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知らない不安定さと温かさだった。
…それはアタイが薄れゆく意識の中で感じたものだ。…こうなった原因は何だっけ?確か住処である砂…地面が激しく揺れたのだ。…その衝撃で意識が遠のいたのかな?
…こんな状態だからこの不安定さと温かさに身を任せるしかない。…でも不安定ながらもアタイを落とすまいと努力するその腕の温かさに触れる内に身を任せても良いかなと感じる様にもなっていた。
だから心地よく気を失うことが出来た。…表現がおかしいかもしれないがアタイにとってはそうなのだ。
そしてアタイの目が覚めるとその不安定さと温かさは無かった。
…それが堪らなく悲しかった。
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「…おい、人間」
「…ん?………あ!」
「あら?」
階段を塞いでいる岩が退けられるまでラプラスと話していると後ろから声と温もりを感じる。…振り向くと僕が運んできた萌えもんがいた。彼女は僕の背中にくっついてきた。
「大丈夫………そうだね」
僕は自身の背中にくっついている萌えもんのコンディションを見える範囲で確認する。………とりあえず大丈夫そうだ。でも落ち着いたら萌えもんセンターに行った方が安全だろう。
「うん。…何、これは?」
彼女が僕の背中からラプラスの前に並べられているものをじっと見ている。…その視線に気づいたラプラスはにこにこしながら答えた。
「モンスターボールですよ。私が入る予定の…ね。貴方はどれが良いと思うかしら?」
「…どれでもいい」
ラプラスと僕の間に並べられたボールの数々をざっと見て、その萌えもんは目をそらした。…奇しくも僕と同意見だった。
「あらら…。…普通は拘らないものなのかしら?」
「…うん。僕の周りの萌えもんで拘る子はあまりいないね」
どうやらこのラプラス…自分が入るボールを予め準備している様だ。そのトレーナーさん予定の人に負担をかけない為…らしい。随分と献身的な萌えもんだ。
しかも目の前に並べられているボールは僕が知らない様な貴重なボールばかりだ。何でも捕獲率が高いとかラプラスは話していたな。…意味は今一分からないが良いボールなのだろうという認識だ。
一方の僕が助けた萌えもんはモンスターボールに興味を失ったのか僕の背中にくっついている。…そして体を擦り付けてくる。
「成程…。参考になりましたわ。ありがとう、少年」
そう、別に拘る必要はないのだ。むしろボールよりもその彼とラプラスの問題だろう。
「ん、なら良かった…」
「つまり彼に捕獲率の高いボールを押しつけて、私に当てて貰えば良いのですね」
「…いや!違う!何か強引だよ!?それは!?」
彼女は僕の言いたいことが分かってなかった。別にボールに拘る必要がないという意味が通じてない…!
「いや、でも彼はそれくらいしないと…」
…ゴッ!!
…何かが砕けた音がした。その大きな音がした方向へと目を向けると見覚えのある男性とつー、ろすろす、ヤド、ヤドランがいた。この見覚えのある男性がラプラスの話していた男性だろう。…以前ウバメの森で出会った男性だ。
「あ、やっぱりここでしたか!…ってラプラス、お前まで…!」
「…お久し振りです、主様」
「…それは止めてくれ。私は君の主ではない」
「…あらら」
にっこりとそう言うラプラスに対して男性はそれを突っぱねた。それを受けてもラプラスはにっこりと笑っているがやはり何処か悲しそうに見える。僕からも何か言った方が…。しかしそれは男性と現れた僕の萌えもん達に遮られることになる。
「主、…無事か!?」
「ドラちゃん!…ん?」
「うん、大丈夫だよ。心配をかけたね…」
つーとろすろすが僕を見や否や急接近してきた。それを見てヤドは笑い、ヤドランは呆れている。近づく二人を僕は受け止めようとするがつーの足が止まる。
「後ろの…誰?」
「あ、この子は…」
「…何だ、お前はトレーナーか」
後ろの…というのは背中にくっついている萌えもんのことだろう。一方でその萌えもんは僕の背中にくっついたままだ。
「…ならアタイを連れていけ」
「「「…え?」」」
その発言に僕とつーとろすろすが驚く。そして何故かつーが僕を睨んできた。…えっ、何で!?
「えっと…いいのかい?」
「うん。あんたみたいな人間ならアタイは大歓迎だ」
彼女は背中にくっつきながらはっきりとそう答えた。それを見ているつーの顔が少し歪んだ…気がした。
「…君は萌えもんなの?名前は?」
そう言えば名前を聞いてなかったと思い出し、彼女に聞く。
「ビブラーバ。これでもドラゴン」
「えっ、虫じゃないの?」
「…違う!ドラゴン!」
僕はこの子を虫萌えもんかと思っていたがどうやら勘違いだったみたいだ。彼女…ビブラーバの背中に引っ付く力が一層強くなった気がした。…怒らせちゃったかな?
