大海原に転生してスキマ妖怪   作:☆桜椛★

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スキマ妖怪との弾幕ごっこ

はぁ〜い♪海軍に入ってから新米海兵として訓練している八雲 紫よ☆・・・う〜んちょっと恥ずかしいわね。最近口調とか似て来た感じしたからやってみたけどこれはまだ恥ずかしいわ。ま、そんな事は置いておいて、私が海軍に入ってから既に3週間の時間が過ぎたわ。流石に私も海軍の訓練について行けるかちょっとだけ不安になったけれど・・・・

 

 

 

「ゼェ・・ゼェ・・ゼェ・・ゼェ・・」

 

 

「ヒィ・・フゥ・・ヒィ・・ハァ・・」

 

 

「たるんどるぞ貴様等!!八雲の奴を見てみろ!!あいつはもうノルマを全てこなして日陰で茶を飲んでいるぞ!!?」

 

 

「思ったより緩い訓練ねぇ。まぁ妖怪の体になっていなかったら出来なかっただろうけど・・・・あら?このお茶美味しいわね。ガープが淹れたのを取り寄せて正解ね」

 

 

 

紫は既に普通の人からしたら地獄かと疑いたくなるような上級者向けの訓練メニューを全て終わらせ、スキマでガープが淹れた茶の入った湯呑みを本人が口を付ける前に取り寄せてそれを日陰で飲んでいた。紫の服装は何時もの中華風のドレス似の服ではなく、海兵が着ている物と同じ物を着用している。ただし帽子は外していない。

 

 

 

「それにしても退屈ねぇ。毎日これじゃ体がなまっちゃうわ。あまり空も飛べないし・・・・あら?」

 

 

「おい紫ぃ!!お前さんまた儂が飲もうと思って淹れておった茶を持って行ったじゃろう!!?ありゃ儂のじゃ!返せい!!」

 

 

「あらガープ。美味しかったわよこのお茶。次はお饅頭と一緒に貰えると嬉しいのだけど?」

 

 

「やらんわぁ!!もう何回お前さんに茶やら菓子やら食われたと思うとるんじゃ!!?」

 

 

「全部含めて179回目ね。貴方ちゃんと仕事してるのかしら?」

 

 

 

猛スピードで走って来たガープが紫に怒るも紫は全く気にした様子もなくいつもの様に扇子で口元を隠してクスクス笑っている。ガープは諦めた様子で話題を変える。

 

 

 

「ところで紫よ。お前さんもうここには慣れたか?」

 

 

「まぁ慣れたと言えば慣れたわ。ただ退屈なのよねぇ」

 

 

「そうか・・・・よっしゃ!儂に任せとけい紫!!滅茶苦茶面白いやつをやらせてやるわい!!」

 

 

「滅茶苦茶面白いやつ?貴方がそれ程言うのだから期待してもいいのよね?」

 

 

「おう!期待していいぞ!!お前さんなら楽しめるはずじゃ!!早速準備してくるわい!!ぶあはははははは!!!」

 

 

 

ガープはそう紫に言い残して豪快に笑いながら去って行った。残された紫は自信ありげに去って行ったガープに少しだけ期待しながら茶を啜った。

 

 

 

 

 

 

 

 

あの話から約3日。紫はいつも通り訓練を早く終わらせてしまい日陰でゆっくり訓練している海兵達を眺めていた。海兵達はこれに不満・・・を持つわけではなく、むしろ金髪の美少女に見られていると言う事が男達の心に火を点けてより訓練に励みまくっている。ただ紫は別に特別な意識を持って見ているわけではなく、ただなんとなく見ているだけである。紫はフゥと溜息をついてまたガープの所からお菓子でも貰おうとスキマを開こうとした。するとそこにちょうどガープがやって来た。

 

 

 

「ガ、ガープ中将!!何か御用でしょうか?」

 

 

「おうちょっとな。紫はおるかのう?」

 

 

「えぇ、八雲ならあそこの木の陰で他の訓練兵達を見「私がどうかしたのかしら?」わぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!?」

 

 

「おぉ紫!相変わらず何処にでも現れるのう」

 

 

 

紫はガープと教官の間に開いた隙間から上半身だけを出してガープを見る。それに教官は驚愕し、ガープはいつも通りに笑っている。

 

