八幡は魔法科高校ではぼっちでは居られない 作:sinobun
九島烈は四葉家の先々代当主で真夜、深夜、芽夜の父親でもある故
烈に名指しされ会場中の視線を集めている八幡は
「ちょっと何言ってるかわかんないですね。人違いじゃないですか?」
これ以上関わりたくないのか誤魔化そうとする。
「ほう、人違いか・・・じゃあお前が小学生の時に孫の響子と風呂場で・・・」
烈が周りには余り聞かれたくない(特に深雪には)事を口走ろうとした瞬間、八幡は烈の前に一瞬で現れたかと思うと喉元に持っていたフォークを突きつけて言う。
「おいじーさん、こんな場所で何を言う気だ!それ以上言ったら殺すぞ」
対する烈も会場中のほとんどの人間が八幡の動きについていけない中、いきなり目の前に現れた八幡の喉元に手刀を突きつけ言う。
「やれるもんならやってみろ。その時は道連れじゃ」
この一瞬の出来事にその場に居た全員が呆気にとられ固まっていたが、この八幡の暴挙を止めようと警備員達がやっと動きだす。
「おいっ!君っ!九島閣下に対して何て事を!直ぐに離れなさい」
「ちょっと一緒に来てもらうよ」
しかし烈はそれを手で制す
「良い。それにお主らが束になってかかってもこの八幡には勝てないぞ?」
「しかし・・・」
「良いと言うておる」
烈が少し威圧を込めてそう言うと警備員達は渋々ながら下っていった。
「おい八幡、後でワシの部屋に来い。久しぶりなんじゃから少しくらい良いじゃろ?」
「・・・・はぁ。分かったよ。取り敢えず俺は飯の続きをする」
そう言って八幡は先ほどまで居たテーブルに今度は歩いて向かった。
テーブルに戻る間も全員が八幡を見て居たのだが、やがて烈の話が再開すると皆そちらを向いた。
そして元居た場所まで戻ると
「あの・・八幡様。九島閣下とお知り合いだったんですね」
他の者と同じように呆気にとられながら先程の光景を見ていた愛梨が八幡に聞く。
「ん?まぁな。喧嘩友達みたいなものだな」
「閣下と喧嘩友達ですかっ!?」
「ああ。小学生の頃はよくお互い喧嘩を売ったり買ったりしてたな」
「そうですか・・・」
八幡の言葉に愛梨は戦慄していた。
烈は約20年前までは世界最強の魔法師の一人と目されていた人物。
当時は「最高にして最巧」と謳われ、「トリック・スター」の異名を持っていた。
そんな人間と小学生が喧嘩友達だったなんてにわかには信じられなかった。しかし八幡と烈の先程のやり取りを見た愛梨は、それがきっと本当の事なんだろうと思っていた。
「そういえば八幡様はどの競技に出場されるのですか?」
自分の在籍する三高の九校戦優勝に八幡の存在が大きく影響すると思った愛梨は、八幡が出場する競技が気になり聞く。
「俺はアイス・ピラーズ・ブレイクとモノリス・コードだぞ」
「それは本戦のですか?」
「いや、新人戦だ」
「そうですか・・・」
新人戦で入るポイントは本戦の半分である為、八幡が出場するのは新人戦だと聞いて愛梨は一瞬安心したが
(でも逆にそれだけ一高の選手層が厚いと言う事ですわよね)
本当は八幡より優れた者など一高には居ないのだが、愛梨は勝手に深読みして気合を入れ直していた。
「でもその競技だとどちらもうちの一条と当たりますわね」
「一条?あのイケメンか・・・そうか・・くっくっく、丁度いいな。殺すか・・」
八幡の完全に悪役染みたセリフに愛梨は
「殺してはダメですわっ!それに一条も八幡様と同じ十師族。簡単には勝てないと思いますわよ?」
「十師族ねぇ・・だが俺が負けることは絶対にないぞ?(負けたら深雪より目立つもくそもないからな。母さんにも何を言われるか分からないしな)」
色々深読みし過ぎる愛梨は八幡の言葉に少しムッとする。
「それは一高の優勝も揺るぎ無いと仰っているんですか?」
「優勝?それはどうなんだろうな?正直俺はどうでもいいからな」
その言葉に愛梨は目が点になる。
「え?どうでもいいって・・・」
「言葉通りの意味だ。個人的に応援する奴は居るが優勝とかには興味がない」
「ぷっ、あはははは!本当にいろはの言っていた通り八幡様は面白い人ですね」
八幡の言葉に愛梨は声を上げて笑い出す。
