八幡は魔法科高校ではぼっちでは居られない   作:sinobun

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空気を読まない男

【クラウド・ボール】制限時間内にシューターから射出された低反発ボールをラケットまたは魔法を使って相手コートへ落とした回数を競う対戦競技。

1セット3分、ボールは20秒ごとに追加され最大9つのボールを操る事になる。女子は3セットマッチ、男子は5セットマッチで、 選手の一日の試合回数が最も多い競技である。

 

九校戦二日目、真由美が出場するクラウド・ボール観戦の為に八幡は深雪、雪乃、結衣の四人で競技場に来ていた。

達也を除く他のメンバーは、同じく今日行われるアイス・ピラーズ・ブレイク本戦の予選を見に行くためこの場には居ない。八幡達もこちらが終わり次第見に行く予定でいる。

そして達也がいない理由は本来新人戦女子の担当なのだが、急遽エンジニアとして真由美に付いている為である。

 

昨日の真由美の様に雪乃と結衣に七草姉妹について聞かれた為、八幡はまた同じ説明をして身の潔白を証明した。

 

「そもそもお前ら二人は同じ学校の後輩なんだから顔くらいわかるだろ」

 

「言われて見ると確かにそうなのだけれど・・・私達は魔法科ではなかったからほとんど接点がなかったのよ」

 

「去年はまだ生徒会にもいなかったしね。でもいろはちゃんと良く一緒に居た子の中に確かに居たかも」

 

「取り敢えずそう言う事だからやましい事は何もないぞ。ふあ~あ・・」

 

「ヒッキー寝不足?」

 

「ああ、昨日の夜中々寝付けなくてな」

 

「そうなの?試合が近づいてきたからさすがの貴方でも緊張したのかしら?」

 

「いや全然。ちょっと深雪の・・・いや、そうかもな」

 

八幡は危なく寝不足になった本当の理由を言いそうになったがなんとか誤魔化した。

しかし深雪には聞こえていたらしく八幡に小声で聞いてくる。

 

「私があんなお願いしたからよね?ごめんなさい」

 

「違うぞ・・ただちょっとな・・」

 

「ちょっと何?」

 

「深雪の寝顔を思い出したら目が冴えちゃってな」

 

それを聞いた深雪は顔を真っ赤にする。

 

「もう!何言ってるのよ八幡っ!そんなの早く忘れなさい!」

 

深雪の顔が急に赤くなった事に雪乃と結衣は不審に思い

 

「深雪さんどうかしたの?顔が真っ赤よ?」

 

「むむむ・・・なんか二人とも怪しい・・」

 

「だっ大丈夫よ。何でもないわ!ちょっと暑くてのぼせたのかもしれないわね」

 

「おっ、そろそろ始まるみたいだぞ!ちゃんと応援しようぜ」

 

明らかに挙動不審な二人を怪しみながらも、雪乃と結衣は八幡の言葉に従い試合を見る事にした。

 

そして真由美が姿を現すとそれだけで観客席は昨日同様大いに沸きあがった。

 

「相変わらずの人気だな・・それより会長はあの恰好で試合をするのか?大丈夫なのかよ・・」

 

八幡が言うように真由美は所謂テニスウェアの様な出で立ちで下がミニスカートなのだ。

 

「八幡が何を心配してるか大体予想は付くけど心配は無用よ。会長は魔法オンリーだから体を動かすことはないわよ」

 

深雪に言われて八幡も納得する。

 

「あっそうか。それならパンチラの心配もないな。・・・あっ」

 

時すでに遅し。八幡の言葉に三人は軽蔑の眼差しを向けて居た。

 

「アンダースコートを履いているに決まっているでしょ。それに昨日渡辺先輩にも言われたわよね?そんな事ばかり考えて居たらまた凍らすわよ?今度は全身」

 

「エロ葉八幡君・・・」

 

「ヒッキー最低だし・・・」

 

「すまん・・気を付ける・・・」

 

そしてついに真由美の試合が始まったのだが

 

「相手はどう見てもオーバーペースだな。あれじゃ最後まで持たないぞ」

 

「でもそうしないと会長にはついていけないのでしょうね」

 

「まだ相手に一ポイントも与えていないものね」

 

「うわ~、なんか可哀想だね」

 

