「さてさて、お相手さんは誰かな?」
頭の被りものを押さえながらヤドが呟く。ゆっくり周りを見るヤドに上から急接近する影に私は気がつく。
「ヤド、もう来てるわ!」「ポッポ!電光石火!」
相手の萌えもん…ポッポは素早い動きでヤドにぶつかる。その衝撃にヤドは吹き飛ばされるが、素早く立ち上がる。
その一方、相手のポッポは冷静に上空で機を伺うように飛び回っている。私とヤドは上空に目を向ける。
「速い…。ヤド、大丈夫?」
ヤドにも目を向けると、ヤドは土埃を払いながら相手を見据える中私に返答した。
「平気平気、さぁ指示をー」
「…よし、冷凍ビームよ!撃ち落としなさい!」
私は飛行タイプに有効である氷タイプの技を指示する。するとヤドは一拍貯めた後に冷凍ビームをポッポに発射した。
「!ポッポ、来るぞ」
ハヤトさんは冷凍ビームが発射されるとすぐにポッポに呼び掛ける。ポッポは頷き先程よりも素早い動きで上空を飛び回わる。
冷凍ビームがポッポの横を通り、空を切る。外したのだ。
「そのまま攻撃だ」
トレーナーの指示を受けたポッポが再び上空からヤドに接近。先程と同じ様にヤドにぶつかり、そしてすぐに上空に退避し距離を取ってくる。
………私達の攻撃が避けられ、相手の攻撃を一方的に受けている。非常に不味い状況だ。私は息を呑む。
「やー、どうしましょ。当たりませんなぁ」
ヤドはのっそり立ち上がり、全く追い詰められていることを感じさせない口振りで話している。ヤドはこの状況を分かっているのだろうか。
「当たりませんなぁ…じゃないわよ!一方的じゃない!」
「いや、それをどうにかするのがマスターさんの指示でしょ」
ヤドが他人事の様にそう答えた。…その言葉に私は目が覚める。
…確かにその通りだ。その言葉を受け、私は考えを巡らせる…まず相手の戦法は飛行による空中を用いたヒットアンドアウェイだ。私やヤドでは付いていくことすら出来ない。ならば…
「ヤド、慌てなくていいわ。一発当たればこっちのものよ。…次は水鉄砲。そしたら多分突っ込んでくるわ。そこに…」
私は小声でヤドに作戦を伝える。作戦を聞いたヤドはゆっくりと頷いた。その間にもポッポは上空を飛び回り、こちらの隙を伺っている。
「ふむ、悪くないですな。それで行きましょうかー」
ヤドはポンと水鉄砲を上空に放つ。ハヤトさんはヤドの動作からか攻撃を読み取り素早くポッポに指示を出し、それを受けたポッポは水鉄砲を悠々とかわす。
そのかわした際の勢いでこちらに向かってくる。先程と同じ電光石火だろうか。
この素早い攻撃をヤドに避ける術はない。同じ様に吹き飛ばされ、そしてポッポは上空に退避を
…させない。退避しようとするポッポの動きが止まるとまではいかないが鈍る。
念力。ヤドはこの攻撃を受けた上で念力で相手を拘束しようとしたのである。最初の水鉄砲は牽制、本命はこの念力だ。
拘束までは出来なかったが十分に動けないようだ。ヒット後のアウェイをさせない。そういう作戦だ。
「…っ、動きが」
ハヤトさんもこちらの作戦に気がつくがもう遅い。
「…捕まえましたぞ、マスター」
ヤドはゆっくりと立ち上がり、力を貯めている。私はその貯めている力に答える様に力強く指示を出した。
「冷凍ビーム!!」
冷気を纏ったビームがポッポに直撃。離脱しようとしていたポッポを撃ち落とす。…地に落ちたポッポは目を回している。
「…ポッポ。戦闘不能!」
「…やりましたなー」
私の中ですっかり存在を忘れていたジャッジマンがそう宣言する。ヤドも何時もの様な口調だが喜びを露にしている。
「…ポッポ、お疲れ様。中々やるじゃないか、でも次はどうかな?」
ハヤトさんはポッポをボールに戻し、二体目の萌えもんを出そうとボールを投げた。そう、後一体いるのだ。
「行け!ピジョン!」
ボールからポッポの進化系であるピジョンが現れる。先程と同じ…いや、それ以上の速さで上空で飛び回っている。
「まずはそのギリギリのヤドンを落とせ!イーブンにするぞ!」
ピジョンが近付いてくる。…ギリギリ?ヤドは何時もの様な感じで…私はヤドの方を見る。その時、ヤドがまた吹き飛ばされた。
今度のヤドは素早くも、のっそりとも、ゆっくりとも起き上がらない。
「これで電光石火四回だ。キツイだろうさ」
ハヤトさんはそう呟く。私はヤドに呼びかけるが、ヤドは起き上がらない。そして…
「…ヤドン。戦闘不能!」
…ジャッジマンの宣言が行われた。