とある神器持ちの日記   作:ウメ種

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いろいろ書きたかったことを書いてみました。
あんまりクリスマスっぽくないです。
というか、3分の2はクリスマス関係無いと思う。

勘違い要素はあんまり無い。
IF的な話ですので、本編と齟齬が生じてるかもしれませんが、あまり気にしないで読んで下さい

本編12巻後という感じで見てください


番外編3

 ☆月A日

 

 セラフォルーさんが遊びに来た。というよりも、実写版魔法少女のオーディションのお誘いに来た。

 ……正直、アニメを実写化するのはどうかと思っている。絶対外すだろう、とも。

 や、言わなかったけどさ。滅茶苦茶楽しみにしてるみたいだったし。夢を壊す趣味は無い。

 でも、出来れば巻き込まれたくないとも思う。……そう思ってた。

 一応拒否はした。嫌がった。だって俺って男だし。

 それなのに実写版魔法少女? 死ぬ。社会的に死ぬ。

 敵役も応募してるからどうか、と言われたけど丁重に断った。

 なんか、支取も巻き込まれてるらしい。……災難だな、と思う。本当に。頑張れよ、支取。

 オーフィスちゃんから出ないのか、と聞かれた。出ません。

 

 

 

 ☆月B日

 

 サーゼクスさんからサタンレンジャーの衣装が届いた。シルバーの。

 何か俺に恨みでもあるんだろうか、あの人は?

 ちなみに、届けてくれたのはグレイフィアさんだった。何も言わずに衣装だけ置いていった。

 ……申し訳なさそうな顔をされたのが、余計に辛かった。

 オーフィスちゃんからも出てほしいと言われた。

 あの子、サタンレンジャー好きだもんな。

 ――でも出ない。恥ずかしいとか、恥ずかしくないとか、そんなレベルじゃないのだ。

 

 

 

 ☆月C日

 

 今朝から、オーフィスちゃんが口をきいてくれない。これが反抗期か……違うだろうけど。

 何度か話しかけてみたが、駄目だった。

 でも、俺以外とは普通に会話してた――アレって、地味にキツイ。

 レイナーレさんから、オーディションを受けてみては、と言われた。それか。

 なんか、家の中で俺が悪者になってる気がする。

 まぁ、黒歌たちは単に俺をからかって楽しんでるだけみたいだけど。

 

 スコルとハティだけが味方だ。

 ……ちょっと寂しい。

 

 

 ☆月D日

 

 ヴァーリ君達が遊びに来た。

 オーフィスちゃんと喧嘩したのか、と言われた。

 どうだろう? これって喧嘩って言えるの?

 ヴァーリ君と美猴さんに魔法少女のオーディションの件を相談した。

 笑われた。まぁ、それが普通の反応だと思う。

 俺も相談される側だったら笑ってる。

 受ければいいと言われた。チクショウ。やっぱりそれしかないのか……。

 

 結局、今日もオーフィスちゃんは口をきいてくれなかった。

 ロスヴァイセさんや塔城さんまで今の状況を楽しんでるみたいだ。

 レイナーレさんと黒歌も。まぁ、俺みたいな男より、オーフィスちゃんみたいな女の子の方に味方するよね。俺だって、オーフィスちゃんの味方をすると思う。

 取り敢えず、衣装を確かめてみた。スーツから仮面まで、一通り揃っていた。

 ……今度、サーゼクスさんに文句を言っても良いと思う。言って良いかな?

 

 

 

 ☆月E日

 

 オーディションを受ける事になった。セラフォルーさんに伝えると、登録は済んでたらしい。

 ……俺って判りやすいんだろうなぁ。溜息しか出ない。

 オーフィスちゃんにも許してもらえたようで、久し振りに会話した。

 あんなにサタンレンジャーが好きなんだなぁ……まぁ、良いんだけどさ。どうせオーディションは落ちるだろうし。

 俺が受かる訳ないし。

 そう考えると、気が楽だ。恥を掻くのはオーディション当日だけだ。

 

 

 

 ☆月F日

 

 オーフィスちゃんもオーディションに出たいらしい。

 一応セラフォルーさんに相談したけど、参加登録はもう終わったらしい。

 目に見えて落ち込んでいた。レイナーレさん達は判らないって言われたけど。いや、雰囲気で判るよ?

