地下の長い洞窟を抜けるとそこはエンジュシティであった。どうやら僕達は無事にエンジュシティに着くことが出来たみたいだ。
「おー、本当にエンジュシティとはー。あのお客さんの話は本当だったねー。驚いたよー」
僕の後に洞窟から顔を出したつーは本当に驚いているのかどうか分からない声で喋っている。
「でー、ドラちゃんー。これからどうするのよー。…観光でもするー?」
「それもしたいけど…まずは萌えもんセンターに行かないとな」
エンジュの観光という大きな誘惑に耐えながら旅の計画の当初から考えていた僕がしないといけないことをまず実行に移そう。
「まずトレーナーカードを作らないとな」
~
「トレーナーカードですね。まず身分証明書を…はい、大丈夫です。ではこちらの記入をお願いします」
「ありがとうございます」
エンジュの萌えもんセンターの職員さんから貰った用紙を手にして僕はセンター内の椅子に座る。
つーが僕の横に座り用紙を眺めている中、中身を書き進めている時…とある所で僕のペンが止まる。
「ほ、保護者印…」
どうやらトレーナーカードの作成には保護者印が必要らしい。よく見ると僕の記入用紙の端に未成年用と記載されているのが原因みたいだ。
「………どうしよ」
今更家に戻る訳にはいかない…。がトレーナーカードが無ければトレーナーとしてのサポートを受けることが出来ない。僕達には必需品なのだ。
何か良い考えはないか…。頭を抱えて考えを巡らせているその時…
「…ほーれ」
つーが用紙にポンと何かを押す。急に何かをしたつーに驚きながら僕はつーと用紙を交互に見る。
つーの手には印鑑が、用紙には保護者印が押されていた。
「つー、それは…」
「必要になるだろーとは考えてたからねー。家のスペアをねー、持ってきたー」
そう言って、つーは印鑑を懐にしまう。
「助かったよ、つー。あ…一応印鑑は僕が…」
「えー」
「えー、じゃない。ほら…」
「つーが厳重に保管しまーすー。ドラちゃんはこれが無かったらさー用紙埋められなかったんだよねー」
うっ、そう言われると厳しいものがあるな…。
「さー早く出してきなよー」
若干納得がいかない部分もあるが用紙を埋められたのはつーのお陰であることは事実だ。僕はその用紙を手にして先程の職員さんの所へ向かう。
~
「へへ…」
僕は出来立てホヤホヤのトレーナーカードを手にして少し頬が緩む。これで僕も念願の萌えもんトレーナーだ…!
「次は…」
僕はセンター内の地方マップに目を向けそちらに向かう。行き先はどうしようか、何をしようか…それを考えよう。
「すみません。ちょっと失礼…」
「あ、ごめんなさいね」
マップの前に立つと隣から同い年くらいの女の子の声がする。同じく僕と同じでマップを見ていたのだろうか。
大丈夫ですよ、そう声を掛けようとしたが彼女と側の萌えもんはその場を離れてしまい言うタイミングを逃してしまう。
「さてードラちゃん。どうするのー」
僕はつーの言葉でその少女から地方マップに目を通してエンジュの周りを調べる。…うん、ここが良いな。
「僕が考えてるのは…ここかな」
マップの一部分を指差す。つーは指差した場所を見て何も言わない。
…つーが何も言わないなら行き先はここで問題無さそうだ。