大海原に転生してスキマ妖怪   作:☆桜椛★

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スキマ妖怪と恐怖治療

新たにキョンシーの宮古 芳香の勧誘に成功した私達は、家が焼けてしまったショックでシクシク泣いていた芳香になんとか飛び方を教え、白ひげの船でどんちゃん騒ぎをしていた勇儀を回収し、スキマで藍達のいるウォーターセブンに一旦帰還したわ。

スキマを閉じる際にティーチが泣きながら何か叫んでいた様な気がしたけど気のせいよね☆

で、藍達に幽香達を預けて残りの休日の間も仲間探しをしていたのだけれど、結局見つかりはしなかったわ。それから休暇を終えた私達は海軍本部に戻ってコング元帥ににとり達を紹介して仕事に戻ったわ。それから色々手続きやら書類整理やらやる事約3週間・・・・

 

 

 

「絶賛暇を持て余しているわ」

 

 

「誰に言っているんですか紫様?」

 

 

 

紫はガープの執務室にて藍と一緒にお茶を飲みながらグダ〜っといた。休暇明けの最初の頃はそれこそガープがサボって溜めまくった書類の山々を見て溜め息を吐いたが、実際やってみれば2週間で机を埋め尽くしていた書類は全て無くなった。そして全ての仕事が終わった紫は物凄く暇していた。

 

 

 

「だって仕事今日の分午前中で終わっちゃったんですもの。後はガープのサインが必要な物ばかりだし、流石にやる事なさすぎて退屈よ」

 

 

「紫様ってそんなに仕事好きでしたっけ?いいじゃないですか。他の皆様は今この時も書類やら手続きやらで必死に手を動かしているんですから」

 

 

「別に好きって言う訳じゃないけど・・・こうも面白い事が無いとねぇ?」

 

 

 

紫は机に置かれた皿に入った煎餅を掴んでパリッ!と音を立てて食べる。

うん、流石はガープが隠していた煎餅ね♪美味しいわぁ〜〜♪

 

 

 

「はぁ・・・・でしたら、勇儀さん達の様子を見てきたらどうですか?何か仕事が入ればこちらから連絡しますよ?」

 

 

「あら!それいいわね♪そうと決まれば早速行ってくるわ。何かあったら連絡頂戴ね?」

 

 

「畏まりました、紫様。いってらっしゃいませ」

 

 

 

藍はペコリと頭を下げてスキマの中へ消えて行く紫を見送った。そして藍が紫が使っていた湯呑を片付けていると、先程まで化け猫の姿で昼寝をしていた橙がググ〜ッと体を伸ばして起き上がり、器用に前足で目を擦ってからボンッ!と煙を上げて人型に戻った。

 

 

 

「ふにゃ〜〜・・・・おはようごじゃいましゅ藍しゃま。・・・・あれ?紫しゃまはどこ行ったのですか?」

 

 

「おぉ、起きたか橙。紫様は他のみんなを観に行ったぞ。・・・そうだな、橙も遊びに行って来なさい。あまり帰りが遅くならないようにな」

 

 

「はい藍しゃま!!それでは私はマリンフォードの猫達の所に遊びに行って来ます♪」

 

 

 

橙は花が咲いた様な笑顔で可愛らしく敬礼して開いている窓から飛び出して行った。藍はそんな橙を見てクスリと笑ってから「ちゃんと扉から出ろ」と小さく橙に注意してから片付けを再開した。

 

 

 

 

 

 

 

 

海兵達が普段厳しい訓練をしている訓練場。その訓練場のグラウンドでは現在2人の人物が模擬戦を行なっていた。1人はウサギの耳を生やした紫色の髪を靡かせるブレザーを着た少女、鈴仙・優曇華院・イナバ。もう1人は美しい金髪をポニーテールにして真っ黒に染まった木刀を振るう少女、ステラだ。鈴仙は手をピストルの形にして銃弾の弾幕を次々とステラに撃ち続けており、対するステラはそれらの弾幕を必要最低限の動作で躱し、どうしても躱しきれない弾幕は手に持った武装色の覇気を纏わせた木刀で弾いたりして防いでいる。しかし防いでばかりではなく、紫達が休暇を取っている間に身に付けた六式の1つである“(そる)”を使って一気に懐に入り、居合斬りの様に木刀を振るった。武装色の覇気を纏った木刀はそのまま目を見開いて固まっている鈴仙の胴に当たり・・・・

