常勝無敗のジャーナリスト Relief of the soul   作:嘯風弄月

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手掛かり

 さーて、かっこよく啖呵切ったものの… どうしたもんかねぇ… 都合良く誰がやったなんて事はわからねぇからなぁ…

 

 

 「オーケー、とりあえずお前んち行っていいか?」

 

 

 「きゅ、急だな!問題はねぇけどよ、いったいどうして?」

 

 

 「お前の姉ちゃんの事を一切知らねぇからな、そう、例えばスリーサイズとか…」

 

 

 「絶対に入れないからな!この変態野郎!」

 

 

 「なはは!ジョークだよ、ジョーク。余裕が無いといい男にはなれねぇぜ。んでだ、姉ちゃんの事を知ると言ったが、お前さんどこで働いてたか知ってんのか?」

 

 

 「それは…知らない…」

 

 

 「おう、だろうな。俺も知らねえ。だから調べるんだよ、お前んちで。振り込まれるって事は当然支払う奴がいる。それが本物であれ偽物であれ、そいつの足跡が残るわけだ」

 

 

 「まあ、そうだが…てか偽物ってどう言う事だよ」

 

 

 「人が消えるって事はよ、かなーり後ろめたい事やってる奴らだ。表向きはいい子ちゃんの企業でも、それは偽りの物。その企業はあくまで本業の為の隠れ蓑ってわけさ。むしろそんな事やってんのに、それが本物の企業で、偉い奴らが雁首揃えて仕事してるわけねえ」

 

 

 「なるほど… わかった、とりあえず案内するからついて来い」

 

 

 「おう」

 

 

 そうして歩く事20分程、ようやくこいつの家に着いた。ふむ、いたって普通のマンションだな。外観は少しボロいくらいか。ここ自体にゃ大物の影は無さそうだ。

 

 

 マンションの3階、エレベーターからもっとも遠い位置に彼の家はあった。

 

 

 「ここだ、少し汚いが入ってくれ」

 

 

 「おう、邪魔するぜ」

 

 

 部屋自体も特筆するような事はない。ありふれた家だ。

 

 

 「姉さんの部屋はこっちだ。探せば明細とか色々あるかもしれない」

 

 

 案内された部屋は女性の部屋と言うのはあまりにも寂しい部屋だった。華やかな家具は無く、壁に掛けられているスーツが目立つ。本棚、デスク、ノートパソコン。この部屋にあるのはそれくらいだ。

 

 

 「お前の姉ちゃん、すげぇ頑張ってたんだな」

 

 

 「ああ…ファッションなんかも最低限で…もっとオシャレとかしたかったんだろうな… 俺、姉さんにもっと自分を大切にして欲しかった… 悔しいけど俺に力はねえ…守る対象でしかなかったのが辛いんだ…」

 

 

 

 握り締められた拳から垂れる赤い血。それだけでお前の悔しさはわかるよ。守られてばかりってのは辛いもんな。

 

 

 「見つけてやる、だから今度はお前が守ってやれ。時間がもったいねぇからな、部屋探すぞ」

 

 

 「…ああ!」

 

 

 

 

 

 

ーーーーー

ーーー

 

 

 

 

 

時刻は十六時、手掛かりになりそうな物が見つかった。本棚の本に隠すように挟まれていた、給与明細だ

 

 

 

 「これ!姉さんの明細だ!」

 

 

「でかした!見せてみろ!」

 

 

 なるほど、明らかに貰ってる額が高いな…年齢と見合ってないレベルだ。それこそ水商売となんも変わらないぐらい。会社名は…一切聞いたことがねぇ… 杉山商会ねぇ…

 

 

 「なあ、わかるか?この会社」

 

 

 「いいや、知らねえな。ま、問題はねえよ。俺様の手にかかれば一瞬よ!どんな情報も盗み出しちまう、現代のルパンとは俺のこと!」

 

 

 「…自称?」

 

 

 「…うん」

 

 

 「そっかぁ…」

 

 

 「心配すんなってまじで。ほんのちょーっとネットの海で漁するだけだから」

 

 

 「そうは言っても…一般人じゃ閲覧出来る情報なんて限られてるだろ!」

 

 

一般人が調べられる情報はかなり限られている。出てくる情報なんてたかが知れてるだろうよ。けど当然裏技だってある。

 

 

 

 「だから問題ねえって。漁は漁でも違法な漁よ。オイシイお魚に俺ちゃん特製のハッキング爆弾を投げるだけよ」

 

 

 「…お前は大丈夫なのかよ。手貸してくれるのはありがたいが、お前自身は平気なのか?」

 

 

 優しい奴だなぁ…自分のことで手一杯だろうに…でもその心配は杞憂だ、何故なら…

 

 

 「俺は天才だからな、捕まるなんてありえねえよ」

 

 

 「無理はしないでくれよ…」

 

 

 「へへ!おう」

 

 

 彼の家を出た時刻は十六時十分、んじゃま仕事に取りかかりますかね!

 

 

 

 

 

ーーーーー

ーーー

 

 

 

 

「さて、じゃあまずどう救済するかだけど…」

 

 

 「もちろんあいつの死よ!」

 

 

 「そうだね、けど死と言っても2つある。肉体的な死か、精神的な死。君はどっちを選ぶかい?」

 

 

 「ねぇ…どっちも、そんな選択肢はないの?」

 

 

 「ふふ、欲張りさんだね君は。もちろん、その選択もある。もっとも来世の代償が高くつくけどね」

 

 

 「問題ないわ、あの男が苦しみながら死ぬならね」

 

 

 「オーケーわかったよ。さて、精神的な死なんだけども…これを見てくれるかな?」

 

 

 そう言い彼が指さしたのはモニターだった。視線を向けると同時にモニターのスイッチがオンになる。そしてその映像に映っていたものは…

 

 

 

 「浩之!と…誰かしら?」

 

 

 弟の浩之と1人の男が映っていた。

 

 

 「彼は氷室総司。そうだねぇ…敢えて言うならば、同業者…かな?」

 

 

 「氷室総司…同業者なの?え?と言う事は死人…?」

 

 

 「ん?あはは!違うよ、彼はジャーナリスト。んー、なんて言うんだろう。弱きを助けって感じでもないし…ただ言えるとしたら曲がらない信念、己のエゴを貫く男…かな?」

 

 

 「はあ…」

 

 

 「彼がこれからあの男の悪事を暴いてくれるよ」

 

 

 「えっと、通信とかしてるんですか?」

 

 

 「いいや、信頼だけさ。けど確実に彼は、君と君の弟を救ってくれる。そして精神的な、社会的な死をあの男に送ってくれるよ」

 

 

 「連絡とか取れるわけじゃないのに凄い信頼ですね…」

 

 

 「そうだね、僕は彼のことをよく知っているからさ」

 

 

 いまいち彼との関係がわからないが、復讐してくれるというなら一切構わない。いつ復讐が果たされるのか楽しみで仕方ないわ。

 

 

 

 

 

 「あ、ところでテキーラでも飲むかい?」

 

 

 「どうして!?」

 

 

 「いや、なんかこう決まりというか…バーボンハウスへようこそって感じしない?」

 

 

 「???」

 

 

 「今時の子にはわからないかぁ…」

 

 

 

 

 

 

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