「まずはコガネ…だったかしら」
「…えーと、こっから下だね」
「下じゃ無くて南、ね」
「…そうなの?下じゃなくて南…」
私とツヴァイは萌えもんセンターに置いてある地方マップを見ながら自分のいるエンジュシティ、そして当面の目的地であるコガネシティへのルートを目で追っていく。
先程私を助けてくれた男にエンジュ周辺の話を聞くのと同時に『強くなるにはどうしたら良いか』というのを伺うとその際にコガネシティの名が上がったのだ。
そんなことを聞く理由として彼には『洞窟内の様なことが起きないために』と言ったが、本当の理由はそれではない。本当の理由は赤の他人である彼に言うつもりは無い。私の手でデルタ種の萌えもん…あの子達を取り戻す為だ。
しかしその目的の為には手持ちのツヴァイ、そして現状の私では明らかに戦力不足だ。ツヴァイは自分の力不足が原因だと言っているが私自身にも問題はある。
…あの男は私のことを華奢だと言ったが、それは的を射ている。私は普段から走り回ったりするようなタイプでは無かった。ならば体を鍛える為にも旅は悪くないかもね。そう思い始めていた。
これは私とツヴァイを鍛える為のコガネへの旅なのだ。
「…ねーちゃん。ごめんね」
地図の前で考え込んでいるとポツリとツヴァイが呟く。この萌えもんセンターに来てから何度も聞いた言葉だ。
「アインスねーちゃんならこんなことにはならなかったよね…」
私はツヴァイが話している萌えもんを思い浮かべる。確かにあの子なら洞窟内の萌えもん相手に苦戦することは無い。しかしあの子が居なかったら私達はあの洞窟まで逃げることは出来なかっただろう。
「ツヴァイ…気にしないで。貴女は貴女よ。今も頑張ってるし、これからも頑張ってくれる…でしょ?」
「…うん!ねーちゃんの為なら頑張るよ!」
私の問いにツヴァイは力強く返事をしてくれる。…この前向きさは大切にするべきだ。ちょっと私も見習いたいな…。
「すみません。ちょっと失礼…」
そう考えていると恐らく目の前の地図目的だろう。同い年くらいの萌えもんを連れた少年が私の横に立ち、同じように地図を目で追っている。
ここにずっといるのも邪魔になってるかもしれない。…行きましょうか。
「あ、ごめんなさいね」
私はそう彼に謝罪し、ツヴァイを連れてその場を離れる。…あの少年も私達と同じ様に旅をするのだろうか。いや、私みたいな目的を持ったトレーナーはいないんだろうな。そのまま私達は萌えもんセンターを後にする。
「じゃ、コガネまで行くわよ。無理はしない範囲でね」
「うん!」
こうして私達は萌えもんセンターから出て、エンジュからコガネに向かうことを決めた。………尚その時エンジュシティを出るのにかなりの時間を要した。だって仕方無いじゃない。町は広いしツヴァイは色々な所に目を光らせてるから足が止まることも多かった。
私もツヴァイもこんな経験は初めてだからしょうがない。…私はそう心の中で自分達を正当化しておく。