萌えもん~multi travel~   作:マクドール

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ここはタンバシティ。荒波寄せる海の町。


第一部
薬屋の息子-1


 

 

 

 

萌えっともんすたぁ…縮めて萌えもん。

 

この世界には萌えもんと呼ばれる生き物達が至る所に住んでいる!

 

人は萌えもんと仲良く遊んだり、一緒に戦ったり………助け合いながら暮らしているのじゃ!

 

そして…

 

萌えもんを旅のパートナーにして世界を巡る人達もおる!

 

………そんな彼等の物語。

 

 

 

 

 

 

もう波の音と人々の喧騒が小さくなっている。そんな中、母の声が僕の耳に届く。

 

 

「ねぇ…本当に旅に出ないで良かったの?父さんは反対してるけど私は少しくらいなら旅に行ってもいいと…」

 

 

「…いいんだ、母さん。そう言ってくれるのは嬉しいけど僕はここの後継ぎとしての修行がある。まだ薬の勉強をしてたいな」

 

 

空が暗くなっていく頃、母さんの誘いに対して僕はそれを拒否した。僕には自分の家の手伝いがあるからね。そう伝えると母は何処か憂いを帯びた顔で僕を見る。それから目を逸らすかの様に僕は自分の部屋へと戻ろうとする。

 

 

「ならいいのだけれど…前に旅に出たいって言ってたから」

 

 

「いいんだ、気にしないでくれ。…僕はもう寝るよ」

 

 

僕の名前はドラ。ここ…タンバシティにある老舗の薬屋の息子だ。母は一月前までずっと旅に出たいと言っていた僕に対して気を利かせてくれたのだろう。だけど…

 

 

 

 

 

 

母と別れ僕は自分の部屋に戻ると相棒のツボツボの「つー」がいた。つーは家で仕事の手伝いをしてくれいる萌えもんだ。彼女は戻ってきた僕を見ると眠そうな眼にのんびりとした口調で告げる。

 

 

「ドラちゃーん。寝よー。つーは疲れたー」

 

 

そう言ってつーは自身のの隣に敷いてある布団を軽く叩く。…確かに今日の仕事手伝いは大変だった。つーが疲れるのも無理はない。

 

 

…それなら好都合だ。僕はつーの誘いに乗り、布団に入ろうとする。

 

 

「うん。僕も寝るよ。おやすみ…つー」

 

 

「…んー」

 

 

僕がそう答えるとつーが布団に入る。それを確認した僕も隣の布団に入る。…今日の僕は寝る気はないけどね。

 

 

 

 

………暫くしてつーが寝たのを確認し、僕はゆっくりと起き上がる。そして忍び足で部屋の中を歩く。部屋の電気も消えている薄暗い中で僕は押し入れに隠してあったリュックを取り出す。そして一月前から少しずつ準備してきた中身を確認していく。…特に問題はなさそうだ。

 

 

僕は大きなリュックを背負いこっそり部屋の窓から外に…家の外出る。

 

 

 

そう…

 

 

僕はこっそりと旅に出るのだ。

 

 

 

 

 

 

僕は前から旅に出たいと考えていた。しかし家は老舗のタンバの薬屋。父は猛反対していたし、母もあまり乗り気ではなかった。

 

 

なので今日母が旅に関して声を掛けて来たのは驚いた。僕の計画がバレてしまったのではないかと思ったからだ。

 

 

子供の頃から一人で旅に出るプランは考えていたがここタンバは海を渡らなければ一番近くの町であるアサギまで行けない。そして一人で海を渡るのは無謀であり、どうすれば外の町に出られるか頭を悩ませていた。

 

 

しかし、約一ヶ月前ここジョウト地方にある出来事が起こる。

 

 

…大規模な地震だ。

 

 

その地震によりタンバの脇に大きな穴が空き、洞窟が出来たのだ。どうやらそこはジョウト地方の各地に繋がっているらしい。

 

 

