あの子は女で、私は男で   作:ヘイ!タクシー!

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あけおめです


決着と一つの真実

 

Q.3階から落ちたら人はどうなりますか?

 

A.下がプールだったので全身びしょ濡れになります。

 

そんな馬鹿なと思うかもしれないけどなっとるやろがい!

ただいま私は校舎のプールの中にいます。そのプールに3階から落ちたので無事でした。運が良い。

 

ただ困ったことがあります。それは私の左目が上手く開かないと言う事と、濡れた服の重量もあってか気絶した人間は重いということです。

はい。気絶しているのは何を隠そう、私の左目を潰して3階から落とした輩こと鶫誠士郎君です。幾ら水に落ちたからとはいえ、全身で水面に叩きつけられたのだから普通に無事じゃ無かったようです。え、私? 私は………この男に助けられたから大丈夫でした。

 

私を落とした癖に助けに入ってそのまま気絶とかダサいですね。マジ笑っちゃいますわ………………嘘です。身を挺して助けるとか、普通にかっこいいです。これが女の子だったら惚れているところです。まあ、落とした張本人でもあるからマッチポンプどころの騒ぎじゃないですけど。

 

「あ〜〜、目が痛い〜」

 

怪我の身体に鞭打って気絶中の彼を更衣室まで運びます。本当はこの男を置いてさっさと病院にでも行きたいですが、助けてもらった手前、恩を仇で返すような事は仁義に反する行いです。

 

水を浴びて文字通り頭が冷えました。いい加減この無駄な戦いを止めようと思えた。彼に戦う気は無かったし、その態度も悪気は無かった。私の存在が伝わっていなかったのは、彼の上司であるあのクソメガネのせいだし、彼は知らなかっただけで悪く………なくは無いけど。若に危害を加えようとしたし。

 

でも、敵意剥き出しの私に対して彼は真摯だった。最後は身を挺して助けてくれた。

三階から水面に叩きつけられたのです。私も彼も入院レベルの状態。せめて彼が起きるまでは面倒を見てあげても言いと思えます。

 

「取りあえず服が邪魔です。このままだと身体が冷えて怪我が悪化するかもですし、脱がしましょうか」

 

ポチポチとブレザーのボタンを取って脱がしていきます。起きないですね。息はしてますが、かなり危ない状態なのかも。

取りあえず次はYシャツを………この人、どんだけ武器を服の下に装備しているんでしょうか。そりゃあ重い筈です。防弾チョッキなのか、胸部分のYシャツが盛り上がっていますね。視界が霞んでいるので詳細はわかりませんが、Yシャツが透けて見えるピンク色の防弾チョッキが、形も相まってまるでおっぱいみたいです笑笑。

邪魔なのでこれも外しますか。

 

「ふむ………なんか、柔らかいですね。コレ。最新の防弾チョッキはクッション性がエグいなぁ。反発力もある。触ってて癖になりそう」

 

「ん………」

 

おや、寝苦しそうですね。やっぱり色々と装備していてキツイのでしょう。さっさと外してあげますか。

 

私はYシャツのボタンを一つ一つ外していきます。なんか、意識の無い人を脱がすのってドキドキしますね。髪とか服とか濡れて色気が凄い。イケメンってすんごい。

 

ボタンも全て外して、防弾チョッキを外そうとYシャツの前を開きました。すると、なんということでしょう。きめ細やかな肌に、膨らんだ胸、鮮やかなピンクの下着がーーーー

 

「…………はっ?」

 

見間違いでしょうか。防弾チョッキなど何処にもなく、なんか男の上半身には無いものが見えるんですが。え、造り物?

その大きな膨らみをほにゅほにゅと揉んでみます。吸い付く様な手触りは今まで生きてきた中で最高の触り心地です。まるで乙女の肌。それに、弾力と柔らかさを兼ね備えたソレは揉んだこともない女性のおっぱい…………

 

「あの、佐々木様? 何故、私の胸を揉んでいるのですか?」

 

何故だろう。かなりハスキー声だが、男にしてはあまりにも高過ぎる声。顔を見れば中性的というか、女性側に偏った顔立ち。全身びしょ濡れの中、透けたYシャツ一枚…………いつの間にズボン脱げてたの?

 

そこには文字通り、濡れた絶世の美女が少し頬を染めて私を見ていた。

 

 

 

 

 

 

どうやら知らない間に、私は犯罪を犯していたらしい。

 

 

 

 

「すみませんでした!!!!」

 

「佐々木様!?」

 

私は土下座した。床に頭を叩きつけ、振動で響く目の痛みなど放り捨て、土下座した。

 

てか、まて。いつから私が脱がしていた人間はイケメンから美少女に変わっていた? 普通、男から女に変わったら気付くだろう。え? この短時間に性転換でもしました?

