「どうした、葵。聖杯戦争中はよほどのことがない限り、連絡しないようにと伝えておいたはずだが、何かあったのか?」
自宅に備え付けられた電話が鳴り、手に取った電話口の相手は自らの妻である葵だったことに少々驚きながら、時臣は話を促した。
聖杯戦争が開始されるに伴い、争いごとに巻き込まれないように自らの肉親を冬木より遠ざけた時臣。
遠ざけた理由は当然それだけではなく、聖杯戦争は遠坂における大事な儀式であるため、戦いに集中するためでもあった。
故によほどのことがない限り連絡をしないように言いくるめていた。
その葵から連絡があり、若干の苛立ちとそしてそれ以上に何かがあったのかと、不安になる時臣だったが……
「聞かせてあなた。間桐に養子に行った桜は……今どうなっているの?」
!? その話か……
妻からの言葉は、時臣をいらだたせるのに十分な攻撃力を含めていた。
遠坂桜改め、間桐桜。
聖杯戦争の始まりの御三家であり、遠坂と同盟している間桐からの願い。
それが姉妹である桜を魔術的な意味で養子に取りたいという願いだった。
これに対して、姉妹の魔術の才能を感じ取った時臣は快く承諾した。
魔術師の家系は一子相伝が当たり前だからだ。
故に、今は衰退したとはいえ名家である間桐の養子に出すことは、桜が魔術を学ぶことが出来ると言うことだった。
だが……その喜びもつかの間だった。
何せ聖杯戦争が始まってすぐに、イレギュラーなサーヴァントとともに桜が聖杯戦争に参加したという……通常では考えられない状況に陥ったのだから。
目下弟子である綺礼のサーヴァントのアサシンに調査を行わせているのだが、一向に調査が進んでいなかった。
だと言うのに、キャスター討伐の説明に桜同伴で訪れた謎のサーヴァントは、驚くべきことにクラス名のみならず、真名さえも明かして来たのだ。
それが聖杯戦争においてどれだけ型破りな行動なのか考えるまでもないことだった。
しかもどれだけ調べても「鉄刃夜」という英霊の情報が一向に見つからないのだ。
当然だが……見つかるわけもないのだが。
様々な要因が重なって、時臣は刃夜に対してよい感情を抱けるわけもなかった。
「間桐の修行を受けているはずだ」
「なら何で、この前凛が冬木に行ったときに、雁夜くんと普通じゃない存在の男の子が凛を助けてくれたの? 間桐の魔術ってどういうものなの? 雁夜くんが言っていることが真実なら……桜はどんな目に遭っているの?」
雁夜に八騎目のサーヴァントにあったというのか!?
意味不明な存在に遭遇したが故に、今まで何も言ってこなかった葵が、聖杯戦争……さらに言えば魔術について言及してきたということだと時臣はすぐに気が付いた。
「魔術の修行は厳しく、辛い物だ。だがそれでも桜の才能を考えれば間桐も愛情を持って育てるはずだ。何せ血縁者にまともな魔術回路を宿した存在がいないのだから。だから桜を厳しくも愛情を持って後継者と育てないはずがない」
「でも、雁夜くんの姿はとても普通とは言えなかった。もし……桜が同じ目に遭っていたら」
「……」
それに対しては時臣は何も言わなかった。
なぜなら魔術とは崇高なものであり、魔術師の家系に生まれた上に才能がある者が魔術を習得できないのは不幸でしかないと考えているからだ。
葵は魔術師ではなくただの一般人なため、それが理解できないと思う気持ちはあった。
魔導と血の責任から逃げ出した男と認識している間桐雁夜という存在。
時臣は当初、雁夜を歯牙にも掛けないただの羽虫程度としか捉えていなかった。
だがそれも刃夜と雁夜が行動を共に……同盟を組んでいると思われる行動を取っていることで疑問を覚えたのだ。
何故魔術師の道を捨てた雁夜が聖杯戦争に参加したのか?
