とある神器持ちの日記   作:ウメ種

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別に、主人公が熱血するとは言ってないよね?


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 #月K日

 

 なんか、テレビの出演の件、支取とグレモリーもなんだそうだ。

 そりゃそうだよな。というか、俺なんかオマケも良い所だろ。

 やっぱり、服装とかちゃんとしたのを着た方が良いんだろうか? レイナーレさんに相談すると、その辺りはグレモリー家が用意してくれるらしい。流石グレモリー家、用意周到じゃないか……。

 やっぱ出ないといけないんだろうね……溜息しか出ない。

 スピーチとかもあるから、何か考えておくようにとの事。

 ……泣いていいんじゃなかろうか、俺。

 

 

 

 #月L日

 

 アーシアさんってさ、凄い人だよね。普通に、そう思えた。

 俺じゃ無理だ。多分……一生あの人みたいにはなれない。

 本当に兵藤が好きで、本当の本当に、兵藤を信じてた。

 凄いね。アーシアさんみたいに誰かを好きになれたら、きっと人生は幸せなんだろうな。

 

 今日も家でアスタロトのビデオとか見ようと思ってたら、放課後アーシアさんと会って、なんとなく誘った訳だ。オーケーが貰えるとは思わなかった。

 んで、帰ったらレイナーレさんも黒歌も居なくて、二人寂しくビデオを見てたわけだ。

 俺達って基本戦えない側だから、見てもあんまりよく判らなかった。

 だから、なんとなく時間がもったいなかったんで話題を振ってみたわけだ。

 ほら、アーシアさんって聖女って呼ばれてたらしいのに、今は悪魔なんだよね。

 だから、今の生活は楽しい?って聞いたら、惚気られた。

 今の生活は最高に幸せで、友達も沢山居て、尊敬できる人もいるんだと。

 それに、兵藤の事を本当に、本気で好きなんだってさ。兵藤ってドラゴンを宿してるくらい強いのに、それでもいつも心配してるんだってさ。

 もうね、茶化す気にもならなかった。お幸せにとしか言えないね、あそこまで堂々と言われると。

 兵藤爆発しろ。でも、祝福はしてやる。アーシアさんの為に。

 お前、グレモリーとか姫島に余所見してると、アスタロトにアーシアさん取られるぞ?

 あんな良い女の子に好かれてさ、羨ましいったらありゃしない。

 そう言うと、アーシアさんは顔を真っ赤にしてた。初々しいなぁ、と思う。

 でもその後、アーシアさんからは俺にはレイナーレさんとか黒歌が居ると言われた。

 ……いや、俺じゃ無理だよね?

 レイナーレさんは美人過ぎるし、黒歌は美人だし猫だしで。俺じゃ釣り合わないよ。

 でも、そうなれると嬉しいな、とは思うけど。悲しいかな、俺はただの一般人なのだ。

 今日はちょっと、アーシアさんと仲良くなれたと思う。

 家でしてたことは、ビデオを見ただけなんだけどさ。

 

 

 

 #月M日

 

 今日はテレビ収録の日だった。散々だったよ……溜息も出ない。

 取り敢えず、『おっぱいドラゴン』ってなんぞ? 乳龍帝? 多分、世のドラゴン好きの皆さんは兵藤を殴って良いと思う。

 しかも、子供に大うけって……冥界の未来は暗いな。

 ホント、世の中何が流行るか判らないなぁ……しかも、よりにもよっておっぱいかよ。

 黒歌が爆笑してた。多分、全く知らない第三者がそう呼ばれてたら俺も笑ってたと思う。

 けど、おっぱいドラゴンは兵藤なのだ。俺は溜息しか出ない…。

 アイツは一体、何を目指してるんだろうか? やはりドラゴンを宿してるやつは普通とは違うな、と思う。

 取り敢えず、アーシアさんだけは泣かせないでほしい。マジで。

 

 それと、テレビの収録前にグレイフィアさんが来て衣装を渡された。

 なんかスゲェ……うん、スゲェ何かだった。

 例えるなら、RPGのラスボス。しかも、悪人タイプ。モンスターとかじゃなくて、悪人タイプのラスボスっぽい衣装。ぶっちゃけると、トゲトゲした肩当てとか、変な紋章が刺繍されたマントとか。俺を社会的に殺す気か、あの魔王。

