東方紅転録2部 ─NAMELESS MIST─ 作:百合好きなmerrick
ちなみに大阪住居の自分ですが、一応大丈夫です。また来そうで怖いですがまあ、何事もなく終わることを祈ってます。それと、地震が来てもまずは落ち着きましょう。何事もですが、慌てると正常な判断が難しくなりますから。
まあ、話を戻しまして⋯⋯では、暇な時にでもごゆっくり。
side Alice Margatroid
──アリスの家
「アリス。ここは何処だ?」
異様な左腕を持つ
「魔法の森よ。どういうわけか、貴方はここの森の入り口付近で倒れていたわ」
「魔法の森? 聞いたこともない場所だな。なるほどな、やはり俺は⋯⋯。それはそうと、どうして俺を助けたんだ? ここの連中は薄情な奴らばかりだと思っていたが」
握剌童子は納得した様子で頷き、確認するようにそう訪ねた。
その顔は険しく、何かに対しての怒りを感じる。
「同じ場所に住んでいても性格が違う人なんてたくさんいるものよ。貴方は運が悪いのか、そういう人達を見てきたようね」
「ああ、全くだ。怪我してるというのに弾幕ごっこなるものに誘われ、断っても無理矢理始めて魔力の塊を飛ばしてくる奴らや、数少ない食料品を変な理屈ですり取られた挙句、あいつら開き直りやがったからな⋯⋯」
握剌童子はどこへともぶつけることのできない怒りを無理矢理腹の中に押さえ込み、拳を強く握る。今にも爆発しそうに見えたが、その数秒後についたため息とともに、その怒りも消えたようだ。
「それはまあ⋯⋯ご愁傷さまとしか言いようがないわね。それはそうと、怪我は大丈夫なのかしら? 軽く治療はしておいたけど、さっきも言った通り呪いのようなものがあるわ。完全に治癒は難しいわよ」
「あ、ああ。そうか。治療してくれたんだったな、礼を言う。⋯⋯呪いか、なるほどな。治らない理由が分かった。正しく有無を言わせず⋯⋯か」
握剌童子はそう呟くと、異形な形をした左腕を自分の胸の上に添えるようにして軽く置いた。
「⋯⋯ここか!」
そして何かを見つけたのか、声を上げて素早く、軽く掴み取り、その何かを力強く握り締めた。
すると何かが握り潰される音ともに、黒いものが握剌童子の拳の中で弾け飛んだ。
「⋯⋯今のは?」
「呪いであろう原因だ。この世界にも能力というものがあるのだろう? 今のも同じようなものだ。俺は遍く掴み握る能力を持っている。呪いだろうが、たいていのモノはこの左腕で掴める。まあ、四肢ならどこでも掴めるがな」
「ふーん⋯⋯治療は必要かしら?」
「いや、すぐに回復するから大丈夫だ、ありがとう」
彼の使った異質な左腕をよく見れば、左手の指は猿と人間の中間のようで、指が異様に長くて親指が離れている。それは彼の足も同様で、左腕以外にも多少は人と異なる部分があるようだ。
「そう。それでどうして怪我をしていたのかしら? 話したくないのならいいけど」
「⋯⋯いや、話そう。そしてできれば協力もしてほしい。普通なら俺だけで充分だが、如何せん、ここのことをあまり知らないからな。それに、アリス、君は他と違ってまだ常識がありそうだ」
「褒め言葉として受け取るわ。協力はいいわよ。だいたいのことは、ね」
「ありがとう。しかし、もし協力してくれる場合は一つだけ言っておくことがある」
握剌童子の声は落ち着いて静かで、神妙な顔つきになる。アリスもそれに応じて握剌童子に真剣な眼差し向ける。
「恐らく⋯⋯いや確実に危険が伴う。死を覚悟する必要があるほどにな。協力しない場合でも今となっては危険があるが、協力する場合ではそれがより一層高まるはずだ。もちろん、できる限り守るが⋯⋯。それでも協力してくれるか?」
「ええ、問題ないわ。少し興味が湧いてきたから。もちろん貴方にね」
「そんな軽い気持ちで協力しない方がいいと思うが⋯⋯。本当に危険だぞ?」
「危険のレベルにもよるけど、自分の身くらい自分で守れるわ」
アリスの自信有り気な宣言に対し、握剌童子は「はぁ」とため息で返した。どうやら信用していないらしく、それは顔を見ていたアリスにもよく伝わっていた。
「こう見えても私は魔法使いよ。不満かしら?」
「不満ではないが⋯⋯。相手は強い。できる限り自衛に回ってくれ」
「分かったわ。それじゃあ、話してくれるかしら?」
「ああ⋯⋯まず初めに言っておくことがある。俺は、こことは異なる世界⋯⋯所謂異世界から来た⋯⋯と思っている」
衝撃的な握剌童子の言葉に、アリスはいつも通りの平然とした様子で聞き始めた────
side Renata Scarlet
──紅魔館(エントランス)
