萌えもん~multi travel~   作:マクドール

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ここはコガネシティ。賑わいの大型都市。


そして彼らは…-3

「ほらよ」

 

 

コガネデパートの屋上の自販機前にいるケイブさんが俺…アノプスとリリーラの姉貴にミックスオレを渡してくる。俺達は買い物の為コガネデパートに来ている。今は屋上で休憩中でこのミックスオレはケイブさんが奢りで買ってくれた…やったぜ!

 

 

「ありがと!」

 

 

「………」

 

 

渡してきたそれを俺はお礼を言いながら開けて中身を口にする。一方リリーラの姉貴の方は貰った缶をじっと見ていた。

 

 

「ったく…出費が増えるぜ、まぁミックスオレくらいなら良いんだがな」

 

 

そう言いながらケイブさんはここコガネデパート内で購入した手提げ袋の中のもの…プレゼント用にラッピングされた箱を見る。

 

 

確かあれはホロさん達への贈り物らしい。先程、『優勝記念だからな』と言って用意していたのを思い出す。…まぁケイブさんのことだ。優勝とか関係無しに渡す気だったんだろうけどねー

 

 

確か中身は…何だっけ?

 

 

「何だっけ?そのプレゼント?」

 

 

俺はそのまま考えていたことを口にする。するとケイブさんが答えてくれる。

 

 

「技マシンだよ。…といってもデルタ種の萌えもんに使えるのか分かんないんだがな…。可能性がありそうなのを選んでみた」

 

 

「例えば…ドライだな。アイツは普通のジュプトルが使える草技が使えない代わりにエスパー技が使える。だがそれ以外の技は普通のジュプトルが使えるものと大体同じだ…アイツは追い討ちとか使ってただろ?」

 

 

「お、おう…」

 

 

確かにそんな感じはする…かも?正直俺にはよく分からないがとりあえず頷いとく。 ケイブさんは頷いた俺を見るとまた話を続ける。

 

 

「だから自分のタイプと合わない技………熟練のトレーナーはタイプ不一致技、サブウェポンとか言うんだが…それなら普通のジュプトルと同じ様に使えるだろうと考えたんだ」

 

 

「…で一般的なワニノコとジュプトルのタイプ不一致技で技マシンがある技を探して用意した。ワニノコの方は技マシンを探すのに結構苦労したぜ…」

 

 

「…で、何買ったのさ?」

 

 

その時の苦労からか、空笑いするケイブさんに俺はその技マシンの中身を聞く。

 

 

「ワニノコの方にはれ………」

 

 

「…ケイブさん!!」

 

 

ケイブさんが答えを言いかけた瞬間、エスカレーターからホロさんと確か決勝戦でホロさんと戦っていた女性トレーナーと一匹の萌えもんが走り、駆け寄って来た。その慌てた様子にケイブさんの俺と話していた時の優しい顔が険しい顔に変わる。

 

 

その様子に何かあったのだということを俺は理解した。………一方リリーラの姉貴もずっと見つめていたミックスオレを懐にしまい、その状況に目を向けている。

 

 

「ツヴァイが…ツヴァイが…」

 

 

「…落ち着け、毒だな。今毒消しを…」

 

 

見るからに困惑して話の要領を得ないホロさんと苦しそうなワニノコに対してケイブさんは状況を理解し腰につけた小さなポーチからいつも常備している回復薬を取り出そうとする。しかしそれはもう一人の女性に止められる。

 

 

「いや、毒消しじゃ駄目なんですよ!私からも何個か使ったんですが…」

 

 

「はぁ!?………ちょっと待ってくれ。………」

 

 

「…ケイブさん!」

 

 

彼女を発言を聞き、ケイブさんは驚くもすぐに落ち着きを取り戻し黙ってしまう。それに対し女性トレーナーは呼びかけるが俺には分かる。

 

 

ケイブさんのこういう時は解決策を探している時だ。眉間に手を当て顔を下げている…少しするとケイブさんは顔を上げた。

 

 

「なら萌えもんセンターか薬使いの坊主だな。…欲を言うなら薬使いの坊主の方が理想だ。毒消しじゃ治らないなら萌えもんセンターの回復でも治るか分からん」

 

 

「しかし何処にいるか…とりあえず萌えもんセンターへ…」

 

 

「…マスター、回復薬と食材コーナーです!確かそこに少年が!」

 

 

ケイブさんの回答に対して女性トレーナーが連れていた萌えもんが答える。どうやら彼女はあの少年の場所を知っているようだ。その発言を聞いた女性トレーナーが萌えもんの方を振り向く。

 

 

「ナイスよ!エレ!…じゃあその子に会いに行きますね!…ホロさん、行きましょ!」

 

 

「え、えぇ…」

 

 

女性トレーナーその萌えもんに対してお礼を言い、困惑しているホロさんの手を引っ張る。ホロさんは受け答えもしっかりしていない。…今のワニノコの状態からしたら無理もないか。

 

 

「…よし、俺も行こう。アノプス、リリーラ…行くぞ」

 

 

ケイブさんが俺達に呼びかける。隣にいた俺はすぐ準備出来たがふと見るとリリーラの姉貴は俺よりもうケイブさんの側にいた。…いつの間に!?

 

 

「………待て。なぁ嬢さん」

 

 

一同が向かおうとした時ケイブさんの足が止まる。そして女性トレーナーの方を呼び掛けた。

 

 

「何ですか?早くしないと…」

 

 

「その状態の萌えもんはそのワニノコだけか?…他の萌えもんは大丈夫なんだよな?」

 

 

「他の子はその…えっと…」

 

 

「ドライはまだ、デパート端の路地裏で戦って…確かセーレさんのも…」

 

 

答えに詰まる女性トレーナーに対しホロさんはポツポツとケイブさんの話に対する答えをを話始める。するとケイブさんの顔が更に焦りを持ったものに変わる。

 

 

「…そっちの奴の方がヤバい!………あの少年の場所はその萌えもんが分かってるんだよな?」

 

 

「先程見ました!多分大丈夫です!」

 

 

女性トレーナーの萌えもんがそう答える。それに対しケイブさんは頷き、今度はホロさんと女性トレーナーに呼びかける。

 

 

「なら薬使いの坊主の方は頼んだ!…俺達は下だ。デパート端の路地裏だな?」

 

 

「は、はい!」

 

 

「…よし。アノプス、リリーラ…行くぞ!」

 

 

場所の確認を終えるとケイブさんは振り向いて俺達に付いてくるように言う。それに対し俺は待ってましたと言わんばかりに答える。

 

 

「おう!」

 

 

「………」

 

 

こうして俺達は屋上から下に降り、少年を探しに行く彼女達と途中で別れる。

 

 

…残った俺達は下の路地裏に向かうべく下に降りていくケイブさんに続いていった。


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