凸月A日
なんか、グレモリーの配下っていうのか? レーティングゲームの『騎士』が一人増えたらしい。紹介された。……そこで、なぜ俺に紹介するのかが判らない。本当に判らない。とりあえず、拉致するのをまずどうにかしろ。お前ら、俺にも人権があるんだからな?
とりあえず、新しい『騎士』は知った顔だった。以前、アーシアさんを馬鹿にしてた人だ。聖剣(笑)を持ってた。
名前はゼノヴィアさん。凛々しい、という言葉が似合いそうな女性だ。……二年生らしいが。俺より年下だよ。この人が『騎士』になった事より、俺より年下という事実の方に驚いた。マジでか。
その場でアーシアさんに謝っていたので、俺からはもう何もいう事は無い。というか言えない。
だって俺、部外者だし。当事者が許すなら、それ以上何か言う資格ないし。
それと、なんかアザゼルっていう人が『神器』に興味があるらしい。兵藤と――俺の。なんで? ねぇ、なんで? 選択肢おかしいと思うよ? どうして兵藤と俺? 木場君じゃないの?
グレモリーが言うには、とりあえず気を付けるように、と。それだけかよ。
その後、部活は終了らしく、連中は帰っていった。相変わらずの説明不足だった。あいつら、意志疎通する気ないだろ?
あー、あと。今度学園で悪魔と堕天使と天使の代表が会談を行うらしい。知らんよ。
だから、それを俺に教えて何なの? なにさせたいの?
グレモリー達の説明レベルの低さは異常だと思う。
というか、アザゼルって誰? 何をどう気を付ければいいのだろうか? ……よく判らんが、俺ってもしかして危機なのだろうか? 本当に判らんから困る。
黒歌にアザゼルって知ってる? って聞いたら、にゃぁ、と応えてくれた。可愛いなぁ、黒歌は。
レイナーレさんは、今日はアーシアさんの家(兵藤の家)に泊まりに行っている。晩御飯はコンビニ弁当だった。…寂しい。
今日は黒歌と一緒に寝ようと思う。
凸月B日
黒歌を布団に入れた事を、レイナーレさんに気付かれた。
怒られなかったけど。ちょっと微妙な顔をされた。はい、すみません。
凸月D日
学園の帰り道に、どっかで見た顔を見掛けた。というか、めっちゃ知った顔だった。
サーゼクスさんとグレイフィアさんである。あと、ついでに兵藤とグレモリーも。どうしてこんな所に居るんだろうね、魔王様。しかも、普通に馴染んでるし。魔王の威厳が感じられない。
グレイフィアさんの視線が厳しくなったのは気のせいだと思いたい。
なんでも、妹が住んでる町の下見らしい。しばらく時間をおいて聞き直したら、今度なんか用事があるらしいから町の下見をしてるらしい。もう一度聞いたら、冥界に人間界の店を真似て作りたいと言っていた。どれが本当の理由なんだろうか? 魔王様は、もう少し主体性を持てばいいと思う。そんな事を言ったら比喩抜きで殺されそうだけど。
ふーん、的に聞いて別れるつもりだった。関わると、碌な事がなさそうだし。魔王だし。
気付いたら、一緒に町を歩き回っていた。どうしてこうなったのか、俺が知りたい。強いて言うなら、魔王様は魔王様だったという事だ。強引すぎだろ。流石はグレモリーのお兄さん。
肩とか組まないでほしい。
途中から話題は、レーティングゲームの事や、この前のコカビエルさんの事になってけど。
というか思い出したけど、コカビエルさん。サーゼクスさんの所為で巻き込まれたんだよ!? 思い出した。
俺がサーゼクスさんの知り合いだから襲われたんだよ!
今度文句言おう。絶対言おう。うん。
ちなみに、レーティングゲームの駒っていうの? 俺、『女王』以外、誰にも渡してないんだよね。そういえば。
なんでも、今度試合があるらしいからそれまでに何人か見繕えとの事。無茶言うな。あんな物騒なゲームに誘える友達なんかいないよ。
レイナーレさんに相談したところ、黒歌はどうですか、との事。なるほど……。猫って良いの?
なんか、サーゼクスさんから怒られそうだから、ちょっと保留。
……すでに、レーティングゲームの試合に俺が出る流れになってる気がするが、気のせいのはずだ。
レイナーレさんと二人でどうしろと?
