別のスペカが楽しめる⋯⋯という予定。今回出なかった五枚目のスペカは、後で活動報告のスペカ集にでも載せときます。


さて。これにて、特別編は終了となります。
紅転録NMの方も罪妹録終了後に再開して行こうと思いますので、その時はよろしくです。

もう少しコラボっぽいコラボ作れば良かったと今更ながら後悔中⋯⋯()
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