※前後に分けると言ったな。あれは嘘だ。三つに分けまする。今回は後編の面子と比べてもそれなりのヤンデレ度。ヤンデレ度指標は
前編勢<中編勢=後編勢のイメージでお願いします。
~case5~
「マスター、どうしましょー?」
「ん、どうしたの?ヤド?」
ヤドが袖を引っ張っているのに気付いた私はヤドの方を向く。
「いやー、流行りのヤンデルスっていうウイルスに感染してしまったのですー」
「へー………え!?」
「んー、どうしましょー?」
ヤドは何事も無い様に私に話をしてくる。ヤンデルス…確かトレーナーへの好意が増大するウイルスという噂だ。あれ?何事も無い様にってことは…
「………私ってあんまりヤドに好かれてない?」
ポロッと心の中の声が出てしまう。がヤドは即座に否定した。
「それは違いますぞ。マスター」
「私はマスターのことを心から好いています。それは間違いない事実なのですぞ」
「あ、ありがとう…」
堂々と好きと言われることに私は照れる。何だ…ヤドも結構可愛い所あるじゃない…
「ですが」
「マスターは心から私のことを好いているのですかな?」
「マスターが望む私でしょうか?マスターが愛せる私でしょうか?こんな気まぐれでふざけた私はマスターの望む私では無いでしょう。…なら私はどんな私になればいいのでしょうか?やはりエレ殿みたいな真面目な方ですか?ライ殿みたいなふと弱さを見せてくれる方ですか?のんびり屋だけどマスターの支えとなれる方ですか?力を捧げマスターに献身的な方ですか?元気にマスターの心を癒す方ですか?黙って仕事をこなす方ですか?甘えてきて保護欲を掻き立てる方ですか?落ち着いてマスターの隣にいてくれる方ですか?」
「え…ヤ、ヤド…?」
「他にも色々な方がいるでしょう。さて…マスターが望み、愛せる方はどの様な方ですかな?マスターが望むどの様な方にも私…ヤドはなってみせましょうぞ」
「さて、改めて…どうしましょー?」
普段のヤドからは考えられない程の早口の独白が終わり、『私が望む誰か』になる前のヤドが真っ直ぐとこちらを見ている。
…その姿に私は絶望する。
ヤドはもうヤドでは無くなっていた。
…私が本当に望む誰かはもういない。
~case5 end~
コメント:ヤドは書いてる内に化けた。ほのぼの勢の予定だったが何だかんだで賢くて良い子だったからこうなった。
~case6~
私は歩きながら主を探す。
それは私の野望、主をこの手で襲う為に。
…暫くすると私は主を見つけ、近づこうとする前に彼は自ら私の前にやって来た。
自ら来たか。好都合だ。私は主に手を伸ばし…
「ろすろす、大丈夫!?今萌えもん専用のウイルスが流行ってるとかで…」
「えっと一応ね、効きそうな薬も用意してみたんだ。モエルスの亜種らしいからね、完全に消せる訳ではないけどこれで少しは気分が楽になると思う。…こっちがろすろす用ね」
その言葉に私は伸ばしていた手を止める。
そう言う主の手には薬があり、私に差し出してくる。この短期間で、私の為に用意したというのか。
………
私の主は素晴らしい。彼は情けなくて、考え方が甘くて、自分に見返りを求めない…正直不安で見てられない、そんな人間だ。
だけどひたむきで、真っ直ぐで、周りの為に力を尽くせて、私のことを想ってくれている。
本当に素晴らしい主だ。私の大切な主。大好きだ、主よ。主、私の………
私は薬を受け取るべく彼の手を………
「で…こっちがつー用なんだけど、つーを見なかったかい?つーも何処か行ってしまったみたいで…」
………
………あぁ。
本当に愚かな主だ。 私の性格や本質を何も理解してない。自分が襲われるなんて欠片も思っていない。 主の中では私がそんなことをする萌えもんだと考えてないのだろう。
…見る目がなく、詰めが甘い。 本当に馬鹿な主…いや、少年だ。
「…ろすろす?どうしたの?」
私は少年の手にある薬に伸ばしかけた手を彼の肩に置く。そしてもう片方の手も少年の肩に置いた。…少年の両肩に手を掛けけている形になった。
「ん、大丈夫?立つのも辛いとか…?」
分かっている。少年はこんなことを望んではいない。分かっているのだ。
…あぁ、でも本当に
本当にこれが終わったら
少年、私は君が用意してくれた薬を飲み、君を主と呼ぶいつもの私になるから
許して、欲しい…
………
頭の中が真っ白になっていく。何も考えられない。もう行動の殆どが無意識だった。
…私は主の善意を裏切った。
~case6 end~
コメント:ドラちゃん、詰めが甘かったね(合掌)
~case7~
「おー、よしよし」
「や、止めろよケイブさんー」
またあの子だ。
「…っと悪いな」
「…ふん、気を付けろ。ケイブよ」
今度はあの子だ。
「あっ…す、すまん!」
「い、いえ…大丈夫です」
次はあの子だ。
「………」
「ん、どうしたリリーラ?」
「………」
…私は?ねぇ私は?
「腹でも空いたか?」
違う。
私は彼に頑張ったねって褒めてくれるだけでいい。その言葉だけで生きてる価値がある。
私は彼に撫でて貰いたい。彼は私にはしてくれないから。
………それにしても今日は何かおかしい。心がざわめいている。
…そうだ。何で私が褒められず、撫でられないのだ。私は今の彼のパーティーの最古参であり、最も強く、賢い存在ではないか。
つまり最も愛されるべき存在だ。
「………」
彼はそんな簡単なことにも気が付かず私を只の便利な萌えもんとしてしか見ていないのではないか。
便利な萌えもんではない。私が頑張るのは彼の為ではない。私の為。
………沸々と怒りが込み上げてくる。後…名前も納得いかない。心がざわめく。
「ど、どうした?リリーラ?」
…何なのだ、リリーラとは。彼にとって私は萌えもんのリリーラでしかないのか。私は私だ。萌えもんの種類ではなく、私を呼んで欲しい。
でも一番気に入らないのが呼ばれている内に愛着が出来ていることだ。彼が私が呼んでいる。
こんなちっぽけなことでも私は舞い上がってしまう。心がざわめく。
「………」
「…っ、まさかな」
「………!?」
彼が私の額に手を当ててくる。嬉しい。こんなことでもだ。
嬉しくて顔が赤くなりそうだ。いや、なってるのかも知れない。でも熱は出してはいけない。彼に心配をかけてしまうから。
「気のせいか。リリーラ、気を付けろよ。萌えもん専用のウイルス…ヤンデルスが流行ってるらしいんだ」
「ま、お前はそんな柔な奴じゃないか。ハハハ…」
彼が私に期待してくれている。その期待に、応えないといけない。
………
…心はざわめかなくなった。沸々と込み上げていた怒りも無くなった。
「………大丈夫」
「ん。だよな、頼りにしている」
彼が私の頭に手を置く。
…一声で全てが伝わる。彼は全て理解してくれる。私が欲しいものを全てくれる。それでいいじゃないか。
「………」
さっき言っていたウイルス…確かヤンデルスと言ったか。
私はそんなのにかかる様な柔な奴じゃない。私達の関係はそんなもので壊れるものか。
~case7 end~
コメント:リリーラも書いてる内に化けた。なんとヤンデルスに打ち勝ってしまった。…既に感染済みだからかもしれない。