徐々に夜が短くなり、春が近づくことを感じさせる三月のある日。
私は宴会に呼ぶための友達を誘いに、さとり達がいる地底へ行く準備を終えて今まさに出発しようとしていた。
「レナお姉ちゃん。ボクも行きたい。いいかな?」
呪文を唱え、魔法の抜け穴から落ちようとした時、背後からフィオナに声をかけられた。それも、物を欲しがる時の子どものような可愛らしい声で。
「ダメです。貴女は狙われているのですよ? 絶対に家の中の方が安全です。それにただ宴会に誘いに行くだけですよ? 長居はしないと思います。だからこそフラン達も置いて1人で行くのですから」
「⋯⋯どうしても会いたい人がいる。お願い、今回だけでいいから」
強い気持ちを込めてそう言うと、フィオナは深く頭を下げる。
理由は分からないが、それだけ言うのなら、と思ってしまう。フィオナには私の魔法もかかっているのだし、何か危険があればすぐに反応できる。それならば、あまり過保護にせず少しくらい好きにさせた方が良いのかも⋯⋯。
「レナお姉ちゃん、いいよね?」
悩む私に、フィオナは絶対に許可を得ようと距離を詰める。まだ子どもなのに、まるで蛇に睨まれた蛙のような気分がある。それほどに威圧感が強い。
「⋯⋯はぁ、もう。いいですよ。今回だけですからね。ちなみに私はその会いたい人とは──」
「会っちゃダメ。私だけで会うことになっている。でも心配はない。きっと、いい人だから」
「むぅ⋯⋯分かりました。もし危険な目にあった場合は──」
「すぐ伝える。でも危険だったらレナお姉ちゃんは分かるよね」
こちらの考えなど全て見透かしているように、私が言うよりも早く答えていく。
この光景、若干反抗期の子どものようにも見える気が⋯⋯いや、きっと気のせいだろう。
「それに、自衛くらいはできる。ボクだって、守られてばかりはいないから」
「はぁ、初めて出会った時とは違うのですね、分かりました。⋯⋯みんな変われて⋯⋯」
「⋯⋯レナお姉ちゃん?」
「はい? どうしました?」
何を思ったのか、フィオナが不思議そうな声を出してこちらをじっと見つめる。
いつにも増して不思議なことをしているが、何かあったのだろうか。
「⋯⋯? いいえ、何でもない。早く行こう。フランやルナに見つかったらめんどくさい」
しかしそんな私の疑問は気にもせず、その表情もすぐに消え失せる。そしてそう言い残して私の作った抜け穴へと落ちていった。私もフィオナに続くように、慌てて穴の中へと落ちていく。
抜け穴の先は、いつも見る地霊殿のエントランスへと繋がっていた。フィオナの姿はすぐに見つけることができた。すぐに追いかけたというのもあるが、彼女は『誰か』に会いに行かず、その場で私を待っていたようだ。
「終わったら、またここに戻ってくるね」
「分かりました。気を付けてくださいね」
私はフィオナに別れを告げると、様々な動物のいる通路を歩きながら、さとりの部屋へと真っ直ぐ向かう。
何の通知もなく突然押しかけるのも失礼な話だが、それは忘れていたということで許してもらおう、そうしよう。ともかく、そろそろさとりの部屋だ。しっかりと確実に誘えるように頑張ろう。
「失礼しますよ」
そう言って彼女の部屋の扉を叩き、開けた。中では静かに本を読むさとりの姿があった。すぐに私が来たことに気づいたらしく、本を読みながらでもチラリと目線を私に向けると、小さくため息をついた。
「貴女ですか。せめてノックした後は返事を待ちましょう。⋯⋯勝手に入ったことを怒っているか、ですか。そうですね、せめて一言かけてほしいですね。ああ、別に謝らなくてもいいですよ」
「そうなのです? でも謝りますね。すいませんでした」
「謝るくらいならやめてくださいとあれほど⋯⋯。まあいいでしょう。それよりここに来た理由⋯⋯宴会ですか? ⋯⋯ふむ、博麗神社で行われると」
さとりと話す時、すぐに心を読む癖があるからか、ほとんどの割合でさとりが独り言をしているように見える。
実際には心の中で会話しているのだが、傍から見ればどう思われるやら⋯⋯。
「それで他の人に変な勘違いされて、私が嫌な思いをしたらどうしよう、ですか?」
「隠し事ができないです⋯⋯。まあ、正直に話すとそうですね。さとりを知らない人もいますから。宴会の時は私と一緒にいてくれれば他の人に何か思われることもないとは思いますから、来てくれませんか?」
「⋯⋯つまり、私が守るから嫌な目にはあわせない、ということでよろしいですか?」
さとりの鋭く真っ直ぐな瞳を向けられ、緊張してか胸に触れなくても心拍数が上がったことが分かる。心が読まれているということもあり、それはなお一層高まっているのだろう。
