【悲報】俺氏、死体に慣れる。   作:めんたんてん困難

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少し編集しました。


外出とフラグ

 俺が人質となったあの爆破予告事件から一週間が経とうとしていた。

 

 結局あの事件の最後に俺は気を失い、また目が覚めたら病院の天井だ状態だった。点滴のパックは三つに増えてたし、目が覚めたとき一番最初に目に入ったのはキレ顔の担当医の姿だった。先生曰く一日で三回も気を失う人は見たことがないとのことらしい。「俺も好きで気を失ってるわけじゃないんですけどね」って言ったら「二回も脱走したよなぁ?」と威圧的に返された。いや知ってたんかーい。

 

 んで、俺は大事をとって三日間入院する事になった。勿論酒もタバコも禁止。案の定、最初に気を失ったのはそれらの摂取のし過ぎが原因だった。口に何かを咥えてないと落ち着かないくらいに末期だった俺は医者に棒付きキャンディを勧められ、入院中はずっとそれを口に咥えていた。割といけた。

 

 勿論トラウマのせいで夜眠れない事も伝えた。そしたら点滴に睡眠作用のある薬を投与して無理やり俺を眠らせた。睡眠薬も処方された。てっきり俺は精神科とかに回されてエロいカウンセラーのお姉さんにカウンセリングしてもらうもんだとばかり思ってたんだけどそんな事は一切なかった。俺の担当医は強引というか大雑把というか適当というか……。「寝れない時は睡眠薬(コレ)を飲め。トラウマなんて直に良くなる」だそうです。ヤブ医者が! って思ってたけど睡眠薬飲んどきゃ全然寝れたんだよコレが。入院中なんて毎日十時間以上寝てた。

 

 そしてさらに入院中の三日間は主要キャラとの接触のオンパレードだった。奴らひっきりなしに俺の病室に現れてくるんだもん。初日は刑事さん達がやってきて事情聴取されたりして、次の日は博士やコナン、あと何故か毛利小五郎がお見舞いに来てくれた。最終日には安室透も来てくれたんだけどすごく距離を置かれているような気がした。確かに主要キャラである安室透本人から距離を置いてくれるなら、本来なら願ったり叶ったりなんだろうけど理由が理由だからマジで凹んだ。俺はホモじゃない。

 

 入院中嬉しかった事と言えば、それは事件に巻き込まれることが無かったことである。病室はめちゃくちゃ平和で飯を食うにも看護婦さんが運んで来てくれるから外に出ないで良かったし、欲しいものがあった時はそれを担当医に伝えれば、病院内のコンビニでそれを買って来てくれた(酒とタバコは除く)

 俺はこんなに平和な日常を過ごせた事に感激し入院期間をもっと伸ばしてもらおうと、体調を悪化させるために点滴を引っこ抜いてクーラーガンガンにつけてパンイチになっていたら担当医にガチギレされてしばかれた。結局三日で追い出されてしまった。先生、また来ますね。

 

 反対に入院中に悲しかった事と言えば、友人や知人が誰一人としてお見舞いに来てくれなかった事である。なんだかんだで棚にはたくさんのお見舞い品が有ったのだが、それらは全て原作の主要キャラ達からもらった物で、本来の俺の知人達から貰ったお見舞い品はゼロである。それに気がついた日の夜は枕を濡らしたものだ。薄情なやつらだよな本当。

 

 で、現在俺は今絶賛引きこもり生活中である。カーテンを締め切り部屋の電気を消し、目の前にはパソコンが一台。台所のシンクには洗われていない食器が山のように積まれ、ゴミ箱にはカップラーメンの空の入れ物が何個も捨ててある。畳部屋の方には通販でまとめ買いしたレトルト食品やカップ麺類の入った段ボールが山積みされている。

 

 入院中の健康的な日常も束の間、俺はまた入院する前のあのクソみたいな引きこもり生活に戻ったのだ。勿論、大学になんて行ってないしコンビニにすら行かなくなった。退院してからのこの四日間一度も外に出ていない。