 そう言うと驚かれた。あれ? 俺がおかしいの?

 とにかく、オーフィスちゃんが落ち込んでいた。

 お菓子をあげてもありがとうの一言だけだ。いつも笑ってくれるのに……どうしよう?

 

 

 

 ☆月G日

 

 支取が遊びに来た。珍しい事もあるもんだ、と思った。

 なんでも、支取も魔法少女ナントカのオーディションを受けるんだとか。そう言えば、この前セラフォルーさんが何か言ってた気がする。

 セラフォルーさんに登録されてたらしい。勝手に。仲間だ。仲間が居た。

 ちなみに、グレモリーも誘ったんだそうだ。……悪魔って暇なの?

 俺も受けるって聞いたから、確認に来たらしい。まぁ、俺は敵役でだけど。しかも戦隊物。

 魔法少女と戦隊物ってどうよ? せめて改造人間と戦隊物が良いと思う。

 支取から同情された。その優しさが一番辛かった…。

 

 今日もオーフィスちゃんは落ち込んでいる。

 スコルとハティと遊んでいる時も、どこか上の空だった。

 

 

 

 ☆月H日

 

 オーフィスちゃんはサタンシルバーの使い魔的な感じのお供として参加する事になった。

 それで良いのか、オーディション。というか、そんな設定あるの?

 後付で作るらしい。流石製作者側は好き勝手出来るなぁ、と思った。

 とりあえず、サーゼクスさんに感謝。まぁ、案を出してくれたのはアザゼル先生らしいけど。

 やっぱり堕天使さんは頼りになる、と思う。

 オーフィスちゃんの機嫌も戻って良かった。

 ……オーディション当日は憂鬱でしかないけど。

 

 

 

 ☆月I日

 

 凄いのが居た。凄い漢だ……。なんかもう、一番印象に残ってるのはあの人だ。

 ミルたん。絶対本名じゃないだろうけど、名前を聞いてないのでそうとしか書けない。

 支取とかグレモリーとか、高校生が魔法少女の格好をしてるのも色々とアレだったけど、あの人は別格だった。

 だって男だし。パイプ椅子を丸めてたし。属性は癒し系らしい。無理だと思った。

 むしろ、オーフィスちゃんが普通に一番似合ってる時点で、オーディションって何だろう、って感じだった。

 アーシアさんとか紫藤さんとかも参加してたけど、歳がね……。うん。

 やっぱり、高校生が魔法少女は無理があると思う。あとセラフォルーさん。

 一番テンションが高かったのはセラフォルーさんとミルたんさんだったけど。

 

 三次試験の頃には、支取とグレモリーが死にかけてた。精神的に。大変だな、と思った。

 俺は仮面で顔が隠れてるので、もうどうでもいい心境だった。

 今日の俺は上代徹(笑)だった。オーフィスちゃんと二人でオーディションを楽しませてもらった。

 レイナーレさんとか黒歌とか、皆から応援された時は死にたくなったけど。

 ……まぁ、オーディションは落ちてるだろうけど。

 だって俺より敵役がぴったりなミルたんさんが居るし。絶対あの人で敵役決まりだろ。

 演技も上手だったし。なんか俺の事を以前から知ってるみたいに話しかけてきた。最初は驚いたけど、演技力を見せてたんだろう。よっぽど魔法少女ミルキーが好きなんだな、あの人。

 途中でエキストラでテロリストの真似事をした人達が来たけど……あの人がほとんど一人で蹴散らしてた。

 派手だった。拳と蹴りで戦う魔法少女……新しい。

 多分、人類にはまだ早すぎると思う。筋肉だし。

 最終的に、俺とミルたんさんで最後は戦う事になってた。どうしてそうなったのか判らない。流れとか、空気とか、そんな感じだった。勝てる気がしなかったので、必死に避けまくってたけど。

 手加減してくれて助かった。絶対一発殴られただけで死ねると思う。筋肉の塊だし。

 一応使い魔って言う設定のオーフィスちゃんにも手を上げなかったし、良い人なんだろう。外見は筋肉だけど。

 

