萌えもん~multi travel~   作:マクドール

42 / 89
ここはコガネシティ。賑わいの大型都市。


そして彼らは…-5

「あの人達の一人が…」

 

 

 

 

「ロケット団って名乗ってたわ」

 

 

コガネデパート屋上で多くの人や萌えもんが集まる中、ねーちゃんが周りにそう言うと女のトレーナーさんがロケット団という単語に対して驚いている。その様子をツヴァイはぼーっと眺めていた。うぅ、まだ体が怠いよぉ…

 

 

「…嘘でしょ!ロケット団は壊滅した筈よ!あのシルフカンパニーの事件の時のトレーナーの活躍でね!だって私は…」

 

 

「で、でも彼らはそう…」

 

 

驚いている女のトレーナーさんをおじさんが止める。大会の前にドライねーちゃんを連れてきてくれた人だ。

 

 

「…落ち着け。確かにねーちゃんの言う通りロケット団はあれ以降大きな動きは無いが…残党とかそんな奴等だろ」

 

 

「嬢さん…どうしてそんな連中に追われてる?」

 

 

「そ、それは…」

 

 

おじさんはねーちゃんに質問する。しかしねーちゃんは言葉に詰まって話そうとしない。えっと、確か理由は…

 

 

「…別に俺には話さなくて良いが少なくともこのねーちゃんには話しな。嬢さんのせいで巻き込まれたんだ」

 

 

「いえ、別に無理に聞こうとは…勝手に割り込んだだけですし…」

 

 

女のトレーナーさんはそう言うがねーちゃんは周りを見て暫くすると話を始めた。

 

 

「…いえ、ケイブさんも聞いてください。私の持つ萌えもんはね…一般的な萌えもんとは異なるタイプを持つデルタ種の萌えもんなんです。そしてデルタ種はホロン地方特有の種族なの」

 

 

「?…つまり?」

 

 

女のトレーナーさんが首を傾げる。その様子を見るとねーちゃんが横になってる自分…ツヴァイを指差して来た。

 

 

「ワニノコは普通は水タイプですがあの子は電気タイプです」

 

 

「…え?何それ…。じゃあの子電気技使えるの?」

 

 

使えるよ!あんまり使うなってねーちゃんに言われてるけどね!今は電気ショックとスパークとね…

 

 

「確か電気ショックにスパークくらいは使えた筈よ」

 

 

………あ、そういえばまだ言ってなかったっけ。ツヴァイはねーちゃんの言葉に付け加える。

 

 

「後、ボルトチェンジも使えるよ…」

 

 

「…本当に?ツヴァイ。…凄いじゃない」

 

 

ねーちゃんが私の傍まで来て撫でてくれる。えへへー、凄いでしょ!

 

 

「…あれ?ウチのエレより優秀じゃない?」

 

 

「なっ…」

 

 

女のトレーナーさんの呟きで、近くで治療中のドライねーちゃん達を見ていた黄色髪の萌えもんが膝と手を床に付け落ち込む。…可哀想なのでツヴァイは立ち上がり彼女を撫でてあげる。………するとありがとうって言ってくれた。良かったね!

 

 

「…セーレさん、話を戻しますね。そして今デルタ種の萌えもんは減少しており、貴重な種族です。…恐らく彼等ロケット団はそのデルタ種の萌えもんの力を利用しようとしているのでしょう」

 

 

「…分かったわ。ありがとう」

 

 

女のトレーナーさんが納得したのを見るとねーちゃんはおじさんの方を見る。

 

 

「ケイブさんも大丈夫でしたか?」

 

 

「大体俺の予想通り。問題なしだ」

 

 

おじさんもねーちゃんの問いに頷き返す。そんな中、ツヴァイを治療してくれて今も治療を続ける少年が口を挟む。

 

 

「い、今のは…」

 

 

その少年に対しおじさんが少年の方を向き、優しく話しかける。

 

 

「坊主…今度お礼をしっかりするからそれで忘れろ。お前は完全に無関係だ」

 

 

「いえ、僕も…」

 

 

拒否しようとするおじさんに対し少年は食い下がる。食い下がる時に治療を手伝っていた萌えもんが振り向き、止めようとするがその前に少年の口から言葉が出る。

 

 

「僕にも手伝わせて下さい!こんな毒を萌えもんに使う奴…許せません」

 

 

「…本気か?こんな相手だぞ」

 

 

「こんな相手だからこそ…です」

 

 

少年が力強くおじさんの方を見る。するとおじさんは顔を下げた。その様子をねーちゃんは困惑して、女のトレーナーさんはじっと見ている。

 

 

「………分かったよ。よろしく」

 

 

「私もね」

 

 

今度は女のトレーナーさんがちょっと震えているで話し出した。その声におじさんが振り向く。

 

 

「ロケット団にはちょっとした因縁があるのよ…手伝うわ」

 

 

「…だろうな。よろしく」

 

 

 

 

 

「ち、ちょっと待って!何よ!手伝うとか、意味が…」

 

 

ねーちゃんが周りにそう叫ぶ。その様子を見たおじさんがねーちゃんの頭に手を置き、優しく呟く。

 

 

「嬢さんを助けてやるってことだ。嬢さんはまだ子供なんだ」

 

 

彼の言葉にねーちゃんの瞳が潤む。な、何かツヴァイも…

 

 

 

 

「俺達を頼りな。コイツらも手伝ってくれるらしいから」

 

 

「………っ」

 

 

するとねーちゃんがおじさんの胸に顔を埋めて静かに泣き出した。その様子を女のトレーナーさんと少年は優しい目で見ている。う、ツヴァイも泣きそう…

 

 

 

 

あっ…

 

 

ツヴァイはおじさんの後ろにいる萌えもんの穴が開くんじゃないか言わんばかりの恐ろしい視線でおじさん達を見ているに気付く。…こ、怖い!泣きそうな気分も吹っ飛んじゃったよ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「じゃ、一応自己紹介するか。大体見知った顔だがな。んじゃ坊主から!」

 

 

コガネデパート屋上で四人のトレーナーが円を組むように立っている。

 

 

「ぼ、僕から!?えっと…ドラです。タンバの薬屋の息子で一応薬学にそれなりに通じてると思います!よろしくお願いします!」

 

 

「私はセーレ。新米トレーナーよ!一応前は………理科系の仕事してました。よろしく!」

 

 

「んじゃ俺。ケイブだ。遺跡や洞窟マニア…かな?一応そっち系の研究員もやってる…いや、やってた?…ぜ。よろしくな」

 

 

「…私はホロ。ホロン地方出身でデルタ種に関わりがあります。今はピクニックガールとして旅をしてます」

 

 

「そして…ロケット団に狙われています」

 

 

「あなた達には迷惑をかけるわ。でも…力を貸して欲しい」

 

 

一人の少女が顔を伏せて話す。暫くすると顔を上げ微笑みながらこう言った。

 

 

「…よろしくね」

 

 

 

 

そして…

 

 

 

 

彼らは出会った。

 

 

 

『萌えもん~multi travel~ ───完』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

おや?タイトルの───部分が?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ペラッ…

 

 

『萌えもん~multi travel~ 第一部完』

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。