萌えもん~multi travel~   作:マクドール

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ここはコガネシティ。賑わいの大型都市。


そして彼らは…-2

「みんなお疲れ様!何でも買ってやるわよー!」

 

 

ここ、コガネデパート入口にてマスターが先日の大会の準優勝の商品…コガネデパート商品券五千円分を手にしながらそう言うとヤドやライ達がわいわいマスターに詰め寄っている。それを私、エレは何処か他人事の様に見ていた。…私は大会に出ずにいたからな。

 

 

「ヤドはフエン煎餅セットが良いですぞー。後は………」

 

 

「ウチはこのヒウンアイス1ダースと後………」

 

 

「…あんま高いのは無しね」

 

 

マスターが商品を次々に言ってくる二人を相手にそう呟いた。すると何も言わない私に気づいたのかマスターがこちらを向いてくる。

 

 

「エレはどうするの?何かある?」

 

 

「いえ、私はいいですよ」

 

 

私はマスターの誘いにそう答える。あの商品券はヤドとライが勝ち取ったものだ。私が何か買うのは申し訳ない。そう考えていた。するとマスターは…

 

 

「………じゃあれを買ってあげるわ。…ヤド、あれってどこら辺にあったかしら?」

 

 

「五階ですな。まずそこから行きましょうぞ」

 

 

「え、あの…私は要らないですよ…」

 

 

私を置いて話が進み中に入ろうとする状況で、私は話の流れを断つ。マスター達は何を話しているのだろうか…。そんな私に対して皆が言う。

 

 

「いや、エレさん欲しがってたじゃないですか…瓦割りの技マシン」

 

 

瓦割り。その技名に私は震える。私が前々から習得しようと必死に練習していた技だ。………結局我流では大した技にはならなかったのだが。

 

 

「というか大会の目的はそれでしたぞ。マスターが買ってあげたいってずっと言ってましてな…」

 

 

「…ヤド!それ内緒って言ったじゃない!」

 

 

「ははー。勝ったから良いではないですかー」

 

 

ヤドの口から出た大会の目的に対してマスターが慌ててヤドの口を塞ぐ。ヤドは口を塞がれても気にしてない様子だ。

 

 

「………ま、いっか。エレ…自分は出てないとか気にしなくて良いのよ。私が買ってあげたいのよ。いつも苦労を掛けてるから…ね」

 

 

ヤドの話に驚く私にマスターは最後の方を照れながらも口にする。その様子をヤドとライはにやにやしながら見ていた。

 

 

「分かりました。ありがとう…ございます」

 

 

私はマスターにそう応える。するとマスターは私の腕を優しく引き、中へ入ろうとする。

 

 

「こちらこそ。…じゃ行きましょうか」

 

 

 

 

 

 

こうして買い物が終わり、萌えもんセンターへ帰ろうと一階入口に戻り、コガネデパートの端にて…

 

 

見覚えのある顔…確かマスターの決勝の相手だったホロと言う少女か。彼女が黒い服を来た大人達と複数の萌えもんに囲まれてる姿を目の当たりにする。その穏やかでは無い様子を見た私はマスターの方を振り向くが既にマスターやヤド達はその状況に目を向けていた。…私は小声でマスターに話す。

 

 

「マスター、あれは…」

 

 

「…まだ駄目よ。何かあったら止めるから」

 

 

「了解ですぞ」「了解ー」

 

 

ヤドとライも警戒はしている様だ。私もそれに続きその状況を注視する。

 

 

すると…

 

 

少女とその足元の萌えもんに対して攻撃を加える相手の萌えもんの姿があった。…やはりか!素早く私達はその状況に割り込む。そしてマスターが大人達に対して怒鳴った。

 

 

「…待ちなさい!何をしてるの!!………ホロさん、大丈夫かしら?」

 

 

「何だ、貴様は…」

 

 

「わ、私は…でもツヴァイが、あの毒を、で今毒消し使ったけど、治らないんです…」

 

 

その後マスターはホロさんを気遣うが彼女は震えながらポツポツと話始めた。彼女の腕にいる萌えもん…ワニノコは明らかに苦しそうだ。

 

 

「コイツらも始末しますか…やれ」

 

 

大人達の一人がそう言いながらボールから萌えもんを繰り出して萌えもんを私達を襲わせる。…不味い!そう思い、私は前に出るが相手の萌えもんは私の後ろからの攻撃に弾かれる。

 

 

…あの緑髪。確か少女のジュプトルだったか。その子の攻撃みたいだ。ジュプトルは相手の大人達と萌えもんを恐ろしい形相で見ている。そしてそのジュプトルがこう口にした。

 

 

「皆さん、ここは退いて下さい。ツヴァイのこともありますので。………それまで私が足止めします」

 

 

「ドライ!貴女…」

 

 

「…先程会ったケイブの所まで行けば大丈夫でしょう。彼は信用できる方です」

 

 

彼女はそう言っている。…無茶だ。複数体の萌えもんに対して…

 

 

「………んー、ヤドもこっち側ですかな。手伝いますぞ。…マスターとエレ殿はホロさんを頼みますぞ。ライ殿は…」

 

 

「…ウチもこっち側でしょ。今はふざけてる場合じゃなさそうだし」

 

 

「お前達…感謝する」

 

 

ヤドとライは私達の前に立ち、ジュプトルと一緒に相手を見据えている。その様子にジュプトルが感謝の言葉を述べた。…なら私もとそちらに向かうが…

 

 

「…エレ殿はマスターとホロさんの護衛を。まだ何かあるかもしれないですからな」

 

 

そう背中を向けながら私がそちらに加わるのを拒否する。何だかそれはまるで…

 

 

「ケイブ…確か虫取り大会の時のおじさんね…ホロさん、エレ…次に指示を出す振りをするからそのタイミングで逃げるわよ」

 

 

「え、えぇ…」

 

 

ホロさんは腕の中のワニノコを見ながらそう応える…一方相手も萌えもん達を繰り出しており一緒即発の状態だ。このままでは複数対複数の大規模なバトルになりそうだ。

 

 

その均衡はマスターの一言によって崩された。

 

 

「…ヤド、念力!」

 

 

その言葉に反してマスターとホロさんはその場を離れるべく駆け出す。それに私も続いた。

 

 

…引き際に垣間見たバトルで私は実感してしまう。

 

 

 

 

 

私が…

 

 

私があそこに居ないのは足手まといになるからだ。だからヤドは私があそこに行こうとしたのを止めたんだ。

 

 

………私は無力だ。

 

 

その思いが頭の中で巡りながら私はマスターとホロさんと共にジュプトルの言っていたあの男…ケイブさんがいたであろう方向へと向かうのであった。

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