 今日は楽しかった。仮面をつけてて助かった。

 仮面が無かったら死んでた。とりあえず、バレてただろうけど兵藤達とは話していない。

 ……レイナーレさん達が応援してた時点であれだけど。

 それでも話したくなかった。

 今日の俺は上代徹(笑)なのだ。

 ――もう寝よう。

 

 

 

 ☆月J日

 

 体中が痛い。昨日のオーディションではしゃぎ過ぎたようで、筋肉痛だと黒歌に言われた。

 マッサージしてもらった。気持ち良かった。

 ご飯を食べるのも一苦労なくらい、酷い筋肉痛だ。明日には治るといいけど……。

 食事の時、オーフィスちゃんから少しだけど食べさせてもらった。

 昨日のお礼らしい。オーフィスちゃんも楽しんでくれたみたいで良かった。恥ずかしい思いをした甲斐があったと思う。

 

 

 

 ☆月W日

 

 オーディションの合格通知が来た。

 ……どうしよう?

 

 

 

 ☆月X日

 

 オーフィスちゃんが魔法少女ナントカに出る気満々なんだが、どうしよう?

 とりあえず、その魔法少女ナントカの件は辞退しようと思う。

 セラフォルーさんと代わっても良い。勝手に代わって良いかは知らないけど。

 あと、ミルたんさんも合格したそうだ。今日町であった。あの人、この町に住んでたんだ……。

 

 

 

 ☆月Y日

 

 オーフィスちゃんが口をきいてくれない。話しかけても逃げられる。

 ……魔法少女の件を、俺が勝手に断ったのがダメだったらしい。

 そんなに出たかったのか……。

 いや、オーフィスちゃんと出るのが嫌になった訳ではないのだ。

 ただ単に、恥ずかしいだけで。

 この歳で魔法少女……敵役だけど、魔法少女の特撮にはちょっと抵抗が……。

 言い訳したけど、聞いてもらえない……今回ばかりは、レイナーレさんたち全員がオーフィスちゃんの味方だ。

 俺の味方? スコルとハティだけだ。俺の家なのに、肩身が狭い。

 

 

 

 ☆月Z日

 

 「サタンレンジャー」で、シルバーの相棒的立ち位置に『ウロボロスの巫女』という少女が加わっていた。

 ……この前のアレか? 魔法少女のオーディションか? そうだろうな……。

 なんというか、商魂逞しいな、と思った。

 オーフィスちゃんは喜んでいたから……良かったのかもしれないけど。

 しかし、上代徹(笑)のアレな発言はどうにかならんのか。サーゼクスさんノリノリだな。

 絶対台詞を考える時、笑ってると思う。俺を辱めてそんなに楽しいか。

 黒歌が爆笑していた。

 うん、もし俺と黒歌の立場が逆なら、俺も爆笑してると思う。そんなキャラだ、サタンシルバーは。

 オーフィスちゃんから、俺はサタンシルバーか、と聞かれた。

 いやいや、俺はあんな格好良い事は言えないよ?

 おっかなびっくり、逃げ回るのが限界だ。

 そう言うと、オーフィスちゃんが撫でてくれた。良い子だなぁ、本当に。

 ちなみに、ミルたんさんからも逃げるのか、と聞かれた。

 うん、逃げる。

 そう即答した。……格好悪いね、俺。

 まぁ、あんな筋肉さんとじゃ勝負にならないし。多分殴られたら死ぬ。そんな感じ。

 

 

 

 ☆月@日

 

 「魔法少女ミルキー 実写特別版」は年末にテレビで放送されるそうだ。

 ちなみに、俺の代わりにサタンシルバーの中の人が頑張ってくれたらしい。お疲れ様です。

 仕事を増やしてしまって、申し訳なく思う。

 それと、オーフィスちゃんもいつの間にか中の人と一緒に撮影現場に行ったんだとか。

 年末が楽しみだ。

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 12月20日

 

 今日から冬休みだ。

 終業式だけで早く帰ってきたので、レイナーレさんの家事の手伝いをした。

 といっても、掃除とか買い物の荷物持ちとか、それくらいだけど。

 クリスマスも近いので、商店街の飾り付けが凄かった。

 あと、スーパーの特売も。その辺りを覚えているレイナーレさんは、本当に主婦のようだと思う。

 そのうち、家計簿をつけ始めるかもしれない。そう思った。

 しかし、クリスマスの飾り付けのされた町をメイドさんと並んで歩くと言うのは初めての経験だった。

 多分、レイナーレさん以外の人とはもう二度とないだろうけど。

 レイナーレさん、美人だし。手伝って良かった。

 

 

 

 12月21日

 

 どうしてクリスマスには七面鳥を食べるのだろう?

