八幡は魔法科高校ではぼっちでは居られない 作:sinobun
達也達は図書館から機密文献を強奪しようとしていたブランシュのメンバーを難無く制圧した。そしてそれを手引きしていた紗耶香をエリカが一対一の勝負で下した後、、気を失った紗耶香を医務室へと運んだ。目が覚めてから真由美、摩利、克人も交えて紗耶香から話を聞いていたのだが、紗耶香の話を聞いてみるとどうやら過去の記憶が一部改竄されており、摩利が紗耶香に対して見下す様な態度を取ったことになっていた。そしてそれが原因で差別に対して強い憤りを感じるよう仕向けられていた事がわかった。
(八幡の言っていた通りだな。壬生先輩はやはり何らかのマインドコントロールを受けていたか・・ん?その八幡はどうした?まさかあいつ一人で・・)
達也がそんな事を考えていると真由美が
「壬生さん。残念だけど貴女の事は警察に任せる事になると思うわ」
「はい、それが当然だと思います」
これに達也は反対する
「壬生先輩は利用されていただけです。ブランシュの連中を叩けばおそらく壬生先輩は無罪になります」
「駄目よ!危険過ぎるわ!」
「達也君、私も反対だ!高校生には荷が重すぎる!」
そして紗耶香も
「司波君。もし私の為なら止めて頂戴。私は裁かれて当然の事をしたんだから」
「壬生先輩の為だけではありませんよ。ブランシュの奴らは俺達の日常に土足で入り込んできた。既に俺は当事者です。そして俺はその日常を守る為なら奴らを全力で排除します」
「司波、一人で行く気か?」
「十文字先輩。そうしたいのは山々なんですが・・・」
そこに深雪、エリカ、レオも名乗りをあげる。
「お兄様、もちろん私もお供します」
「私も行くわよ」
「もちろん俺も行くからな。でも達也、奴らがどこに居るのか分かるのか?」
「いや、だが知っている人に聞けば良いだけだ」
達也の言葉を全員が疑問に思うが
「小野先生、そろそろ入って来たらどうですか?」
「「えっ?」」
達也にそう言われ医務室の扉の前にいた遥が中に入ってくる。遥は紗耶香とはカウンセラーとして面識があった。紗耶香が自分の魔法の才能について伸び悩んでいる事を知っていたが、話を聞くだけでそれを解決してあげる事ができずに今回この様な結果になった事に対して少なからず責任を感じていた。
因みに遥も達也と同じく九重八雲に師事を仰いでおり、それ繋がりで遥のもう一つの顔も知られてしまった。八幡にその事を教えたのも勿論達也である。
「やっぱりバレてたか」
「それで場所は分かりますか?」
「ええ。それに急いだほうがいいかもしれないわ」
「どういう意味ですか?」
「四葉君が一人で向かったわ」
遥のこの言葉に全員驚く
「えっ?はち君が?」
「八幡が・・アイツなんて無茶を」
「そう言えば八幡の姿がずっと見えなかったわね・・」
「なあ達也、八幡がいくら強くても一人はまずいんじゃないのか?」
深雪だけは別の心配をしている様だった。
「お兄様・・八幡はまさか・・・」
「ああ。小野先生、アイツの様子はどうでしたか?」
「凄く怒っていたみたいよ・・まるで噴火直前の火山みたいな・・今にも爆発しそうな感じがしたわ」
「・・・そうですか。急いだほうが良さそうだな」
「お兄様、早く参りましょう」
(八幡やり過ぎちゃダメよ)
こうして自分も同行すると言った克人の車で、克人に同行を志願した桐原を加えた一行はアジトへと向かった。
丁度達也達が学校を出発した頃、八幡は一人アジトに辿り着いていた。
(外は随分手薄だな。まぁ何人居ようが関係ないがな)
正面入り口と思われる場所を見つけた八幡は警戒する事もせず堂々と歩を進める。
