side:X
「ふーふふーふーん」
鼻歌を歌いながら石を積み上げる少女が一人。
「いつにも増して機嫌がいいですね。主上。」
そんな少女にいつの間にか現れた妙齢の女が話しかける。
と、少女の詰んでいた石が崩れた。
「っ、申し訳ありません。お邪魔を・・・。」
頭を垂れる女性を差して気に留めることもなく少女はそのままころりと寝返りを打つかのように転がって立ち上がる。
「んー?いいよ別に。」
今日は気分がいいからね。特別許してあげるー。と笑う少女に女はほっと胸をなでおろした。
「んで?例の楔と鎖は?順調?」
「はい・・・鎖の成育が少し予定よりも遅くはありますが問題ない範囲です。ただ・・・。」
「ただ?」
きょろりと、今度はお菓子を食べだした少女が目だけを女に向ける。
「ひっ。い、いえ。いささか鎖の方が扱いずらくなる可能性があるかと・・・情緒不安定といいますか。」
「えー?たかが手製の泥人形と
少女の瞳に物騒な光が宿る。
「し、しかし、現段階で始末するのは得策ではないかと」
次の瞬間その光は消えた。
「あーはいはいわーかってるっての!そもそもあっちに直接てえだすことがどんだけ大変か・・・あーやだやだ。これだから人間任せにしちゃうのはねーいただけないよねー。ほんと。そのためにも・・・ね?」
「はい。早急に我らの権威を人に知らしめる、ですね。」
女の言葉に再度笑顔を取り戻して少女は言う。
「そーそー。はああっ。ほんとなんでこう
やっぱり転生じゃなくて作為的に作った方がより良いものを生み出せるよねー。ほら私
少女は一端言葉を切るとその場に手をかざす。
浮かんできたのは金髪の少年の立体映像だった。
「君には期待してるんだよ?千手カ・ガ・ミ・マクン?」
「・・・続いて、転生者の集まっていた神国のことですが。」
「ん?ああ、そのことならもういいよ。さっきのついでに片しちゃったから。まあでも」
神を敬わないような下剋上もくろんでる輩の住処に神国とか使っちゃダメだよねー。と凶悪な笑顔で少女はその場を後にした。
女はそんな少女がさっきまで石積みをしていたところを見ると、そこには大きな世界地図のようなものがまるで絨毯のように広がっており、件の石が散らばった個所にはこう書かれていた。
『神国』
その場所がまるで墨を溶かしたかのように黒く塗りつぶされていく、と文字が消えていく。
「・・・確かに、既に決済済みの様ですね。」
そういって女もその場から消えた。
□ ■ □
side:Y
じりじりと燭台の中の焔が燃える音がその場に響いた。
ガタリという誰かの動く音を皮切りにその板敷の上に各々が腰を下ろした。ざっと見たところ数は10人ほどであろう。
まず、赤い外套を身に纏った男が口を開いた。
「さて、では今回の進行は私だったか。ではまず神国消滅の件だが。既に聞き及んでいるだろうか。」
「ああ、大規模な地殻変動だって話だが・・・ありゃ黒だな。仲間が天から光を落ちるのを見たってやつが何人かいる。・・・まあ、俗にいう天罰ってやつだ。」
やれやれと言った体で青いタイツの男が肩を竦めて見せた。
「・・・まあ、彼らの行動は目に余るところが少々ありました。当然の報いと言えばそれまででしょう。」
紫の長髪の女が更に言葉を付け足す。
「それでは神国の件は此処まででいいな?・・・では次に目撃情報についてだ。情報元は騎士王。」
その言葉に待ってましたと言わんばかりに青を基調とした服装の金髪の少女が立ち上がる。
「その件は私から。実は先日千手一族の動きを探るため黒騎士の部隊に近くの宿場町で様子を探らせていたのですが・・・そこに思いもよらない人物が現れまして・・・。なんと、寄りにもよってあの千手柱間と一緒に。」
ごくりと誰かが生唾を飲む音が聞こえる。
「そう、あの金ぴかが、千手に転生していたのです。寄りにもよって!!」
「なん・・・だと・・・」
ダンっと力強く拳を打ち付け騎士王は他の面子に訴えかける。
「これは由々しき事態です!!私たちと同じように金ぴかの面を被った転生者が千手に現れる・・・これは欲望に満ちた悪しき輩に違いありません!その証拠として彼はっ!!」
更にバンっと中央にたたきつけられた写真には賭場に来ていた若干元気のない柱間と、そんな彼を首輪付きリードで引っ張っている鏡間の姿が映し出されていた。
「千手柱間にっ・・・こんなっお散歩プレイのような醜態をさらすことで彼を辱めていました!!」
ざわりとどよめきが広がる。
このような形で情報が出回ってしまい更に数多の者にその醜態を大分不名誉な形でこうして見られている柱間の方が可哀そうなのだろうがそんなことは知ったことではない。
此処にいる俗に型月の更にFATEと呼ばれる作品群に登場するキャラクターに類似している彼らは転生者であった。
そんな彼らはみな型月をプレイしたことがあるものばかりで、それゆえにギルガメッシュというキャラクターを、鏡間と姿の類似したキャラクターとその性能をよく知っていた。
故に彼らは一様に彼のことを逆ハーレムだとかを目指す邪なものだと決めつけて会議は進んでいく。
「やれやれ、先が思いやられるね。」
その様子を見ていた誰かがくふふと笑って闇へと溶けた。