 前と違うところがあるとすれば、それはタバコの量と酒の量が減り、ちゃんと飯を食うようになったところくらいである。あ、あと夜は睡眠薬を飲んでバッチリ寝ることができる。先生の言ってたようにトラウマもだんだん弱まってきて幻覚も見なくなったのでもう少しで睡眠薬を飲まなくても眠れるような気がする。

 まぁ前に比べれば随分健康的な引きこもり生活を送っているのである。もう栄養失調と睡眠不足で気を失うなんて事も無い。

 

 どうして俺がまた引きこもり生活に戻ったのかなんてそんなわかりきったことを聞くのはやめてくれ。そんなの原作の主要キャラに会いたく無いからに決まっているだろう。最近事件に巻き込まれすぎて奴らと接触しすぎた。コナンに関してはもう名前を覚えられてしまっただろう。マジで最悪だ。安室透に関しては、彼の記憶の中で俺は強烈なインパクトを残していることだろう。死にたい。

 

 ようやく遺体のトラウマも弱まって来たんだ。ここで外に出て、コナンに出会い事件に巻き込まれて新しい遺体を見てしまったら本当に立ち直れなくなる。それか一週間前の事件のように俺が標的になる可能性もあり得るのだ。あの時は奇跡的に助かって良かったが普通なら死ぬ。そんな事は絶対に回避しなくてはいけない。

 

 俺がこの世界で生き延びるには一生この家から出ない事に尽きるのだ。まあこの家に爆弾が投げ込まれたりしたら元も子もないんだけどね。その時はその時だ。

 

「本当にこの街はよく事件が起こるな……」

 

 俺は今パソコンでニュースサイトのチェック中である。口にはタバコの代わりに棒付きキャンディを咥えている。今日はもうすでに一箱分吸っているんだ。今日はもう棒付きキャンディで乗り越えなくてはならない。

 パソコンの画面には昨日の事件の事についての記事が表示されている。なんでも高級マンションの一部屋で殺人事件が起こったらしい。しかしたまたまそこに居合わせた毛利小五郎の名推理により事件は無事解決。要するにコナンの名推理が炸裂したって事だろう。逃走した犯人を小五郎の娘である毛利蘭がボッコボコにし無事逮捕に至ったらしい。よく見ると犯人、自衛隊学校卒業って書いてあるぞ。毛利蘭強すぎね? さすがKARATE使い。人間じゃねえなアイツ。

 

 因みに新聞も取っているんだけど、いかんせんこの街は事件が多すぎるので新聞だと情報が間に合わないのだ。治安悪すぎるだろ。警察は何やってんだ。しかも殺人事件が起きすぎて新聞なんかじゃ全部載り切らない。せっかく新聞取り始めたんだけどネットの方がいいね。読◯新聞には悪いけど来月からは契約解除させてもらおう。

 

 俺が適当にネットの記事を読み漁っていると、ピンポーンと家のチャイムが鳴った。はて、誰だろう。確か通販でネット注文した奴は全部届いたし、夕刊だとしても新聞配達は一々チャイム鳴らさないし……。このパターンで行くと原作の主要キャラの確率が高いな。博士とかコナンとかが様子でも見に来たのか? 悪いけど居留守を使わせてもらうぞ。もうお前らには関わりたくないんだよ。

 

 俺が完全に居留守を決め込むと決意を固め、またネットサーフィンを再開すると、何度も何度もチャイムが鳴らされた。二分程なり続けていたがようやくチャイムは鳴り止み、諦めて帰ってくれたかと一安心しただが、今度は玄関の扉からガチャガチャと音が聞こえて来た。

 

 おいおいおいおい。無理やり扉開けようとしてねえか? 原作キャラの中でピッキング技術持ってる奴いたっけか。つか毛利蘭とかが一緒にいたら蹴りとかで普通に扉破られそうなんだけど。つかバリバリ不法侵入しようとしてくんなよ! 犯罪ですよ!