 

 

 

「・・・・ッ!?」

 

 

 

鈴仙の体を擦り抜けた(・・・・・)。ステラはその事に一瞬目を見開いたが、一瞬視界が歪んで鈴仙の姿が消えた為すぐに顔を引き締めて鈴仙を探した。右、左、上と視線を向けるが何処にもおらず、最後に背後を確認しようとした所でステラの後頭部に鈴仙の指が突き付けられた。

 

 

 

「チェックメイトですよ。ステラさん」

 

 

「うぅ・・・参りました」

 

 

 

ステラが木刀を手放して両手を挙げたのを見て鈴仙も指を下ろした。鈴仙は両手を腰に当てて胸を張る。

 

 

 

「フフン♪惜しかったですねステラさん。私だって伊達に数百年間お師匠様の薬の人体実験に付き合わされてないのですよ」

 

 

 

そんな事を言う鈴仙に木刀を拾い上げていたステラの動きが石化したかの様に固まり、少し動揺した様子で鈴仙を見た。

 

 

 

「じ、人体実験って・・・・前から思っていたんですけど、貴女あの永琳先生に何をされたんですか?」

 

 

「アハハハ・・・まぁ色々有りましたよ?いかにも毒ですって感じの紫色の薬品をいきなり注射したり、何故かボコボコ泡が出てる黒いドロっとした薬品を無理矢理飲まされたり・・・・・へへっ」

 

 

「あの人本当に医者ですか!!?」

 

 

 

目からハイライトが消えてしまった鈴仙を見てステラは永琳が本当に医師なのかとツッコミを入れた。すると先程まで離れていた所に居た芳香とこいしが2人の下へ近づいて来た。因みに芳香はキョンシーらしくピョンピョンジャンプしながらだ。なんでも普段は落ち着くからこの移動方だが、戦闘時や急いでいる時は普通に動かすらしい。

 

 

 

「う〜ん、永琳お姉さんの作った薬の効能や医療の腕は凄いんだけどね〜?」

 

 

「そうだなー。この前失敗作らしい薬を貰って食べたんだがなんかラザニアみたいな味だったぞ?」

 

 

「なんでラザニアなんですか?因みになんの薬です?」

 

 

「うん?なんの薬かは知らなかったが注射用の薬だっぞ?注射器はあまり美味しくなかったな」

 

 

「ラザニア味関係ないじゃないですか!!と言うかよく食べる人だなと思ってましたが注射器食べたんですか!!?」

 

 

 

ステラが驚いた様子で両手を前に突き出した芳香を見ていると、2人の間の空間に両端をリボンで結ばれた線が引かれ、スキマが開いて紫が上半身を出した。

 

 

 

「食べるわよ〜?この子は何でも食べれちゃうんだもの」

 

 

「キャッ!って紫さん、お久し振りですね。最近ずっとガープ中将の執務室から出て来ませんでしたが、仕事は終わったんですか?」

 

 

 

突然現れた紫にステラ達は驚いたが、紫だと分かるとすぐ落ち着いた。その様子を見てクスクス笑う紫にステラはペコリと頭を下げて挨拶した。

 

 

 

「えぇ、久し振りねステラ。だいぶ腕を上げたわねぇ♪私が休暇の間もキチンと修行をしていたようね?」

 

 

「はい、ガープ中将とゼファー先生に色々教わりまして・・・・まぁ、まだそこの3人には一度も勝てた事ないですけど。紫さんはどうしてここへ?」

 

 

「私?私は仕事全部やっちゃって暇だったから新しく入った鈴仙達の様子を見に来たのよ。でも確か貴女達の他に幽香と勇儀の2人もここにいた筈よね?どこに行ったのかしら?」

 

 

 

