萌えもん~multi travel~   作:マクドール

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ここはワカバタウン。始まりの風が吹く町。


理科系の女-1

…良いものが手に入ったわ!

 

 

私はそれに浮かれるような軽いステップでこの町一番の大きさの研究所を後にする。外に出ると私は先程貰った機械を確認する。

 

 

「ふーん、これが萌えもん図鑑ねー。早速だしエレも覗いてみましょうか!」

 

 

この研究所の博士…ウツギ博士から貰った萌えもん図鑑で私は隣にいる萌えもんをチェックする。萌えもん図鑑を向けられた私の萌えもんは少し驚きながらも動かずにいてくれる。

 

 

…すると図鑑の画面に萌えもんのデータが映し出される。

 

 

『No125、エレブー。でんげき萌えもん。つよいでんきがだいこうぶつでおおきな はつでんしょなどにしばしば あらわれる』

 

 

「…なーんだ。あんまり大したこと書いてないじゃない」

 

 

もっと萌えもんの凄い秘密とかを教えてくれたりするのではないのか…。私がそう呟くと隣の萌えもん…エレブーのエレが私の呟きに反論した。

 

 

「いえ、それはマスターが私のことをよく把握しているからそう感じるだけです。これは凄いですよ。見知らぬ萌えもん相手にも情報を獲得出来るのですから」

 

 

まぁ…確かにエレの言う通りかもしれない。しかし今のエレの私への呼び方に対して、私はここ…ワカバタウンに来てから何度目かも分からない注意をする。

 

 

「あーっ!そのマスターっていうの禁止って言ったでしょ!セーレって呼びなさい!」

 

 

「すみません。マスター。これからはセーレと…「呼べてないじゃない!」

 

 

…やはり駄目だ。エレは直す気はあるらしいがいつもの癖でマスターと呼んでしまうようだ。全く…

 

 

「…もう私達は仕事も辞めて対等な関係なの!これからは私の輝かしいトレーナーライフが始まるのよ!」

 

 

そう、私はかつてシルフカンパニーという会社で働いており自分で言うのも何だがエリートコースの人間だったのだろう。当時の私は若くしてかなり上の立場にいた訳だし。…多分。

 

 

しかし過去…と言ってもほんの少し前に私は会社がある事件に巻き込まれその時にポケモントレーナーになりたいと思い、社長に辞表を叩き付けてやった。今側にいるエレとはシルフ時代からの関係であり、この呼び方もその時からのものだ。

 

 

「すみません。マスターそのことに関してなのですが…」

 

 

「…何?」

 

 

そのことというのは先程私が話したトレーナーライフのことかしら。………私はエレへの指摘を諦めてエレの質問に耳を傾ける。呼び方に関してはもう突っ込むのも疲れた。一旦スルーしよう。

 

 

「幾つか疑問がございます。何故旅の出発点をこちらに?ジョウト地方ならばコガネシティ或いはエンジュシティ等が望ましいかと」

 

 

「エレは頭が固いわねー。ここワカバは始まりの風が吹く町よ!始まりにぴったりじゃない!」

 

 

そう言うとエレは困惑した表情で私に聞いてくる。

 

 

「マ、マスターがそんな非論理的な理由でここを…?」

 

 

「うん。そうよ」

 

 

………エレは呆れた表情だ。まぁ昔の私のことを知っているエレからしたら考えられない様な理由だからだろう。それを聞いたエレは小さく息を吐き、質問を続ける。

 

 

「………では次の質問です。私の知る限りではポケモン図鑑は非常に希少なものだったと把握しております。何故ウツギ殿から頂けたのですか?」

 

 

「ウツギ博士の所とシルフはちょっとしたコネがあるのよ。何か試作品のボールやらアイテムだとかでね。彼は進化の研究で有名だから、私が持ってる色々なアイテムと交換してもらったわ」

 

 

「成程。先程私が持っていた箱の中身はそれでしたか」

 

 

あの研究所の博士…ウツギ博士には私が会社時代に入手したアップグレードとかブースターとか色々渡しておいたのだ。まぁ今の私には使い道無さそうだから渡してもいいでしょ。…何か萌えもんに対して使い道のある道具らしいが。

 

 

私の回答を聞いたエレは更に質問を投げ掛けてくる。…まだあるのか。

 

 

「では最後の質問です。何故私がこの旅に同行しているのでしょうか?私はバトルは不得手なのですが」

 

 

「そ、それは…」

 

 

………

 

 

私は今まですらすらと質問に答えていたがこの質問対して私は言葉に詰まる。

 

 

その質問に対し、私はある事件を思い出す…

 

 

 

 

「貴方達、待ちなさい!私を置いて逃げるなど…」「社員は逃がすな!人質として捕らえるのだ!」「なっ…」「マスターお逃げ下さい!早く下の階へ!」「エレブー!?何故ここに!」「生意気な!やっちまえ!ゴルバット!」「くっ、マスター早く!」「え、えぇ…」

 

 

 

 

あの事件の時皆が我が身を優先する中、普段貴女に対し冷たく当たっていた私を戦えなくても守りに来てくれたから…

 

 

ってそんなこと恥ずかしくて言える訳ないじゃない!小っ恥ずかしくなり、頭をかきながらエレに答える。

 

 

「…な、なんとなくよ!…あ!でも電気タイプとか一番最初の相棒感あるじゃない!」

 

 

「はぁ…」

 

 

…何とか誤魔化せた。エレもとりあえずは納得してくれた様だ。

 

 

さて、何処から行きましょうか…。まだ新しい鞄からタウンマップを取り出し、ワカバタウンを探す…。そしてワカバタウンを見つけるとその周辺を指でなぞる。

 

 

「さて質問終わりなら行くわよ!タウンマップ見る限りだとヨシノが次の目的地よ!そしてキキョウ!まずはバッチ一個から狙ってくわよ!エレ!」

 

 

「了解です。マスター」

 

 

「あー!だから私のことはセーレと…」

 

 

やはりエレの私への名前呼びに関しては直るまで時間が掛かりそうね…。




エレ(エレブー)
性格:真面目
元シルフカンパニー所属の萌えもん。研究等の仕事手伝いを行っていたのでバトルに関しては頭の中のデータはあるものの動きは素人。ビジュアルは黄色髪のショートに黄と黒のパーカーを着ている。
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