『本大会の試合は2対2の入れ替えありのシングルバトルで行われる』
…これがあるから私は危うくこの大会に参加出来ない所だった。
でももう大丈夫だ。私は後ろのドライの方を見る。
そこにはルールについてツヴァイに説明しているドライの姿があった。
「要するに無理せず私に任せろということだ、ツヴァイ」
「お嬢はお前を先発にするつもりらしいが、無理はするな」
「うん、でもドライねーちゃんの出番は無いかもよ!結構ツヴァイもねー、強くなったんだから!」
ツヴァイが自信満々にそう語っている。その様子をドライは優しい顔で眺めている。
…確かにツヴァイは強くはなっている。しかしまだドライには力量は敵わないだろうけど…
「ま、そこら辺の判断は私がするわ。安心して」
二人共デルタ種だから相性管理は大変だがそれは相手も同じ…いや、慣れていない分こちらより辛い筈だ。
私は二人にそう話す。すると二人は返事をしてくれる。
「うん!」
「お任せします、お嬢」
相手のタイプ相性の概念の隙を突ける…。これは私達だけの初見殺しだ。
~
『萌えもんが使用出来る技は4つまで』
前に行ったジム戦と同じね。どうやら公式戦と同じ扱いらしい。
「ライ、貴女は前に言っていた技で大丈夫?」
「いいよー」
ライからの返事を聞き私は予め書かなければならない申請書に技を書く。
辻斬り、見切り、泥棒、翼で打つ…っと。
って…!
「泥棒書いちゃったじゃない!…何か他の技は!?ライ!」
「無いでーす」
ライはそう言って笑う。絶対何か他の技あるのに…
…まぁいい。私は次の萌えもんの技欄にペンを進める。
水鉄砲、念力………そう書いている時に横から紙を覗いていたヤドから声が掛かる。
「今回はどうしますかなー?マスター」
「…え、何が?」
何のことだろうか?よく分からないので私は聞き返す。
「技ですぞ。後は?」
「後は…って冷凍ビームと瞑想でしょ?」
「いや、一応今大会はどのタイプと戦うか分からないのですぞ。ジムとは違いますからな。ですからー」
ヤドは私が書いている技欄に手を加える。………え?これは?
「こんなのは如何ですかな?」
「………使えるのね?ヤド」
「勿論。エレ殿の瓦割りと一緒にはしないで欲しいですなー」
ヤドが笑う。確かにこれは…
「面白くなりそうね」
~
『試合中の道具使用禁止』
「う…まぁ仕方ないよな」
「主よ、当たり前だ。公式の場なら基本だぞ」
「そ、そうなのか参ったな…」
道具が使えない。………僕が作った回復薬を使えないということだ。
今まで野生や道中のトレーナーとのバトルにおいて道具を使っていた僕にとっては大きな痛手だ。
「いやドラちゃんー。続きを見なよー」
僕はつーにそう言われそのルール詳細の続きを見る。…成程。
『但し持ち物として持たせ使用することは可』
「萌えもんの持ち物としては有りなのか」
………よし。
「つー、ろすろす。ちょっと待っててくれ」
「今から持ち物作る」
僕がそう言うとろすろすは僕に聞き返してくる。つーは何も言わない。
「………正気か主よ。そんな簡単なことでは無いぞ」
ろすろすはそう言うが…そんなに難しいことかな?
「大丈夫。ろすろすに合う物を作るよ。期待しててくれ」
「わ、私に合う物だと…私専用…ふふ…ふふ…」
僕がそう答えるとろすろすはブツブツと何か言いながら顔を伏せてしまう。そんなろすろすの頭をつーが叩いた。
「…まぁこの後輩は置いといてー、ドラちゃんお願いねー」
「任せてくれ」
さて、早速作成にかかるか…
~
『優勝商品:コガネデパート商品券一万円分。準優勝…』
「随分と太っ腹だな。参加費無料の割には」
成程。参加者の多さの訳にはこれもあるかもしれない。
「ケイブさんも出りゃいいのにー」
そう聞いてくるアノプスは横でミックスオレを手にしている。早速小遣いを使っているようだ。まだ大会予選も始まってないのにそのペースでの消費は大丈夫だろうか。
「…俺がルーキーに見える?」
「見えない!」
即答された。
「分かってるんなら聞くなよ…」
「………」
「逆にお前は全く使おうとしないよなー」
同じく横にいるリリーラにも話しかける。リリーラは特に何かを買っているようには見えない。
「…良かったら何か買ってやろうか?」
「………」
一応リリーラにそう聞くとアノプスが話に割り込んでくる。
「あーっ、ずるいぜ!俺には無しかよ!………ぐえっ」
「はは、冗談だよ。お互い同じ金額を渡してるからな………ん?」
アノプスの変な声に対して声がした方を見るとリリーラがアノプスの首根っこを掴み路地裏まで引っ張る姿が見える。
………
………暫くすると二人が戻ってきた。どうしたのだろうか?
「………ミックスオレもう一本飲みてぇ…」
帰ってきたアノプスはそう呟いた。また無駄遣いする気かこいつは…