凸月E日
今日も、帰り道にサーゼクスさんと会った。何だこの異常なエンカウント率は。ちなみに、今日はグレイフィアさんと二人だった。デート?
俺は空気が読めるから、別れて帰るつもりだったよ? そのつもりだったんだけど。
気付いたら、魔王様に拉致られてた。魔王からは逃げられないって、何のセリフだったっけ?
……絶対空気読めないよね、この魔王様。グレイフィアさんも苦労するんだろうなぁ。
今日は神社を見て回った。……魔王が神社ってどうよ?
凸月F日
今日は日曜日なのに、学園へ行ってきた。プール掃除の為だ。泣ける。何故休みの日にしなければならないのか。
この前、コカビエルさんとの一件の後、十日くらい休んだから、それを帳消しにするために呼び出されたのだ。……ちくしょう。俺、何も悪くないよな? 巻き込まれただけなのに…。
支取が申し訳なさそうにしてたから、それだけでも救われた気分だったけど。やっぱり良い奴だな、お前。
しかし、プール掃除はグレモリー達と一緒に、だ。朝から憂鬱だった。登校ギリギリまで黒歌を撫でて現実逃避する始末だ。レイナーレさんに追い出されたが。……最近逞しくなってきたよね、レイナーレさん。良い事だと思うけどさ。
憂鬱な気分で学園に行くと、校門の所で兵藤達と合流した。
兵藤は、グレモリー達の水着が楽しみらしく、判りやすいくらいに気合が入っていた。……まぁ、気持ちは判るが。スタイルは良いもんな。スタイルは。
木場君はいつも通りだった。……女に興味が無い、なんてことは無いと願いたい。
アーシアさん達とはプールで合流した。学園指定のスクール水着を着たアーシアさんと塔城さん。
この二人は普通だった。流石オカ研の良心。
グレモリーと姫島、新しく入部したゼノヴィアさんはビキニだった。……プール掃除舐めてんのか、と。
や、眼福だけどさ。俺も男だし。兵藤みたいに顔に出てなかったと思いたい。というか鼻血をだすな。こっちが恥ずかしい。
プール掃除は、割と早く終わった。というか、速攻終わった。悪魔の体力ヤベェ。
俺? 塔城さんと姫島の三人でプールサイドの草むしりしてたよ。
姫島の水着の生地の薄い事薄い事。目のやり場に困った。本当に。塔城さんの前だから、俺は紳士で居なければならないというのに。下級生の子の前で欲望丸出しとか、マジで無理だし。
しかも、それが判ってるのか。姫島は俺に近寄ってくるし。なんてヤな奴だ。あいつ、絶対Sだな。もしくはドS。
逃げ回りながら草をむしるのは疲れた。
兵藤達は、凄い勢いでプールの底を磨いてた。流石悪魔だと感心するしかない。息切れ一つしてなかったからなぁ。
その体力が羨ましい。
まぁ、俺って普通の人間だからしょうがないんだろうけどね。
掃除が終わった後は、皆で泳いだ。
気持ち良かった。塔城さんが泳げないとの事だったので、泳ぎを教える事になったけど。俺も、教えれるほど上手じゃないんだけどね? まぁ、そこは先輩の意地だった。
途中で姫島にオイルを塗ってと誘われたが、丁重に断った。塔城さんに泳ぎを教えるので忙しかったし。決してヘタレた訳じゃない。というか、同級生にオイル塗ってとか誘うな。誤解するから。
その傍では、グレモリーとゼノヴィアさんが、兵藤を取り合っていた。それを、アーシアさんが遠くから眺めていた。なんて修羅場?