「⋯⋯はい、約束します」
だからといって、約束しない理由にはならない。忌み嫌われる能力を持っていようと、さとりは私の友達なのだから。私にとって友達を守ることくらい、当たり前のことなのだから。
「⋯⋯ふふ、そうですか。では私も行きますね。お燐やお空を連れていっても?」
「はい! もちろんいいですよ」
さとりの爽やかな笑顔に、私もつい嬉しくなって返事をする。
これがさとりも外へ遊びに行くようなきっかけになってほしい。一応は地霊殿の管理者なのだから、離れることは難しいだろうけど。
「そうですね。離れることは難しいです。できないわけではないので、たまに地底を探索したりはしますよ?」
「いえ、外というのは地底の外なわけであって⋯⋯と、そう言えばこいしは何処です? いつも通り行方不明です?」
「いつも行方不明というのもおかしいですが、そうですよ。ですから宴会のことは私から話しましょう」
さとりは最後に「会えたら」と付け足すも、そう約束してくれた。
とりあえずこれで地霊殿組は大丈夫だろう。知り合いがいないよりは、いた方が私としても楽しいしね。
そう考えながらさとりと雑談し、私はここでフィオナを待つことにした────
side Fiona
──地底(ある道の通り)
フィオナがレナと別れてから数分後のこと。
「お前は吸血鬼のところの人間⋯⋯フィリア?」
「
「多分久しぶりだ。⋯⋯どうしてここへ来た?」
フィオナは金色の長髪と赤い一本角の鬼、金熊朱童に出会っていた。
鬼は1人で来たフィオナを、不思議そうで怪しんでいるような目で見ている。
「ある人に会いに来た。名前はバティン。知らない?」
「バティン? 聞いたことない。そもそも誰それ?」
「ルシファーの使い──」
「あまり情報を漏らさないでください。あ⋯⋯フィオナ様」
誰も気付かず、まるで元々その場にいたかのようにその者はいた。身長はフィオナより背が高く160cmほどで、温そうな黒いレインコートを身にまとい、地底故に雨でもないのにフードを被っている。フードからは鮮やかな青色の髪が見え隠れし、目は紫色に染まっている。しかしそれよりも目に付くのが、コートの後ろから尻尾のような何かが見えていることだろう。それはまるで生き物のように小さく動いている。
「⋯⋯バティン?」
「はい、バティンです。証拠に蛇でも見ますか?」
「⋯⋯いいえ、何となく分かるから大丈夫」
「いつからいた? それに強そう。戦わない?」
朱童は鬼の血でも騒ぐのか、戦いにバティンを誘う。しかしバティンは手を振って断る姿勢を見せた。
「戦わないです。戦闘狂ですか貴女は。⋯⋯■■■■から話は聞いているようですね。ですが記憶はまだないと⋯⋯残念です。ルシファー様からお預かりした伝言がありますが、それはまた記憶が戻ってからにします。それと⋯⋯貴女様が吸血鬼を待たしてあることは知っています。一度出会いましたので、貴女様がお望みになればすぐにでも貴女様の元へ向かうことができますよ。それでも少し話しますか?」
「うん。お願い。今は情報が足りない。敵のこと、知ってるよね?」
フィオナの問いにバティンは「当たり前です」と返す。そして少し考えるような仕草を見せると、バティンはフィオナへと手を差し伸べる。
「話すなら場所を変えましょう。聞かれたくないです。いいですか?」
「うん。君が嘘をついていないことは分かるから、いいよ」
「あ、私も行きたい」
「お断りします。フィオナ様しか連れていけません」
バティンの言葉に不服の意を伝えようとしてか、朱童は頬を膨らます。しかしそれに対してフィオナが間に割って入る。
「ごめんなさい、言う通りにして。でも春に博麗神社で宴会があるから、その時は来てもいいよ」
「⋯⋯本当にいいと約束するか?」
「うん、約束する」
「ならいいぞ。萃香様も誘わないと⋯⋯」
そうしてその場を収めたフィオナはバティンの腕を掴み取ると、2人はその場から跡形もなく消え失せた────
次にいつ投稿できるかは分かりません。今年中はあと多くても5話が限界だと思います()
あ、もしかしたらバディンの絵を描くかもしれませんので、いつの間にか☆が付くかもしれません。というわけで注意しましょう(後書きで書くことじゃない)
2018/09/21追記
結局描きました。思ったより何故か子どもっぽくなってしまいました(
【挿絵表示】
それと5話とか言いましたが思った以上に大変なので1、2話が限界になりそうです。お楽しみにしてくださっている方々、申し訳ございません