 グレイフィアさんには着るようにと言われたけど、謹んで辞退した。無理です。あんなのを着れるほど、俺のメンタルは鋼じゃない。どっちかというと豆腐なんで。

 結局、学園の制服でインタビューを受けた。というか、グレモリー達も制服姿だった。

 サーゼクスさんは、あまり信用しない方が良いかもしれない……。

 

 インタビューの内容は、支取やグレモリーとの関係。

 あと、兵藤とか木場君、姫島の事を色々聞かれた。まぁ、学園での事を少し話した。迷惑にならない程度の範囲でだけど。

 今度のレーティングゲームで天使を配下として使う事。レイナーレさんの事。

 それと、黒歌の事。

 元テロリストを配下に置いてること。

 マスコミって、普通は聞き難い事を、簡単に聞いてくるよなぁ、って思う。

 黒歌は俺のペットなんだから、最後まで俺が面倒を見るっての。

 アスタロトにも同じことを聞かれたけど、俺はこの主張を絶対に曲げない。飼い主の義務だ。

 黒歌が死ぬまで、俺が面倒を見る。絶対だ。

 レイナーレさんだって、弱くない。アスタロトは弱い堕天使を『女王』に据えたなんて言ってたが、そんな事は無い

 レイナーレさんは俺なんかよりもずっと強いし、頼りにしてる。

 そんな二人を、俺は尊敬してるし、信じてる。

 ……うん。

 クソ恥ずかしいな! あれは無い。絶対無い。あんなの放送しないでほしい。

 死ぬ。きっと俺は死ぬ。恥ずかしくて死ぬ。

 インタビューが終わった後、控室で気付いて悶えたのは記憶に新しい。……死にたい。

 しかも、そんな俺の近くで、兵藤はフェニックスさんの妹とラブコメしてやがるし。

 赤龍帝なんて大層な名前が泣いてるぞ、乳龍帝。

 

 その後、落ち着いたら支取から、どんな質問をされたか聞かれた。

 答えられなかった……答えきれるか。

 ちなみに支取は、次の試合の意気込みとか聞かれただけらしい。羨ましい。

 支取は夢を叶えるために、絶対勝つと言ったとか……凄いね。

 俺は夢なんて大層なものは無いから、アスタロトに勝って、レイナーレさんと黒歌への悪口を撤回させるだけで精一杯だ。

 そう言うと笑われた。俺らしいんだと。どの辺りがだろう? 聞いたけど教えてくれなかった。

 支取には、次は勝ってほしいな。

 支取の夢、応援してる。ホント、冥界の未来は支取の双肩にかかってる。

 乳龍帝なんぞに負けないでほしい。まぁ、どうせ一過性の物だろうけどさ。

 

 

 

 #月N日

 

 明日はレーティングゲームの大会の日である。

 体育祭の準備もあると言うのに、全く身が入らなかった。どーしよ。

 レイナーレさんと黒歌、塔城さん、アーシアさんはいつも通りだった。

 家の女性陣、落ち着いてるなぁ、と思った。

 

 夕食の後、明日勝ったらお祝いをしようという話になった。

 良いね、お祝い。初勝利祝い。しかも相手は上級悪魔だ。

 アスタロトに勝って、人間に負けてどんな気持ち? ねぇ、どんな気持ち? って聞こうと思う。

 黒歌はお刺身を食べたいと言っていた。流石猫。

 塔城さんもだ。

 アーシアさんは、腕を振るって御馳走にしますね、と言っていた。それってお祝いになるんだろうか?

 レイナーレさんは、少し高いお店で外食でも、と言っていた。

 でも、俺は外食よりレイナーレさんの作ってくれたご飯の方が美味しいと思う。

 家庭の味って言うの? そんな感じ。結構好きなんだよね、レイナーレさんのご飯。

 喜んでもらえたので良かった。

 ……死にたくなるほど恥ずかしかったけどなっ!