 

 

「あらガープ、3日ぶりね?貴方が来たと言う事はあの滅茶苦茶面白いやつとやらの準備が出来たのかしら?」

 

 

「ああそうじゃ!あれならお前さんだって楽しめる筈じゃ!おい!紫をしばらく借りてくぞ?」

 

 

「え?あ、はい!分かりました!」

 

 

「ほれ行くぞ紫!動きやすい服に着替えて第五訓練場に来い!!儂は先に行っとるぞ?」

 

 

「えぇ、分かったわ。あの広い訓練場で何をするか楽しみね♪」

 

 

 

ガープは笑いながら去って行き、紫もスキマを開いて着替えに向かった。後には訳もわからずとりあえずガープ中将に敬礼しておいた教官と、紫が居なくなったことによりテンションだだ下がりの訓練兵しか残らなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぅ、この服を着るのにも慣れたものね。最初の1週間ぐらいはどうやって着たり脱いだりするのか分からなかったものね」

 

 

 

紫は与えられた自分の部屋に戻りいつもの服を慣れた手つきで着込み、姿鏡の前でおかしなところがないか確認する。

・・・うん、問題なさそうね。さてさて、ガープの事だから誰かは知らないけれど、それなりの実力者と私との模擬戦をやらせる気でしょうね。大将組は仕事と人間関係上ガープの話に乗るとは思わないわね。むしろ仕事をガープに渡して大人しくさせるでしょうね。となると中将辺りで実力者は・・・・あ〜、成る程。私の予想が正しかったら確かに楽しめそうね。

 

 

 

「ふふふ♪鬼が出るか蛇が出るか。楽しみだわ」

 

 

 

紫は扇子で口元を隠しながらニヤリと笑い、スキマを開いてガープに言われた第五訓練場に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「到着っと、はぁいガープ。待たせたわね」

 

 

「おお紫!!何しとったんじゃ?儂もこいつらも待っておったぞ?」

 

 

「貴方が動きやすい服に着替えて来いって言ったんじゃない。でもまぁいいわ。私の予想は大当たりみたいだしね?」

 

 

 

紫が第五訓練場の少し離れた場所に目を向けると3人の男達がおり、その内2人が争っており残りの1人はそれを眺めている。3人共正義の文字が書かれたマントを羽織っており、1人はクザン。そして紅いスーツを着て胸元に薔薇を飾っている海軍帽をかぶった男・・・サカズキ中将と、同じくスーツ姿ではあるがどっかのマフィアっぽい服装の男・・・ボルサリーノ中将だ。

 

 

 

「いやいやいや俺はこれから仕事あるから!そりゃもう滅茶苦茶忙しいから!!だからその手を離せよサカズキ!!」

 

 

「なんじゃぁクザン。いつもいつも仕事をサボッちょる癖して、たかが1人の女海兵との模擬戦に何腰が引けとるんじゃ?ええ加減にせんかクザン!!」

 

 

「そうだよクザン〜。何をそんなにビビってるんだい〜?」

 

 

「ガープさんが連れてくる実力有りの女海兵となると俺には1人しか心当たりねぇんだよ!!」

 

 

 

サカズキが逃げようともがいているクザンの首元をガッチリ掴み、サカズキとボルサリーノはいつもと違うクザンの反応に疑問符を浮かべている。

私はその様子にちょっとムッとしながらも隣に立つガープに話し掛ける。

 

 

 

「やっぱり、あの3人との模擬戦の事だったのねガープ?」

 

 

「なんじゃ気付いとったのか?」

 

 

「えぇ、まぁそこにいる1人の()大将さんは予想外ではあるけどね?」

 

 

「なんだ?気付いてたのか?やはりお前は一味違うようだな」

 

 

 

紫が目を向けた柱の後ろから2週間程前に大将を辞め、今では訓練兵の鬼教官として過ごしている紫髪の老兵、ゼファーが現れた。

私はこの男を生前から知っている。かなり有名人だった為ある程度の事は耳に入った。原作では確か海賊に奥さんと息子さんを殺されて大将を辞任したらしいけれど、普通に元気に過ごしているのよねぇ?たまに私にも会った時良くして貰っているから念の為保険としてちょっとした術を掛けたけど。やっぱり漫画と現実では違う部分もあるのかしら?