 

 ガチャリ、と鍵が開く音がして玄関の扉が開けられた。マジかよピッキングかよ。扉蹴破られなくて良かった。じゃないわ。

 

 恐る恐る玄関の方を見ると、そこには俺の見慣れた女性がご立腹の表情で突っ立っていた。

 

 

 

 

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「小々波くん! どうしてチャイム鳴らしても出てくれなかったの!?」

「いや、その…………ごめん」

 

 カーテンが開け放たれ、俺の家に数日ぶりのオレンジ色の夕日が差し込む。

 

「連絡しても全然返事返してくれないし。それに何これ? 何で引きこもってるの?」

 

 そう言って目の前の女性は色んなところに散らかっているゴミを片付けていく。

 

 彼女の名前は江口美奈(えぐちみな)。俺が物心ついた時からの幼馴染で今は介護士の仕事をしている。髪型は昔からずっと変わらずの二つ結びでとても童顔。大学生時代もよく高校生に間違えられていた。未だに制服を着てもJKで通るだろう。

 因みに何かあった時のために彼女にはうちの合鍵を渡してある。だからすんなりうちに入ってこれたのだ。

 

「どれくらいこんな生活してるの?」

「四日……くらいです」

「てことは大学に行ってないの? 単位足りなくて"また"卒業できなくなっちゃうよ」

 

 俺と美奈は同い年だ。小、中学はさながら、高校も大学も一緒だった。高校では同じ仲のいいグループでよく遊んだし、大学では学部こそ違ったけど普通に仲も良く一緒にいる事も多かった。ぶっちゃけ、高校では俺は成績上位で美奈は下の方だったのに彼女が俺と同じ大学を受けると聞いた時は驚いた。けど今じゃ彼女は俺と同じ大学の介護学部をしっかり四年で卒業し立派な社会人をやっている。自分の力で稼いでちゃんとした暮らしを送っているのだ。

 しかし俺は美奈と同い年なのにまだ大学に通っている。別に大学受験の時に浪人した訳じゃない。彼女の言うように俺は単位が足りなくて留年してるのだ。

 

 小々波漣斗、二十三歳の大学五年生です(白目)

 

「留年もタダじゃないんだよ? 今はまだおばさんたちの遺産でお金に困ってないだろうけどそんな生活ダメだよ。ちゃんと大学卒業して自分で働いてお金稼がなきゃ」

「ま、前にバイトしてたし………」

 

 俺の両親は俺二十歳の時に交通事故で亡くなっている。うちの家族は親戚とは既に疎遠になっていたので、両親の遺産を使って俺は今まで一人で生きてきた。

 母親は臨床開発職で新薬の開発に携わっていて、父親は新しい薬品等の研究員だった。二人ともかなりの高学歴で俺もそんな二人が自慢だった。だから俺もめちゃくちゃ勉強を頑張り、大学もかの有名な天下の東都大学に合格した。俺も二人みたいな人の役に立つ職に就きたいと思っていた。

 

 けど両親が死んでからは両親の遺産を使って遊び呆け、大学もサボりまくり結局単位が足りなくなり卒業できずじまい。流石にまずいと思って五年になってからはちゃんと卒業できるように授業も出て勉強もしていた。けど今じゃこのザマである。

 

 どうせコナンの世界はサザエさん時空なのだからどうせ俺は何年経とうとも大学五年生を繰り返す事になるんだ。だから授業に出ようが出まいが卒業はできない。こればかりは仕方が無い。俺は悪くない。

 

「ちゃんと大学行き始めたと思ったのに……。こんなんでいいの? おばさん達もきっと悲しんでるよ」

 

 美奈の言葉がグサグサと俺の心に突き刺さる。けど今更そんなことを言われたところで俺にはどうすることもできない。外に出たらきっとコナン達(やつら)に出会ってしまう。どうしてもそれだけは勘弁してほしい。

 

「そんなことお前に言われなくても解ってるよ。けど俺外に出ると……多分……」

「多分?」

「死ぬ」

「……………何言ってんの?」

 

 そりゃそう言う反応になるよな。外に出ただけで死ぬとか普通なら考えられない。というか考えすぎだと思うだろう。けどここは普通じゃないんだ。お前だって知ってるだろ。この街でどれだけ殺人事件やテロや暴行事件が起こっているか。

 けど今までのパターンでいくとこういう認識なのって原作知識持ってる俺だけの可能性があるんだよな。

 

「はぁ。まあ百歩譲って引きこもってる理由は外に出ると死ぬからだとして、連絡しても一切返事してくれなかったのはどうしてなの?」

「連絡……?」

 

