【悲報】俺氏、死体に慣れる。 作:めんたんてん困難
いちにちめ!①
現在時刻は朝の10時30分。二限から授業を取っているのであと二十分後には大学の講義室にいなくてはならない。この家から大学までバイクで十五分程時間を要するのでそろそろ出発しないと遅刻する。しかし俺は未だに開ききっていない眠気まなこを擦りながら、新聞片手に本日一本目となるタバコを優雅に吹かしていた。
『スピード解決! 新たに大学生探偵の登場か!?』
今日の朝刊には堂々と一面に昨日の事件のことについて記載されていた。写真には俺の顔もバッチリ写っている。未成年じゃないからってなんでもありかよ。
自然とため息が漏れる。
新聞の見出しにもなっているこの大学生探偵とは俺の事だ。昨日の首吊り自殺に見せかけた殺人事件は無事に解決されたらしい。それも俺の手によって。
『らしい』と言うのは、そもそも俺にその時の記憶が一切無いからである。なんてったって昨日は得意の気絶(強制)で現場から離脱した筈だったのだ。しかし目が覚めてみれば、周りから拍手喝采歓声の嵐。目暮警部からは感謝され、美奈からは信じられないものを見るような目を向けられた。
—————まあ、原因はわかってるんですけどね!?
年齢詐称なんちゃって小学生に腕時計型麻酔銃で眠らされ、俺の意思とは関係なくアイツのパペット人形にされたのだ。
意識だけは現場から離脱したけど体だけは残ってましたってな。
ぶっちゃけ自分では何もしてないのにここまで持ち上げられるとなんだかむず痒い。よくもまあ毛利小五郎や鈴木園子、あとあの山村? って警部もさぞ自分の手柄のように堂々としていられるなと思う。
確かに自殺でないことはわかっていたが、それはこの世界がコナンワールドだからだって理由からだし、俺が昨日やったことといえば、死体見てゲロって自分の情けなさに涙してコナンに眠らされただけだ。それがどうして次の日の朝には一躍有名人にならなくてはならないのか。
色々と考えたいことがありすぎてまとまらない。とりあえず落ち着こう。
箱から二本目のタバコを取り出し火をつけた。
新聞を床に放り投げ、テレビをつける。昨日東都スタジアムで行われたビッグ大阪対東京スピリッツの試合結果が気になるのでチャンネルをニュース番組に変えた。
沖野ヨーコちゃんの特集が終わり、画面が切り替わり美人なニュースキャスターが次のニュースを読み上げる。
『昨夜の怪事件、見事に大学生探偵の活躍により—————プツッ』
切った。
すると今度は携帯電話が震えた。画面を見るとそこには『大学生探偵登場!?他三件のニュース』というY◯hoo!ニュースからの通知や友達からの『お前ニュースに出てるぞ!』や『いつから探偵始めたんだよwww』などと言ったメールが着ていた。
取り敢えず携帯の電源も切った。
「………………………………………」
うむ。これは非常にまずい。なんというかこう、まずい。
まさかここまでメディアに露出する羽目になるとは思わなかった。すっかり現代の情報拡散力を舐めていた。これでは軽い有名人ではないか。
何が目指せモブキャラ人生じゃ。コナンワールドに巻き込まれたことを自覚してから早数週間であっけなく崩れ去ってるじゃねえか。え? まだ望みはある? コナンのパペット人形になってそれ以降一度も出てこなくなったキャラがいましたか? いませんよねぇ。これはもうそういうことですよ。
あ、でもこれで準レギュラー以上入り確定したからもう死ぬ心配は無いかな! やったね!(ヤケクソ)
しかし、こうも有名になってしまうと事件に巻き込まれる可能性以外にも心配な事がある。
言わずもがな、黒の組織だ。
