※『朗報or悲報?:3~4話予定のつもりが、4~5話になりそう』
…すみません!許して下さい!何でもしますから!
※今回は番外編の量が多いので本編→番外編→本編→番外編…の流れで投稿予定(あくまで予定です)
遠くにいても聞こえる様な明るくて活発な声とそれには劣るものの勢いのある声が私の耳に入る。
「…これは絶対行けます!!ディレクター!!視聴率爆上がりです!!アズマオウの滝登りです!!」
「…そうか!行ってこい!必ず捕まえろっ!」
「…はい!!」
明るくて活発な声の持ち主が勢いよく扉を開けて下の階へと下りていく。………その足音すらもよく響いた。
「………で、ヨウちゃん。お願い出来るかな?」
「了解です」
そして勢いのある声を出していた人…ディレクターさんは静かに私にそう言った。それに対して私は同じ様に静かに答える。
「あの子の言うことだ。…今回も絶対に当たる。…でも程度は君に任せる」
「大丈夫です。やってはいけない程度を彼女は直感で分かってますから」
「…だね。でも一応頼む」
「分かりました」
…そう、彼女は直感で物事のアウトとセーフのラインを見極めることが出来ていた。だから無茶なことをしても、このコガネ放送局にて愛すべき馬鹿な存在として残ってきたのだ。
………そんな彼女が貰う上からのバッシングや視聴者からのクレームは愛に溢れたものだった。………因みにファンの間では彼女へのファンレター=クレームらしい…。そんなカルト的人気を持っているとも言える。
それが私の仕事のパートナー、ジツキだ。
ディレクターに一礼して私は彼女を追う。………下から彼女の足音と叫び声が聞こえる。…どうせ何かパプニングに巻き込まれているだろう彼女にはすぐ追いつけそうだ。
~
「いやー!!行けるよ!!あの四人は絶対行ける!!」
「そうですか」
彼女が頭を擦りつつもふらふらと町中を歩きながら、そう豪語する。…あの後、色々あって放送局の三階から飛び降りたのだ。それで頭をぶつけて『…痛いっ!!!』との感想でその件に関してはもう終わりらしい。…その出来事を彼女は気にせず、歩いている。
「あの乱闘ボーイと泥棒レディは間違いないし、残りのまな板ガールと赤服さんも絶対面白い!!…行ける!!」
………酷いあだ名だ。でも誰のことを言ってるのかは分かる。…先日行われたコガネルーキーカップの第三位までの選手のことだ。確か名前はホロ、セーレ、ドラ、エリトだったか…。彼女はその四人を探していた。
「…何処かなー!?」
そんな中、彼女はふらふらと歩いていた。…彼女は彼等が何処にいるかも知らないし、私に何処に行こうとも言ってないのにだ。………そんな彼女と共に暫く歩いていると彼女がコガネデパートの屋上前の扉でいきなり足を止めた。…ここが当たりか。普通なら有り得ないが…
そして彼女は勢いよく扉を開けた。
…やっぱり当たりだ。…目的の四人の内三人を発見した。ドラ選手、セーレ選手、ホロ選手だ。
………そして『彼』がいた。…大当たりだ。
彼女はその集まりを確認すると彼等へと猛ダッシュで詰め寄る。
「…ん?」
「すみませんー!!コガネ放送局のジツキですっ!!皆様にはルーキーカップでお世話になりましたっ!!急ですみませんがお話がですねー………」
「あー…あの…」
「あの人ね…」
…彼女は三人しか見えてない様だ。彼には目もくれていない。…そんな三人に詰め寄る彼女の様子に引いている彼の側に寄る。
「あの………お久し振りです」
「ん?…誰だ?………悪いが人違いじゃないか?」
「………失礼しました。勘違いです」
「あ、そう…」
そう言って彼は頭をかき、騒がしい彼女と三人の集団に視線を移す。………ま、そうなるか。昔の私と今の私ではかなり印象が異なるだろう。覚えてないのも無理はない。
…私も彼女と三人の集団の方を見る。
「「「…お嫁さん企画?」」」
「はい!!貴方達トレーナーさんとその萌えもんでです!!存分にイチャイチャした風景をお願いします!!」
「あの…こういうのは大人の男性がやるんじゃ…僕はまだ子供で…」
「大丈夫です!!萌えもん協会にはそういうのを支持する層もいます!!」
「テレビは嬉しいけど…私、女性よ?」
「大丈夫です!!萌えもん協会にはそういうのを支持する層もいます!!」
「…私は子供で女性よ?完全に駄目だと思うのだけれど」
「大丈夫です!!萌えもん協会にはそういうのを支持する層もいます!!」
…会話のキャッチボールが成立してない。三人が投げたボールを彼女はバットを使い、ホームランとして打ち返す。………そんな感じだった。
その勢いに三人が呆れている。…そんな中、彼等の萌えもん達が持ち主に対して何か言っている。…もしかすると交渉に成功するかもしれない。…どうやら何体かの萌えもんは乗り気の様だ。
そして彼女はガッツボーズをしながら私の方を見る。何で勝ち誇ってるんだが…。しかし私を見ていた彼女のガッツボーズが急に解かれた。…そして私の方へと向かってくる。
「…ん!?…貴方はっ!?………ティンと来ました!!貴方もやりましょう!!」
「…え、俺!?」
向かって行ったのは私ではなく、彼の方だったみたいだ。彼女は彼までもお嫁さん企画にスカウトしようとしている。その勢いに彼もたじたじだ。
…彼女の目に敵う彼が凄いのか、彼を見つける彼女の目が凄いのか………。ここは彼女の目が凄いということにしよう。
「…俺、おっさんだぞ?」
「大丈夫です!!萌えもん協会にはそういうのを支持する層もいます!!」
…またホームランだ。便利な言葉だね、それ。…その後も彼に詰め寄っている。
その後、私は三人と彼に対して企画の説明や質問に答えたりしているといつの間にか日が暮れてきた。…そこで彼女は話を切り上げた。
「…では皆さん!!御検討をお願いします!!…宜しければ××日にコガネ放送局のスタジオまで!!」
………彼女の顔は勝ち誇ってたものだ。まぁ、見る限り三人と彼の感触は悪くない。本当に交渉成功が見えてきた。…そう言い残して勢いよく屋上から去る彼女を私は追いかけた。
そして翌日…
~
「やりました!!ディレクター!!スロットで言うならヨワシの魚群レベルの当たりです!!」
「…成し遂げたぜ!」
コガネ放送局のスタジオに集まった三人と彼を見た彼女とディレクターが大いに喜んでいる。………バックに壮大な音楽がかかってそうな程だ。いや、でもこれ…
「あの…ちょっと良いですか?」
「どうした、ヨウちゃん!!…バブル光線予告も欲しいですか!?流石ゲーセン通いのヨウちゃん!!」
私はゲーセンには彼女の仕事の付き添いにでしか行ったことがないのだが…。よく分からないことを言う彼女を無視してディレクターに質問する。
「…あの…赤服の彼は良かったのでしょうか?」
「「………」」
「………このままではオンエアまで間に合いません!!強行します!!」
「待て!ジツキィー!」
あ…そのまま撮影に入るのね。彼女とディレクターのハンドシグナルからそれを理解する。私以外の周りのスタッフもそのハンドシグナルを見たからか準備を進めている。
さて…ようやくコガネテレビ特番、お嫁さん企画の撮影開始だ。
まさか導入に一話使うとはこの海のリハクの目をもってしても読めなかったわ…
まぁ甘いイチャイチャ予定なのでごゆるりとお待ち下されー