最初こそ万能の願望機を望んだのかと思った時臣だったが、しかしそれでは刃夜と行動を共に……それも桜とともに行動をしている理由が説明できないからだ。
始まりの御三家は、その全てが聖杯を欲している。
聖杯が欲しいからこそ三家で同盟を組んで聖杯戦争を始めたのだから。
だが聖杯を手に入れるのはただ一組のマスターとサーヴァントのみ。
故に八騎目のサーヴァントと行動をともにするメリットがあまりないのだ。
確かに最後は戦わなければいけないが、しかしマスターは桜なのだ。
どちらも間桐の存在であれば、聖杯を手に掛けた場合どちらかが手に入れればいいだけの話だ。
だがもっとも不思議に思ったのは、桜と雁夜が中古の家を購入してその場所を拠点としていることだった。
何故、百年以上の歴史ある己の工房のある間桐家を拠点としないのか?
同盟者である間桐臓硯とも連絡を取ることが出来ないのも、時臣の疑問に拍車を掛けていた。
そして時臣がどう言葉を返すべきか悩んでいると、冬木教会と遠坂をつないでいる魔術の通信装置が教会から通信が来たことを知らせた。
「葵、すまないが切るぞ。桜については調べておく」
「!? まって、あな――」
そう一方的に言って時臣は電話を切り、地下の工房へ向かい通信を始めた。
すると、とんでもない通信が綺礼よりもたらされた。
「主。八番目のサーヴァント、アインツベルンの城へと向かった模様です」
「アインツベルンの城に? 何故?」
「わかりかねますが……しかしご息女を連れておられる様子です」
「!? アサシンを向かわせてもらえるか、綺礼?」
「すでに向かわせております」
「ありがとう」
そう答えて時臣はいつでもでれるように準備を始めた。
使い魔ごしに見た刃夜の印象としては、とても強そうに見えなかった。
尊大な王であるギルガメッシュがアインツベルンの森に行くとは思えない。
故にサーヴァントのアサシンですら補足するのが難しい刃夜の動きがわかっている今の状況で、動かないわけにはいかなかった。
さて……さらってきたであろう子供を大量に連れて行くから付いてきたんだが。このうっそうとした森って敵陣だよなぁ?
冬木から少し離れたうっそうとした森に入る前で、刃夜は寝袋で寝ている桜を宙に浮かせながら、森の中に入るのを躊躇っていた。
結果入らしきものは張ってあるが、まぁ問題ないが……うーん
さすがに敵陣に桜を入れて入るのは躊躇われるのか、真冬の寒空の中刃夜は一人悩んでいたりする。
ちなみに装備品は相も変わらず打刀一振り。
雁夜は体の治療のために薬で軽く運動させてから、強制的に就寝させていた。
刃夜のリフォームの家と、護符があるために早々やばい事態には陥らない。
さらに黒紫の戦士が護衛についている。
まぁいいかぁ。無駄に友好的になる理由もないしな
一度頷くと、途端に刃夜の姿が消えた。
無論宙に浮いている桜も一緒だった。
先ほどまでいたはずの存在が忽然と姿を消したが、周りに人もいないためただ静かな夜が、再び訪れただけだった。
「さぁ、さぁ坊や達。鬼ごっこの時間ですよ。ルールは簡単。私から逃げ切ればよいのです。さもなくば……」
アインツベルンの結界の中、大人数の子供達を引き連れてきたキャスター。
セイバーを自らが敬愛したジャンヌ・ダルクと信じてやまない……実際セイバーの真名はアルトリア・ペンドラゴンであるため、全くの人違い……彼は、昨夜セイバーに顔を見せに行った際に、一方的に近々セイバーに会いに行くと行っていた。