死なないために準レギュラー以上を維持する為、俺がコナン達に関わらなくてはいけないのはもうこの先決定している。しかし俺みたいな能無しがコナン達に関わって彼等のメリットになることと言えば奴のパペット人形になり続ける事のみだ。自分の力で推理したりKARATEが使えたりあらゆる方面に人脈があったり強い権力を有していたりすれば話は別だが、案の定俺には割と高学歴な事以外取り柄がない。高学歴っつっても留年してるんだけども。
話を戻そう。
俺が死なないために原作キャラに関わると、どうしても今回のように有名になっていってしまうのだ。怪事件を解決するのが一、二回程度ならまだしも、コナンのことだからその程度では終わらせてくれないだろう。
そうなると黒の組織の奴らに俺の存在が目に止まる。もしも何かしらの事件に奴らが関わっていた時、意図せず
今回の件でわかるように『名探偵コナン』のストーリーの中に俺という
一応は死なない事が確定した代わりに毎日のように事件に巻き込まれる事が確定しました。本当にありがとうございます。
しかも確定してるのは"死なない"って事だけで怪我をしないとは言ってないんだよなぁ。死にそうになったりはするんだろうなぁ。痛いのやだなぁ。
それに今になって気がついたのだが、なんだか死体に対する耐性が少し上がったような気がする。死体を見た直後の夜、睡眠薬を飲んだとはいえぐっすり眠れたし、昨日の出来事を振り返っている今もそんなに気持ち悪くはならない。
これが慣れという奴なのだろうか。こうして毎日のように殺害された遺体を見続けるといずれは何も思わなくなってしまうのだろうか。死体を見てまず最初に「またかよ」とか思うようになったら末期なんだろうなぁ。辛い思いや苦労しといてなんだけど、これからも死体を見たら二、三日引きずるような純粋な心を持っていたいと思い始めた。
尚、死体に慣れないと俺のSAN値がヤバいことになる。
今後の俺の境遇に軽く絶望していると、ふいに家のインターフォンが鳴り響いた。時計を見てみれば長い針が既に8を回っていた。
まずい。遅刻だ。というか美奈の奴本当に迎えに来たよ。
でも、今日も大学行かなくていいかな。どうせ二限の授業は遅刻だし外に出たらどうせ面倒なことに巻き込まれるし。確かに原作に関わっていこうとは決めたけどそこまで積極的に関わる必要もないだろう。昨日の今日で事件に巻き込まれるのはごめんだ。三日に一回くらいのペースでいいわ。いやそれでも多いな。
まだ起きてない
まだチャイムは鳴り続けている。
そういえば昨日美奈には散々迷惑を掛けたな。不可抗力とはいえ俺のせいで死体の第一発見者にしてしまったし訳の分からん狂言に付き合わせたり。あんなに俺の事を心配してくれてたし。
なんだかそう考えるとこのまま大学に行かないのも気が引けて来た。確かに一方的にとはいえ今日は大学に行くと約束したんだ。それくらい守らないといい加減愛想を尽かされるかもしれん。事件の一つや二つに巻き込まれるのがなんだ。そんなもん俺の力(違う)でいくらでも解決すりゃあいい。
そうと決まれば、急いで着替えを済ませ、携帯と財布、ノートと筆記用具をリュックに詰め込む。
未だに鳴り響くチャイム音に「はいはい今行きますよー」と零し玄関のドアに手をかけた。
しかしここで俺は何か違和感を感じた。ドアの鍵を開けるのを中断する。
確か美奈は合鍵を持ってるはずだ。俺が家の中にいることはわかりきってる筈で一、二回のチャイムで出て来なければ鍵を開けて入ってくる筈だ。なのにどうして五分間も律儀にチャイムを押し続けているのだろう。鍵でもなくしたのか? まさか、あのしっかりしている美奈が?
