とある神器持ちの日記   作:ウメ種

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別視点日記が楽しみだ


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 $月P日

 

 アザゼル先生が支取の家に来た。そういえば、アザゼル先生も冥界に来てたんだっけ。

 なんでも、グレモリー達も修行してて、暇が出来たからこっちの様子を見に来たんだと。

 アザゼル先生って本当、気が利くよね。俺も、ああいう大人になりたい。兵藤の話だと、エロの先輩らしいけど。お前はそれしかないのか……。

 あと、グリゼルダさんと紫藤さんを見ても驚いてなかった。何でも、事前に聞いてたらしい。流石堕天使の偉い人。

 

 という訳で、今日はグレモリー達の家に連れて行ってもらった。拉致じゃない。流石堕天使。

 グレモリーの家もデカかった。流石兵藤の家を六階建てにした張本人。スゲェ。悪魔スゲェ。悪魔の金銭感覚は狂ってると思う。こんな大きな家に住んで、使ってる部屋はいくつなんだろう? そんな事を考える俺は、きっと庶民。

 ちなみに、家にはグレモリーのお母さんとお父さんが居た。サーゼクスさんと、オカ研メンバーは居なかった。仕事と修行らしい。

 サーゼクスさんも仕事してたんだ、と思ったのは秘密だ。

 昼にはグレモリー達が帰ってきたけど。驚かれた。俺も驚いてる。だって冥界だもん。人間が来るところじゃねぇよ。

 セラフォルーさんに拉致られたと話すと同情された。安心しろ、お前らの事を支取に話すと、支取から同情されるから。

 そのあと、何でか知らんが兵藤と一緒にダンスの練習をさせられた。まぁ、良い経験だったけどさ。相手をしてくれた姫島には悪い事をしたと思う。足踏んだし。怒ってないだろうか? 怖い。

 兵藤はグレモリーと練習をしてた。ドサクサ紛れに抱きついてた。兵藤が爆発したら、世界の半分は幸せになるんじゃないかな?

 しかし、アーシアさんも元気そうで良かった。レイナーレさんも安心していた。冥界に友達が行ったら心配するよね。

 

 あと、紫藤さんが兵藤との再会を喜んでた。

 それと、グリゼルダさんってゼノヴィアさんの元上司だそうだ。ゼノヴィアさんが頭が上がらない存在らしい。紫藤さんが教えてくれた。

 話してる時も、妙に固くなってた。あの人にも苦手な人が居るんだなぁ。

 今日は、グレモリーの家に泊まる事になった。泊めてもらえるだけで助かります。

 でも、テーブルマナーは勘弁してほしいな。暖かいご飯が冷めてしまってた。それでも美味かったけど。

 

 

 

 $月Q日

 

 グリゼルダさんとグレイフィアさんに、テーブルマナーを教わった。うん、あの二人は似てるな。細かな所を気にする所とか。もうテーブルマナーはこりごりだ。つか、夏休みが終わったら多分使わないと思う。

 ちなみに、レイナーレさんも俺の後に食堂で練習してた。グレイフィアさんと一緒に。頑張ってるなぁ。

 メイドって、テーブルマナーも必要なの? メイドを舐めてたと思う。いや、レイナーレさんの事は尊敬してるけど。いつも掃除とか家事とかしてくれるし。何度感謝してもし足りない。

 紫藤さんは兵藤達と一緒に遊んでた。それで良いのか、天使。

 

 

 

 $月R日

 

 グレモリー達の修業を見ようという話になって、裏山に連れて行かれた。デカいドラゴンが居た。しかも喋るやつ。冥界スゲェ。冥界に来てから、スゲェばっかり書いてる気がする。心の中でもスゲェばっかり言ってると思う。だってスゲェもん。

 デカいドラゴン、タンニーンさんというらしい。担任さん? やめとこう、ばれたら燃やされる。

 兵藤を追っかけて裏山を走り回ってた。アレが修行らしい。根性論ですか。

 紫藤が心配していた。俺もだ。兵藤死ぬんじゃね? そう思ってたけど、生き残って帰ってきた。もう人間やめてるよね、アイツ。まぁ、悪魔なんだけど。

 グレモリー達も修行してたけど、兵藤に比べると地味だった。まぁ、デカいドラゴンがインパクト強すぎたんだけどさ。

 タンニーンさんが俺も一緒に走るか、と言ってきたけど丁重に断った。俺なら開始一分で死ぬと思う。絶対。

 

 

