俺達はコガネシティから北に向かい、エンジュまで後少しという所まで来ていた。
向かう道中に嬢ちゃんは無理だとしてもあのねーちゃんには会えるのではと思ったが結局会わなかった。結構彼女の旅の脚は早い様だ。
…でもそれで良いのかもしれない。自分の力だけでアサギに辿り着くくらいの力量は今後考えられる事態の際には求められるだろう。坊主や嬢ちゃんも同じだ。
まぁ俺が彼女達に追い付けなかった理由は他にあるんだがな…その理由である後ろを見る。
「………」
「………」
この不機嫌な二人だ。
…なぁ、せめてアノプスは喋ってくれ。お前が黙ってるのは珍しいから怖い。リリーラの方は何時もと変わらなそうだが不機嫌そうなオーラ滲み出てるぞ。…あ、そのオーラで野生のオドシシが逃げた。
まぁコガネからこの状態になった原因に覚えが無い訳では無い。…でもそのことに触れるのが怖かった。
「…アイツを呼んだのが駄目だったか?」
「………別に」
アノプスがむすっとして呟く。…言葉に反して図星みたいだ。
「まぁそもそも来てくれるか分からんぞ。アイツのことだからなー」
俺はそう言って笑うとリリーラが口を開いた。その珍しいことに驚きながら彼女の話を聞く。
「………来るよ」
「………だって、貴方が呼ぶのだから。絶対来る」
………珍しいリリーラからの言葉だ。リリーラがそう言うならそうなのだろう。俺は長年の付き合いから察する。そしてそう話す様子からもこの不機嫌な理由が分かった。………面倒な奴等だ。
俺はしっかりと二人の方を向いて話す。
「そうか。ならアノプス、リリーラ…」
「改めて頼もうか。俺を手伝ってくれ。俺も只のおっさんだ。お前ら抜きじゃ何も出来ない」
二人が不機嫌な理由…それは『自分達が信頼されていないのではないか』と思ったことだろう。だから俺が他の奴に頼ったのが許せなかったのかな。
別に信頼していない訳では無い。あのロケット団の連中相手にアノプスやリリーラならば勝てるだけの力量を俺は知っている。しかし何が起こるか分からないのだ。この問題には万全を期したい。
…それは二人を傷付けない為でもある。
「…しゃーないなぁ。ケイブさんは」
「………」
アノプスは俺のお願いを聞き、呆れた様に話し出す。リリーラは俺の方をじっと見ている。
「…分かった、手伝うよ。でもさ…」
だがアノプスは話すにつれ声量が落ちていく。最後の方は掠れている。
「俺達も只の萌えもんだ。ケイブさん抜きじゃ何も出来ないんだ、だから…」
「………」
「………分かった。一緒に頑張ろうな」
掠れて聞き取りにくいお願いに対して俺はしっかりとした声で返す。すると二人もはっきりと答えてくれた。
「…おう!」「………うん」
…良かった。少しは機嫌が良くなった様だ。その様子に俺は安堵する。
………まぁアイツを使わなくて良いのが一番の理想だな。大丈夫…
コイツらは強いんだ。並みの萌えもん相手じゃ負けねぇよ。