滝の流れる音だけが聞こえる。
「………」
「…おい、どーすんだよこれ。お前のせいだぞ」
「いや、ケイブさんのせいでしょ」
俺は不機嫌そうながらフラッシュを使っているリリーラの後ろを歩きながらアノプスとコソコソ話をする。
ここスリバチ山はエンジュとチョウジを繋ぐ42番道路にある大きな山であり、俺の主な活動拠点であるチョウジの研究所に戻るためにはここを通らなければならないのだ。その中の洞窟は薄暗く、フラッシュが無ければ周りを見渡すことは難しいだろう。その為リリーラにフラッシュを使って貰っているのだが…
「いや、アノプス。お前の発言のせいだ。さっきまでは機嫌直しかけてただろ」
「お、俺は事実しか言ってないぞ!」
「言わなくていいこともあるんだよ。ったく…」
俺はそう愚痴りながら先程のことを思い出す。確かエンジュの萌えもんセンターを出た時にはリリーラは疑いの目線を向けていたがエンジュの町を回ってる内に落ち着いたのかいつものリリーラに戻ってた…筈だ。俺は安心してチョウジに戻ろうとした時…アノプスが口を滑らせた。
何が『まぁ確かにケイブさんあの子の体、探ってたよねー』だ。確かに彼女の詳細を知るために探りはしたがその言い方だと完全に犯罪者じゃねーか。
それを聞いたリリーラは不機嫌な状態に逆戻り。俺はまた疑いの眼差しを受け、アノプスはリリーラの八つ当たりで瀕死になりかける事態だ。アノプスの奴は瀕死のままにしておこうか少し考えたが流石に可哀想なので一応回復はしてやった。
「悪かったよ…。で、彼女何だったの?あんな所で倒れてるなんて…」
「まぁそれが気になったからトレーナーカードを見させて貰った。そしたらさ…まずあの子はホロン地方出身らしい」
「ホロン地方って前に言ってたジョウト地方の北側の?」
「お、よく覚えてたなえらい、えらい」
俺はアノプスの頭上に手を置きポンポンと叩く。「や、止めろよー」と言いながらアノプスは満更でも無さそうだ。
因みにその時にリリーラの眼光が増したのに俺は当時気が付かなかった。因みにこの後俺はリリーラと二人きりでチョウジ名物いかりまんじゅうを食べに行くことで機嫌を直して貰うんだが…まぁそれは別の話だ。
さて話を戻そう。倒れていた彼女についてだ。
「多分前に発見したカンナシティ方面の道から来たんだろうな。で、えーとあの子はな………んー…?」
「…?何だったんだ?」
…こいつにも分かる様に言うのがちょっと難しいな。俺はなるべく簡単で分かりやすい様にアノプスに伝える。
「ホロって名前らしいが…あの子は…ホロン地方のお嬢様…いや、お姫様みたいなもんだ。地下洞窟にいること自体がおかしい。そんな存在だ」
「しかも護衛を付けず一人で、だ。あっちで何かあったな、これは…」
話している内にスリバチ山の道が終わり、フラッシュ無しでも辺りを見渡せるようになる。しかし俺の推理はまだ纏まるまで時間が掛かりそうだ。