 今日も、グレモリー家にお泊りである。天蓋付きのベッドです。昨日は客間で狭かったけど、今日はうちのリビングくらい広い一人部屋だ。落ち着かない。

 支取の家くらいの、質素な感じの部屋が好きなんだけどな……。

 それと、さっき庭で黒猫を見掛けた。黒歌に似てた。可愛かったな。まぁ、声かけたら逃げられたけど。

 やっぱり、黒歌と呼んだのは失敗だったと思う。しょうがないじゃん、もう長く会ってないし。

 レイナーレさんに話すと探しに行ったけど、すぐに帰ってきた。そんなに会いたいんだ。俺も会いたい。

 

 

 

 

 $月S日

 

 塔城さんが倒れた。何でも過労らしい。そりゃそうだ、あんなに小さいのに修行しすぎだと思う。

 お見舞いに行くと落ち込んでいた。なんでも、グレモリーの配下の中で、塔城さんが一番弱いらしい。まぁ、小さいもんね。

 なんでも、塔城さんって猫の妖怪なんだって。グレモリーのお母さんが教えてくれた。そんな事、本人以外が言っていいの?

 聞いちゃった俺も俺だけど。

 それで、塔城さんのお姉さんが、暴走して昔の主を……まぁ、やっちゃったそうだ。日記に書く事じゃねぇ。

 色々あって、塔城さん、妖怪の力を使いたくないんだと。でも強くなりたいと思ってて、モヤモヤしてて倒れたんだと。

 俺には重すぎる問題だと思う。何故教えたんだろう、グレモリー母。そして、なぜその後、俺を塔城さんの部屋に拉致ったのだろう。グレモリーは母親似だと思う。

 相談、というか愚痴というか、まぁ、そんなのを聞いた。

 それくらいしか俺にはできないし。でも、妖怪っていうのも大変なんだな。俺が軽々しく何か言えないよ。

 話を聞いてたら、塔城さんは寝てしまった。疲れてたんだと思う。

 

 部屋を出るとグリゼルダさんとレイナーレさんが居た。盗み聞きしてた? 違うと即答された。レイナーレさんは申し訳なさそうにしてた。嘘が吐けないよね、レイナーレさん。

 でも、俺達が出来る事ってないよね。塔城さんの問題だし。

 

 塔城さんに猫耳があった。猫の妖怪って猫耳あるの? 黒歌に『悪魔の駒』を使ってたら、猫耳になってたのだろうか? まぁ、喋る猫になったと思うけど。炎駒さんみたいに。

 

 

 $月T日

 

 次の日には、塔城さんは元気になってた。流石悪魔、回復力パネェ。

 お礼を言われた。いや、愚痴を聞いただけだし。気にしなくていいよ? 塔城さんは、俺の癒しだ。後アーシアさん。オカ研色に染まらないでほしい。

 あと、明日はパーティがあるらしい。俺も出ていいの、と聞いたら出ていいらしい。マジか。

 でも、正装って……家に置いてたと思ったら、部屋に持ってきてもらってた。流石魔王のメイド様。

 不法侵入じゃね? とも思ったが、今更なので、もうどうでもいいや、という心境だ。取り敢えず、物盗られがあったら、真っ先にグレモリー家を疑うと思う。

 

 あと、兵藤が山を一個消し飛ばしてた。イッセー山というらしい。可哀相に、そんな名前だから……。

 とりあえず、アイツを怒らせないようにしようと思う。洒落にならん。

 グリゼルダさんと紫藤さんもびっくりしていた。天使から見ても洒落にならんらしい。そりゃそうだ。

 だって山一個消し飛ばしてるし。そんなん、誰も勝てんわ。

 そう思ってたけど、タンニーンさんも簡単にできるらしい。ドラゴンすげぇ。

 

 

 

 $月U日

 

 パーティは凄かった。まず、ドラゴンに乗って会場に行った。この時点で凄い。初めての体験だった。もう二度と体験できないだろうけど。

 レイナーレさんとか皆ドレス姿だったし、ドラゴンは早いしで、目のやり場に困ったけど。俺だって健全な男の子なのだ。見ちゃだめだと思ってても、視線は向いてしまうのだ。しょうがない。男の子だし。兵藤の気持ちがちょっと判った。

 しかし、皆ドレスが似合ってた。似合ってるとしか言えない俺の口が恨めしいくらい似合ってた。

 それにしても、支取の配下も女性ばかりだった。『王』が女の子なんだから、『女王』は男でもいいんじゃなかろうか? まぁ、『女王』だししょうがないのかもしれないが。

 

 それにしても、驚いた。

 いや、会場で料理を食べてたら、いろんな人…悪魔? 悪魔の人達から話しかけられた。人間が珍しいらしい。そりゃそうだ。だって、人間って俺一人だし。堕天使はアザゼル先生とか居るし。天使は二人きりだったけど。