そしてもちろん見張り役と思われる人間に直ぐに発見される。
「その制服、一高の生徒か?」
「一人でくるとかイカれてるのかコイツ」
「おい、何とか言ってみろ」
「邪魔だ。今すぐ消えるなら見逃してやる」
そう言われた男達は逆上して八幡に向けてマシンガンを乱射する。
しかし発射された弾は八幡に届く前に、八幡が自身の周りに作り出した重力場によって全て地面に落ちていく。
「なんだこれ・・弾が・・ぐぁっ」
「うわ・・くっ来るな・・がぁっ」
「化け物・・・ひぃ・・うがぁっ」
「・・・・・・」
慌てふためく男達に八幡は無言で近づいて行く。そして男達が八幡の重力場の範囲内に入ると全員地面に叩きつけられ気を失った。
八幡がアジトの中へ入り進んでいくと目的の部屋まで直ぐに辿り着いた。
八幡がすぐに部屋の中へ入ると
「君は四葉八幡君だな。まさか一人で来るとはね。てっきり司波達也君も一緒にくると「黙れ!」っ!?」
「お前がブランシュのリーダーか?」
「おっと、そうだねまずは自己紹介と行こう。私がブランシュのリーダー、司一だ」
「そうか・・お前のせいで雪乃と雫が・・・」
「何をブツブツ言っているんだい?」
「周りに居る奴らには一応投降の勧告だけはしておいてやる。全員武器を捨てて両手を頭の後ろで組め。大人しくしているなら警察に突き出すだけで勘弁してやる。聞かないなら命の保証はしない」
八幡はそう言って前に向かって手をかざす。
「CADも持たずに一体何をしてるんだい?一人でノコノコ現われた事と言い、気でも狂ったのかい?まぁ、君が我々の仲間になるというのなら今回の件は見逃してあげようじゃないか。四葉の人間がこちら側に付くのも中々おもしろそうだしね」
「警告はした。全員敵意有りとみなす」
八幡が魔法を発動する前に一が
「四葉八幡、我々の同士になれ!」
そう叫んだと同時に一の目から光が放たれた。
「はははっ、これで君はもう我々の仲間だ!」
しかし八幡は
「くだらない。これは光波振動系魔法・・催眠術の類か。これで壬生先輩や弟も操っていたのか?」
「何故効かないんだ!」
「俺を操れる可能性があるとしたら小町クラスが使う精神干渉系の邪眼だけだ。お前のそれは俺にしてみたらただの光信号だな」
「貴様・・一体・・」
「話はここまでだ・・死ね」
八幡の冷淡な声音に恐怖を覚えた一は部下たちに命令を下す。
「何をしている! 相手は四葉の魔法師とはいえCADも持っていない! 生け捕りは止めだ! 撃て、撃て!」
一の命令で部下達が一斉に八幡に向けてマシンガンを発砲しようとするが異変に気付く。
「なっなんだこれ・・」
「銃が凍って・・」
八幡がテロリストに放ったのは振動減速系領域魔法ニブルヘイム。
そして銃だけではなく体までも凍り、ブランシュのメンバーは意識ごと凍りついた。
今の隙に逃げ出した一を追い八幡は奥へと進んだ。
一が別の部屋に逃げ込んだのを見て八幡は警戒もせずに中に入って行く。
八幡が中に入った瞬間銃弾の嵐が八幡を襲う。しかしやはり弾は八幡に届く前に全て下に落ちていく。
「なっ何故だ。CADも持たずに・・それにこのキャスト・ジャミングの中でどうして魔法が使える?」
「貴様に説明する必要はない。全員死ね。」
八幡がそう言うと部屋が一瞬で夜になる。
一や部下たちはこの異様な光景に顔を真っ青にして既に戦意を喪失していた。
しかし八幡は容赦なく
その時だった
「八幡ダメよ!」
深雪が八幡に飛びつき止めた。
「八幡落ち着け!」
達也はそう言った瞬間八幡の夜も破壊する。
「深雪・・達也・・・」
「八幡やり過ぎよ」