 や、テレビでクリスマスの料理特集というのをやっていたから、そういう話になった。

 なんでも、イギリスからアメリカに移り住んだ清教徒の人達に、アメリカの先住民の人達が冬を越せるようにと送ったのが七面鳥なんだとか。

 かなり端折って書いたけど、大体そんな感じらしい。ロスヴァイセさんが教えてくれら。

 本当に物知りだな、流石先生。

 黒歌とオーフィスちゃんは、取り敢えず食べてみたいらしい。

 まぁ、俺も食べてみたい。

 レイナーレさんに聞くと、作り方は知らないらしい。

 まぁ、調べればすぐわかるだろうから、と。クリスマスに作ってくれるらしい。

 ……ホント、何でも出来るようになってきてるよね、レイナーレさん。

 

 

 

 12月22日

 

 いつもお世話になっているレイナーレさんに、何かお礼をする事にした。

 クリスマスも近いので、クリスマスプレゼントという形で。

 何が良いだろう?

 まぁ、アレだ。女性への贈り物って、何が良いの?

 ネットで調べたが、アクセサリとか花とか……レイナーレさん、どれを喜んでくれるだろう?

 アクセサリは家事の邪魔になるだろうし、花は……好きなんだろうか?

 でも、レイナーレさんは綺麗だから、アクセサリとか詳しいんだろうな。

 素人意見で選んでいいのかな? ネックレスとかイヤリングとかだったら大丈夫だろうか? 家事の邪魔にならないだろうし、良いかもしれない。

 それとも無難に花? ……迷うなぁ。

 

 

 ……レイナーレさんの好きな物って何だろう?

 困った……俺って、レイナーレさんの事を何も知らない。

 

 

 

 12月23日

 

 黒歌や塔城さん、ロスヴァイセさんへのプレゼントは割と簡単に決まった。

 といっても、皆でいつも使えるようにマグカップを買ったんだけど。オーフィスちゃんには、マグカップとお菓子を買った。

 アクセサリとか、明らかに予算越えるし。バイトもしてない学生の懐具合なんてこれくらいだ。

 まぁ、親からの仕送りに手を出せば良いだけなんだけど……それもどうかと思うし。

 問題はレイナーレさんだ。

 何が良いだろう?

 皆と同じマグカップでも、と思ったけどレイナーレさんにはいつも助けられてるし、少し凝った物を渡したい。

 ただでさえ、マトモに給料も払えていないのに。

 ……そう考えると、本当に俺は駄目な人間だよな。

 

 

 

 12月24日

 

 今日は、レイナーレさんを誘って買い物に出かけた。まぁ、デートのようなものかもしれない。俺じゃ釣り合わないだろうけど。

 まぁ実際は、クリスマスパーティの準備を黒歌達がすると言う事で、レイナーレさんを連れ出したのだが。

 朝からいきなり誘って驚かれたけど、まぁ、楽しんでもらえたと思う。

 というか、こっちもいきなりの事だったので何も考えてなかった。

 映画に誘って、昼ご飯を食べて、お茶をしながらお喋りして、飾り付けられた商店街を見て回りながらケーキとか買って……そんな感じで過ごした。

 それとなく欲しい物を聞くのが一番困った。絶対気付かれてただろ、アレ。――恥ずかしかった。

 だって気を使われてたし。安いアクセサリを一つ、買う事になった。

 きっと、俺みたいなのを甲斐性無しとか言うんだろうな、絶対。

 家に帰ると、パーティの準備が出来てた。

 というか、オーフィスちゃんはサンタ衣装を着てた。

 何処で手に入れたのか、と聞いたら兵藤から借りたんだとか。ホントに何でも持ってるな、アイツ。誰に着せるつもりだったんだろう? サイズ的に……誰も着れないと思うんだが。

 ちなみに、大人サイズのものは貸してもらえなかったらしい。

 多分、グレモリーにでも着せて楽しんでるんだろう。……爆発すればいいのに。

 

