萌えもん~multi travel~   作:マクドール

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ここは自然公園。緑豊かな憩いの公園。


虫取り大会-3

 

何かが私の頬を掠めた。

 

 

その事実に私は距離を取り、木の上へと退避する。

 

 

「んー…見切り間違えたかなー?」

 

 

「………」

 

 

前方の地面を蹴り上げ、私への間合いを詰める緑髪を束ねた彼女に語り掛けるが返答は無く、代わりに攻撃の手が飛んでくる。

 

 

私はその攻撃を左の刃でいなし、右の刃で彼女に辻斬りを狙う。

 

 

…が、その攻撃は不意な左腕の痛みにより精彩を欠いたものとなりあっさりと弾かれる。

 

 

やはり何かがおかしい。何も話さない彼女から目線を切らさず、距離を取る。…相手は私よりも力量は上かもしれない。やぶ蛇だったかー

 

 

「んー悪かったって。気持ち良く寝てる所邪魔しちゃってさ」

 

 

私は先程と同様に彼女に話しかけるが、彼女も同じ様に答えようとしない。…んー、つまんないな。その様子に少し苛つきながらも私は話を続ける。

 

 

「でもウチの気を感じる相手さんならさ、相手に取って不足無しだよ。やっぱり当たりだったねー、でも…」

 

 

「横のトレーナーさんも連れてくればいいのに。…肩に寄り掛かって寝てたから申し訳無いとか?」

 

 

その言葉に彼女の顔が少し歪む。…あ、この子のこと少し分かった気がする!ある意味私の見切りは成功したようだ。

 

 

「ごめんねー、愛しのトレーナーさんとの時間邪魔しちゃってね」

 

 

「…退け、小娘」

 

 

彼女が初めて黙りを解いた。…小娘ってあの子多分私と同じくらいだど思うけどなー。そんなことを考えていると凄まじい殺気を感じ、身が震える。

 

 

「今なら今までの言葉は全て冗談として流してやる。だがこれ以上冗談を言うなら容赦しない」

 

 

「………お、退いていいならウチは引かせて貰おっかな。あんたの方が力量高そうだし」

 

 

私はその言葉に心中で安堵しつつ、周りの草むら、木々から退路を考え出す。ここは私の庭だ。…考えは容易に纏まった。

 

 

 

 

強すぎる奴は相手にしない。

 

 

それが私のポリシーだった。何者にも怯まず挑む私の友人とは大違いだ。その私の戦い方から一部のトレーナーは『辻斬りストライク』と呼ぶが大層な名前だ。

 

 

 

私は唯臆病なだけなのに。

 

 

「んじゃ、失礼しますー。…愛しのトレーナーさん思いの萌えもんさん」

 

 

私は最後に言葉の爆弾を置き、予め決めた退路へ進む。…後ろから凄まじい殺気を感じたが気のせいでしょ、うん。

 

 

あ、この後この付近の草むらが彼女がストレス解消で暴れて荒れてたのには私は無関係です。

 

 

 

 

 

 

…虫取り大会終わり頃、恐らく最後の相手になるか。…今目の前のトレーナーと萌えもんは明らかに私より力量は低そうだ。

 

 

だが姿を隠していた私を見つけたというのは流石と言うべきか。

 

 

「見なさい、エレ!これが萌えもん図鑑の力よ!」

 

 

「本当に萌えもんサーチ出来たのですね。しかしそろそろ時間が…」

 

 

目の前の女性トレーナーは私を見つけると興奮した様子で話している。一方黄色髪の萌えもんは呆れた様子だ。

 

 

「この子捕まえれば問題無しよ!私はストライク一点狙いって言ったでしょ!」

 

 

「しかし何か捕まえて、保険はかけといた方が…」

 

 

「…保険とか糞食らえよ!今この子捕まえることだけ考えなさい。………多分力量は上だけどこのチャンス逃せないわ」

 

 

その言葉に私は自分を馬鹿にされた様に感じるがそれは私の考え過ぎだろう。どうやらこのトレーナーは私をゲットするつもりらしい。

 

 

「ハァ…分かりました。行きましょう」

 

 

目の前に萌えもんが構える。んー…私としては遊んでもいいんだけどねー。そろそろ友人との時間がなぁ…

 

 

「ん、悪いねー。じゃ」

 

 

「あっ、エレ!逃げるわ!追うわよ!」

 

 

「くっ…ここを逃がすと私のモーモーミルクが!」

 

 

彼女達は逃げる私を必死に追いかけるが追い付ける筈もなく、私は悠々と友人と待ち合わせの秘密の草むらに着き、友人を待つのであった。

 

 

 

 

 

 

その後友人と再開し、虫取り大会の終了後適当な口車で友人を送り出した私は秘密の草むらに一人でいた。

 

 

「さて、ウチはどうするかなー…」

 

 

カイロスちゃんはやりたいことを見つけ、あの大会荒らし(未遂)の少年の元に向かった。ま、カイロスちゃんの実力や性格なら彼女が変な意地を張らなければ問題なくあの少年とやれる筈だ。

 

 

私はどうしようか。友人が居なくなったこの公園は寂しいものだ。

 

 

…ふと今大会最下位のトレーナー三人を思い出す。あの中には私を必死に追いかけていたトレーナーもいたのを思い出す。

 

 

てか、あの三人の中じゃカイロスちゃんがあの少年で、あの緑髪がおっさんか…

 

 

なら私はあの女性トレーナー…

 

 

………いや、無いな。私が彼女達と一緒に上手くやれる保証は無いし…

 

 

そう考えていると『保険とか糞食らえよ!』…そんな彼女の言葉が私の頭の中を駆け巡る。彼女の言葉に臆病な私の意識は変わりつつあった。

 

 

…余り物には福があるといいなぁ。まぁ、まずこんな臆病な私を受け入れてくれるかだが…

 

 

「ま、なるようになるか」

 

 

私はこの公園で暮らすという保険を破り捨て、その場を離れるのであった。

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