 

 

 

「そう言う貴方もなんでここにいるのかしら?他の訓練兵達はいいの?」

 

 

「あいつらは他の奴に任せてある。それに俺個人としてもお前の戦い方に興味があったからな」

 

 

「あらあら。これは私も張り切らないとね?」

 

 

 

紫が口元を隠しながらクスクス笑っているとガープが声を掛けてきた。ゼファーはまぁ頑張りなと手を振りながら離れた場所に行ってこちらを眺めている。

 

 

 

「おい紫!準備出来たぞ!今回お前さんと模擬戦するクザンと、同じく中将のサカズキとボルサリーノじゃ!」

 

 

「よろしくね御三方。私は八雲 紫よ。今回はよろしくお願いしますわ」

 

 

「ゲッ!!?やっぱり紫嬢かよ・・・・」

 

 

「おぉ〜随分と可愛らしい海兵だねぇ〜?あっしはボルサリーノだよぉ」

 

 

「儂がサカズキじゃが・・・ガープさん?本気で儂らとこの女と模擬戦するんですかい?」

 

 

 

サカズキは紫の容姿を見てガープに確認する。紫は相変わらず口元を扇子で隠しており、今は日傘も差している。ガープは本気で自分3人と模擬戦をするのかと聞いてくるサカズキに対して笑いながら本気だと言った。

 

 

 

「ぶあっはっはっはっは!!!本気も本気じゃ!おいお前等!本気でかからんと痛い目を見るぞ!?ほれ!配置につけい!!」

 

 

「ほぉ?ガープさんがそれ程言うなら期待してええんですかい?」

 

 

「えぇ、退屈なんてさせてあげないわ。さぁ始めましょうか?」

 

 

 

紫とサカズキ達3人はそれぞれ離れた場所に立ち、ガープはそれよりかなり離れた場所に立って審判役を務める。クザンももう逃げられないと諦めたのか最初から本気で行く気のようで辺りに冷気を発している。

 

 

 

「両者準備はいいな!?相手を降参または気絶させたら勝利じゃ!!では・・・・始めぃ!!!」

 

 

氷河時代(アイスエイジ)!!」

 

 

 

ガープが合図をした瞬間クザンは地面に手をついてそこから地面を凍らせる。サカズキとボルサリーノは問題なく躱し、紫も空中にフワリと浮かぶ事で回避する。

 

 

 

「あらら、やっぱり躱されちまったか。飛ばれる前に片を付けたかったんだが・・・」

 

 

「ふふふ、私がそんなものに捕まるわけがないでしょう?次は私の番ね?頑張って躱しなさいな」

 

 

 

そうして紫は苦無型の弾幕を四方八方にばら撒き始めた。ちゃんと建物に被害が出ないよう弾幕に制限はかけているから問題なくばら撒いている。飛んで来る無数の弾幕にクザンは慌てて氷の盾を作り武装色の覇気で強化した。

 

 

 

「ん?何しとるんじゃクザン?儂らにあんなもんは通用せんじゃろう?」

 

 

「バカ!早く避けろ!あれは俺達にもダメージが通る!!」

 

 

「何じゃと!?グッ!!!」

 

 

「えぇ〜サカズキ〜?冗談キツイよ〜・・・」

 

 

 

無防備な状態でモロに弾幕を受けてしまってサカズキは吹き飛ばされた。クザンは言わんこっちゃねぇとサカズキの前に同じく氷の盾を作り防御し、ボルサリーノはサカズキが吹き飛ばされたのを見てピカピカの実の能力で躱し始めた。

 

 

 

「へぇ?ボルサリーノ中将は光の能力・・・となると貴方はピカピカの実の光人間ね?なら、スペルカード!罔両『八雲紫の神隠し』!」

 

 

 

紫の手に出現したカードが光を発し、紫の姿が6方向に放たれたレーザーと3方向に放たれた大型の弾幕とそれに続く中型とその一回り小さい弾幕。そして四方八方に拡散した小型の弾幕を残して消えた。

 

 

 

「あれ〜?おっかしいね〜?消えちまった・・ッ!!?」

 