 黒歌たちの視線が痛かった。

 

 明日は、レーティングゲームの日だ。頑張ろう。

 

 

 

 #月Q日

 

 数日振りに日記を再開する。

 いや、寝込んでた。マジで寝込んでた。仮病じゃない。

 レーティングゲームがあった日なんだけど、ゲームの途中で気を失ってさ。

 レイナーレさんから心労だって言われた。

 いや、アーシアさん。アーシアさんが攫われて、殺されたって誤解してさ、ぶっ倒れたんだと思う。マジで情けない……溜息も出ないよ。

 

 レーティング大会の当日、俺とアスタロトの試合は……ちゃんと行われなかった。

 結局『兵士』は揃えられなかったけど、質なら負けてないと思ってた。勝てると思ってた。信じてた。

 でも実際は、レーティングゲームの戦場へ魔法陣で送られた直後、すぐに『禍の団』の『旧魔王派』って所に襲われた。

 後で聞いた話だと、アスタロトも『禍の団』の一員だったらしい。

 で、俺達はまんまと騙されて、待ち伏せしてた上級悪魔に襲われた。

 ……黒歌とグリゼルダさんが凌いでくれなかったら、どうなっていたか。

 というか、グリゼルダさんはともかく、黒歌もマジで強かったんだな、と驚いた。

 紫藤さんも強かった。

 俺はレイナーレさんと塔城さんに守られていた……なんて情けない。

 問題はアスタロトだ。あの野郎…どさくさに紛れてアーシアさんを攫ったんだ。求婚した相手を攫いやがった。

 それだけだって許せないのに、あの野郎は人をバケモノ呼ばわりしてアーシアさんと一緒に消えやがった。ふざけんな。思い出すだけで腹が立つ。

 でも……覚えてるのは、ホント、そこまでなんだけど。

 アーシアさんを攫われて、何も出来なくて、悪魔に囲まれてて……覚えてるの、ホントそこまでなんだよね。

 

 気が付いたのは今朝方で、レイナーレさんから泣き付かれた。

 黒歌も泣いてたし、塔城さんも泣いてた。

 心配かけてごめんなさい、としか言いようがない。

 ……アーシアさんも泣いてた。

 うん。

 生きてたんだ、アーシアさん。俺の誤解なんだよね。

 …………恥ずかしさで人が死ねるなら、俺はきっと、死んでると思う。

 生きててよかった、って俺も泣いたし。

 ……死にたいです。

 

 なんでも、ヴァーリ君と美猴さんが助けてくれたんだと。

 ……ほんと、どうして彼らはテロリストなんてしてるんだろう?

 滅茶苦茶いい人じゃないか、ヴァーリ君と美猴さん。

 今度会ったらお礼を言わないと。

 

 それと、アスタロト。

 あいつ、『地獄の最下層』に永久に封印されたらしい。

 悪魔を裏切って、テロリストになって……アーシアさんを傷付けて。

 それで結局、永久に封印か…。

 好きじゃなかったけど、可哀相だと思う。思うだけで、何も出来やしないんだけどさ。

 レイナーレさんからは、しょうがない事だって言われた。

 黒歌は、当然の結果だと言った。

 塔城さんも、アスタロトは許せない、って言っていた。

 アーシアさんを裏切った。傷付けた。それは許される事じゃないし、俺は多分絶対許せない。

 それでも、好きじゃないけど、知ってる奴がそんな目に遭うのは辛いもんだ。

 

 

 

 #月R日

 

 今日一日、様子を見ようと言う事で、学園を休まされた。レイナーレさん達に、半ば強制で。

 や、心配してもらってると言うのは判るけど、大袈裟じゃないかなー、とか。

 どれだけもう大丈夫だ、とアピールしても無理だった。

 ……また連続で休んでしまった。

 内申書に響かなきゃいいけど……。

 というかですね? 別に両手は動くんだから、食事くらいは普通に食べさせてほしかった。

 あーん、だった。

 死ねる。恥ずかしくて死ねる。レイナーレさんも、恥ずかしがるならしなきゃいいのに。

 や、嬉しいんだけどね? 嬉しいけど、恥ずかしくて死ねるんだ。男の子だもん。

 いらん事をレイナーレさんに吹き込んだ黒歌は、罰として退屈凌ぎに玩具のようにして遊んでやった。

 まぁ、退屈だったから遊んであげただけだけど。ぶっちゃけ、撫で回しただけだし。

 

 

 

 #月S日

 

 また熱が出たんで、今日も学園を休まされた……暇だ。

 そういえば、なんか、俺よりも兵藤の方が重傷らしい。

 というか、まだ気を失ったままなんだとか。……大丈夫なんだろうか?