 

「あの、何に謝られているのかわかりませんが佐々木様…………左眼は大丈夫なのでしょうか?」

 

凄えなこの子。犯されそうになっていたのに犯人の怪我の心配とか聖女かよ。あー………こんな可愛くて優しい女の子と結婚したいデフ。おっと心の声が。

 

 

はぁ…………くだらないことを考えていないで、もういい加減認めよう。私の目の前にいる、先程まで戦っていたビーハイブの凄腕ヒットマンさん。ずっといけ好かないイケメン野郎だと思っていた、黒虎こと鶫誠士郎さんはーーーー

 

私のドストライクど真ん中の超美少女でした。

 

 

 

 

アイエエエエエエ!!!? なんで!? なんで美少女???

やばいよさっきまで私この子に思いっ切り暴言吐いたしなんなら木刀で何回も殴りかかっちゃったよ。しかもこんな人気のないところに連れ込んで意識のない彼女の服を脱がして胸まで揉んじまった!!!ヤバイヤバイヤバイ!!暴行罪と強姦罪で捕まる!?終わった終わった私の極道人生終わった女の子に手を出して勤めに出るとか恥晒しでしかない明日の週刊誌に集英組若頭補佐佐々木理央が女子高生に強姦か!?とか載っちまうぅぅぅ!!!!

 

「本当に申し訳ございませんでした。エンコですかエンコですよね?一本で足りますか足りませんよね?なら三本一気に行っちゃいますか待っててください今家庭科室行って包丁とまな板持ってきてここで指斬り落としますんで」

 

「佐々木様!? そんな事しなくて大丈夫ですから! 落ち着いてください!!」

 

いやいやいや。これが落ち着いていられますか。死活問題ですよ。

ですが安心しました。意外と彼女、何も問い詰めてきませんね。まあ私、傍から見たら重症患者ですもんね。左目からは血を流し、身体中痣だらけ。良識ある人ならこんな怪我人を追い詰めるようなことしませんか。やるとしたらこういう怪我も慣れているヤクザかマフィアくらいーーーー

 

 

ガクガクブルブル

 

「佐々木様!? やはりお怪我が辛いですよね! こんなに震えて……」

 

いいえ。報復を恐れています。

ま、まあまだ大丈夫。鶫さんは気にしてないようですし、後は他の人にバレなければ問題ない。

 

その時、私は更衣室の外から複数の声が聞こえた。

 

ーーーー次の瞬間、私の脳がフル稼働して状況を確認する。

目の前には半裸の、しかも事件性のあるびしょ濡れな女子高生。襲いかかるは反撃されながら迫りくる左眼流血男。そしてここは…………視界不良だったせいでよく見てなかったけど、もしかしなくても女子衣室。

 

状況判断中のこの間、0.5秒。結論、状況を隠蔽しなければならない。

私は大慌てでブレザーを脱ぎ、物凄いスピードで彼女に被せた。しかし、左眼で目算が狂ったのか勢いが余ってしまった。

 

「あっ」

 

「へっ?」

 

本来なら、私も彼女もこのくらい簡単に対処できる。しかしお互いが戦り合ったせいで体力は失い、身体が冷えてきたせいで思ったように動けない。しかも、濡れているせいで滑るおまけ付き。

彼女を押し倒し、諸共床に転がる。何とか起き上がりせめてもと早業でボタンを締めに掛かるが…………遅かったようです。

 

「あっ」

 

女子更衣室の扉が開けられた先には、驚いた様子で固まる千棘さん含む女子クラスメイトの皆さん。彼女等の視界にはびしょ濡れ半裸男が女子生徒を押し倒して強姦する犯罪の場が写っている事でしょう。

 

 

 

ああ…………ビーハイブに関わると碌な事がない。

そう思う一日でした。

 

 

 

 

 

 

▽▽▽

 

 

その後はまあ色々とありましたが、私の学校生活及び身分が地の底に落ちたであろうこと以外、私と鶫さんは無事入院することが出来ました。

 

 

 

鶫さんは全身に軽度の裂傷と背中の打撲及び鞭打ち症。最後に右腕の骨に罅。

私は全身に計10箇所の打撲と軽度の眼球損傷。二人共手術と入院確定しました。

 