普段の愛梨はお嬢様然として振舞っている為、この様な姿は珍しいのか同じ三高の生徒達も驚く。
「おい、あれ見てみろよ」
「一色さんがあんなに笑ってるの初めてみたな」
「相手はまたあの一高の奴か・・・」
愛梨は見た目も美しく人気がある。しかし愛梨のお眼鏡にかなう男子は三高には居ないらしく、今まで数多くの人間がアプローチしたが誰も相手にして貰えていない。そんな愛梨にこんな顔をさせ親しげに話す八幡には勿論嫉妬の目が向けられていた。
さらに八幡を凍てつく様な目で見る数人の一高女子生徒も居たのだが八幡はこの時気付けなかった。
「あいつは俺の事を何て言ってるんだよ・・」
「とにかく八幡様みたいな方は他にはいないと言っていました。私もそう思いましたわ」
「どういう意味だよ一体・・それより愛梨はどの競技に出るんだ?」
「私は新人戦のクラウド・ボールと本戦のミラージ・バットですわ」
「ミラージ・バットは本戦なのか」
「ええ、それがどうかしましたか?」
「いや、一高の新人戦のミラージ・バットに出る奴はうちのエースだからな。ちょっと気になっただけだ」
「それはあそこに居る司波深雪さんですよね?こっちを見てらっしゃいますね」
「そうそう・・・って、マジでっ!?」
愛梨の言葉に八幡が深雪を見ると確かに笑顔で八幡達の方を見て居た。
(ヤバい!あの笑顔は相当ヤバいやつだ)
「噂では相当高い魔法力をお持ちだとか・・直接戦えないのが残念です」
「そっそうか?でも深雪と当たらなくてよかったと思うぞ?アイツに勝てる奴はたぶん一高の上級生にも居ないからな」
八幡のその言葉に愛梨はまたムッとする。
「それは私が司波深雪さんに劣ると言っているのですか?」
「うっ、別にそう言う訳ではないんだが・・」
「いいえ・・わかりました。直接は戦えないので私の出場している試合を見てからもう一度どちらが上か答えて下さい」
愛梨の剣幕に若干気圧されながら八幡は
「わかったわかった。ちゃんと見るからそんなに怒るなよ。可愛い顔が台無しだぞ?」
「な、なななな何を、かっ可愛いだなんて・・・」
「とにかく、さすがに一高の生徒も出場している試合は無理だが、他の試合は応援してやるから頑張れよ?」
「はっはい!私も八幡様の事は応援させて頂きます」
「おう!それじゃそろそろ俺は行くわ」
「あっ、最後にいろはから伝言が・・どうやら総武中学の魔法科クラスの生徒が全員で八幡様の応援に来るそうです。さすがに全試合ではないでしょうが」
「マジかよ・・取り敢えず分かった。それじゃまたな」
「はい!では失礼致します」
そう言って愛梨と別れた八幡は会場を出ようとしたのだが
「八幡待ちなさい!どこに行くのかしら?」
深雪に直ぐに捕まった。
「アレだアレ、小町への定期連絡の時間なんだよ」
「大丈夫よ。小町にはさっき私から連絡しておいたわ」
また報告されてた。
「そっそうか。助かったよ、サンキューな」
「ええ。それでさっき一緒に居た三高の女子生徒は誰なのかしら?随分仲が良さそうだったわよね?」
「あれは総武中学の時の後輩の姉ちゃんだ。この前の事件のお礼を言われて少し話してただけだよ」
「ふ~ん、そうなの・・」
疑いの目を向ける深雪に八幡も言い返す。
「俺の事より深雪こそ随分人気みたいだな?殆どの生徒が深雪に見惚れていたみたいだしな」
「そうなの?でも別に興味ないわよ」
(ですよねー。いや、別に分かってたけどな。深雪がそんな事で浮かれるような女じゃないって事は)
二人が話して居ると雫とほのかも加わる
「八幡、九島閣下と知り合いなんだね?」
「さっきはびっくりしましたよ。いきなりフォークを突きつけるなんて」
「まーな。昔ちょっと
「そうなんだ。そう言えばさっき閣下は何を言いかけてたの?」
「私も気になりました!孫がどうとか言ってましたよね?」
八幡はその話はマズいと思い
「そういえばその閣下に呼ばれてるんだったわ。待たせたら悪いからちょっと行ってくるな」
「うん、わかった」
「八幡さんまた後ほど」
「おう、じゃーな」
八幡は何とか逃げ切れたと思ったのだが
「八幡。響子さんとの話は後で教えてね?」
「はい・・わかりました・・・」
やっぱりダメでした。