 あいつもアーシアさんの事で気が動転して、暴走したらしい。

 あっちは俺なんかとは違って、本当に強いからなぁ…しかも、ドラゴンを宿してるし。

 そんな兵藤が暴走したら、そりゃ、凄かったらしい。

 どれだけ凄かったんだろう、と思ったけど聞くのが怖かったので聞けなかった。

 兎に角。兵藤は今、冥界で休養中なんだとさ。命に別状はないらしいから、安心してるけど。

 アーシアさんが心配してた。その事を話してくれた時、泣いてた。

 さっさと起きろよ、兵藤。あんな良い女の子を泣かせるなよ。

 

 

 

 #月T日

 

 久し振りに登校した。登校中、塔城さんにずっと心配されっぱなしだった。

 心配されるのは嬉しいけど、年下の女の子に心配されるのって、色々複雑だ。

 グレモリーとか姫島も心配してくれていたらしく、顔を見せたら喜ばれた……と思う。

 支取なんて、教室まで来てくれたし。持つべきものは友達だな。うん。

 

 帰ると、レイナーレさんと黒歌から心配された。

 塔城さんなんて、部活を休んで一緒に帰ってくれた。

 俺って恵まれてるよなぁ、ホント。

 あんまり心配させないで済むように、生活しないとなぁ。

 

 兵藤が倒れたままなのでアーシアさんは呼べなかったけど、紫藤さんとグリゼルダさんを呼んで、

六人でちょっとした夕食会を開いた。

 無事にレーティングゲームを乗り越えたお祝いだ。

 兵藤が目を覚ましたら、今度また開こうと思ってる。

 うん。やっぱり、レイナーレさんのご飯は美味いね。

 

 

 

 #月U日

 

 帰り道で、ヴァーリ君と美猴さんに会った。というか、また向こうから話しかけてきてくれた。

 ホント、テロリストって何なんだろうね?

 アーシアさんの事でお礼を言うと、気にするな、と言ってくれた。謙虚な人たちだ。マジで良い人過ぎるだろ、テロリスト。悪魔よりテロリストがマシに思えるよ……。

 今日は暇だったので、散歩ついでにこの町に来たらしい。それで良いのか、テロリスト。

 そのあと、どうしてか三人でたこ焼きを食べながらベンチで話した。

 美猴さんはラーメンを食べたかったらしいけど、それだと俺が晩飯を食べれなくなるのだ。

 妥協案として、俺が知ってる一番美味いたこ焼き屋を紹介した。好評だったので良かった。

 なんでテロリストをしてるのか、と聞くと

 ヴァーリ君は強いヤツと戦いたいから。

 美猴さんは強いヤツと戦いたいから。

 うん、似た者同士ですね、二人とも。というかそっくりだよね。同じだよね。

 

 晩御飯に誘ったけど、さすがにそれは断られた。まぁ、それもそうか。

 黒歌も多分会いたがってると思うけど、と話したけど駄目だった。

 あと、オーフィスって人が俺に会いたがってるらしい。誰だろう?

 『禍の団』での、ヴァーリ君達の上司というか、頭らしい。そんな偉い人が俺なんかに何の用?

 美猴さんが言うには、そのオーフィスさんというのは気紛れ屋さんらしい。

 気紛れ屋さんだからって、ただの人間に興味を示すものなのだろうかね?

 でも、ヴァーリ君達には返しきれない恩があるし、俺も会ってみたい、という話をした。

 ……いきなり取って食われないよね、と聞くと大丈夫という事だったし。

 どんな人なんだろうか、オーフィスさんというのは。少し興味がある。

 

 あと、黒歌たちにはこの事は内緒に、と言われた。

 まぁ、別に大丈夫だろうし、何かあったら相談する様にしようと思う。

 

 

 




主人公に熱血? 似合わないなぁ。
精神コマンドには脱力とか幸運とかあって、集中、必中、熱血、魂なんてのは存在しないと思う。
……主人公じゃなくて、サブパイロットだよね、それ。
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