あと、喧嘩両成敗ということで二人して停学になりました。揉み消せることは出来るには出来たのでしょうが、自分の尻くらい自分で拭きたいと思い受け入れました。まあ、所詮は極道者とマフィアのヒットマン。停学なんか屁でもないくらいの悪事を働いているので全く気にしません。形だけのケジメですが、謹慎みたいなものと思って償いの時間に当てようかと。

 

「あ、あの」

 

取りあえずまずは誠心誠意謝った後で、身の回りの整理をしないといけない。これは私への罰。償わなければならない禊である。

 

「も、もう頭を上げてください佐々木様ぁ………」

 

「無理です。本当に申し訳ございませんでした」

 

土下座である。プライドなどかなぐり捨てた土下座。

取り返しの付かない事をしてしまった。女の子相手にガチギレして容赦無く襲かかり、嫁入り前のその身体に傷を付けてしまった。てか木刀で殴った。その後は気絶した彼女の身体を触る等のクズ行為。私は世間様に顔向けできない程の極道であるが、外道にはなりたくないと思っていた。ならばやってしまったことを悔やむより、誠心誠意謝らなければいけない。

 

「こここここれ私の通帳です。全財産が500万くらいあるので、せめてこれでお願いします。示談で、なんとか、許してください」

 

ごめんなさい。誠心誠意の欠片もありませんでした。情けなくも鶫さんに警察沙汰にするのだけは辞めてほしいと懇願してました。

こんな、情けない理由で捕まりたくない。捕まるならせめてもっと極道らしい理由で捕まりたい。なんだこれ? 少女への暴漢罪で捕まるとか情けなさすぎる。

 

どっちも情けないなら、一時のプライドを捨てて懇願する方がマシである。

 

「佐々木様、悪いのは私です。決闘などと体の良い言葉で協定を破り、抗争を起こす様なやり方をしてしまいました………一条楽がお嬢に相応しい男なのか確かめようとしたばかりに。貴女を傷つけてしまい、申し訳ありませんでした」

 

「えっ………」

 

謝られた。これだけの酷いことをしてしまった私を許すどころか、非は自分にあると謝られてしまった。

私とて今回の件については思うところはありました。しかし、事情を聞いてみれば千棘さんを懸けた決闘と言う話ではありませんか。鶫さんもちゃんと非殺傷弾を使っていたし、暗殺とかでは全然ありません。ただただ、千棘さんを想う幼馴染兼部下の女の子が主を託せる相手かどうか見定める為の行いだった。

事情を聞かなかった私も悪い。そうであれば私は若の勇姿を見ようと喜んで送り出したのに。

 

そんな話も禄に聞かず、キレて襲い掛かった私を許すどころか謝る鶫さん。

天使かな? なんて優しい人なんでしょう。しかも美少女だし。うっ………後光が見える、なんて神々しいんだッ。

でも…………なんだろ。病衣姿で落ち込んだ様子の彼女が神々しさと同時に色気も醸し出している気がする。なんか、エロい。あとおっぱいがでかい。てか病衣を押し上げてコレでもかと主張するあのおっぱいを揉んだんですよね、私……………

 

ぐへ、ぐへへ…………

ーーーーおっと涎が。

しかし、こんな美少女の胸を揉んだとなれば尚更に私の罪が悪化するな。死刑も免れまい。それは嫌です。

 

 

「わかりました。鶫さんがそう仰るのならこの件はどちらも悪かったということでお互いチャラにしましょう。その方が気が楽です」

 

「し、しかし佐々木様は左眼が………」

 

「ああ、これは大丈夫ですよ。極道なら眼帯付けてる方が格が付きますし。名誉の勲章とでも皆に言っておきます」

 

「……………」

 

ハッハッハッ! たかが左眼の怪我で私の罪(おっぱい揉みまくった事等)が許されるならこれぐらい屁でもないね、うん! てかむしろお願いします! 土下座でも何でもするんで許してください!

 

 

 

「………佐々木様がそう仰るのなら、わかりました」

 

 

 

キタァァァーーーーーー。゚+.ヽ(´∀`*)ノ ゚+.゚!!!!

言質は取った! イヤッフゥ!! 美少女のおっぱい揉んだ事皆に自慢しよ! 絶対集さんとか羨ましがるでしょうね! だが残念!! 私は既に貴様らの一歩先を行ったのだ。

 

「ですが、今度埋め合せをさせてください。そうじゃなきゃ私は自分を許せない。佐々木様が願うことなら私は、出来ることなら何でもします」

 

 

 

 

 

…………………ん?

いま、なんでもって言った?

 

 

 

 

 

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