 料理はロスヴァイセさんと黒歌が用意してくれた。

 七面鳥が無くて、オーフィスちゃんがガッカリしてた。オーフィスちゃんは判りやすいと思うんだけどなぁ…。

 家の飾り付けは塔城さんとオーフィスちゃんがしてくれた。

 高い所はどうしたんだろう? と聞いたら、塔城さんがオーフィスちゃんを肩車したらしい。見てみたかった。でも、今思うと明らかに高さが足りてないような気がする。どうしたんだろう? ……気になってきた。

 俺は何もしてない。レイナーレさんを連れ出しただけ……ちょっとヘコむ。男手なのに、一番役に立ってないの俺だ。今気付いた。

 ……明日は何か役に立とうと思う。

 とにかく、今日のパーティは楽しかった。

 オーフィスちゃんもこの家に来たばかりだし、馴染んでもらう意味でも大成功だったと思う。

 まぁ、もう馴染んでるけど。皆と仲良いし。

 プレゼントを渡すと喜んでもらえた。安物で申し訳ないけど。

 気にしなくていいと言ってもらえたけど、やっぱり気にするよ。男は見栄っ張りなんだなぁ、と思う。

 年が明けたらバイトでも探そうか? 考えとこう。

 

 それと、皆からクリスマスプレゼントを貰った。

 なんでも、幸運のお守りなんだとか。材料は俺が知らないうちに皆で集めたそうだ。

 手作りのお守り。

 巾着みたいな小さな袋の中に、色々と幸運を運んでくれる素材が入ってるから絶対に巾着は開けたらダメと言われた。

 大切にしようと思う。絶対に。

 レイナーレさん達に会えて良かった、本当に。そう思えた。

 

 

 

 12月25日

 

 今日は皆で昨日のパーティの片付けをして、家でのんびりしてた。

 雪が降ってた。ホワイトクリスマス。まぁ、雪合戦をするような歳じゃないんだけど、何となく嬉しくなるね、ああいうのは。

 スコルとハティが寒そうにしてたので家に上げてやると喜んでいた。

 あとは……とくには何も無かった。

 レイナーレさんとオーフィスちゃんの三人で夕食の買い出しに出掛けた。

 人が多かったので手を繋ぐと、温かかった。どうして子供って、体温が高いんだろう?

 レイナーレさん、黒歌、塔城さん、ロスヴァイセさん、オーフィスちゃん……家も賑やかになったもんだ。

 ヴァーリ君達も良く遊びに来てくれるし、お隣は天使様だし。

 今年一年、本当に色々あった。

 来年も賑やかなのかね?

 ちなみに、晩御飯はオーフィスちゃんの希望通り、ターキーを買ってきた。

 ローストターキー。美味しかった。塔城さんが、来年もまた一緒に食べたいと言っていた。

 俺もそう思う。来年も一緒に居たい、って思う。

 まぁでも、どうなるか判らないよね。

 レイナーレさんも黒歌も、皆が居てくれるって言ってたけど、どうなるか判らない。

 黒歌はともかく、レイナーレさんには、給料くらいは、と思うけど――ただの高校生でしかない俺にはどうしようもない。

 生活費…仕送りの大半はレイナーレさんの自由にしてもらってるけど、食費とか電気代とか、それ以外には無駄遣いはしてないみたいだし。アレは給料とは言えないだろう。うん。

 

 でも――また来年も、一緒に居られたらなぁ、とは思う。

 せっかく仲良くなれたんだし。

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 凸月A日

 

 ヴァーリ君から連絡が来た。

 何かアルビオンさんが落ち着かないので話を聞いてほしいそうだ。

 俺がドライグさんのカウンセリングをしてることを、どこから聞いたんだろうか?

