八幡は魔法科高校ではぼっちでは居られない 作:sinobun
小町side
ブランシュが総武中学に突入してくる少し前、小町は午前中の授業を終えて水波も含めた生徒会のメンバーと生徒会室で昼食を取っていた。
メンバーは生徒会長の一色いろは、副会長の七草香澄、泉美の双子の姉妹、そして書記の小町と会計の水波である。
いろはは十師族を補佐する立場である師補十八家一色家の次女であり、姉は国立魔法大学付属第三高校に通う長女の一色愛梨である。
香澄と泉美は十師族七草家の次女と三女で真由美の双子の妹にあたる。
この三人は総武中学三年生で魔法科に在籍している。八幡とは八幡が総武中学にまだ居た時に面識があった。しかし今の所小町と水波が四葉の関係者である事は知られていない。
そしてそんな五人の話題はと言うと
「まだ少し早いけど九校戦が楽しみね。「今年は三高が絶対優勝するわ」って、家のお姉ちゃんが張りきって居たわ。」
全国魔法科高校親善魔法競技大会(通称九校戦)とは、日本国内に9つある国立魔法大学付属高校の生徒がスポーツ系魔法競技で競い合う、日本魔法協会主催で行われる全国大会である。
「それはムリムリ。今年も一高が優勝して三連覇するに決まってるじゃない。だよね泉美?」
「そうですね・・・実際見てみないと何とも言えませんが、お姉様もかなりの自信がお有りの様でした。なんでも今年の新入生は粒ぞろいだとか・・」
「そうそう、新入生総代の司波深雪さんだっけ?なんかその人が凄いんだよね?あとそのお兄さんが二科生なのに凄いってお姉ちゃんが言ってた。」
それを黙って聞いていた小町は
(うわ~、達也さんと深雪さんの事だ。そりゃあの二人は凄いに決まってるよね)
香澄と泉美の言葉にいろはは得意げに反論する
「ふっふっふっ。甘いっ!甘いよ香澄に泉美。三高には一条将輝さんが居るからね。それにカーディナル・ジョージこと吉祥寺さんも居るし。少なくとも新人戦は負けないと思うよ」
一条将輝、十師族一条家の長男で一条家の秘術爆裂魔法を得意としている。
これに対し香澄も反論する
「くっ、でも何と言っても今年の一高の新入生には、あの四葉家の直系が居るんだから」
「あっ、それは噂で聞いたよ。で、どーなの?やっぱり凄いの?」
「お姉様の話では「入学式の次の日には食堂を地獄に変えた」とか「生徒会室に嵐が吹き荒れた」とか、聞いてる限りでは悪魔の様な人みたいですね」
「そうそう。でもお姉ちゃんの凄いお気に入りみたいで「本当は優しくて照れ屋な可愛い人」とか、体をくねくねしながら言ってたから良く分からないんだよね。」
(うわ・・お兄ちゃん悪魔とか言われてるよ・・これはポイント低いよ)
(八幡様は随分香澄さんと泉美さんのお姉様に気に入られてる様ですね・・・ポイント低いです)
そんな風に昼食を取っている時だった
「きゃーーー」
窓の外から悲鳴が聞こえてきた。
五人が急いで窓から外を確認すると、武装した集団が学校の敷地内に侵入してきていた。
そして悲鳴を上げたのはたまたま外に出ていた女生徒だった。
「何アイツら?テロリスト?」
「銃も持っている様ですわね。」
香澄と泉美がそんな事を言っていると不意に警報が校内に響き渡った。おそらく侵入者に気が付いた誰かが鳴らしたのだろう。警報は侵入者によって止められたのか直ぐに止んだが、これで恐らく時期に警察も来るだろう。
そして次に校内放送で声が聞こえる
「我々は反魔法国際政治団体ブランシュ。この学校は我々がたった今占拠した。我々の指示に従わない者は容赦なく殺すのでそのつもりで。なお魔法科クラスに属していない生徒はすぐ解放するので我々が確認するまでしばらく待て。」
「いろはどうする?」