真由美は自分のコートに侵入してきボールを一球の例外もなく倍の速度で相手コートに返していく。一見すると単純な作業の様にも見えるのだが、実際は真由美の持つ魔法力と精神力があればこそ出来る芸当だった。

真由美が第一セットを無失点で取り、今から三分間のインターバルなのだが

 

「さすが会長と言うべきか・・もうこの試合は終わりだな」

 

「「「えっ?」」」

 

八幡の言葉を疑問に思いながらコートを見た三人は納得した。

相手の選手が再びコートに立つ事はなくそのまま棄権したのだ。

 

「サイオンの枯渇だな。会長の相手を務めるには力不足だったな」

 

そしてその後の試合も真由美は相手に得点を許す事はなく、全試合無失点のストレート勝ちで見事優勝を果たした。

 

クラウド・ボールを見終えた四人は次にアイス・ピラーズ・ブレイクの会場へと来ていた。

八幡と深雪は雪乃と結衣と一旦別れ、二人共選手としてこの競技に出るので、参考の為に試合を間近で観戦しようと観客席ではなくスタッフ席まで足を運んだ。

 

「お兄様、お疲れ様です」

 

「達也と雫も来てたんだな。それと五十里先輩ですよね?」

 

雫は選手として、達也はそのエンジニアとして参加する為八幡達同様ここに来ていたのだ。

 

「八幡と深雪も来たのか」

 

「八幡、深雪。もうすぐ千代田先輩の試合が始まるよ」

 

「こんにちは四葉君。こうして話すのは初めてだね。僕は五十里啓、よろしくね」

 

「四葉八幡です。よろしくお願いします(深雪に昨日名前を聞いておいてよかったな)」

 

間も無く試合は始まった。

 

【アイス・ピラーズ・ブレイク】試合時間は無制限で、相手陣地にある縦横一メートル、高さ二メートルの12本の氷柱を先に全て倒す、または破壊した方の勝利である。

 

「あれは振動魔法・・『地雷原』か?」

 

八幡の呟きに達也が続く。

 

「千代田家の二つ名は確か地雷源だったな」

 

その名の通り花音の使う地雷原により相手の氷柱にだけまるで地震が起きた様に爆発的な振動が加えられ、やがて轟音を立てて次々と倒壊していく。

しかし相手の選手も防御を捨て攻撃優先に切り替えると、花音側の氷柱も倒されていく。

 

「なるほど。ヤられる前にヤるの精神ですね」

 

「確か一回戦も全試合中最速のタイムと聞きましたが」

 

八幡と達也の言った言葉を五十里が肯定する。

 

「はは、そうなんだよね。思い切りが良いと言うか大雑把と言うか。守る時間があるなら攻めて一気に勝ちに行くスタイルかな?」

 

五十里の言った通り試合は花音が相手より先に全ての氷柱を倒し終えて勝利した。

 

花音が三回戦進出を決めた後周りの目も気にせず五十里の腕に抱き着きながら一高天幕に引き上げた。それを後ろから苦笑いで見つつ八幡達も付いて行ったのだが、中に入ると重苦しい空気になっている事に直ぐ気づいた。

疑問に思った八幡が一番近くに居た鈴音に聞く。

 

「何があったんですかリンちゃん先輩?」

 

その呼び方にこの重苦しい空気の中躊躇したのだろうが、、そこに居た者の殆どが八幡にツッコミたいのがバレバレだった。

そしてこの時達也、深雪、雫の三人は空気の読めない八幡を睨んでいた。

唯一呼ばれた鈴音だけが普段通りの調子で答える。

 

「男子クラウド・ボールの結果が思わしくなかったので、予定していたポイントの見通しを計算し直していたんですよ」

 

その答えに今度は達也が聞き返す。

 

「思わしくなかったといいますと?」

 

「出場選手三人全員が予選敗退という結果です」

 

その時計算が終わった様で作戦スタッフの二年生が報告する。

 

「本戦残り六種目中四種目で優勝すれば総合優勝は安全圏だと思われます」

 

その結果に八幡が思わず言ってしまう。

 

「そう上手く行きますかね?実際今予定通りに行ってないですよね?知らんけど」

 

その言葉に一高天幕内はさらに空気が悪くなった。

 




明日は更新出来ないかもしれません。
なるべく出来るように頑張ります。
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