すると今度は玄関の扉のちょうど対面、リビングの窓ガラスをドンドン叩く音が聞こえて来た。そっちは庭になってて侵入しようとすればいくらでも侵入できるが、泥棒でも入ったのか? けど泥棒ならわざわざガラスをドンドン叩くとは思えないし……。えぇ、まさかお化けとか? 昨日の遺体の亡霊とかだったり……。やめてくれ。
取り敢えず鳴り続けるチャイム音を放置し、俺は怖いもの見たさでリビングに向かい、締め切ったカーテンの隙間からこっそりガラスの外を確認する。
「……………なにやってんの」
ドンドンと窓ガラスを叩く亡霊の正体は、何故か焦った表情を浮かべている美奈だった。
鍵を開けて窓を開けてやると美奈は靴を脱いで手に持ち俺に詰め寄った。
「なんで電話でないの!?」
「いや、電源切ってて………」
なんでこんな事をやっていたのか彼女に問いただす前に俺が問いただされてしまった。
「いやそんな事より、今大変なことになってるよ!?」
「大変なこと?」
そこで俺はまた違和感を感じた。美奈は目の前にいる。なら今もなお続いているチャイムを鳴らしているのは誰だ? というかなんで美奈はわざわざ庭から入ってきて………。大変なことになってる——?
「—————ってまさか」
俺は急いで玄関に向かいドアについているのぞき穴から玄関の外を見る。するとそこには案の定というかなんというか、多くの取材班やテレビ局の人々、ニュースで見たことのあるキャスター達でごった返していた。
「どうしよう小々波くん!?」
後ろでは美奈が心配そうな表情を浮かべている。どうしようってそりゃあもう。
「逃げるぞ」
俺は靴箱の上に置いてあるバイクの鍵を取り、美奈の手を引いて彼女が入って来た窓から外に出た。玄関先で待機している報道陣にバレないようにガレージの中に入りこむ。
「これ被れ」
フルフェイスヘルメットを一つ美奈に渡して、俺は長年乗り続けた愛車に跨り鍵を差し込む。
「乗ったよ!」
美奈が乗ったのを確認してからエンジンをかける。
「いたぞ! 小々波漣斗だ!」
報道陣の中の誰かが俺を見つけて叫び声をあげ、彼らの視線が一斉に俺達の方へ集まる。
「逃げられるぞ!」
「車を用意しろ!」
まるで犯人を追いかける警察のような台詞を吐きながら報道陣は各々行動に移る。
「しっかり掴まってろよ!」
地面から足を離し、フルスロットルでガレージから飛び出した。
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俺のドライビングテクニックに流石の報道陣もかなわなかったらしい。今じゃそれらしき人影や車の姿は見えない。伊達に趣味でツーリングはやってない。
「ごめんね、わざわざ送ってもらっちゃって」
「いやいやいや。謝るのは俺の方だよ」
報道陣とのカーチェイス(?)に見事勝利した俺は今、美奈を職場に送り届けたところだ。
それにしても、こんな面倒な事に巻き込んでしまってますます美奈には頭が上がらない。しかも最初に玄関先でなにが起こっていたのかを見ていたのだから、こんな行動をすれば自分も面倒な事な巻き込まれるとわかっていた筈なのに、それでもわざわざ俺のためにこうして危険を知らせてくれた。
こんなダメ人間な俺のために。ホント、なんていい奴なんだろう。あれ、目から汗が。
「マジで助かったよ。ありがとな」
「気にしないで。………なんか凄いことにまきこまれちゃってるね」
まさかもう住所まで割れてるとはなぁ。てことは大学もばれてるだろうなあ。
恐ろしいったらありゃしねえ。
「このまま大学に行くの?」
「いや、自宅の住所が割れてるからどうせ大学付近にも張り込まれてるだろうからな。今日は……今日"も"大学休んでどこかに身を隠しとくよ」
「そっか。そうだね」
流石にこの状況で大学に行けとは言わないか。
「あのさ、事情を話してうちの職場の休憩室で隠れてても———」
「いや、さっきはヘルメット被ってたから顔は割れてないだろうけど、あんまり俺と一緒にいるところ見られると美奈も面倒事に巻き込まれるかもしれないからな。それはすっごいありがたいけどこれ以上美奈に迷惑かけるわけにはいかないよ」