「下手に動くと危険だから今は待機ね。ウチには強い魔法師の先生も結構いるしね。」
「そうですね。私はとりあえずお姉様に連絡しますわ。」
三人が話し合う中小町と水波は
「(多分お兄ちゃんがもう千葉に来てるはずだからこの事を知ったらきっと飛んで来るよね・・・)」
「(はい・・もし小町がケガなんてしたら総武中学は無くなってしまうかもしれませんね・・・そうならない様に絶対私が小町だけは守りますので)」
「(何言ってんのさ!きっと水波がケガをしたって同じ事だよ)」
この二人は全然違う心配をしていた。
「お姉様に連絡が取れましたわ。すぐに来てくれるそうです。ですが東京からなのでやはり少し時間がかかるそうです」
「そっか。しょうがないね」
そんな中、学校周辺には既に何台かの警察車両が見えた。
それを見ながらいろはが言う
「たぶんアイツらの目的は魔法科クラスに在籍している生徒を人質にして何かを要求する事だよね。特に十師族の香澄と泉美や十八家の私は狙われると思うわ。だから小町ちゃんと水波ちゃんは今のうちにここから出なさい。私達と居れば普通科とは言え巻き添えを食うかもしれないし」
「そうだね。その方がいいよ」
「小町さん、水波さん、私も賛成ですわ」
そう言われた二人は
「お断りします!小町達だけ逃げるなんて嫌です」
「私も小町と同じ意見です」
「・・・はぁ。やっぱりそう言うと思った。わかったわ、でも小町ちゃんに何かあったらいつか先輩に会えた時に顔向けできないから絶対守ってみせるからね」
いろはの言った先輩とは勿論八幡の事である。いろはは一年生から今日まで総武中学史上初の四期連続で生徒会長を務めている。その最初の一期目の会長選挙の時に八幡の世話になって居た。それ以来八幡の事を尊敬していたのだが、突然八幡が居なくなってしまい当時は大変落ち込んだ。しかし次会った時に胸を張って会える様にと会長職をずっと続けていたのだ。(小町は雪乃と結衣にしか八幡の一高進学は伝えてない)
因みに香澄と泉美は顔は知っているが直接の接点はない。
いろはが格好良く決めているが小町は
(まぁ、もうすぐ会えちゃうと思いますけどね。なんか罪悪感が半端ないであります)
何とも言えない気分になっていた。
そうこうしてるうちに普通科の生徒の解放が始まった様で、窓からは校門の方へ走って行く生徒が見て取れた。
「香澄と泉美、CADは持ってるよね?いざと言う時は・・・わかるよね?」
「もちろん」
「はい」
三人が覚悟を決めているといきなり扉が開かれ五人の男が入って来た。
「おっ、いたいた。お前らが七草の双子だな?写真で見た顔と同じだな」
「そうですが、なんの様でしょうか?」
「十師族の人間は使えるからな、着いて来てもらうぞ」
そう言って男達が二人に近づこうとするが
「待ちなさい!」
「誰だお前は?」
「私はこの学校の生徒会長の一色いろはです」
「一色?ほぉ、あの一色家のご令嬢か。お前も使えそうだな」
「あなた達、教師の人達はどうしたのですか?」
「教師?あ~、アイツらなら全員拘束させてもらった」
「まさかそんなっ!?」
いろはは驚いていた。香澄や泉美、そして自分はそこそこ魔法師としての資質は高いと自負している。しかしまだ未熟な自分達よりもこの学校の教師陣は遥かに上の力を持っているのだ。そんな教師達が全員拘束されたとは信じられなかった。
それは小町達も同じ様で
「平塚先生は?平塚先生はどうしたの?」
平塚静。八幡を奉仕部に強制入部させた張本人であり、普通科の八幡を何故かいつも気にかけていた。そしてそんな静を八幡はいつの間にか尊敬していた。さらに静は総武中学の教師の中で最も強い魔法師である。
