「何と言うか…凄いことになってるね」
繋がりの洞窟から戻った主人は、ヒワダの萌えもんセンターの一室にて、アタイ達にそう言いながら空笑い気味に笑いかける。
「………ドラちゃんも巻き込まれたからねー」
「わ、悪かったよ………」
その笑いかけを受けたつーが主人に毒づくと、主人は罰の悪そうな顔をする。………因みにヒワダで帰る道中に彼女を呼ぶ時は『つー様と呼べー』と言っていたのに、アタイが本当に呼んだら『………や、やっぱりらーらが呼びやすい感じで』と言われた。
なのでアタイからの皆の呼び方はつーとろすろす、ヤドだ。…ヤドは気にしない様子だったが、少しろすろすが嫌な顔をしていた気がするが、嫌なら言ってくるだろう。そうしたら直せば良い。
「…さ、さて!これからだけど…」
主人がつーからの視線に耐えられなくなったのか、新しく話題を持ちかける。一方で話を逸らされたつーは少し納得してなさそうだが、これからのことを話すのは合理的と分かっている為か…主人の話を受け入れる。
「まずはこの地震についてなんだけど…」
…主人が拙い動作で部屋に置いてあるパソコンを操作している。………少しするとその動作が止まり、画面を指差しながらアタイを含めた皆に呼びかける。
「…少し前にケイブさんから連絡システムを使っての連絡があった。………ケイブさんからの話によるとこの地震は伝説の萌えもん?…が関わっている…らしい?」
「…ふむ、それはそれはー…」
「主、この文章を見る限りでは…どうする気だ?」
画面のメールの文章を見て、ヤドが頷き、ろすろすが主人に問いかける。………アタイは文章を見ていない。アタイが見た所で、何も理解出来なさそうだから。大切なのは主人や皆がどう判断するかだ。………その判断に従う気だ。
一方、つーは文章を一瞥すると何か言おうとしたが、ろすろすの言葉を聞き、開けかけた口を閉じた。
「…手伝いたいと思っている。僕に何か出来ることがあるならね」
「…了解ー」
「…そんな気はした。仕方あるまい」
「…恐らくマスターも来るでしょうな。…ならば乗りますかなー」
「………?主人、どうするのだ?」
…皆が主人の言葉に納得しているが、アタイにはどういうことか分からない。その為、主人に問いかける。
「えっとね…らーら。これから僕達はエンジュシティに向かう。そこでこのメールによると、この地震の原因を突き止める手伝いをする………らしい。ケイブさんって人からのお願いなんだ」
「そうか、分かった」
「…本当に?」
「大丈夫だ。…主人に付いていく、ならば問題無い」
…それだけでいい。複雑な目的や理由はアタイには要らない。そこの所は主人やつー、ろすろす、ヤドに任せよう。アタイにとって重要なのは………
そこに温もりがあるか、どうかだ。
~
「じゃあここを出る前に、短い間だったけどツクシ君に挨拶…でも忙しい…かな?」
そしてここ…ヒワダタウンを出る前に何をするべきか…という話になっていた。アタイはとりあえず皆の話を耳に挟んでおく。
「…一応行こうかー。つーも行くよー。………らーらも来なー」
「分かった」
…何故アタイが呼ばれたか分からないが、とりあえず付いていこう。
「ヤドはヤドンの井戸の者達に声を掛けてきますぞー。…ろすろす殿も来ますかな?」
「お供しよう。…あの技の礼をヤドラン殿にはしたいものだ」
………アタイがつーに呼ばれた意味が少し分かった。きっと気を使ってくれたのだろう。
「…あ、ドラ殿。ヤドランはどうしますかな?」
「…どうって?」
「………ドラ殿自らが泣き付いてお願いすればこの一件に力を貸しそうですがなー」
「………それは嬉しいけど、彼女にもやることがあると思うんだ。…止めとこう。もし付いてくるって言ってくれたらお願いしようかな…くらいで」
………そう言うとヤドが軽く息を吐く。
「………分かりましたぞ。ならば期待せずにお待ち下さいなー」
「…き、期待せずに?…分かったよ」
…そんなヤドの返答に複雑な表情で、主人は応じる。その後、主人が周りの皆を見渡す。どうやら最後の纏めに入る様だ。アタイは黙って主人の言葉を待つ。他の皆もそうしているみたいだ。
「…よし、皆。周りの人に挨拶をして、準備が整ったらエンジュシティに行こう!…なるべく急ぎで!」