朝は雨だった。雨にはいい思い出は無い。
SAO事件。ゲーム世界に閉じ込められた1万人は恐怖に震える者、それを打ち破り荒野に出る者、悪意をむき出しに振舞う者、いろいろいた。
俺は、冒険をして経験を積み、早々に「行政」を作ることを提唱し動いた。ギルドと言えばそれまでだった。
メンバーが手に入れた資材を買い上げ、ミッションを告げる。その繰り返しの中で未成年の保護、前線攻略組への支援、等々。
「これはゲームではない」とあのクソ野郎が言ったので、出来る限り現実として振る舞ってやった。
いくつものギルドにも協力を申し入れた。アインクラッド解放軍は協力後、内紛が起きそうだったので速攻解体させた。
ゲーム感覚で「狩場占拠」などトラブルを起こしたので、よく切れた。
「お前ら、弱い人間を殺す気か!」と何度怒鳴ったか数えきれない。
プレイヤーキラーもオレンジとか、レッドとか使わずに「暴行犯」や「殺人犯」と出来る限り現実に即した言葉を使った。
何度も何度も、「ゲームじゃないんだ。死ぬんだ」と説明した。時には実名で話をし、オレンジプレイヤーを説得した。
ラフコフの説得には大変だった。自分の手も汚した。
相手の家族やリアルな実情も聞いた。人生相談どころの話じゃなかった。
社会人経験者、警察官、行政関係者を集めて、怯えるプレイヤーを集団として安定させた。疲れた。
時には攻略組に混ざり命を削った。必要なら仲間を奮起させ戦いに向かわせた。数名死んだ。
SAO解放後、仲間の親御さんに頭を下げに行きたかったが、役人が個人情報を教えてくれなかった。
俺は「麒麟」と「白夜」と「ゴッドハルト」を死に追いやったのだ。
みんな市長と呼んでくれた。
血盟騎士団とも交流があった。キリトもアスナも知っている。
風林火山のクラインはお調子者だがいい奴だ。一度後任の市長を振ったが断られた。
「茅場の金玉蹴り上げて殺してやる!」と何度叫んだか。みんなは笑ったが半分は本気だ。
この糞みたいなことを始めたクソ野郎。
SAO解放後もALO内に意識を監禁された。クソ野郎が増えた。須郷の糞は逮捕された。
ざまーみろ。
仕事で海外との交流がある。VR会議が数回あった。どうも気持ちが乗らなかった。
カウンセラーに相談したところPTSDと言われた。
日常生活には支障はなかったが、以前より睡眠時間が少なくなった。
仕事でのVR会議は減らないだろう。どうにかしないと。
カウンセラーに相談したら、他のVRゲームを進められた。
アクション映画が好きで、ガンゲイルオンラインの存在を知ったとき興味を引かれた。
対人戦も数回やったが、ぎりぎり戦闘というものに緊張や快感を感じなかった。
俺は猟師を始めた。