「ふぅ、さすがに今日は疲れたなぁ……」
「まあ、ひたすらライブしてましたからね」
東京ドームのライブを終え、俺は希さんの家に帰った。
そして、風呂で汗を流して寝間着になり、ようやく気持ちが切り替わったのか、希さんはぐてーっとベッドに寝転がった。
そんな姿を見ていると、何だか労いたくなってきたので、優しく頭を撫でた。
「……お疲れ様です」
「ありがと。君もお疲れ様。本当に助かったよ。ていうか、君も疲れたんやないの?」
「ライブで色々吹っ飛びましたよ」
「まあ、ウチの風呂上がりも見れたしねえ。八幡君なら一発で回復やろ」
「……なんか話変わってますよー」
「あはは、それじゃあ今から大事な話をせんといかんね」
「大事な話?」
「そ。春休みの九州旅行」
「……え?」
「実はお母さんから二人分の飛行機のチケットが送られてきたんよ。ウチに確認もなしに」
「マジですか」
何となくだが、あの人ならやりそうだという気分になった。希さんは「いきなりごめんね~」と言いながら、俺の腕を引っ張った。
俺はそれを合図にベッドに寝転がり、彼女と向かい合った。
「ふふっ、こんな態勢になったら色々と我慢できなくなるやん?」
「ま、またそういうことを……」
「ウチは眠気のことをいったんやけど?君は何だと思ったのかな?」
「…………」
言い返せなかったので、とりあえず抱きしめてみた。
すると彼女も仕返しと言わんばかりに抱きしめ返してきた。
「大好き♪」
「……どうも」
「ん~?聞こえないなぁ」
「……俺も好きですよ」
そのまま唇を重ねると、彼女の目がとろんとしていた。
だがこれはこの前のようなのではなく、おそらくただ眠いだけだろう。
眠りにつく前に、今日という日を刻みつけるように口づける。
「ん…………」
「…………」
極上の甘い時間に浸かっていると、まるで世界で二人きりになったかのような感覚になる。
そんな中、快楽に後押しされ、互いに舌を絡み合う。
ざらついた感触が楽しくなってきたが、さすがにこのまま続けるわけにはいかないので、そっと唇を離すと、つうっと糸を引いた。
彼女はぺろりと唇を舐め、小さく口を開いた。
「おやすみ、また明日」
「ええ、おやすみ」
すぐに彼女が眠りについたのがわかり、俺はその頬に手を添え、やわらかな温もりを感じる。
今、確かなことは、この人とずっと一緒にいたい。
何なら夢の中でも会いたい。
朝一番に笑顔を見たい。
そんな時間を重ねていきたい。
そんな事を願いながら、俺もゆっくりと夢の世界に身を委ねた。