そうして会いに来たのだ。
自らが敬愛するジャンヌに。
アインベルン……の結界越しに主であるアイリに本来のセイバーのマスターである切嗣達が見ている中で、手近な子供に手を掛けようとしたその時……
スカッ
キャスターが掴もうとした子供が唐突に姿を消した。
余裕に充ち満ちていたキャスターから驚きの気配がにじみ出てきて……周囲を見渡すとさらに驚愕した。
「な……子供が」
先ほどまでいたはずの子供達が全て姿を消したのだ。
何の気配も感じさせずに。
そして子供達が消えたことは、森の主であるアインツベルンのホムンクルスであるアイリスフィールすらも気づけないほどだった。
「一体……なぜ?」
キャスターがまさに途方に暮れたように、辺りを見渡した。
そしてそれは結界の主であるアインツベルンも同じ事だった。
「子供達は……一体どこに?」
思わずといったように、アイリがそう口にした。
誰もが驚く中、さらに驚くべきことが起こった。
コンコン
森から城……アインツベルンの拠点である城の正門。
城の広間に通ずる大門が、ノックされたのだ。
そしてそちらにアイリスフィールが監視の魔術を向けるとそこには、何の気配も感じさせない……それこそ目を離した途端に消えてしまいそうなほどに……新たな侵入者、刃夜の姿がそこにあったのだ。
「「「「なっ!?」」」」
それにはセイバーの陣営全員が驚いたが、切嗣と舞夜、セイバーの動きは迅速だった。
すぐに戦闘態勢に移行し、それぞれがそれぞれの行動を起こした。
正しくは行動しようとしたのだが……
「争う気はない。とりあえず救出した子供の面倒を見て欲しい。子供を保護しておくために一室借りたい。その見返りに、キャスターを追い払うようにする。事が終われば俺が責任を持って、子供達は街まで送り返そう」
と、とんでもないことを発言してきた。
そしてこの行動は……刃夜の狙い通りでもあった。
さて、この城には現時点で四つの気配があるわけで。んで精神分身体で全員見ているが、どいつがでてくるかな~
敵陣のまっただ中で、刃夜は鼻歌混じりに城の門が開かれるのを待っていた。
そばには宙に浮く蓑虫の桜がいるだけで、先ほど刃夜自身が言っていた子供達の姿は、刃夜の周囲にはいない。
では両手の指の数ほどもいた子供達は一体どこに消えたのか?
そうしてしばし待っていると、カチャリと……刃夜の目の前の正門が開かれる音が刃夜の耳に届いた。
お、開いてくれたか。子供がいないからあけてくれるか少々不安だったが
全く警戒することもなく、刃夜は門の中へと足を踏み入れて……その豪華絢爛な城の内装に驚いた。
開かれた広間の先に二階へと上がるための階段の先に……まるで絵画から出てきたかのような絶世の美女と、美少年と見まがうほどの清廉潔白を絵に書いたような騎士がいた。
それを見て、刃夜はきょとんと……少々驚いたような表情を浮かべた。
魔力のパスがないな。となると後ろの美人外国人はマスターじゃないな。というか……人形つーかホムンクルスみたいな感じだな?
騎士の後ろにいる……輝くような白い髪の女性を見て、すぐにその見る対象を、女性を守るように前に出ている金紗の髪を持つ騎士へと目を向ける。
そして……ぽかんとしたかのように、小さく口を開けた。
うわぁ……精神分身体で見ていた時も思ったけど、こいつの中にあるものがすげえな。ほとんど竜だな。でもなんか左腕に呪いっぽいのがあるな?
