八幡は魔法科高校ではぼっちでは居られない 作:sinobun
エリカを救出した八幡は、ある程度離れた場所まで来るとエリカを地面に降した。
「ちょっと八幡、何て事すんのよ。」
エリカを見ると顔を真っ赤にしていた。
「すまなかった。緊急事態だったからちょっと強引に魔法を使っちまった。」
「そっちじゃないわよ。・・・お姫様抱っこなんて初めてされたわよ・・。」ボソボソ
八幡が謝っている理由とエリカが怒っている理由は食い違っていた。
「その・・なんだ。非常に言いずらいんだが・・・。」
「なによ?まだ何かあるの?」
「さっきの騒ぎで胸元が大変な事になってるんだが・・。」
八幡は目を逸らしながらエリカにそう言う。
実はさきほど掴まれたり引っ張られたりしていたせいで、エリカの制服はネクタイも緩みその胸元が大きく開いてしまっていた。そのせいで少しではあるが下着も見えてしまっている。
「きゃー!」
エリカは自分の状態にやっと気が付き後ろを向いて急いで制服を直す。
そして振り返りジト目で八幡に言う。
「見たわよね?」
「・・・ああ。見えてしまったな。白の・・。」
「あーあ-!うるさい!それ以上言ったら深雪に言うわよ!」
「うっ、それだけは勘弁してくれ。すまなかった。」
「まぁ助けてくれたし今回はケーキで勘弁してあげる。これでケーキ二個よ。」
「わかったよ。それにしても意外だったな。」
「何がよ?」
「エリカもやっぱり女の子なんだな。さっきの驚いてる時とか、今恥ずかしがってた時の姿が可愛かったぞ。」
「な、な、なななな何言ってるのよ。あ、あんたのそれ絶対わざとでしょ?可愛いってなによ・・」
エリカはまた顔を真っ赤にしていたが今度はどこか嬉しそうだった。
エリカが落ち着いてから二人がクラブの見学を再開すると、また知り合いが強引な勧誘を受けている場に遭遇した。
「ちょ、ちょっと離して下さい。」
「強引過ぎる。」
「いい加減にして貰えるかしら?」
「ほののんを離すし!」
ほのか、雫、雪乃、結衣の四人だった。
それを見た八幡はエリカに
「ほののん?」
エリカは微妙な顔で
「私はえりりんみたいよ」
「・・・そうか。」
二人が揃って何ともいえない気持ちになっていると、騒ぎを聞きつけたのかその場に風紀委員長の摩利がやって来た。
「おいっ、お前ら!強引な勧誘は禁止だと・・・って、何でアンタらがいるんだ。」
摩利にそう言われたほのか達を勧誘していた二人の女子は
「ちっ、摩利か。」
「久しぶりだな摩利。」
どうやらその後の三人の会話を聞いていると、その二人は今四人が勧誘を受けているバイアスロン部のOGの様で、摩利とも知り合いの様だ。
「とりあえず逃げるぞ。」
「そうね。この子も連れていきましょう」
「おい、待て!」
そう言って二人は摩利の制止も無視してほのかを抱えて逃げようとする。
さすがに見過ごせないと思った八幡は今度もほのかを助けようとするが
「ちょっと八幡。一応聞くけどまさかほのかまでお姫様抱っこなんてしないわよね?」
図星だった八幡は
「あっ、あたりみぇーだりょーが。」
思い切り噛んでエリカにジト目で見られながも八幡はほのかを助けるため魔法を発動する。
するとほのかを含めた三人の体が空中にふわふわ浮き出した。
逃げようとしていた所に魔法を受けた二人は驚く。
「なっ、なんだよこれ!」
「摩利の魔法か?」
摩利も身に覚えがないので辺りを見回すと、八幡が三人に向けて手をかざしている事に気が付いた。
「八幡・・これは君の魔法か。いやそれより、この前もそうだったが君はCADを使わずに魔法を発動できるのか?」
それを聞いたエリカや、八幡に気が付いた雫、雪乃、結衣も興味があるようで
「そう言えば八幡。さっき私を助けてくれた時もCADを持っていなかったわよね?」
「そうなの八幡?」
雪乃と結衣はどこか空気を読んでいるのか八幡に直接聞く事はしないが興味深々の様だ。
(まぁいずれバレる事だししょうがないな。)
「ええ、そうですよ。俺はCADを必要としません。」
「何だと。そんな事が・・・」
「皆勘違いしがちですが、CADとは魔法師を補助する道具であってそれがなければ魔法を発動できないと言うわけではありませんよね?」