 そう言えば俺、旅館で事件に遭って以降一度も携帯を見た覚えがない。美奈に言われ一週間以上充電しっぱなしのスマホを充電器から引き抜き電源を入れる。するとメールやら電話やらの通知がすごい量溜まっていた。大学の友達からも心配な連絡が多数きている。一番多くきている連絡は美奈からのものだった。

 今思えば入院している事も誰にも言ってなかった。道理で見舞いに来ない訳だ。音信不通だったんだから。これで俺が入院しているのを知っていた奴はストーカーくらいだろう。

 

「いや、マジでごめん。全然携帯見てなかった」

 

 これは俺が悪い。すごい心配してくれたんだろう。毎日一日も欠かさず心配のメールが着ている。

 

「………まあ、無事ならそれでいいんだよ」

 

 素直に頭を下げ謝罪をすると美奈は思っていたより簡単に許してくれた。怒って口利いてくれなくなると思ったんだけどな。

 まあ無事かどうかは判断しかねるけどな。入院したり事件に巻き込まれたり人質になったりした事は黙っておこう。バレてはいけない気がすると俺の勘がそう告げている。

 

「ていうかお前、今日仕事は?」

「今日は午前中で上がらせてもらったんだよ。誰かさんがあんまりにも連絡つかないから」

「すんません」

 

 仕事を休んでまで俺のことを探そうとしてくれていたのか。いい奴だな美奈。

 

「取り敢えず夕飯の買い物しにいこっか。どーせ冷蔵庫の中も空なんでしょ?」

「え、買って来てくれんの?」

 

 至れり尽くせりって感じでなんか悪い気がする。流石介護士ってところか。俺は彼女の中で介護対象の一人なのかな。

 

「何言ってんの。一緒に行くんだよ。たまには外に出ないと」

「ゑ?」

 

 

 

 

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「あと挽き肉と……コショウだね」

「なあ一週間分買い溜めしねぇ?」

 

 四日ぶりの外出は美奈とスーパーマーケットでのデートでした。

 家から徒歩十五分程でつく割と大きなスーパーマーケット。引きこもりじゃない頃はよくここで食材やら日用品やらを買っていた。駐車場も広く、夕方になるといつも主婦や家族連れのお客でいっぱいになっていた。

 

 半分以上無理やり外に連れ出され渋々スーパーまで夕飯の材料を買い物に来た訳なんだが、内心怖くてしょうがない。アイツらの接近にいち早く気がつけるように周りをめちゃくちゃ警戒しながら歩いてたら美奈にキモいと言われた。辛辣すぎワロタ。こっちは命かかっとんのじゃ。

 

「買い溜めなんてしたら食材尽きるまで外に出なくなるでしょ?」

 

 よくわかっていらっしゃる。まあどうせ今日一日分しか食材買わなくても家にたくさんレトルト食品があるから外に出ることはないんだけどね。美奈には悪いけど引きこもり生活を辞めるつもりはない。

 

「でもどうせ食材が尽きたら家にたくさんあったレトルト食品食べればいいやとか思ってるんでしょ?」

「そ、そんなこと思ってねーし?」

 

 なんだよこいつエスパーかよ。俺の心の中読むのやめてくれよ。

 俺がカートを押し美奈が商品棚から目当てのものを持ってくる。今日の夕飯のメニューはハンバーグだ。帰ったらわざわざ彼女が作ってくれるらしい。やったね。

 

「これからは小々波くんの大学がある日は毎朝迎えに行くからね。ちゃんとチャイム一回で出て来てよ?」

 

 半額シールの貼られた挽き肉を買い物かごに入れ美奈はそんなことを言って来た。どうにかして俺を引きこもり生活から脱却させたいらしい。

 

「いやお前も仕事あんだろ? 流石に毎朝来てもらうのは悪いからいいよ」

 

 ビールのつまみ用にさりげなくスモークチーズと生ハムを買い物かごに突っ込み、美奈の提案にやんわりと断りをいれる。外に出るのは今日だけで十分だ。

 

「そんなこと言って引きこもり生活続けたいだけでしょ? 迎えに行った後ちゃんと大学までついて行くからね」

 