紫は辺りをキョロキョロと辺りを見渡して勇儀と幽香の2人を探しながらステラ達に聞いた。するとステラだけでなくこいしと鈴仙までもが苦笑いになり、芳香はサッと視線を逸らした。

 

 

 

「えぇ〜っとね?勇儀お姉さんは『今なら紫がいないから酒飲みに行って来る』ってどっか行っちゃって、幽香お姉さんはさっき自分の部屋に置いていたお花にお水あげに行ったよ」

 

 

「幽香はいいとして勇儀は後でしばき倒すわ。じゃあ私はもう行くわね。あまり無茶はしちゃダメよ?」

 

 

 

紫はそう言い残すと再びスキマを開いて何処かへ去って行った。ステラ達は紫が去った後もしばらく模擬戦を続け、意外と芳香が強い事に3人は驚いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

ここは、海軍本部の中にある第2手術室。ここでは厳しい訓練や模擬戦などで骨を折ったり、海賊達との戦闘や不慮の事故で大怪我を負った海兵達が手術をして貰う部屋の1つである。ここでは現在、4名の海兵達が手術台にベルトで固定された(・・・・・・・・・)状態で顔を蒼くしてガタガタ震えていた。別に怪我が酷すぎるとかそう言うそんな理由では無い。そもそもこの場に居るのは皆海軍の少佐や中尉などで、手術などこれで初めてと言う訳ではないのだ。

震えている理由は隣の第1手術室から響いて来る悲鳴にある。

 

 

 

『グギャァァァァァアガギャァァァァァア!!!!』

 

 

『ちょ!!待って!待って下さい!!それ近付けないで!!頼むゴガギャァァァァァァァァ!!?』

 

 

『ま、ままま待て!!君!ちょっと話し合おう!話せば人間誰しも分かり合えルゥゥゥゥゲガャァァァァァア!!』

 

 

「おいぃぃぃぃ!!これは本当に手術なのか!?なんか隣の手術室からまるで人が拷問されている様な悲鳴が聞こえてくるんだが!!?」

 

 

「俺が知るかよ!!てか、そもそも麻酔打たれた後ベルトで固定されてる時点でもう嫌な予感しかしねぇよ!!」

 

 

 

断末魔の叫びの様な悲鳴が隣の手術室から響き渡って来ているため手術台に乗せられた海兵達は嫌な予感がしてならないのである。冷や汗を滝の様にダラダラ流し、涙目になっていると、彼等の内1人がある噂を思い出した。

 

 

 

「そ、そう言えば・・・」

 

 

「あん?どうした?」

 

 

「3週間程前に入った女の医師が居て、その腕は腕を切り落とされた海兵も完璧に治す程の腕を持っているが、その治療内容は記憶に残っておらず、それを思い出そうとするとパニックになるっていう噂を最近聞いた事がある」

 

 

「いやそれ絶対隣のヤツだって!!現在進行形で隣でその噂の原因起きてるって!!!」

 

 

「記憶に残らず思い出そうとするとパニックってなんだ!?なんだ?何があったんだ!!?」

 

 

『グアァァァァァァ・・・・ガフッ!!』

 

 

「「「「ヒィッ!!?」」」」

 

 

 

最後の1人の悲鳴が聞こえなくなり、第2手術室を不気味な静けさが支配する。思わずゴクリと唾を飲み込んで第1手術室の方を見ていると、ガチャ!!と音を立てて第2手術室の扉が開かれた。4人がビクゥ!!と体を震わせて扉の方を見ると、長い銀髪を三つ編みにし、白衣を纏ったツートンカラーのナース帽を被った女性・・・永琳が入って来た。

 

 

 

「あら、貴方達は初めましてね?本日貴方達の怪我の治療をする事になった八意 永琳よ」

 

 

「あ、あの・・・助手とかは付けない・・・・んですか?」

 

 

 

入って来た永琳の容姿を見て顔を少し赤くしながら質問する海兵の1人に永琳は嫌な顔1つせず答えた。

 

 

 

「えぇ、一応助手と言うより弟子がいるけれど、あの子はまだ手術をするには経験が足りないからね。それに私は1人でも十分治療は出来るわ」

 