以前うちの薬屋に来た客がその洞窟から来たのだと言っていた。その話を聞いた僕はこれを利用しようと密かに準備を始め、そして今日が決行の日だ。

 

 

僕は夜の静かな浜辺を歩き、その洞窟前まで着いた。用意していたゴールドスプレーを使おうとしたその時…

 

 

「ドラちゃーん。…どこ行くの?」

 

 

 

 

聞き覚えのある声が聞こえる。

 

 

その声に振り向くとつーが立っていた。…何故つーがここにいるのか。いや、それを考えるのは後だ。幸いのんびり屋なつーなら言いくるめられるだろう。

 

 

「お、つーか。ちょっと気分転換だよ。すぐ戻るから先に…」

 

 

「旅、出るんだー。ふーん…」

 

 

つーは僕の行動の核心をついてきた。

 

 

その上普段のぼーっとしたような目ではなく、鋭い目付きでこちらを見つめてくる。妙に考えも鋭いしいつものつーらしくないな…

 

 

「いや、行かないよ。つーと一緒に薬屋の修行するって前に…「嘘は良くないよー。ドラちゃん。家に戻って知らせてくるよー」

 

 

「そしたらさー。パパさんは怒るだろうしー、ママさんは悲しむよねー。ドラちゃんも薬屋の修行漬けだろーねー」

 

 

「多分もう旅になんか出れないねー。まぁつーはそれでもOKなんだけどー」

 

 

僕の言葉に被せてつーが話を続ける。これもいつものつーらしいくない。…これは脅しているのか。確かにつーの言う通りだ。もし両親にこのことがバレたら僕の旅の夢は消えてしまうだろう。

 

 

「…何が目的かな?好物のきのみジュースなら部屋にあるの全部飲んでも…「要らない」

 

 

僕の懐柔案に対し、きっぱりと断られてしまった。また普段からは考えられない口調だ。

 

 

そんなつーの普段とは違う様子と僕の旅の計画がバレてしまったことに混乱していると。つーは溜め息をついて静かにこちらへの距離を詰めてくる。…それが何か恐ろしいものの様な感覚を僕は覚える。

 

 

「…別にねー、つーは旅を止めたい訳じゃなくてねー」

 

 

「ドラちゃんと離れるのか嫌なのよー」

 

 

「だからねードラちゃんの選択肢は二つ。つーと家に戻るか、旅に行くかだよー。それ以外は認めないからー」

 

 

…え?旅に?つーが?………つーのことに関してだが考えていなかった訳ではない。最初は連れていこうか考えだがつーは家の萌えもんだ。勝手に連れていく訳にはいかない。その為僕は声は掛けなかったのだ。

 

 

「いや、つーは家の萌えもんだ。だからそれは…「つーはドラちゃんの萌えもんだよー。薬屋の萌えもんじゃなーい」

 

 

「どーする?つーはドラちゃん連れ戻して一緒に薬屋の修行でもいいんだけどなー」

 

 

つーは依然としてこちらを鋭い目付きと僕の言葉など関係無いと言わんばかりの口調で僕を見つめ…問うてくる。

 

 

 

 

…しょうがないか。つーも引く気はないようだ。僕が折れるしかない。別につーが来てくれる分には助かるのだ。つーを勝手に連れていったことによる両親の怒りが怖いがそれはこの旅に出る決意をしてるからには覚悟の上だ。

 

 

「…分かった。行こうかつー。なら早く行かないとな」

 

 

そう言うと彼女の目が普段のぼーっとしたものに変わる。

 

 

「…うんー。行こー。ドラちゃーん」

 

 

つーは間延びした口調でそう言うと、洞窟へ入ろうとする僕の後ろにゆっくりと続くのであった。




つー(ツボツボ)
性格:のんき
タンバの薬屋の家の萌えもん。様々な仕事の手伝いを行っている。いつものんびりしており間延びした話し方をする。好物はきのみジュース。ビジュアルとしては金のミディアムヘアーで赤のワンピースを着ている。
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