 まぁ良いんだけどさ。偶には会いたいし。

 2~3日くらいしたら家に来るそうだ。楽しみだ。

 黒歌とオーフィスちゃんも楽しみにしていた。

 フェンリルも来るのだろうか? スコルとハティも、偶にはお父さん…お母さん? どっちだろ。まぁいいや。会いたいだろうし。来てくれるといいな。

 

 

 

 凸月B日

 

 ヴァーリ君達が遊びに来た。美猴さんにアーサーさん、ルフェイちゃんにフェンリル。結構な大所帯だよね、ヴァーリ君のチームって。

 この面子で、いつも強者を探したり、面白い物を探して旅をしているらしい。自由だなぁ。ちょっと憧れる生き方だ。まぁ、俺じゃ二日目くらいに挫折しそうだけど。

 何日か泊まらせてほしいという事だったので、余っている部屋に泊まってもらっている。

 最近は中国の渓谷に居るカウンセラーにアルビオンさんを診てもらいに行ってたらしい。話を聞かせてもらった。凄いね、中国の秘境の仙人…かどうかはしらないけど、そんな人にカウンセリングしてもらえるなんて。

 俺って必要無いんじゃない? 今度、ドライグさんにも紹介しようか?

 そう言ったら、是非そうしてほしいと言われた。仲良いね、二人とも。

 

 

 

 凸月C日

 

 アルビオンさんの中では、大きな胸=グレモリーという方程式が出来上がってるらしい。

 ……ドライグさんより重症だよね? 絶対重症だよね?

 グリゼルダさんから分けてもらっていたドライグさん用の薬を塗ると落ち着いていた。

 ――ドライグさんだけじゃなくて、アルビオンさんまで薬漬けになってしまいそうで怖い。

 ヴァーリ君からは感謝されたけど。色々と複雑だ。

 あと、昨日聞かせてもらった中国のカウンセラーさん。三蔵法師様らしい。……マジスゲェ。

 孫悟空と三蔵法師とか、西遊記だ。俺でも知ってる。

 凄い人と知り合いだなぁ、ヴァーリ君達は。

 

 美猴さんから冒険の話を聞いてたら、黒歌が拗ねてじゃれついてきた。

 暇らしい。

 その後は、冒険話じゃなくて黒歌とかオーフィスちゃんの最近の話になってた。

 もっと聞きたかったのに……明日また聞かせてもらえるだろうか?

 

 

 凸月D日

 

 ヴァーリ君達が、オーフィスちゃんに撫でられていた。

 オーフィスちゃんって、撫でるの好きだよね。撫でると相手が笑顔になるから、だそうだ。

 ……可愛いよね、オーフィスちゃん。なんか和む。

 美猴さんなんて、撫でられたら撫で返してるし。兄妹というか、親子というか。なんかそんな感じ。

 黒歌も撫でられてた。俺も、レイナーレさんも、塔城さんも、ロスヴァイセさんも。

 フェンリルとスコル、ハティも撫でていた。

 そのあと、散歩ついでにドライグさんも撫でに行った。

 ヴァーリ君達と一緒に行ったら驚かれた。

 

 

 

 凸月E日

 

 フェンリルをお風呂に入れてあげた。

 スコルとハティの親だけあって、頭が良いし綺麗好きの良い狼だよね、フェンリル。

 乾かすとフカフカだった。スコルとハティ以上にフカフカだった。

 気持ち良かったなぁ、フェンリル。

 昔は見上げるくらい大きかったのに、今は普通より一回り大きいくらいのサイズで丁度良いし。

 ルフェイちゃんが偶に抱き着いてるけど、気持ちがよく判った。

 塔城さんとオーフィスちゃんも抱きついてた。

 女の子がやると絵になるよね……うん。

 

 

 

 凸月F日

 

 スコルとハティと遊んだ。というか、今日はやたらと言う事を聞いてくれなかった。

 まぁ、遊んであげたら落ち着いたけど。

 なんだったんだろう?

 黒歌の機嫌が悪くなってたけど。何時まで経っても仲良くならないよなぁ、黒歌とスコル達。

 そういうと、美猴さんから笑われた。理由は教えてもらえなかったけど。

 ヴァーリ君は、どこからか持ってきた本を読んでた。

 冥界の本らしい。貸してもらったけど、全然読めない。悪い事をしたかな。

 

 

 

 凸月G日

 