「一体何があった?」
「コイツのせいで雪乃と雫が死にかけたんだ」
「雪乃と雫が・・」
「そう言う事か・・・」
(八幡がここまで怒ったのはその為か。八幡はその怒りを抑えきれない様に『できている』からな・・)
「でもこれじゃあ唯の虐殺よ?ここは我慢して。」
「でも・・もう既に何人か殺してるからな・・」
「大丈夫よ。あっちの部屋に居た男達なら生きているわよ?お兄様が溶かしてくれたわ。」
「そうか・・達也。後は任せてもいいか?」
「ああ、深雪も八幡に付いててやれ」
「すまない」
「畏まりました、お兄様」
八幡と深雪が外に出ると、達也に指示されて入り口の見張りをしていたエリカとレオが居た。
二人もこちらに気が付くと声をかけてくる。
「八幡、深雪!」
「中は片付いたのか?」
「ええ。今頃お兄様が全員取り押さえてるわ」
そこで八幡の様子がおかしい事にエリカが気付く。
「八幡どうしたの?顔が凄い事になってるわよ?」
「ああ・・大丈夫だ。ちょっと疲れただけだ」
「ケガをしたわけじゃねえよな?」
「西条君大丈夫よ。八幡は無傷よ。」
「本当にちょっと疲れただけだから大丈夫だ。それと悪いけど俺は先に帰らせてもらうわ。」
「え?うっうん。大丈夫ならいいけど・・。わかったわ。後の事は任せて。」
「ああ、悪いな」
エリカとレオにそう伝え八幡はこの場を後にした。それに深雪も付き添う様に付いて行く。
二人が言ったのを見届けたエリカとレオは
「深雪が達也君を置いて行くなんてよっぽどよね・・」
「ああ、八幡の奴何か様子がおかしかったよな」
二人は八幡を心配するのだった
アジトを後にした八幡と深雪は駅に向かっていたのだが
「八幡どうしたの?大丈夫?」
「何がだ?俺は大丈夫だ。さっきも言ったように少し疲れただ・・「嘘よね?」・・・」
「・・・八幡、取り敢えず私の家に行くわよ」
「はっ?なんでそーなる?」
「そんな顔小町に見せたら心配するに決まってるからよ」
八幡も自覚があったのか了承する事にした。
「わかったよ・・」
~司波家~
家に着くと直ぐに深雪が八幡に尋ねる。
「それで八幡。一体どうしたのよ」
「・・・・・」
「さっきの事を気にしてるなら・・・」
「違う!いや・・違わないな・・・。自分でも分かってるんだ。頭に血が上るとどうしても抑えられなくてやり過ぎちまう。それが自分じゃどうしようもない事だって事も。今回はたまたま相手がテロリストだったからまだ良かったが・・・相手が誰だろーが俺はそれを止められない。そしてそんな俺を見たら今俺の周りに居る奴らだってどう思うか・・・さっきテロリスト達にも言われたが、俺は化け物だからな・・」
八幡の話を黙って聞いていた深雪がいきなり八幡の手を引っ張り自分の方に引き寄せる。そしてそのまま八幡の頭を自分の腿の上に乗せ膝枕をする。
急にそんな事をされ八幡は驚く。
「み、深雪っ!にゃ、にゃにお・・」
「黙りなさい!」
深雪はそう言うと八幡の頭を撫でながら話し出す。
「良く聞きなさい八幡。まず、雫もほのかも雪乃も結衣もそれにエリカに美月に西条君だって、この中に貴方の事を化け物なんて思う人はいないわ。貴方が怒る時はいつも人の為じゃない。確かにやり過ぎてしまう事もあるかもしれないけど、それは全部誰かの為だってみんな分かってくれるわ」
「・・・・・」
「それに・・もしも他の人がみんな貴方を怖がったとしても私とお兄様は絶対に貴方の味方よ」
「そうか・・・」
「ええ・・そうよ・・・」
「深雪・・このまま少し寝てもいいか?今日は本当に少し疲れたみたいだ・・」
「しょうがないわね。少しだけよ。おやすみなさい」
