八幡は魔法科高校ではぼっちでは居られない 作:sinobun
時は少し遡る
討論会が行われている真っ最中、八幡は一人校舎の屋上で精神を集中させ、一高敷地内全体に眼を向けていた。
(もしエガリテだけじゃなく外部からもブランシュの奴らが襲撃してくるなら討論会をやっている講堂は間違いなく狙うだろうな。だが討論会を邪魔するだけが目的じゃないはずだ。)
そんな事を考えていると敷地内に侵入者が現われた事を察知した。
(人数は数十人か。かなり多いな・・それに全員武装してやがる。散らばり始めたな・・無差別テロでも起こすつもりか?いや、何組かは固まって動いているな・・・一つはやっぱり講堂が狙いか。まぁあっちは達也達がいるから問題ないとして・・・これは壬生先輩か?何故奴らと一緒にいるんだ・・狙いは・・図書館か。なるほど読めたぞ。本当の狙いは機密文献か。エガリテを使い討論会で目を逸らさせて置いてその隙に本命である図書館を狙うか・・・残念だったなそうはいかないぞ。)
八幡が図書館に向かおうとした時だった。
離れてるから大丈夫だろうと油断したのを後悔した。バイアスロン部が部活を行っている演習場の方へもテロリスト達が向かって行ったのだ。それに気が付いた瞬間八幡は屋上から飛び降り全力でそちらに向かった。
(クソ、頼む間に合ってくれ!)
八幡が演習場に向かっていると部長の亜美達と出会った。
「よかった。無事でしたか。」
「あなたは確か一年生の四葉君よね?無事って・・・」
「演習場の方にテロリストが向かって行くのが分かったので心配してたんですよ。」
それを聞いた瞬間亜美は顔を青くした。
「ウソ・・まだ北山さん達があっちにいるのよ」
「なんですってっ!?」
「光井さんが練習中で、戻ってくるのを待つって・・私・・どうしよう・・・」
亜美は今にも泣きだしそうになるが八幡が言う
「俺が迎えに行きます。先輩達は早く安全な所へ」
「でも一人でなんて危険よ!誰か呼んだ方が・・」
八幡を心配する亜美に言う
「大丈夫です。俺は四葉ですよ?」
そう言った瞬間八幡の姿はそこにはなかった。
亜美と別れた八幡はすぐに雫達の姿が視認できる位置まで来た。
しかし八幡が見たのはテロリスト達に撃たれる雫と雪乃の姿だった。
さらにほのかと結衣に対して今にも発砲しようとしている事がわかった。
そこに八幡は一瞬で割り込む。
「お前ら、生きて帰れると思うなよ」
「なっ、なんだお前は。」
「大丈夫だ。誰が来ようが俺達にはこれがある。」
急に現われた八幡にテロリスト達は最初は驚くが直ぐに余裕を見せる。
そして腕輪を操作するが
「そんな物が俺に効くか」
そう言って八幡は男達に向け手をかざし分解魔法、
「なんだとっ!?なんでキャスト・ジャミングが聞かない?」
「お前たちに説明する必要はない。死ね。」
そう言われ逆上したテロリスト達はナイフを持って八幡に襲い掛かるが、八幡が加重系魔法の重力操作魔法を発動すると地面にめり込むほど叩きつけられた。
「そのまま潰れろ」
「あが・・がが・・」
「ぐ・・うう・・・」
「く・・くる・・し・い・・た・・たすけ・・・」
尋常ではない圧力に肺を圧迫され窒息しかけたテロリスト達は全員気を失ったが、それでも八幡は魔法をやめない。今八幡は怒りで我を失いかけていた。
だが、そこに結衣がしがみつき声を掛ける。
「ヒッキーもういいよ。それよりゆきのんと雫が」
ほのかも涙をボロボロ流しながら
「八幡さん。二人が死んじゃう」
それを聞いた八幡は
(迷ってる暇なんかないな)
無言で倒れる雫と雪乃に魔法を発動する。次の瞬間二人の体はまるで何事もなかったかのように元通りになっていた。
それを見ていたほのかと結衣は何が起こったかわからず呆然としていた。
しかしやがて雫と雪乃が目を覚ますと
「雫ー、雪乃ー、うう・・良かったよ・・・」
「二人とも無事で良かった・・グスッ・・」
しかし当の本人達も何が起こったかわからず呆然としている。
「一体何が・・私は確か撃たれて・・・」
「私も確か結衣を守ろうとして・・・」
「八幡さんが助けてくれたんだよ」
「うん。ヒッキーがなんか凄い魔法で治してくれたの。」
二人がそう言った所で初めて雫と雪乃は八幡が居ることに気が付いた。周りを見るとテロリスト達も全員地に倒れているのが見えた。
「八幡・・・凄い魔法って・・治癒魔法?」
「八幡君・・治癒魔法だとしたら・・効果はどれ位持つのかしら?」