「………おい、お前は野生だろう?住処は?」
「もう無い。…折角の新天地だったが潰された」
それを聞いたろすろすは黙ってしまった。…住処が潰された?あの地震のせいかな?それを聞いて僕はこの萌えもんを捕まえても良いかなという気にはなった。
「…と、とりあえず降りようねー…君ー」
「やだ」
「…こいつー」
ビブラーバは背中にくっつきながらつーの方を向いてつーの言うことを拒否した。つーの顔が少し歪む。…ビブラーバの方はどうだろうか?後ろにいるから分からない。
「…ど、どうする?」
「…つー的には無し」
「…私は主に任せる」
………捕まえても良いかなと僕は思ったが一応二人に聞いてみた。つーからは無し、ろすろすは任せるか…。ちょっと気になることがある。僕がここに来た理由。それは萌えもんを捕まる為…この子にするつもりは無かったが目的とは一致している。後は…
「ビブラーバ、最後に一つ…良いかな?」
「…何だ?」
「…バトルの経験はあるかい?」
…背中からの力が弱まった気がした。それを感じた僕は彼女に手を回し、優しく叩く。
「………」
「出来れば正直に答えて欲しい…かな?」
「………無い」
更に背中からの力が弱まった。…微かに震えてる気もする。無いか…この子は僕自身が強くなる為に求めていた未熟な萌えもんかもしれない。…それに質問に正直に答えてくれたのだ。それが僕には嬉しかった。
「…分かった」
「君だ…君に決めたよ。一緒に頑張ろう」
~
「つーの意見は無視ですかー、そうですかー」
「…つーも可哀想に思っただろ?住処が無くなったらしいし…」
「…いやー、別にー」
横で愚痴るつーに僕は捕まえようとした言い訳をする。…何だかんだでつーも多少はビブラーバの境遇に同情してる筈だ。…口では否定してるけど。
「それにつーなら許してくれる…かなって」
「………はぁー、つーだからー?」
「うん、つーだから」
僕はつーに笑いかける。するとつーは呆れた様に笑い返してきた。
「………そー、勝手にすればー?ろすろす程頑固じゃなさそーだしー」
「なっ…つー殿!?…え、えっとお前!」
確かにろすろすの時は面倒だったな…。といよりつーが…。慌てたろすろすが話題を逸らすかの様にビブラーバに話を振る。
「バトルの経験が無いのは分かった。…だが何が使える?」
ろすろすがそれを聞くとビブラーバは少し考えて口を開けた。
「超音波、嫌な音、大地の力、虫のさざめき………くらい」
「………虫技だと!?」
………それを聞いたろすろすが何故か落ち込んでいる。そう言えばろすろすは虫技が使えなかったな…それでも充分強いけど。
「…ろすろすより虫タイプしてるねー、うんー」
つーが笑っている。…そういえばつーも虫タイプだが虫技を使っているのを見たことがない。…つーは虫技を使えるのだろうか?
「…もーっ!アタイは虫じゃないっーの!」
それを聞いたビブラーバが拗ねてしまった。虫と言われるのが嫌みたいだ。…気をつけよう。
「はは、ごめんね。じゃ捕まえようかな。名前はビブラーバだっけ…じゃあ…」
「らーら…らーらかな。…よろしくね」
「…分かった!アタイはらーらだ!」
…良かった。受け入れてくれたみたいだ。僕はモンスターボールをそっとらーらに当てる。…すぐにボールの揺れが止まった。…ゲット成功だ。
「…なぁ?主のネーミングセンスはいつもあれなのか?」
「うんー、ドラちゃんの欠点の一つだよー…」
………つーとろすろすがこそこそ話をしているが多分新しい仲間を受け入れてくれているのだろう。
らーら(ビブラーバ)
性格:図太い
繋がりの洞窟(?)にて発見した萌えもん。地震によって住処を壊されて気を失った所をドラに助けられた。その際に彼の側を自分の居場所と思い、ゲットされた。性格としてはつーの視線を受けながらドラにくっつく等…肝は太いが虫と呼ばれること、そして居場所や仲間を失うことに関してはとても敏感。
ビジュアルとしてはクリーム色で二本のはねっ毛のある髪、そして同色の服から僅かに覗く小さな緑の羽と尻尾が特徴。