「ねーエレ殿ー」
「何ですか。ヤド」
用紙を記入する私の後ろからエレとヤドの話し声が聞こえる。最初は二匹が仲良く出来るのか少し不安だったがどうやらそれは杞憂だったようね。話を小耳に挟みながら用紙を書き進める。
「普通のヤドンはどの様な技を使うんですかなー」
「私のイメージですが…水鉄砲や念力のイメージがありますね」
「ふむふむ、それなら使えるー」
「後は、怠ける………いや、瞑想とかですか?よく考えてるイメージがあります」
怠けると言わなかったのはエレの気遣いなのだろうか。別にヤドは気にしないと思うけれど…。話を聞きながら私は用紙の一部分に『(エレブー)使用技電気ショック、睨み付ける、電光石火、瓦割り』と書き込む。…瓦割りは書き込んでいいのか微妙だがエレには他に書ける技もない。
「瞑想ね、使えるー」
私はそのあっさりしたヤドの返答に何処か違和感を覚える。この子、ヤドンの技を聞くというより自分の技を聞いているように感じられるのだ。私の用紙を書く手が止まる。
「後一つくらい技はありますかな。エレ殿」
「そうですね。…」
「冷凍ビーム。普通のヤドンなら使えるわ」
エレが考えている間に私が冗談交じりにそう答える。後ろからエレが呆れた表情でこちらを見ているのだろうか。視線を感じる。
「マスター、冷凍ビームは無いですよ…」
「冷凍ビームね。使えるよー」
「…は?」
私への呆れからヤドへの驚きに変わるエレを置いて私はヤドに聞く。
「…分かったわ。今の四つで書くわよ。ヤド」
「どうぞー」
『(ヤドン)使用技、水鉄砲、念力、瞑想、冷凍ビーム』…っと。これで用紙が埋まった。私は用紙を手にし、用紙をくれたお兄さんの元へ向かう。
「お待たせしました。これで大丈夫でしょうか?初めてなのでよく分からないのですが…」
お兄さんは用紙を受取り、中身を見ると顔を上げ私にこう言った。
「大丈夫ですよ。今の状況ですと…約10分後に」
「キキョウジムリーダーへのバトルが始められます。頑張って下さい」
「分かりました」
さぁ、初めてのジム戦ね!
~
私には詳しくは分からないけれどジムリーダーへの挑戦というものは…公式戦とかで色々規約があるらしい。簡単に挙げると…
・使える技は4つまで
・道具使用禁止。但し持ち物として持たせ使用することはOK
・制限時間があり、制限時間まで経つとジャッジによる勝敗判断が下される
ここら辺だろうか。他にも色々書いてあったが私には関係無さそうな技についてであり、面倒臭いから読み飛ばしちゃった。てへっ!
後、重要な要素が一つ。挑戦者のバッジ所持数でバトル形式が変わる…らしい。私はまだバッジ0個。この場合は1対1か2対2を選択出来る。
少し迷ったが私は2対2を選択した。手持ちにエレとヤドの二匹いるし。
又、ジムリーダーの使う萌えもんも挑戦者によって変わるようである。ある程度挑戦者の力量に合わせるという規定らしい。手加減されているということだが…私にはとても有難い。まぁジムリーダーが初心者相手にガチで戦うのも大人気ないってことかしら。
そんなことを思い出してる内にジムバトルの時間になったようだ。私はバトルフィールドのある部屋へ向かう。
~
そこにはキキョウジムのジムリーダーハヤトさんが待ち構えていた。横にはジャッジマンもいるようだ。ジムリーダーの顔付きはジムの看板に載っていたものにそっくりだ。…って本人なのだから当たり前か。
「俺がキキョウジムリーダーのハヤトだ。今回はよろしく頼む」
「挑戦者のセーレです。こちらこそよろしくお願いします」
相手の挨拶に対し私は返事をする。不思議と緊張はしていない。一人では緊張していただろうが、私には仲間がいるのだ。
「俺は飛行タイプのジムリーダーでね。…君はジム戦は初めてみたいだが大空を華麗に舞う鳥萌えもんの本当の凄さを見せて上げるよ!」
「では…バトル開始!」
ジャッジマンの試合開始の合図を見て私は腰に付けているボールを一つ投げる。ボールが地面に落ちると光と共に…私が先発に決めていた萌えもんが現れた。