とりあえず、大声で子作りとか、処女とか言うな。お前ら本当に女か? 慎みを持て、慎みを。
アーシアさんとか塔城さんを見習え。というか、爪の垢でも煎じて飲むべきだと思う。
帰り道に、変な人と会った。ヴァーリ君というらしい。
俺が世界で何番目に強いか、と聞いてきた。……痛い子である。
とりあえず、下の方だと思う、と答えておいた。だって俺、普通の人間だし。喧嘩とかした事無いし。
そういうと笑っていた。……最近、良い出会いが無いなぁ。
レイナーレさんと話すと癒される。
凸月G日
朝、黒歌がベッドに潜り込んできていた。可愛かった。可愛かったので、寝ている間に身体を擽ってやった。
学園に行くと、姫島が怒ってた。表情は笑顔だったが、アレは確実に怒ってた。
いつぞやの再来である。まぁ、今回は俺は何もしてないし。怒らせたのは俺じゃないな。
……近寄ったら比喩抜きで雷が落ちそうなので、関わらないようにしよう。
凸月H日
明日は授業参観である。まぁ、ウチの親は海外に仕事に行ってるから来ないけど。来ても困るけど。
レイナーレさんが興味津々だったので、見に来て一緒にお昼でも食べる? と誘ってみた。
目に見えて喜んでもらえたようで良かった。まぁ、授業風景なんて見られてもどうってことないし。
凸月I日
最悪だった。
サーゼクスさんにセラフォルーさん、グレモリーの親御さん。何あの濃いメンツ。兵藤の両親が霞んでたぞ。
というか魔女っ娘。あの人濃すぎだろ。
大変だな、と言ったら、本気で泣きそうな顔になっていた。……判らなくもない。だって濃すぎだろ、お姉さん。
ちなみに、俺の事は覚えていたようで、まさかの徹ちゃんである。勘弁してほしい。この歳でちゃん付けとか。
支取はソーナたんだった。……可哀そうすぎる。走って逃げたし。大変だな、支取。
ちなみに、グレモリーはリーアたんだった。笑える。笑ったら本気で殺されるだろうけど。
凸月J日
授業が終わったら、旧校舎に拉致られていた。
何を言ってるか
(中略)
俺が知りたい。
取り敢えず、姫島を怒らせた奴を殴っても許されると思う。俺は。
なんでも、開かずの間? と呼ばれる教室に、グレモリーの『僧侶』が居るとの事で、俺は拉致られた。意味が判らない。これだけの分で意味が判る人が居るだろうか? 居たら教えてほしい。ジュースくらいなら奢る。で、俺を拉致る意味はどこにある? 聞いたけど、来れば判るとの事。答えろよ。結局わからなかったし。
居たのは後輩の女の子? だったけど。実際は男だった。詐欺だ。兵藤ではないけど、俺の夢を返してほしい。
人の夢は儚い。塔城さんは良い事言うなぁ、と思った。
ギャスパー君というらしい。『神器・停止世界の邪眼』というのを持ってるんだとか。知らん。なぜ俺に説明するかの意味も判らなかった。俺、普通の人間なんだけど?
なんでも、目に映るモノ全部を停める事が出来るらしい。何そのチート、である。その能力の通り、ギャスパー君はグレモリー達を停めて逃げていた。……便利な能力だなぁ。その能力があれば、俺も姫島から逃げられるのだろうか? 塔城さんに捕まってたけど。結構仲が良いみたいだ。
そのあと、ゼノヴィアさんに大剣片手に追いかけられていた。……逃げたらああなるのか。なんか、ギャスパー君が俺に重なって見えた。もしかしたら、傍から見たら俺は、あんな感じなのかもしれない。……気にしないようにしよう。
あと、なんでか懐かれた。何で? まぁ、可愛い後輩が出来たのは嬉しいけど。
それに、それにだ!
君も無理矢理『神器』を使わされて大変なんだな、俺も無理矢理拉致られたりして似たようなもんだよ、的な事を話したら、先輩も大変なんですね、と。俺の事を労ってくれたのだ。
良い子だな。男の子だけど。これで女の子だったら、フラグを立てるのに躍起になったかもしれない。まぁ、冗談だけど。
その後、何か匙君と合流して俺から気が逸れたので逃げ出した。気付かれなかったと思いたい。追手は無かったし。
家に帰ると、グレイフィアさんが来ていた。なんで?
何でも、夕食は家で食べていくとの事。
まぁ、いいんだけどさ。なんでも、レイナーレさんに教える事が沢山あるらしい、
……何時の間にメイドの師弟になったんだろう?
結局、今日はグレイフィアさんは泊まっていった。……風呂上りとか、相当無防備だった。薄いパジャマだった。下着が薄く見えるくらいに。…心臓に悪い。俺も男なんだけど……絶対男と見られてない自信がある。
そういえば、今日は黒歌が居なかった。今日は帰って来ないらしい。気紛れな所も猫らしい。
ギャー助登場。
この巻で、朱乃さんの立ち位置が決まる、重要な話(笑)です
メインヒロインに返り咲くか、準ヒロインになるか、弄られキャラが定着するか、モブキャラに落ちるか……大事な話です。多分。
あ、ギャー助はヒロインじゃないんで。