長靴を買ってあげた子供が水溜まりに足を入れたがる。
私はそんな事を目の前で戦うツヴァイを見ながら考えていた。ツヴァイは私達を襲ってきた野生の萌えもんに対して冷気を纏ったパンチを繰り出し、何度も撃退していた。今も野生の萌えもんとのバトルが終わった所だ。やはり決め手はあの技…冷凍パンチだ。
「ふふーん!やったよ、ねーちゃん!」
バトルが終わったツヴァイが私の元へ戻ってくる。そんなツヴァイの頭を私は撫でる。
「ん、お疲れ様。冷凍パンチも大部使える様になったわね」
「ですね。…これなら今後はメイン技として使っていけるな、ツヴァイ」
「うん!」
横からドライが私に相槌を打ちつつ、ツヴァイにそう言った。確かにこれなら噛み付くに並ぶツヴァイの主力技に出来るだろう。メインのタイプ一致技である電気技を使わない様に戦わなければならないツヴァイにとってこの技の習得は有り難い。
本当にこの技マシンをプレゼントしてくれた彼…ケイブさんには頭が上がらない。何度も助けて貰っている。しかも今後も私のことを色々と手伝ってくれるそうだ。
…何でだろう。私はそう思う。ケイブさんだけでは無い。セーレさんやドラ君もだ。何故私のことを助けようと、手伝おうとするのか。………もし私が二人の立場だったら手伝おうとしない。関係の無い振りをしてその場を去るだろう。
………私がコガネを出るときに私よりも前に朝から意気揚々とヒワダに向かったらしいドラ君とまだ寝ていて下に来ないセーレさん、そしてドラ君より先に起きていたらしく既に下にいたケイブさん。
何処か私とは違う…彼等はいい人なんだなと感じる。私は彼等の善意を利用しているのではないかと自責の念に駆られる。
…駄目だ。ちょっと考えを変えよう。私はツヴァイ達を連れて草むらから抜けて北側…自然公園への道に入る。ここ35番道路は前に来た時よりは人の往来は少なくなっていた。ゆっくり考えを巡らせる時間はある。
…そういえばツヴァイは冷凍パンチの技マシンを貰って喜んですぐ使っていたわね。ドライは何を貰ったのか…それを聞くために私はドライの方を向く。そこにはツヴァイの冷凍パンチを受け流しながら稽古を付けているドライの姿があった。またツヴァイは冷凍パンチ使いたがってるわ…
「ねぇ、ドライは何を貰ったの?」
そんなドライに声を掛ける。するとドライはツヴァイへの稽古を止め、私の方を向き、話始めた。…稽古を止められたツヴァイは構って欲しそうにドライの方を見ている。
「私はこちらを…岩雪崩です。岩技としては中々の威力だったかと記憶しています」
ドライは懐から一枚のディスクを取り出す。それが岩雪崩の技マシンなのだろう。………あら?
「まだ使ってないの?」
「…えぇ。いきなり新しい技というのは今までの戦い方を乱す要因になるかもしれません。暫くしたら使ってみようかと…」
…そういうものなのだろうか。まぁドライが言うなら間違いでは無いのだろう。しかし岩雪崩か…次の目的に役立つ技になりそうだ。
「でも次…あの子に会うまでにはその技に馴れといた方が良いわよ、ドライ。あの子には弱点の岩技だし…」
「………もしかしたらあの子とも戦うことがあるわ。あの子なら充分ありえる…」
私は次の目的であるあの子のことを思い出し、顔に手を当てて落ち込む。その私の様子を見たドライも苦笑している。…唯一様子が変わらないのはドライの足に引っ付くツヴァイだ。まぁ話を聞いてないからかもしれないけどね…
「………ですね」
あの子をことを思い出したのだろう、ドライもそう呟いた。