 

 

ボルサリーノがそのレーザーと弾幕をなんとか躱しながら紫の姿を探すも、背後に突然現れた紫が放った先程と同じ弾幕とレーザーの直撃を受けて吹き飛ばされた。

 

 

 

「おぉ〜痛いねぇ〜・・本当にダメージが入るみたいだねぇ〜?「私と戦っている時に余所見は禁物よ?」ッ!!?グハッ!!!」

 

 

 

なんとか体制を持ち直しダメージの確認をするも、また背後に突然現れた紫と放たれた弾幕の直撃を受けて吹き飛ばされ、建物の壁にぶつかって気絶した。

 

 

 

「ボルサリーノ!?やられんの早すぎだろ!!おいサカズキ無事か!!?」

 

 

「グッ!おんどりゃあ!やってくれたのう!!流星火山(りゅうせいかざん)!!」

 

 

 

なんとか持ち直したサカズキが両腕をボコボコとなる灼熱のマグマに変え、マグマの拳の塊を空に打ち上げ紫を狙う。だが紫は慌てる事なくスキマを開いてその全てを呑み込んだ。サカズキは驚愕し、クザンは苦笑いする。

 

 

 

「向こうの攻撃が激しいし能力関係無くダメージ入るから下手に近付けないし、かと言って遠距離攻撃はあの不気味な空間に丸呑みされる・・・こんなのにどうやって勝ちゃいいんだ?」

 

 

「フン!ならダメージ覚悟で接近して接近戦に引き摺り込むまでじゃ!!」

 

 

 

サカズキは襲い掛かる弾幕を躱し、その身にいくつか受けるかしながら紫に近付いて行く。

その光景に弾幕を放ちながら紫は困っていた。自分としてはあまり接近戦は得意じゃないし、実戦なら掴まれたりしてもスキマで腕ごと入れば腕は切断されるけどこれは模擬戦。やるわけにはいかない。まぁそれでも本気のガープと互角以上の戦闘能力はあるが・・・・

 

 

 

「おぉぉぉぉぉ!!!犬噛紅蓮(いぬがみぐれん)!!!」

 

 

「あらあら、これは受けたら流石に暑苦しそうねぇ?」

 

 

 

ボロボロになりながらも接近し、片腕をマグマで出来た犬の顎門に変えて紫を襲うサカズキ。決まったと思ったのも束の間、紫の姿がまるで最初からそこに居なかったかのように掻き消えた。慌てて周囲を探すと既に紫の弾幕に完全に包囲されており、紫は片手に持った懐中時計を見ながら笑っていた。

 

 

 

「最後の一手が甘かったわね。それにダメージを受けながらの接近は愚策よ?じゃ、お休みなさい」

 

 

 

紫はそう言い残し、指をパチンと鳴らす。すると弾幕が動き始め、その全てがサカズキに命中してサカズキは気絶した。そして最後に既にボロボロになった氷の盾の後ろで冷や汗をダラダラ流しているクザンをみる。

 

 

 

「ふふふ♪最後は貴方ね?さ、続きを始めましょうか?」

 

 

「いやいやいやいや!!どうやって勝ちゃいいんだよ!!?ガ、ガープさん!こ、降さムグッ!?」

 

 

 

ガープに向かって降参と言おうとしたクザンの口に紫がスキマを通して一枚の札を貼り付けた。するとクザンの声が全く聞こえなくなり、本人が剥がそうとしても全く剥がれなかった。

 

 

 

「ふふふ♪ここまで来て今更降参なんてさせないわ。さあ、次行くわよ?」

 

 

「ーーー!!ー!ー!ーーーー!!!(ふっざけんなこの年齢偽造者!!ガープさん!ゼファー先生!お願いですから助けて下さい!!!」

 

 

「・・・・なんか失礼な事言ったわね?手加減辞めて殺す気でやろうかしら?スペルカード!境符『色と空の境界』!」

 

 

 

紫がスペルカードを発動させ、計三段階のレーザーを四方八方に放ち、その後に360度全ての方向に向かって弾幕をばら撒かれる。それから1時間もの間、第五訓練場にクザンの声に出来ない虚しい悲鳴が響き渡った気がする。


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