 兵藤とアーシアさんが遊びに来た。

 というか、ドライグさんがアルビオンさんと話しに来た。

 「おっぱいドラゴン」と「ケツ龍皇」……厭な呼び名だ。今日は一日、二人で語り合っていた。

 ……なんか、見てるだけで泣きそうになった。なっただけで泣きはしなかったけど。

 アーシアさんが一生懸命慰めてた。ちょっと泣けた。

 そのあと、オーフィスちゃんがトドメを刺してた。

 子供の無邪気な質問って、辛いよね。そう思った。

 「おっぱいドラゴン」の人気が落ちる事を願う事しか俺にはできない。

 しかし、この前会ったグレートレッドさんが「おっぱいドラゴン」のファンだとは知らなかった。

 まぁ、前会った時は主題歌を歌ってたけど。

 ――ドラゴンって、色々あるんだなぁ、と思った。

 ドライグさんとアルビオンさんで「赤龍帝被害者の会」を立ち上げるそうだ。

 兵藤に慰謝料払えよ、と言っておいた。

 

 

 

 凸月H日

 

 グレモリーと姫島が来た。

 昨日冗談で慰謝料払えと言ったら、本気にしてやがった。

 いくら? なんて言われても冗談だったんで、反応に困った。

 それくらいの冗談、通じると思ってたのに。

 それはともかく、グレモリーはあんまりヴァーリ君が好きじゃないようだ。

 あと、美猴さんとは仲が悪い。

 人の家で喧嘩しないでほしい。マナーだと思う。貴族って何だろう? そう思った。今度グレイフィアさんに聞いてみよう。

 

 

 

 凸月I日

 

 ヴァーリ君と美猴さん、後オーフィスちゃんと一緒にこの辺りの焼き鳥屋台を制覇した。

 というか、この町に住んでないのに美猴さんってよく知ってるよね、屋台の場所。

 聞いたら、匂いで判るらしい。あと勘。流石孫悟空。

 オーフィスちゃんの世話を焼いている美猴さんは、本当にお兄さんだなぁ、と思った。

 見てて和んだ。

 アルビオンさんも和んでた。

 

 

 

 凸月J日

 

 ヴァーリ君達が帰っていった。

 アルビオンさんが落ち着いたから、また旅に出るそうだ。その表現で合ってるか判らないけど。

 また遊びに来てほしい。お土産話を聞きたい。

 美猴さんは良い人だなぁ、と思う。今度はとびっきりの土産話を持ってきてくれるそうだ。

 期待して待っていよう。オーフィスちゃんも嬉しそうだった。

 ……皆が帰った後、黒歌の甘えっぷりが凄かった。

 や、お前はヴァーリ君達が居てもあんまり変わらずにくっついてきてたし。

 あれでも自重してたらしい。オーフィスちゃんが真似をするので控えてほしいと思う。

 

 

 

 凸月K日

 

 グレイフィアさんとベオウルフさんがレイナーレさんの様子を見に来てくれた。

 今日も掃除がちゃんと出来てるか見て、戦いの腕は鈍っていないか確認してくださった。

 掃除とかはともかく、戦いの事はよく判らないので、そっちは口出しできない。

 俺はお茶を淹れて終わるのを待つばかりである。

 それと、先日グレモリーが家で美猴さんと喧嘩した事を伝えておいた。

 せめて家の中で喧嘩はやめてほしい。俺の家は普通の家なのだ。家具が壊れると大変なのだ。

 グレイフィアさんが注意しておいてくれるらしい。言って良かった。

 

 

 

 凸月L日

 

 グレモリーがげっそりしていた。

 何があったんだろうか?

 まぁ、関わると碌な事がなさそうなので、気にするだけにしておいた。

 兵藤が何とかしてくれるだろう。

 

 

 




1.サタンシルバーと魔王少女の話。
  あと、ミルたん初登場。多分もう出ない。多分。
  何が起きたかは、皆さんのご想像にお任せします。

2.レイナーレさんと主人公の話。
  最近レイナーレさんが一歩引いてるのは、作者がそう書いてるから。
  一歩引くというか、適度な距離のヒロインが好きです。
  黒歌みたいにくっついてくるヒロインも好きだけど、作中に何人もそんなヒロインが居るとちょっと……というのが私です。一人か二人くらいで丁度良いと思ってます。

3.たぶん、フェンリルさん視点で書くと思う。
  この作品における「おおかみのもんしょう」
  


別視点はまた後日orz
しかし、オーフィス成分が多い気がする…。
小猫ちゃんとロスヴァイセさんは11、12巻のネタバレをあまりしたくなかったので、意図的に書いてません。
番外編4を書くとしたら、メインというか、出番を増やしたいですね。

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