なんだこのサブタイトルと思いましたよね。
私も思ってます。
「よーし、銀。スピードアップよ!」
「ウォン!」
巨狼に銀と名をつけて、背中にのせて走ってもらっている。
ルーミアの指示により、グングン加速していく。
風を切り、木々の間を駆け抜ける。
ルーミアのかなり楽しそうな声が耳に届く。
そんな中、私は
「ちょっ!まっ!銀!私、落ちそう!落ちそう!」
絶賛大ピンチだった。
銀はでかい。
それゆえに走ったときに体が揺れる幅も必然と大きくなる。
ルーミアは平然と乗りこなしているが、騎乗スキルもなければ運動神経もない私は、銀の腰辺りに振り落とされないように必死にしがみついている。
ふと、前世の乗馬体験で馬が走りだすと落ちないように必死になったことを思い出した。
あの頃は、もう二度と走ってる動物の上に乗るのはごめんだと思っていたが、そんなことはすっかりうっかり忘れて、私は銀にまたがってしまったのだ。
体があのとき乗った馬よりも大きいためうまく跨がれなかったこともこの危機的状況の大きな要因かもしれない。
「ほんとストップ!私、とんでって木にぶつかりそうだよ!?ねぇ!聞いてる!?私の声聞こえてる!?」
「仕方ないわね。銀、ストップだって」
「ウォン!」
ピタッ!という音が聞こえそうなほどにしっかりブレーキをかける銀。
いや、実際は下からズササササー!と聞こえてくるから多少滑ってはいるんだろうけど。
ところで、慣性の法則というものを知っているだろうか。
中学の理科で習う内容だが、わりと日常的に感じることのできる法則だ。
外から力が作用しなければ,物体は静止または等速度運動を続けるという法則。
こういうと難しく聞こえるがこうイメージしてほしい。
猛スピードで走っていた車が急ブレーキをかけた。
すると、どうなるか。
え?事故る?
まあ、そうだな。
事故るだろうな。
って、そうじゃなくて!
イメージさせた状況が悪かったな。
じゃあ、全力で峠を攻めていた車がガードレールに衝突したとする。
どうなるかイメージすると
ガードレールをぶち破り、フライアウェイ…。
うん。これも不味いわ。
まぁ、今、私の身に起こってることを見てもらえば慣性の法則を完璧に理解してもらえることだろう。
「ーーーーっ!ーーっ!」
「ちょっ!優愛!?」
銀が急ブレーキをかけるとほぼ同時に、足が凄い勢いで舞い上がり、あっという間にうつ伏せだった体勢が仰向けに変わっていて、その衝撃で銀の毛を必死に掴んでいた手の力が抜け、足元から進行方向だった方向へ吹っ飛んでいく私。
恐怖のあまり声も出ず。
口を鯉やなんかの魚のようにパクパクと開閉させ、先程まで銀が進んでいたスピードを保ちながら宙を滑っていく。
これこそが慣性の法則だ。
もうそろそろお気づきだろうけど、慣性の法則云々は現実逃避だよ!?
誰か助けてーー!
私、死んじゃう!
死なないとしても大怪我するって!
痛いのやだよーー!
ルーミアが助けようと手を伸ばしながら飛んで来てくれてるけど、流石に間に合わなさそうだ。
せめて、近くにぶつかりそうな木がないことを願って進行方向(足元)を見ようとする。
次の瞬間。
私の足元に大きな黒い空間が口を開いた。
空間のなかから大量の目玉がこちらを見ていた。
「ーーーっ!?ーーっ!ーーーーっ!」
この作品の主人公は作者が『私みたいなの』って認識で書いてるので、主人公が持ち得る知識は、作者が普段から持っている知識くらいなので変な方向に偏りをみせます。
作者の不幸体質までも、受け継いで産まれてしまっているので、これからどうなることやら。
さて、この話の最後に出てきたのは?
って、わかりますよね。