 なんてこった。そこまでして俺を大学に通わせたいのか。たしかに友人が引きこもりのダメ人間なんかに陥ったら真っ当な人間の道に導き直すのが普通なのかもしれない。けど俺の場合引きこもりの理由が少し特殊だからな……。時間が解決してくれる系じゃないし。

 

 一応今日の夕飯の分の食材は全部カゴに入れ終わった。後は日用品で家に足りなかったものを少々とデザート用にアイスでも買おうかな。

 日用品売り場までたわいのない話をしながら並んで歩く。なんだかこの光景側から見れば新婚夫婦みたいだなと冗談で言ったらぶん殴られた。何故。

 

「あ、ごめん。私ちょっとお手洗い行ってくるね。その間にトイレットペーパーとか入れといてね」

「あーわかった。そこら辺で待ってる」

 

 彼女にに言われた通りトイレットペーパーをカゴの中に突っ込み、適当にブラブラと日用品売り場を物色する。

 

 俺が思っている以上に美奈は俺の事を心配してくれているのがわかった。俺が引きこもってる理由を美奈に打ち明けるべきかかなり迷う。俺がこの世界について知っている事やコナンたちの事も全てなにもかも話してしまった方が楽な気もする。彼女が事件に巻き込まれる可能性もあるのだ。それは俺自身が事件に巻き込まれるより嫌だ。もう二人でどっか遠くに逃げてしまおうか。

 

「コナンくん、今日の夕飯何がいい?」

「ぼくオムライスが食べたい!」

 

 ふと後ろの方からそんな声が聞こえて来てハッとした。まさかやっぱり奴らも来てたのか!? 某バーロー系小学生探偵とモノブロスヘッドの殺人空手使い。

 なんで俺が外出する度にその先々で現れるんだよクソが! だから外出なんてしたくないんだよ。俺が引きこもりなのお前らのせいだからね? そこら辺自覚ある?

 つかどういう気持ちで外出歩いてんだコラ。もうそろそろ自分たちが外に出ると事件が起こるってことに気がつけよ。無駄に難解なトリックのネタとかにはすぐ気がつくのに何でそういうのには気がつかないんだよ。

 

 というわけで奴らをいち早く感知した俺は例の如くその場から逃げ出した。カートをその場に置きっぱにしてとりあえずアイツらがいない方に走り出す。

 

 美奈を連れてとっととこの場から出よう。最悪アイツらが帰るまで何処かに隠れてればいいか。

 

「え、小々波くんカートは?」

「そんなのはどうでもいい。ちょっとこっち来い。隠れるぞ」

 

 ちょうど女子トイレから出てきた美奈の手を取り、取り敢えず俺は商品の在庫がたくさん眠る、従業員専用の倉庫までやってきた。

 

「ちょっとまって小々波くん! 急にどうしたの!?」

「あそこにいるままだと事件に巻き込まれるんだよ。だから少しの間ここに隠れて奴らが居なくなるのを待たないと」

「奴ら? 事件? 何を言ってるの?」

 

 美奈は訳がわからないと言った顔で俺を見つめる。そりゃそうだ。何も詳しい事を話さずにこんな所まで来て隠れようだなんて怪しいどころか頭がおかしいと思われても仕方がない。

 けどこの状況でまたコナン達のいる売り場まで戻ると美奈まで危険にさらされる可能性もあるのだ。

 

 しかし俺はこの倉庫に美奈を連れて来た事をとても後悔した。

 

「え、あ、あれって……………」

 

 美奈は俺の後ろの"ナニカ"を見て顔を青ざめる。

 

 そんな、嘘だろ。彼女の表情を見て俺は大体何を目撃したのかが想像できた。しかしその信じがたい事実に俺の胸には激しい後悔が押し寄せる。

 

 やはり無理やりにでもスーパーに来るべきではなかったのだ。あそこで断っておけばこんなことにはならなかった。俺が出かければこうなることになるなんてわかりきってた筈なのに。

 

「きゃあああああああ!」

 

 彼女の悲鳴とともに後ろを振り返って見れば、そこにはここの店員と思われる女性が天井から垂れるヒモに首を吊って死んでいる姿があった。

 

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