 

「そ、そうですか(良かった〜。思ったより優しそうな人で。多分隣の奴等は噂の女に当たったんだな。こんな優しそうな笑顔の女性が噂の女な訳ねぇもんな)」

 

 

 

ホッと胸を撫で下ろしている海兵達を見て永琳もニッコリと笑い、「では始めますね」と言って紫色に光る(・・)薬品が入った注射器(通常の2倍サイズ)を取り出した。そんな永琳を見て安心した顔が絶望の顔に変わるのを海兵達は感じた。

 

 

 

「はい、じゃあ行くわよ〜〜?」

 

 

「ちょ!ちょちょちょちょっと待って!俺一応足の骨折っちまってるんだが、骨折の手術にそんな薬品使わないよな!?」

 

 

「大丈夫よ。ちゃんと隣の人達は治ったから。まぁ大袈裟に悲鳴なんて上げてたけどね。注射が怖いなんて情けないわね」

 

 

((((やっぱ噂の女こいつだったー!!))))

 

 

「や、やめろ!俺は他の奴に普通の手術を頼みたい!!」

 

 

「もう、こっちの方が一瞬の苦しみで早く治るのよ?大人しく・・・・なさい!!」プスッ!

 

 

「「「「あ・・・・」」」」

 

 

 

永琳が遂に足を骨折した海兵の足に注射針を刺した。刺された海兵は一瞬何が起こったのか分からない様子だったが、途端に顔の色が蒼を通り越して紫に変色した。

 

 

 

「アンギャァァァァァァァァァァアア!!?・・・・ガクッ」

 

 

「「「レ・・・レックスーー!!?」」」

 

 

 

レックスと呼ばれた海兵は凄まじい悲鳴を上げた後、しばらく痙攣してから意識を失った。しかし折れていた筈の足は綺麗に治っており、それを確認した永琳は満足そうに頷いた。

 

 

 

「うん、成功ね♪えっと次の人は・・・」

 

 

「失敗だろその薬はぁ!!おい待て!そのドス黒い薬は何だ!?てかまた注射か!?これ手術室の意味な「えい☆」《プスッ!》イギャァァァァァァァァァァァァァァア・・・ガフッ」

 

 

「「ル、ルドルフーー!!?」」

 

 

 

2人目の銃の訓練での暴発で怪我をしたルドルフと呼ばれた海兵は顔を薬の色とは真逆の真っ白に変えて意識を失った。気のせいかも知れないが魂が抜けかけている感じがする。そして永琳が怪我が治ったのを確認して今度は緑色の薬品の注射器を手にした為残った2人は慌てた。

 

 

 

「待ってくれ!!先にそっちの奴を治療してやってくれ!」

 

 

「はぁ!?ざけんな!!テメェの方が重傷だろうが!!先生!!先にそっちを!」

 

 

「バッカお前俺の方が軽傷だし!ちょっと血を吐いて倒れただけだし!!」

 

 

「それのどこが軽傷だ!?俺は泡吹いて倒れただけだぞ!」

 

 

「テメェも倒れてんじゃねぇか!!!」

 

 

 

ギャーギャーと口喧嘩を始めた2人の騒がしさに永琳は顔をしかめた。

 

 

 

「あーーもう!うるさいわね!はい、先ずは貴方!!」プスッ!

 

 

「△*☆¥×〆°%<#!!?」ドサッ!

 

 

「ひ、ヒロシーー!!?」

 

 

「うるさい!!」ブスッ!

 

 

「アーーー!!!!?・・・・ア」ガクッ!

 

 

 

最後の1人が動かなくなった後、永琳はそれぞれの怪我が完治したか確かめ、治ったのを確認するとすぐに他の部屋に向かって行った。それまでの治療をスキマの中から覗いていた紫は海兵達に合掌し、「私は何も見なかった」と自分に言い聞かせてスキマを閉じた。その後はベガパンクの所で色々開発したりしているにとりや村沙達に会い、藍に仕事だと呼ばれて執務室へ戻った。

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