「平塚?ああ、あの最後まで抵抗してきた女教師か。なかなか頑張ってたがあんまりしつこいんで銃で両手足を撃ってやったら大人しくなったな」
「何て事をっ!このっ!」
それを聞き香澄が逆上してテロリスト達に攻撃しようとCADに手をかける
「おっと、そうはいかないぜ」
そう言って男はキャスト・ジャミングを発生させる。すると香澄だけでなくその場に居た五人全員が頭痛と眩暈に襲われた。
「こっ、これは・・」
「なんなんですのこれは・・」
「魔法が発動できない・・」
小町と水波は分かった様で
(これがお兄ちゃんが言ってたキャスト・ジャミング。こんな中で平気で魔法を使えるなんてさすがお兄ちゃん。あっ、今の小町的にポイント・・って言ってる場合じゃないよね)
(私は何とか魔法を使えそうですが長時間は無理そうですね・・・)
「はっはっはっ!十師族とはいえ魔法を使えなけりゃお前らなんて唯の小娘だからな。そうだな・・二人いるし見せしめに一人殺すか・・」
「「「「「なっ!?」」」」」
五人が驚愕する中男は香澄に向けて容赦なく発砲した。香澄は勿論、泉美といろはも目を瞑ってしまう。
「なっ、なんでお前は魔法を使えるっ!?」
「水波大丈夫?」
「はい、小町様。やはり辛いですが・・少しは持ちそうです・・・」
キャスト・ジャミングの影響がある中水波は障壁魔法を五人を包むように展開した。しかしかなり無理をしている様でその表情は辛そうで口調も素に戻ってしまっている。
そして撃たれたと思って目を瞑った香澄や、同じく目を瞑った泉美といろはもやがて目を開き目の前の光景に戸惑う。
「えっ?水波・・あなたなんで魔法を・・・」
「水波さん・・あなたは一体・・」
「水波ちゃん・・小町ちゃんどういう事?」
混乱する三人に小町は言う。
「皆さん聞きたい事はあると思いますが後にして下さい!まだ何も解決していません!」
「そっ、そうだね。でもこのままじゃ・・・」
「お姉様が来てくれれば・・」
「一体どうすれば・・」
一瞬驚いたテロリスト達もこの状況に再び
「はっはっはっ、驚かせやがって。随分くるしそうだが何時までもつかな」
「おい、全員でやるぞ!」
「「「おうっ」」」
そう言ってテロリスト達は全員でキャスト・ジャミングを発生させた。
「くっ」
(うっ!水波もこれじゃあもうもたないよ。どうしよう・・)
その時小町の頭の中に八幡の声が聞こえた
「(小町!小町、聞こえるか?)」
「(えっ?お兄ちゃん?)」
「(そうだぞ。状況はもう分かってる)」
「(どうしようお兄ちゃん・・水波ももうもたないよ・・・)」
「(俺が何とかする。それでだ小町、窓を開けられるか?)」
「(窓?)」
「(そうだ!窓さえ開けば俺が擬似瞬間移動で一瞬でそこに行く!)」
「(わっ、わかった。やってみるね。)」
「(おうっ、頼んだぞ)」
そう八幡と小町が会話を終えた瞬間水波が遂に力尽きた。
「うっ、すいません小町様・・・」
水波の障壁が消えた瞬間小町は窓の方へと走り窓を開く。しかしそれに気が付いたテロリスト達も今度は小町に向けて一斉に発砲した。それを見ていた、いろは、香澄、泉美はまたも目を瞑ることしかできず、水波は小町の盾になりたくても体が動かず手だけを小町に向けて伸ばしていた。
しかし小町に銃弾が届く事はなかった。
小町が窓を開けた瞬間一瞬で小町の前に現れた八幡は五人を守るように障壁魔法を展開していた。
そして八幡は開口一番
「お前ら、俺の天使に良くもやってくれたな!」
それに対し小町は
「お兄ちゃん・・助けてくれたのはポイント高いけど、ここで天使はないかな・・・」
ダメ出しされた。
いろはと七草の双子出して見ました。
いろはの口調が同級生や後輩相手だと良くわかりません・・・