転生とかもっとこう・・・なんか違くね?   作:九十九夜

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実戦とか・・・なんか違くね?

「た、助けてくれっ」

 

「俺は無理矢理連れてこられただけだっ」

 

「頼むっ見逃してくれ!まだ幼い子供と病気の嫁が!」

 

聞こえてくる命乞い。

 

誰かの悲鳴。罵声。

 

今僕はそんなものばかりの戦場に来ていた。

初陣と言うやつだ。

迎えては討ち、迎えては討つ。

いつの間にか僕の回りには放射状に血と死体が散らばっていた。

 

「あ、あ、う。」

 

新しいのが来た。と思えばそれは立ち止まり、ガチガチと歯の根を鳴らしている。

 

「・・・大丈夫?」

 

魔が差して、声を掛けた。

振り返った先には僕より少し年上らしき少年が突っ立っていた。手にはクナイが握られているが両手に、且つ逆手ではない所を見るに彼も初陣なのだろう。僕が一歩彼に踏み出したと同時に目の前の彼の表情にほんの少し変化が見て取れる。

 

ああ、そういう事。

 

上手いことするものだと思いつつ遠い昔俺が読んだことのある小説をモデルに作った忍術『渦刀』を発動させる。

ものの見事に僕の後ろに接近していた敵の忍・・・この目の前の子の味方だったであろう男の首から上がおさらばする。近場にいたであろう他の忍の全身にスプリンクラーの如く吹き出す血がかかるがその処理は合戦場故にそのまま放置で失礼する。悲鳴とか上がっているがこの際無視だ。

一瞬にして希望が絶望に変わった目の前の彼は涙を浮かべるどころか余りの出来事に失禁して尻餅を着いてしまっている。・・・気持ちはわからなくもない、そりゃ助けに来た奴の首が飛ぶどころか弾けてなくなるなんてこと考えたくもない。

 

目の前の過呼吸気味の彼と、そんな彼の背後から向かってくるこれまた敵の増援に対して溜息を一つついた。

 

「うーん。」

 

出来れば彼ともう少し話らしい話をしたかったんだけど。

 

「本当は君たちに勝利の達成感とかを味合わせたいところなんですけど・・・すみません。」

 

次の瞬間。僕の発動した渦刀によってその場にいた僕以外の全員が首なし死体に早変わりした。

その後も次々と子供で弱そうだからか僕のところに向かってくる忍達。

でもごめんなさい。こういうの慣れてるんですよね、僕。

前世が魔術師で英霊の混ざりものなもので。

 

ピッと頬にほんの少し返り血が付いた。

・・・少しでも血が付いたら父上と伯父上、伯母上が心配するしなとか思いつつ適当に血を拭った。

そうして辺りを見回すと既に僕以外に近場の生存者はゼロである。

というかうまいこと分断されて僕だけになったあたりを鑑みるにこれ反母親派の策略なんじゃね?とか思わなくもない。まあいいや。

 

「・・・えーと。とりあえず合流が先かな。」

 

さっき千里眼で見た最前線に当たる場所に向かおうとその場から立ち去った。

 

 

 

 

 

□ ■ □

 

 

 

 

 

 

パアンッ パアンッ パアンッ

 

 

不思議な音が戦場に響き渡った。

起爆札の爆発音でも、忍具で打ち叩く音でもない。

大凡この合戦場には似つかわしくない・・・例えるなら、そう。まるで縁日で売られている水風船が割れるような。

そんな音がだんだんとこちらに近づいてくる。

俺だけではない、周囲の他の忍達も一様にそちらを気にしている様だった。

と、近くにいた敵が件の音を立ててどしゃりと倒れる。

そこでやっとあの不思議な音の正体を知った。これは人の頭の弾け飛ぶ音だったのか、と。

敵が続々と同じ死に方をしている辺りを見るにおそらくは味方によるものなのだろうがこんな忍術を行使する味方を男・・・千手柱間は知らない。

自身も挿し木の術という自分でもえげつないと言えるような術は扱えるものの、流石に狙った一か所をどうこうとかは無理である。いったいどれほどの使い手でどのような忍術を使っているのであろう。

そうとめどなく思考していると近づいてくる足音が一つあった。

 

「あ、伯父上。こちら方はもう片付きましたので、応援にきました。」

 

ゆったりとした足取りで近づいてきたのは今回が初陣の可愛い甥っ子。千手鏡間だった。

分断されて行方が知れないと後方から連絡が入った時は肝を潰す思いだったがこうして元気そうな姿を見て安心する。

 

「鏡間!!」

 

思わず身を乗り出す勢いで前に出ると鏡間から制止される。

 

「ご心配をおかけしました。けど、話は後です。一掃しますね。」

 

瞬間一際大きい音が響き、前方の敵勢が一斉にその司令塔である頭を消されて倒れる。

詰まる所この技はこの甥っ子に寄るものらしかった。おそらく弟辺りが・・・いやあやつに限ってこの子に・・・いやいやと心中で葛藤しているとその敵陣の方に何かを確認しに行ったらしい鏡間が帰ってくる。

 

「お待たせしました。」

 

「のう、鏡間。さっきの術はお前が」

 

何と言ったらいいのか、どんな表情をすればいいのかわからず二の句を告げないでいるといつもの無邪気な笑顔で甥は嬉しそうに答えた。

 

「はい!まだ試作段階だったんですけど。まさかここまでうまくいくとは思いませんでした!」

 

お役に立てたのならいいんですけどと頬を掻く。

そんな甥の気丈に振る舞う姿に柱間は言いようのない悲しみに襲われ、鏡間を抱き締めた。

 

「・・・すまない。」

 

出てきた言葉はその一言だけだった。

 

こんなつい先日までいたずらをしていた可愛い子供が、こうやって平然を装ってまで人を殺している。

いつだったか、既に決別してしまった友と語った夢を、競った日々を思い出し、そしてそれすら許されなかった目の前の少年の振る舞いや言動を思い出して柱間は無性に苦しくなった。

 

いつかこんな子供が手を汚すことのない、優しい世界が・・・

 

 

「柱間様。勝鬨が上がりました。ご支度を。」

 

傍に寄ってきた千手の者に短い返事を返してもう一度鏡間の方を振り返った柱間は遅れないようにと声を掛けるとその場を去った。

 

 

 

 

 

 

「さて」

 

誰もいなくなった場で鏡間の声だけが嫌によく響いた。

ズズッと背後の空間から黄金の光があふれるとともに巻物が取り出される。

それを拡げるとそこから煙を立てて何かを口寄せする。

出てきたのは先程倒したはずの一族の、恐らく族長かそれに近いであろう男の生首であった。

しかし、何処までも不可解なのは切断面が何やら色のついた水に覆われていて、かつその生首が生きている(・・・・・)という事だろう。

猿轡をされている生首がヴーヴーと唸るのをそのままににこりと笑って鏡間は言う。

 

「誰に雇われたか、教えてくれますよね?おじさん?」

 

蛇のような赤眼が冷たく光った。

 




周囲と主人公の感情の温度差が酷い。

そして、そこからなる勘違いも酷い。
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