萌えもん~multi travel~   作:マクドール

50 / 89
ここは42番道路。こちらエンジュとチョウジ間、進むのは暗闇か深い青か。


ピクニックガールの少女-8

 

無事コガネからエンジュに辿り着いた私達はまた観光をしたがるツヴァイを止めて、目的地へと向かうべくエンジュの東方面、42番道路へと足を進めていた。

 

 

「…本当にここを行くしか無いのね」

 

 

「はい。私達にはこの水路を通る術はありませんので」

 

 

その言葉を聞き、私は再度目の前の看板を見る。『ここはスリバチ山。中は大滝の洞窟』………そして再び洞窟の中を覗く。

 

 

………真っ暗だ。

 

 

そこから目を離し、今度は看板から右側に目を向ける。

 

 

水は深い青に染まっている…。ドライの言う通り私達にはここを渡る術は無い。何度も確認したこの事実により私は道を決めざるを得ない。

 

 

「…分かった。この洞窟の方を通るわよ。大体の案内は頼むわよ。ドライ」

 

 

 

 

 

 

 

やはり洞窟の内部は暗く、前も少ししか見えないレベルだ。周囲に警戒し、ツヴァイとドライを出して戦闘態勢を取りつつ私達は進む。

 

 

「ドライ、そういえば貴方はどうやってここを通ったの?」

 

 

私は前を進むドライに聞く。どうやらドライは前に一度ここを通ったことがあるようで、多少は道を覚えているようだ。

 

 

「あの時は彼の手持ちであるリリーラのフラッシュを利用してここを抜けました」

 

 

「あ、ケイブさんの時ね。………フラッシュか」

 

 

ドライの声が前から聞こえる。ドライが一度通った時というのはケイブさんといた時か、成程。フラッシュ…確か周囲を明るく照らす技だったか。

 

 

「!…あ、ねーちゃん!」

 

 

「…どうしたの?」

 

 

その会話から私の近くのツヴァイが私に何か思い付いた様で私の服の袖を掴む。…暗闇でいきなり掴むのは正直止めて欲しい。ちょっとビビったわ…

 

 

「ツヴァイならフラッシュ出来るよ!…ほら!」

 

 

そう言ってツヴァイは上に向かって電撃を放つ。その電撃は一瞬だが周囲に光と悲鳴をもたらした。光によって少しだけ周囲が把握出来た。完全なフラッシュではないが効果は充分だ。

 

 

………ん?悲鳴?

 

 

「ツヴァイ、もう一度お願いしていい?ちょっと前気味に」

 

 

「…えい!」

 

 

私の指示にツヴァイは今度は前方上斜めに電撃を放つ。先程と同じく一瞬だが周囲が照らされる。その際に私は自分の周りを見る。………あ。

 

 

「あばばばば…何してくれとんじゃ、ワレェ…」

 

 

私の近くにツヴァイの電撃によって痺れた青色の萌えもんがいた。…ごめんなさい。傷薬と麻痺直しは用意しますので。

 

 

 

 

 

 

「大体お前らなぁ!洞窟でのマナーが成っとらんわ!電撃なんて使ったら野生の萌えもんに迷惑掛かるやろ!」

 

 

「すみません…」「ご、ごめんなさい…」

 

 

青色の萌えもんを治療するとその萌えもんは私とツヴァイに説教を始めた。今回のことは私達に非があるので正座して話を聞く。一方、ドライはこの萌えもんに敵意が無いことを確認すると周囲の警戒を行い始めた。

 

 

「はぁー!しかもジョウト界のマスコット筆頭マリル様になぁ!良い度胸やで!あんたら、いつもここ通るおっさん見習えや!」

 

 

「すみません…」「ご、ごめんなさい…」

 

 

どうやらこの萌えもんはマリルという萌えもんのようだ。…こんな喋り方でジョウトのマスコットなのか。ジョウト地方の人達は変わってるわね。ホロン地方出身の私はそう思う。

 

 

「…すまなかったな。以後気を付ける」

 

 

「おっ!あんた…」

 

 

暫くマリルの話を聞いているとドライがマリルに話しかける。…その様子から察するに二人は知り合いの様だ。なら早く見逃す様にお願いしてね、ドライ。私は大丈夫だけどツヴァイが正座の限界みたいだから。

 

 

「えーと、あんたは…あれやろ!前に…」

 

 

「ケイブという先程貴女が話していたおっさんとここを一度通ったことがある。貴女と直接言葉は交わしてないがな。まぁ…お嬢やツヴァイにも悪気は無いのだ。どうかここは穏便に…」

 

 

ドライが話を纏めようとしてくれている…。よし、その調子よドライ。

 

 

「あー、いたなー…」

 

 

 

 

 

 

「フラッシュ前におっさんの腕掴んで引っ付いてたあんさんか!」

 

 

シュッ…!

 

 

マリルの朗らかな声が聞こえた後、何か空気を裂く様な音がする。何かしら、私には暗くてよく分からない。一応、私は周囲の警戒をする。その後小さな悲鳴とドライの声がうっすらと聞こえる。

 

 

ドライの声が上手く聞き取れず、聞き耳を立ててから暫くするとマリルが大きな声で私達に呼び掛けた。…その声によって結局ドライが何を言っていたのかは聞き取れなかった。

 

 

「や…おっさんの知り合いならチョウジ側の出口までご案内しまっせ!」

 

 

「え…良いの?」

 

 

「ふ、ふぅー…痺れる…」

 

 

急にマリルは態度を変え、私達の前をゆっくりと歩く。彼女の歩きには迷いが無い。慣れた道なのだろう。

 

 

しかし急にどうしたのだろうか?その言葉にツヴァイが正座を解いて安堵している。私はその様子の変わりように疑問を持ちマリルに聞く。

 

 

「ま、任せて下さいな!」

 

 

………そういうなら良いか。こうして私達はマリルの案内で無事スリバチ山を抜けることが出来た。そして出口に辿り着き、私達はマリルにお礼を言う。

 

 

………その時にドライの時だけ私やツヴァイに比べてお礼を言う時間が長かった様に感じた。

 

 

…まぁ知り合いなら色々積もる話もあるんでしょうね。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。