職場の同僚が俺を見て情報をリークしないとも限らないし。
「じゃ、仕事頑張って。ホントに今日はありがとね」
「うん……………」
すごく不安そうな目で俺を見る美奈。ホントにこいつはいつまでも優しいなぁ。
このままこの場に居続けると報道陣に追いつかれるかもしれないので、俺はヘルメットを被り直しバイクに跨る。
「また連絡する」
それだけ言い、俺はバイクのエンジンをかける。
「小々波くん!」
発車しようとした時、美奈が後ろからエンジン音にも負けない声で俺を呼び止めた。
「事が
俺は無言で頷き、スロットルを回してエンジン音を響かせながらバイクを発車させた。
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毛利探偵事務所。
俺の目の前の建物の二階のガラス窓にそう書いてある。
まさか俺がこんな場所にくる羽目になるとは。ついこの前まで漫画やアニメの中でしか見た事がなかったあの毛利探偵事務所が俺の目と鼻の先にあるのだ。なんともまあ感慨深いものである。
感傷に浸るのも程々に、俺はバイクを通行人の邪魔にならないところに止め、階段を上る。
「………………え?」
階段を上った先、探偵事務所に続くドアには一つの張り紙が貼ってあった。
『本日から三日ほど家族旅行の為事務所はお休みといたします』
はぁ!? 三度見くらいした後目をよーく擦って見直して見たが見間違いではなかったらしく同じ文面が目に入るだけだ。
なんでこう肝心な時に限って居ないんだよ! いつもは願ってもないのに俺の前に現れる癖に! 毛利小五郎もしくはコナンならこの状況どうにかしてくれると思ったのに!
俺はその場に膝から崩れ落ちた。
———いや、待てよ? コナン達がどっかに行ってる三日間なら少なくとも事件に巻き込まれることはないのでは? だってあいつらの旅行先で事件が起こるのは確定してるわけなんだし。これは久し振りに平穏な三日間を過ごせるんじゃないのか!? 旅行先でコナン達に出会っちゃう人々には申し訳ないが、俺の平穏な日常のための犠牲になってください。
思いがけない出来事に若干ハイテンションになりつつも、ハッと我に帰る。
今はそれどころじゃ無いのだ。どうにかして身を隠せる場所を探さないと……。阿笠博士の家に押しかけるか? でもまた家の近くに戻るのは危険な気がする。
「どうするか…………」
警察に追い詰められた逃走中の犯人の心情がわかった気がする。いや、できれば一生わかりたくは無いのだが。
唸りながら階段を降り、路駐しておいたバイクの元へ足を運んでいる時、とある建物が俺の目に入った。
「喫茶ポアロ………」
そこは毛利探偵事務所の一階で経営している喫茶店。店員の榎本梓と降谷れ……安室透がバイトしているあの喫茶店だ。
『Open11:30〜』という看板が扉に下げてある。現在の時刻は11時ちょい過ぎ。まだ店の準備をしている榎本梓の姿がガラス越しに見える。安室透の姿はまだない。
安室透なら事情を説明すればワンチャン助けてくれると思ったんだが、今日はシフトが入ってないのか? それとも時間ギリギリに来るタイプの人間なのか、はたまた得意のバックレか。
流石に榎本梓に初対面で匿ってくれとは頼めないので安室透が来るのを期待して少し待つか—————。
「あの、うちの店になにかご用ですか?」
ボーッと鏡に映るフルフェイスのヘルメットを被った自分の姿を眺めながら考えを巡らせていたため全然気がつかなかった。
声をかけられた方を向くと若干警戒しながらも優しそうな笑顔を浮かべている榎本梓の姿があった。
とりあえずヘルメットを取り俺も笑顔を作る。
「あーいえ、すいません怪しいものではないです。ただ、ちょっと安室透に……さんにお会いしたくて……」
「あら、貴方……安室さんのお知り合いの方でしたか」
「まぁ、はい。えーと、安室と……さんは今日ここに来ます?」
「一応シフトは11時30分からになってますよ?」
なんと。奇跡的に安室透は今日シフトが入っていたらしい。
というか榎本梓は俺の顔を見てなんとも思うところがないのか、至って普通の反応だ。ていうか俺が思っている以上に世間には俺の存在がまだ知れ渡ってないのか?