雫と雪乃は何故か冷静だった。そんな二人を見ていたほのかも何かに気付く。
「あっ、そうか・・治癒魔法は確か・・」
一人だけ意味がわからない結衣は
「皆どうしたの?良く分かんないけど二人とも大丈夫なんだよね?」
「結衣、治癒魔法って言うのはね永続的なものじゃないの。いつか効果が切れて・・その時は・・」
「たぶん私達は致命傷を受けていたから・・・」
「そんな・・じゃあ雫と雪乃は・・そんなの嫌・・だ・よ・・」
「嘘だよね?二人とも死んじゃうなんて嫌だよー。うわあ~~ん」
ほのかと結衣は泣き出してしまう。それを見かねた八幡が二人の頭に手をのせながら言う
「二人とも大丈夫だから泣き止め。雫と雪乃は死んだりしない」
「八幡さん・・だって・・」
「ヒッキー・・」
「八幡・・私達に気を使っているなら・・」
「そんなんじゃない。俺が使ったのは治癒魔法じゃないからな。」
八幡がそう言うと四人とも固まる
「八幡君、じゃあ貴方の使った魔法は一体・・・」
「あ~、すまん。それは聞かないでくれると助かる。あと他言無用でお願いしたい。」
八幡がバツが悪そうにそう言うと一瞬沈黙が支配するが結衣がそれを破る
「わかったよヒッキー。私は何も聞かないし見てもいない。雫とゆきのんが無事ならそれだけで十分だし」
「八幡さん、私もです。雫と雪乃を助けてくれてありがとうございます。」
雫は立ち上がり八幡に近づくと
「八幡」
「言えなくてすまんな雫」
「ううん、助けてくれてありがとう。ちゅっ」
雫はお礼を言うと八幡の頬にキスをした。
「「「なっ」」」
「にゃっにゃにしてやがる雫!」
「命を助けて貰ったんだからこれ位当たり前。八幡ありがとう」
「そっそうか・・じゃあ・・どういたしまして?でいいか?」
それを見ていた雪乃は
「こほんっ八幡君」
「おっおう雪乃」
「私も貴方の魔法について詮索も他言もしないと約束します。貴方がそう言うって事は簡単に使ったり見せたりしてはいけない魔法だと言う事はわかるわ。そんな魔法を使ってまで助けてくれてありがとうございます。」
「おっおう。間に合って良かったよ」
雪乃の畏まった礼に照れた八幡は目を逸らしながらそう言うが
「ちゅっ」
今度は雪乃が雫とは反対の頬にキスをした
「「なっ」」
「あっ」
「おっおみゃえまでにゃにお」
「命を助けて貰ったんだからこれ位当たり前よ。八幡君ありがとう」
「まったくお前らは・・どういたしまして」
そしてほのかは一人ブツブツ
「どうしよう・・私も行くべき?いやいや、そんなのまだ早いよ・・でも・・」
結衣は八幡に掴みかかり
「ヒッキーずるい。私の命も助けるし!」
「お前は何を言ってるんだ結衣。少し落ち着け」
ほのかと結衣が取り敢えず落ち着いたところで八幡は
「よし!そろそろ移動するぞ。またテロリスト達が来るかもしれないからな。お前達を安全な場所まで送る」
「八幡君、貴方はどうするの?」
「俺はまだやる事があるからな」
「ヒッキー危ない事はしないでね?」
「八幡さん、無茶はしたらダメですよ?」
「大丈夫だ。それにあんな奴ら何人居ようが相手にならないからな」
「八幡がケガしない様におまじない」
そう言ってまたキスしようとする雫の顔を鷲掴みにして止めた後、八幡は四人を安全な場所まで送り届けた。
そして八幡はある人物を探していた
(図書館の方は達也と深雪・・エリカもか。アイツらが向かったなら大丈夫だろう。ほかのテロリスト共もほぼ鎮圧しているみたいだな。さて俺は・・おっ見つけたぞ)
「小野先生!ちょっと聞きたいことが」
小野遥・・表向きは一高のカウンセラーだが警察省公安庁の秘密捜査官としての顔もあり、諜報の世界で「ミズ・ファントム」というコードネームで呼ばれている正体不明の女スパイの正体でもある 。
「四葉君?どうかしましたか?」
「単刀直入にいいます。ブランシュのアジトを知っていますか?知っているなら教えて下さい。あっ、これはお願いではないので」
「いきなりね・・色々聞きたいことがあるけれど、最後のが怖いわね・・・」
「なぜ小野先生に聞くのか等知りたい事はあるかもしれませんが、今は急いでいますのでそれは後日と言う事でお願いします」
「・・・わかりました・・それと四葉君・・貴方もしかして・・今もの凄く怒ってる?」
「ええ、そうですね」
遥にブランシュのアジトの場所を聞いた八幡は一人そこへと向かった
次で入学編は終わらせたい・・・
八幡は深雪一筋です。