青い衣服に身を包み、そして銀の甲冑を身に着けている騎士。
そして目に見えない右手に持った何かを刃夜へと向けていた。
その向けられた物にちらりと目を向けて、刃夜は思わずといったように鼻で笑った。
「? 何が可笑しい」
「失礼した。ちょっとおもしろい物を見たと思ってな。さて、まずは突然の来訪にもかかわらずこうして門を開けてくださり、恐悦至極」
言葉こそ軽い感じではあったが、きちんと正しい作法で刃夜は頭を下げる。
「前置きはいい。イレギュラーなサーヴァント。何の用だ?」
「先に言ったとおりだ。キャスター迎撃に向かうに辺り、先ほど保護した子供達の面倒を見て欲しい。といっても護衛も俺の能力でどうにかするから問題ない。部屋に入れて子供がどこかに行かないようにしたいんだ」
きょろきょろと、周囲を見渡しながら先ほどと同じような事を刃夜はセイバーに伝える。
周りの調度品を見るために周囲を見渡しているのかと思われたが……実は真の狙いは他にあった。
いたいた。この二人はこんな感じなのか? んで、セイバーとパスが繋がってるっぽいこの男が、セイバーのマスターの切嗣とやらか
「……その子供達はどこに行った?」
まぁそら警戒もするか
先ほどキャスターが連れてきた子供達は、キャスターの幻術でも魔術でもなく、本物の子供だった。
その子供達があわや殺される一歩手前で忽然と姿を消した。
そしてその次の瞬間にはアインツベルンの城の正門を叩いていたのだから、刃夜が言っていることが完全に嘘だとは思ってないのだろう。
だが肝心の子供の姿が見えないようでは無理もなかった。
「今俺の能力の一つの結界内に避難させている。この場で姿を見せても良いが……下手すっとパニックになった子供がそれぞれ別々に走り出すぞ? 結界内の様子は……子供達はきょとんとしているみたいだな。だが、状況を把握したらどうなるかわからん。出来れば部屋なんかに入ってから子供達を解放したい」
こめかみに手を当てて少々考えるような仕草で刃夜がそう言葉を返した。
もしかしたら結界内部の様子を見ているのかも知れない。
「結界って……まさか固有結界!?」
「この世界における固有結界ってのがどんな物かは知らんが、別次元の異相空間に避難させていると思ってくれればそれでいい。魔力喰うから余り使いたくないんだ。それで申し訳ないが一室借りることは出来ないか?」
大げさに肩をすくめながら、刃夜はそう二人に問いかける。
その問いかけにセイバーは後ろのアイリへと視線で問いかけて……アイリは少々迷いながらもはっきりと頷いた。
その返答に対して、刃夜は深々と頭を下げる。
「本来であれば敵でしかない俺の申し出を受けてもらって、感謝します」
「構わないわ。確かにあなたは敵だけど、子供の命には替えられないもの」
アイリはそう返して、案内を買って出て部屋へと刃夜を案内した。
その後ろを付いていきながら、刃夜は少し前でアイリを守るように警戒しているセイバーへと声をかける。
「最後には戦うかも知れないが、それでもこの状況下で襲うようなクズではないから安心して欲しいが……まぁ初対面では無理だわな」
「子供を助けたからといって、あなたが完全に問題のない英霊かはわかりませんから」
「英霊なんて大層なもんじゃない。俺はただの
「
「この部屋よ」
刃夜とセイバーが話をしていると、アイリがとある一室の前で立ち止まり、扉を開けて道を譲った。
どうやら閉鎖空間に入るのを嫌ったようだった。
切嗣に舞夜がバックアップするためには銃による射線を確保しなければならない。
そして暗殺を主に考えている切嗣も、さすがに壁すらもぶち抜くアンチマテリアルライフルは用意していなかった。
そこらの事情がわかっているのか、刃夜は臆することなく真っ先に部屋へと入った。
その部屋はただ長いテーブルと椅子が置かれただけの、実に簡素な部屋だった。
「おぉ。さすが城を持つだけはあるな。これなら申し分ない」
「それは……ありがとう」
「では、お借りいたします」
そう言って刃夜は左腕を前にかざした。
すると紅の炎が刃夜の左腕に灯った。
そして、すぐに刃夜の周りに先ほどキャスターに連れてこられた子供達が、次々と姿を現した。
セイバーやアイリがその刃夜の所業に驚く。
本当に……子供達を助けたのか?
後一歩遅ければキャスターに殺されていたであろう何の罪もない子供達。
その無事な様子にほっとした。
そして同時に不思議に思う。
この八騎目のサーヴァントという……異様な存在のことを。
一体……この男は何者なんだ?