 でも、この前駒王学園で和平がなったから、そんなに肩身は狭くないらしい。グリゼルダさんが教えてくれた。なるほど。

 そんな俺を気に掛けてくれる支取が女神に見えた。ドレス姿が綺麗だったし。匙君もタキシードが良く似合ってた。支取と並ぶとお似合いだと思う。

 そういうと照れてた。可愛い所もあるじゃないか、匙君。でも、支取からは弟と思われてるようだった。……可哀相に。心の中で応援してあげようと思う。

 

 問題はその後だ。

 サーゼクスさんとセラフォルーさんに呼ばれたら、レイナーレさんが倒れたとの事。なんでも、悪魔と戦ったんだとか。誰とさ。

 見舞いに行ったら、ベッドに寝てた。何があったんだろう、と聞いたらこの前のテロリストが来たんで戦ったんだと。

 命に別状はないとの事だけど、心配だ。

 でも、その後すぐに目を覚ました。怪我も、目に見える分は治ってた。堕天使の回復力もスゲェ。

 それと、レイナーレさんと一緒に、黒猫も寝てた。

 黒歌だ。

 首輪は俺が買ってやったヤツだし、間違いないと思う。名前書いてるし。

 なんでこんな所に居るんだろうね? コイツも、悪魔に拉致られたのだろうか? 猫は飼い主に似るっていうし。

 でも、レイナーレさんが喜んでて良かった。黒歌も俺を忘れてないのか、じゃれついてきたし。

 

 

 

 $月V日

 

 次の日、サーゼクスさんに呼び出された。昨日の事だ。黒歌をどうするのかと言われた。

 いや、俺の飼い猫だから、飼いたいんですけど……。

 なんでも、黒歌はテロリストと一緒に居たんだそうだ。マジでだ。テロリストって猫も使うのかと驚いた。だって猫だよ?

 まぁ、頭は良いと思ってたけどさ……猫がテロリストだとは誰も思わないだろう。盲点というヤツだ。

 ……テロリスト、馬鹿だろ。絶対。

 しかも、サーゼクスさんも本気で心配してるし。

 黒歌って猫の妖怪だから、俺も危険らしい。でも、猫だよ? 塔城さんみたいに人型でもないし。俺に懐いてくれてるし。

 サーゼクスさんを説得するのは骨が折れた。そんなに猫が嫌いなんだろうか?

 最終的に折れてくれたけど。黒歌から、テロリストの事を聞きたいと言ってたけど。猫の言葉が判るの? 凄いな、悪魔……。

 その場は勢いで、大丈夫だと言ったけど、今だとちょっと不安だ。

 猫って高い所に上りたがるし。高価な壷とか割ったらどうしよう……。早く家に帰りたい。家なら何を壊してもいいし。

 

 グレモリー家に戻ると、レイナーレさんと黒歌が心配してくれた。頬を舐めてくれた。黒歌は可愛いなぁ。

 今日は久し振りに、黒歌と一緒に寝る事にした。

 そうだ、寝る前に『悪魔の駒』を使うとしよう。喋るのかな?

 

 

 

 $月W日

 

 塔城さんに泣きながら抱きつかれた。

 グリゼルダさんと紫藤さんは微妙な顔をしてた。グレモリー家の連中もだ。

 しかし、問題は、だ。

 どうしてか、黒歌が人間になった。いや、猫耳と尻尾はあるから、猫娘? よー判らん。

 塔城さんのお姉さんらしい。黒歌さん。さん付けで呼んだら頬を抓られたけど。黒歌が良いらしい。

 朝起きたら、隣に見知らぬ美女が寝てたからビビった。腰が抜けるかと思った。

 しかも、服装がアレだし。兵藤が喜びそうな服装だった。というか、喜んでた。引っ掻かれてたけど。

 

 ……どうしてこうなった?

 俺の好奇心が原因だけどさ。好奇心は猫をも殺す……ちょっと違わないか?

 まぁ、レイナーレさんは喜んでたけどさ。

 レイナーレさんと黒歌。姿が変わっても仲が良いのは変わらないらしい。

 いや、二人が良いならそれでいいけど。

 でも、黒歌って抱き着き癖があるんだよね。今日も、一日中腕とか背中に抱きついてた。猫の時も良くじゃれついてきたから、多分その時の癖なんだろうけどさ……やー、男の子には毒だね、黒歌。うん。

 お姉ちゃんだからか、塔城さんも一緒にくっついて来るし。

 どうしたらいいんだろう?

 グレモリー達の視線が痛い……。

 

 

 




誰の日記を書くか迷うにゃー

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