「ああ、おやすみ・・」
八幡がそう言って眠りに落ちそうになった時
「ああ、いい雰囲気の所すまないな・・ただいま」
二人は話に夢中で達也が帰って来た事に気が付かなかった。
「お、お、お兄様っ!?」
「たっ、たちゅやっ!?」
深雪は慌て、八幡は跳ね起きた。
「邪魔なら席を外すが・・・」
「とっとんでも御座いません。お帰りなさいませお兄様」
「そうだぞ達也!お邪魔してるぞ」
その後なんとか落ち着きを取り戻した八幡と深雪は達也からの事後報告を聞いた。
達也の話では事件は十文字家が十師族の力を使い情報規制を張るようで、アジトの件は現場に居たメンバー以外の一般生徒には明かされない事になった。紗耶香と一高の敷地内で身柄を取り押さえられていた司甲は入院。しかしブランシュのリーダー司一にマインドコントロールを受けていた事により罪には問われなさそうだという。
こうしてブランシュ一高襲撃事件は解決となった。
事件から数日後、八幡は達也と深雪の三人で紗耶香のお見舞いに来ていた。
「わざわざありがとう。司波君に深雪さん、そして初めまして。貴方が四葉君ね。」
「初めまして壬生先輩。中々お見舞いに来れずにすいません」
実は達也と深雪は既に何度か紗耶香のお見舞いに来ていた。ちなみにエリカもあの勝負以来紗耶香とは仲良くなり毎日のように来ている。さらにどうやら紗耶香に気がある桐原も毎日来ている様で、その度にエリカに弄られている。
「気にしないで。貴方も今回の事件の解決に協力してくれたと聞いてます。改めてありがとうございました。」
八幡にお礼を言う紗耶香。しかし八幡は
「俺はお礼を言われる立場ではないです。実はかなり前から壬生先輩が操られているんじゃないかと気が付いていました。言い方は悪いですがブランシュをおびき出す為に泳がせていたんです」
「八幡それは・・」
深雪が八幡を庇おうと今言った事に反論しようとするが上手く言葉が出てこない。
しかし紗耶香は
「いいえ。私がマインドコントロールを受けてしまったのは私の弱さが原因よ。だから貴方が謝る必要はないわ。だからありがとう四葉君」
「壬生先輩・・いいえ、どういたしまして」
話がひと段落した所で達也が聞く。
「それで壬生先輩、いつ頃退院できそうなんですか?」
「う~ん。それがまだはっきりしないのよね。マインドコントロールが完全に解けるまではダメみたい。予想ではかなり長期入院になるかもって・・」
かなりの期間マインドコントロールを受け続けていた紗耶香はそれを解くのにも時間がかかる様だ。そうなると学校生活にも影響が出る為紗耶香は目に見えて落ち込む。
それを見ていた八幡は
「壬生先輩。俺が先輩のマインドコントロールを解きます」
いきなりそう言われ紗耶香は驚く。
「え?四葉君が?そんな事が・・」
困惑する紗耶香を見かねた達也が
「壬生先輩、八幡は精神干渉系魔法が使えるので可能です。しかしこの事は誰にも言わないでやってくれませんか?」
「わかったわ・・じゃ四葉君・・お願いします」
沙耶香がそう言うと八幡は沙耶香に向けて手をかざす。
八幡の手が光ったかと思うと解除は直ぐに終わった。
「壬生先輩、終わりましたよ」
「えっ?もう?」
「はい。一応ちゃんと医師の診断を受けて確認して下さいね」
「わかったわ。四葉君・・ありがとう・・」
まさかこんな一瞬で済むとは思ってなかった紗耶香は嬉しさで涙を流す。
その後魔法の影響で多少負担があった紗耶香が睡眠をとる為に八幡達は病室を後にした。
八幡がすぐ切れちゃうのには理由があります・・・
そして空気を読まない達也・・