そんな品定めをされていると気付いているのかいないのかは謎だが、刃夜は特に反応をすることなく……かざしていた左腕を真上へと伸ばした。
その行動に何の意味があるのかわからないセイバーとアイリは、ただ見ることしかできなかった。
すると、その真上にかざした左腕から……突然淡い紫の炎が湧き上がり、暗い室内を照らした。
「うわぁ……」
「え……何あれ?」
最初こそきょとんと周囲を見渡していた子供達だったが、突然に出来た新たな光源の紫色の炎という……子供でもわかる普通ではあり得ない炎に注目が集まった。
子供達はただ不思議な炎としてその紫の炎を見ていたが……セイバーとアイリは驚愕に目を剥いていた。
何だ? あの炎から感じる爆発的なまでの魔力と力は!?
子供達は物珍しさで見ていたが、少しでも魔力を感じる物がいれば、その異様な力に驚愕するほどの強大な力だった。
しかもそれだけにとどまらず……刃夜の左腕に今度は別に紅の炎が灯り、その紅の炎が徐々に二の腕から手のひらへ。
そして最後に手のひらから抜け出して空中に漂い……部屋一帯を明るくし、更に暖かい温もりを、部屋へともたらした。
暖かさに、子供達はほっと安らぐような表情をするが、セイバーとアイリはそれどころではなかった。
刃夜の左腕より現れた紅の光球。
その紅の球は、先ほど紫の炎より感じた魔力とは比べものにならないほどの魔力と……それ以上の圧倒的な「力」を感じ取ったのだから。
何だ!? あの球は!?
周囲の人間が呆気にとられる中、刃夜は手を叩いて注目を集める。
そして、子供達全員から注目を集めたことを確認して……その手にいくつもの小さな袋に包まれたお菓子を出現させた。
「こんな夜更けに起きてる悪い子達よ。だがお前達はこの状況下に置いても泣かなかった。そのご褒美として、お父さんやお母さんには内緒で夜のお菓子を食べよう。甘いパウンドケーキだ。欲しい人は手を挙げて!」
優しげな笑みを浮かべながら、刃夜はそんなことを宣っていた。
その刃夜に対して一瞬きょとんと驚く子供達だったが、すぐにお菓子という単語に興奮し、我先にと手を挙げ始めた。
そんな子供達に、刃夜は満面の笑顔を振りまきながら、一人一人に丁寧にお菓子を手渡していった。
子供の手と同じ大きさのお菓子だ。
すぐに子供達は食べ終わり、まだお菓子がないのかと刃夜にそんな物欲しそうな目線を向けた。
その視線を一心に受けながら、刃夜は再び左手を翻して……その手から甘い香りのする穏やかな風を、子供達へと吹かせた。
「よい子はもう寝る時間だ。夢の中で……眠るがいい」
そんな事を実にゆっくり丁寧に……且つ優しげな声でそう言い放った。
すると、その暖かな風とお菓子で安心したのか、子供達は次々と眠そうに目をこすって……すぐに眠りについた。
その様子を満足そうに頷きながら見届けて……刃夜は振り返って、セイバーとアイリへと向き直った。
「ご助力感謝する。この子達はよほどのことがない限り問題ないのでこのまま放置してくれれば問題ない。風邪なんぞ引かないように護衛兼気温調整の力をこの場においていおく」
「……え、えぇ」
今目にした刃夜の異常な所業に、若干頬を引きつらせながら、アイリはそう返していた。
返事をもらったことで満足して……刃夜はすぐに意識を切り替えて、正門へと向かって歩き出した。
「では先に言ったとおり……キチガイのキャスターを追い払ってごらんに入れましょう」
正門を静かに開けて、刃夜はそのまま目にもとまらぬ速さで森を疾駆していった。
そのあまりの速さにさしものセイバーも驚いたが……驚いてばかりもいられなかった。
「アイリスフィール。私もキャスターの討伐に向かいます」
「えぇ。お願いセイバー」
アイリにそう告げて、セイバーはその総身に凄まじいほどの戦意をみなぎらせて、刃夜と同じように森の中を疾駆した。
2018.5.28 追記
N-N-N様 誤字報告ありがとうございました!