萌えもん~multi travel~   作:マクドール

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ここはアサギシティ。潮風香る港町。


心まで鋼鉄に-1

 

僕はアサギの港において釣糸を垂らしながら昨日のことを思い出す。

 

 

とんだ災難だったな。あの人…セーレさんのことだ。今考えてみれば自分があの場を突破する為に僕達の力を利用したとしか思えない。

 

 

彼女自身はあまり萌えもんを使っていなかったというのもその予想に拍車を掛ける。あの大会で使っていたヤドンを彼女は使っていなかったのだ。彼女は今手元にいないと言っていたが正直疑わしい。

 

 

だが悪いことばかりでは無い。後ろで模擬戦をしているウインディとヘラクロスを見る。ウインディが守りを捨ててヘラクロスの懐に飛び込み突撃しているのが見えた…まだ完璧には程遠い動きだが動作があの技に似ている。

 

 

インファイトだ。ウインディ曰く昨日の戦いの最中で習得しかけたらしい。しかけたというのは萌えもんの力量の上昇や技マシンの利用により習得したもので無いからだろう。しかし技への素養はあるようで経験を積めば習得出来るだろう。

 

 

そしてここからは理想論に過ぎないがもしかするとウインディがインファイトを習得すればヘラクロスにインファイトを教えられるかもしれない。ヘラクロスは格闘萌えもんであり、インファイトの技を使用する姿は熟練のトレーナーのバトルにおいてもよく見られている。だからインファイトを使える筈なのだ。

 

 

今後の指針を纏めてる中、全く釣糸が動く気配はない。しかしこの状況を動かす人が現れた。

 

 

………またあの人だ。僕の萌えもんの模擬戦の様子を見ると僕の横に座り、お願いをしてくる。………それは無理だ。簡単に出来ることではない。僕はやんわりと断ろうとする。

 

 

そんな中彼女のストライクが僕のヘラクロスに泣き付いている。…情けない姿だ。ヘラクロスが以前に『アイツは気に食わないが自分と同じかそれ以上の力量』と語っていたのが嘘みたいだ。

 

 

ヘラクロスは振り払おうとストライクに何度か攻撃しているが離れる感じはない。どうやら力を振り絞って引っ付いている様だ。…ん?

 

 

もしかしてな…日暮れまでならあの二体…エレブーとストライクも含めて訓練しても良いか。勝手に後ろで戦わせるだけだが。そう彼女に伝えると嬉しそうにお礼を言ってくる。結果として彼女の思惑通りなのだろう。

 

 

そんな中、暫く目を離していた釣糸に気が付き糸を引き上げる…そして餌を付け、また海面に落とす…。その動作を隣の彼女が見て微笑んだ。…何がおかしいんだ。

 

 

………狙いの萌えもん?このアサギの港だぞ。アイツに決まっている。まぁ今もここで釣れるのかは微妙な話だがな。昔は釣れたが…という噂話もある。すると彼女は小さな機械を取り出し周りを見る。暫くするとその機械から…ピコン!という音が鳴った。

 

 

そして彼女は少し悩みながら僕にこう言う。『釣りの時はね、釣糸だけじゃなく周りも見なさい』………これは馬鹿にされているのだろうか?そう言った彼女に一応お礼を言い、釣りを続ける。

 

 

そんな中結局当たりは掛からず、日が暮れる…すると彼女とその萌えもんはお礼を言って立ち去っていった。…結局利用されただけじゃないか。僕は溜め息を吐く。

 

 

………帰るか。ウインディとヘラクロスにも呼掛け、帰りの仕度をする。既に辺りも暗くなり、人が少なくなっていた。

 

 

だから気が付けたのだろう。

 

 

港にいた頭に僅かだが電気を溜めている萌えもんに。それに驚き、僕がその子を凝視しているとその子は慌てて海に入ろうとする。

 

 

………逃がすかっ!行けっ!ウインディ!

 

 

そして翌日…

 

 

 

 

 

 

「あら、ゲット出来たのね」

 

 

「………そっちもゲット出来たみたいですね」

 

 

「あ、分かるかしら!」

 

 

「そんな分かりやすく付けてれば分かりますよ。…おめでとうございます。確かスチールバッジでしたか」

 

 

「そうそう!貴方のお陰よ!…貴方もゲット出来たみたいで良かったわ」

 

 

 

 

「今、貴方の後ろに隠れているチョンチーをね………やっぱり港にいた子じゃない」

 

 

「…何でいるのが分かってて教えてくれなかったんですか?」

 

 

「んー、こういうのはね、待った方が良いのよ」

 

 

「何故?」

 

 

 

 

「私の釣りの経験からよ!」

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