「それはそうかもしれないが・・・CADを持たない魔法師など聞いたこともないぞ。」
次に雫が
「八幡はCADがあっても無くても魔法の発動速度は変わらないの?」
「そうだな、むしろ操作する分遅くなるかもな。」
五人が信じられないという顔で八幡を見ていると
「あの~八幡さん?そろそろ降ろして頂いても良いですか?」
「そーだそーだ!」
「もう逃げないから早く降ろしてくれ。」
魔法で浮かされていた三人がそう言った。
八幡は三人の元まで行ってから魔法の発動を停止した。
すると急に浮力がなくなった二人は尻もちをつき、ほのかだけはやっぱり八幡がお姫様抱っこで受け止めたが、今度は直ぐに降ろした。
「お姫様抱っこ・・・初めて・・・」
「イタタタタタ~。」
「イッターーーイ。」
ほのかはブツブツ言い、他の二人はお尻を撫でる。
「まだ八幡には聞きたい事もあるがそれは後回しだな。二人とも付いて来てもらうぞ。」
「う~、わかったよ。」
「酷い目にあった。」
そう言って摩利は二人を連れこの場から去って行った。
「さて、まだ聞きたい事もあるかもしれないが今日はこの辺で勘弁してくれないか?」
そう言われた雫達も何かを感じとったのか
「うん、わかった。」
「そうね。あなたがそう言うのならそうする他ないわね。」
「とにかくヒッキーが凄いのはわかったから私は満足だよ!」
「お姫様抱っこ・・・お姫様抱っこ・・・。」
ほのかはまだ言っていた。
「ちょっと八幡。結局ほのかにもしたじゃないのよ。」
「あの二人は別に良いがほのかを落とすわけには行かないだろ?」
「うっ、それもそーね。まぁ今回は許してあげるわ。」
「それよりお前ら四人はなんで一緒に居たんだ?」
「私がほのかとバイアスロン部に行こうと思ったら途中で雪乃と結衣にあったの。」
「私と結衣さんもバイアスロン部を見てみようと思って向かっていたのよ。」
「そしたらさっきの二人が現われてこっちの話も聞かずに引っ張って行こうとした。」
「なるほどな。四人とも元々バイアスロン部に行くつもりだったのか。結局あの二人がよけいな事をしてただけなんだな。」
「うん。そういう事。」
その後四人はバイアスロン部へ、八幡はエリカが見たいと言うので第二小体育館(通称闘技場)へと行くことにした。
二人が闘技場に着くと中ではちょっとした問題が発生していた。
エリカの話では剣道部の壬生紗耶香という女子と剣術部の桐原武明という男子がなにやら言い争ったあとに勝負を始める所だった。
勝負は紗耶香が勝ったと思われたが、桐原が何かを言った後にいきなり魔法を発動した。
(あれは高周波ブレードか)
「ちょっと、危ない!」
八幡が桐原の魔法を分析していると、紗耶香に向って高周波ブレードで切りかかる桐原を見てエリカがそう叫ぶ。
「大丈夫だエリカ。」
「えっ?大丈夫って一体・・・。」
エリカが八幡の言葉に疑問を感じていると急に酔ったような気持ち悪さを感じた。
それは周りに居た観客も同じだった様だ。
気持ち悪さは直ぐに治り、エリカが次に見たのは桐原を床に組み伏せている達也の姿だった。
「えっ?達也君?」
「達也は風紀委員だからな。見回りでたまたまここに居たんだろう。」
様子を見ていると二人の試合を見ていた剣術部の生徒十数名が、桐原だけが罰せられる事に納得できずに達也に襲い掛かろうとしていた。
「ちょっと、助けたほうが良くない?あの人数はヤバいんじゃないの?」
「達也ならあの程度の人数大丈夫だぞ。」
エリカが八幡の言葉に半信半疑でいると、確かに八幡の言った通り達也は相手に掠らせもしないで攻撃を避けていた。そして一人、また一人とその場に倒れていく。
「うひゃー、ホントに相手になってないわね。達也君凄すぎ。」
「達也に体術だけで勝てる奴は魔法科高校には居ないだろうな。」
「八幡でも勝てないの?」
「体術だけじゃ無理だな。」
「ふ~ん。体術『だけ』じゃね?」
八幡はエリカとそんな事を話しながら、いつの間にか隅に移動していた紗耶香と、その紗耶香と話す一人の男子生徒を鋭い目で見ていた。
今さらですが基本八幡視点の原作短縮でいきます。
深雪の出番が少ない・・・