急な頭部の痛みを受けてから暫くして目覚めた俺は頭に出来たたんこぶを擦りながらアノプスとリリーラに呼びかける。それにアノプスに力強く応じ、リリーラはそっぽを向いている。…さっきのは冗談だからな?ほ、本当だぞ?
「じゃ…」
「俺は一旦戻るか。これは俺達だけの問題じゃねぇ」
「おう!」
「………」
戻るというのはチョウジのポケモン研究所へだ。俺達は当初の目的であったドライをホロン地方の姫さんである嬢ちゃんに返すことに成功したのだ。一旦報告に所長の所に戻って色々話したいことがある。
………ロケット団。
その言葉をコガネの屋上で聞いた時は平静を保った振りをしていたがあれは周りを落ち着かせる為だ。実際は予想通りでも問題無しでもない。
…思ったより大事になりそうだ。俺達だけの問題では済まなそうな雰囲気がする。
「よし、チョウジへ帰る。準備は…大丈夫か」
アノプスとリリーラの方を見ると既に準備万端だ。今すぐにでも出発出来そうだ。
あ、一応連絡はするか。ちょっと二人には待ってて貰おう。
俺は胸ポケットからポケギアを取り出し数多い電話番号の中から所長の番号に掛ける。
………そういえば今回の四人の中だと俺以外ポケギア持ってないんだよなぁ。嬢ちゃんは仕方無いとしてねーちゃんや坊主は持っててもおかしくないと思うんだが…。特に坊主はまだ子供だ。旅立ちの際に親が持たせてやるべきだろと思う。
プルル…電話のコールはすぐ終わり所長の声が聞こえる。
『どうしたケイブ。何かあったのかい?…こっちは忙しいんだ。手短に言いな』
「その割にはすぐ電話に出る余裕はあるみたいだな。所長」
『…ふざけてるなら切るよ。朝話したろ、あの件で今忙しいんだ』
所長は俺の冗談に対して突っ込みを入れず電話を切ろうとする。朝のあの件…あれか。
「あ、その件は大丈夫だ。一人の少女が解決してくれる。そこまで深く考えないでいい」
『………分かった。でも市民への警告はしておくよ』
「頼む。ここから本題なんだがアイツら………いや、纏め役のアイツだけでいいか。この地方に呼べるか?」
この言葉で周りの空気が固まった気がしたが今はそれ所では無い。話を続ける。
…アイツら一人一人は面倒臭いからな。纏め役のアイツに言えば少しは集まるだろ。俺がそう言うと所長の声が詰まる。
『………それを私にやれと?お前がやりな。面倒臭い』
………やっぱり面倒臭いよな、アイツ。俺の時は長電話になって全然話を切り出せないし。
「頼むぜ。何とでも言っていい。保険として使える駒は欲しいんだ」
『………何とでも…ねぇ。よし、やろう。でも余り期待するんじゃないよ』
………何か嫌な予感がするが気のせいだろ。所長がやってくれるって言うなら有り難い。お願いしよう。
「頼んだ。じゃ予定通りコガネからチョウジに戻る…じゃあな」
『…とっとと帰ってきな』
そう言い、通話を切られる。…とりあえず成功だな。結果としてアイツとの連絡を所長に任せられた。
よし、今度こそ出発だ。俺はポケギアを仕舞ってアノプスとリリーラを見る。『すまん、待たせたな!行こう!』俺は二人にそう声をかけようとするが…
…あれ?アノプスまで拗ねてないか?
リリーラはそっぽ所か完全に俺に背を向けてる。………何故?