しかし、周りがだんだんと騒がしくなってきたのを感じその希望を即捨てた。
「あれ、今朝のニュースの……」
「え、本物?」
「ちょっとタイプかも」
「写真撮っちまおうかな」
やばい。まずい。つか最後の奴、盗撮は立派な犯罪ですよ。いやそんな事言ってる場合ではない。SNSにでも書き込まれてみろ。すぐに報道陣が飛んで来る。
急に周りを気にし出しソワソワし始めた俺を見て何かを察したのか、榎本梓は、
「あの、安室さんちゃんと来るかわかりませんけど、一応中で待ちます?」
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「テレビでお名前を拝見した時から思ってたんですけど、やっぱり貴方が安室さんのことを好きな………」
「いやそれ誤解ですから!」
喫茶店ポアロ。入り口の扉にはcloseと書かれた看板が下げられ、店のシャッターは全て下ろされている。
出されたコーヒーを飲みながら、俺はカウンターを挟んで向かいに座る榎本さんと会話に花を咲かせていた。
「別に隠さなくても良いんですよ? 私応援します!」
「だから違いますって!」
安室の野郎俺のある事ない事榎本さんに喋ったらしく今はこうして誤解を解いている。
榎本さんは最初俺の顔を見て直ぐに今話題の大学生探偵の人だと判ったらしいが、普通に接してくれて事情を察してくれて普通に匿ってくれた。
確か俺と同い年な筈なのにやけにしっかりしている。これが留年して未だに大学生やってる奴と社会に出た人との違いなのか……。いや、俺が年齢の割にちゃらんぽらんなだけかもしれないが。
「あれ、もう11時30分過ぎてるのに安室さん来ませんね……」
「すいません、俺のせいで店閉めっぱなしにしてしまって」
安室透が時間通りにやって来ないのは良くあることのようで榎本さんも特に心配はしていない。アイツ、バイトはしっかり時間通りに来ないとダメだろ。まあ公安の仕事とか組織のスパイとかで忙しいんだろうけども。
「あれ、今日って店やってませんでしたっけ?」
すると丁度ガチャリ、と店の扉が開けられ、長身褐色肌のイケメンが入ってきた。
「あ、安室さん。今日はしっかり来てくれたんですね!」
「すいません遅れてしまって……」
申し訳なさそうに榎本さんに頭を下げる安室。しかし店でくつろぐ俺の姿を見るなり形容しがたい表情を浮かべる。
「あ、梓さん? なんでこの人店にいるんですか!? まさかここで雇うんですか!?」
「あ、この人安室さんに用があったみたいで。外で待ってもらうのも悪いかなと思ったので………ダメでした?」
ちょ、榎本さんわかっててやってるでしょ。つか安室よ、取り乱しすぎだろ。流石にそこまでアレだと俺泣くぞ?
つか俺も梓さんって呼びたい。
「えーと、あの、安室さん」
「は、はい……?」
物理的にも心情的にもめちゃくちゃ距離を開けられながら、安室は俺に対して警戒心むき出しだ。
———泣いて良いかな? じゃなくて。
ゴホン、と俺はわざとらしく咳払いをして続ける。
「俺を、助けてください」
「…………は?」
パシャリ。予想外な出来事に随分間抜けな面を晒した安室を見事に写真に収めた榎本さんは、ものすごくご満悦な表情を浮かべていた。