桜花を護る、超野太刀を持つ開拓者   作:刀馬鹿

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カットしてるのが如実にわかる話ですw

このペースだとマジでけっこう早く終われそうです


新年度になりました
いろいろ変わることも多いでしょうが、それでもがんばっていきたいと思います

新生活になられた方、就職した方など様々な人がいるとは思いますが、がんばっていきましょう!
そんな方々が少しでも楽しめればと思い、あげます~

楽しんでいただければ幸いです





素行調査2

刃夜達がキャスターと戦っている同時刻。

 

それは銀の魔術道具を率いてアインツベルンの城へと侵入し……その魔術を大いに振るった。

 

「どこへ行った! 魔術を愚弄する侮蔑者め! その体切り刻んでくれる!」

 

ランサーのマスターである、ケイネス・エルメロイ・アーチボルト。

魔術の名門の嫡男だ。

だが、その名門もあらゆる手段を用いる切嗣に苦戦し、かなりの痛手を負わされたことで荒れ狂っていた。

そのとき……ふと一つの部屋を見つけた。

 

「この部屋の中か!?」

 

そう言って……ケイネスはドアを開こうとドアの前に立った。

そしてその部屋へと自らの魔術礼装月霊髄液(ヴォールメン・ハイドラグラム)を使用して、そのドアを突き破った。

 

 

 

その瞬間だった。

 

 

 

 

 

 

!!!!

 

 

 

 

 

 

ケイネスは総身が震え上がるほどの威圧を……感じ取ったのだ。

 

 

 

そしてその恐怖がもたらしたのは……自らの魔術礼装月霊髄液(ヴォールメン・ハイドラグラム)の一部消失だった。

 

 

 

ドアを突き刺したその先の水銀が……跡形もなく消滅したのだ。

 

 

 

まるで、龍に睨み付けられた……

 

 

 

それほどの恐怖だった。

 

 

 

そしてその恐怖を受けた生物として働く本能は……

 

 

 

逃避以外にあり得なかった。

 

 

 

ここは……まずい!?

 

敵……衛宮切嗣の魔術である可能性も否めなかった。

だがこれほどの恐怖を感じたことは……ケイネスは今までの生涯でなかった。

実戦経験が乏しいと言うこともあっただろう。

本来名家である魔術師であるケイネスは、相手が魔術使いであり、魔術の戦い現代兵器を

使用した衛宮切嗣の罠と判断していれば激昂したことだろう。

だが、それを考えさせないほどの恐怖が……ケイネスを襲ったのだ。

 

それは生命として実に正しかったと言うべきだろう。

 

もしも本能に逆らい、さらに部屋を破壊しようとした場合……

 

 

 

全てを消し去る業火が……

 

 

 

ケイネスを一瞬にして灰も残さずに、消滅させていただろう。

 

 

 

 

 

 

「ふん!」

 

短い呼気と共に薙いだ長大な白刃が、刃夜の目の前に存在した海魔を文字通り斬り飛ばした。

いつのまにか刃夜の手には二刀流から刃渡り五尺はあるであろう、野太刀に持ち替えている。

それに対してセイバーもランサーも戸惑いを覚えていたようだが、それ以上に目にも映らぬほどの速さで振るわれる野太刀に戦慄を覚えている様子だった。

 

「……しかしあれだな。いい加減めんどくさくなってきたな?」

 

三人で背中をそれぞれに預けつつ、刃夜が二人に聞こえるようにそう言う。

それに対して、セイバーもランサーも同じ気持ちだったようで、二人とも手を止めることなく返事をする。

 

「この戦闘方法は、さすがはキャスターと言うべきなのだろうな」

 

見えない剣を振り回して、セイバーも忌々しそうに刃夜の言葉を肯定した。

ランサーも同じ思いなのだろう。

両手の二槍を振るいながら、セイバーへと顔を向ける。

 

「セイバー。何か策はないか?」

「なくはないが……少々場が悪いな」

 

そのとき……セイバーの対魔力が発動した。

ランサーの泣き黒子をみて魅力の呪いが働いたが、それをセイバーが弾いたのだ。

普通であれば気付かない程度の小さな魔力の消失。

だが、刃夜の左腕の巨大な力が……僅かな魔力の力であっても、見逃すはずがなかった。

 

なんかあるみたいだな? 俺は感じなかったが……はて? セイバーに働いたのは異性って点か?

 

ちなみに、刃夜はセイバーが女であることは一応見抜いていた。

若かりし頃では気付かなかっただろうが、さすがに数百年の修行は伊達ではなかった。

そしてその呪いの発信源がどこにあるのかも。

だが、うっかりぼそりと呟いてしまう。

 

「その黒子、呪いかなんかか?」

「何?」

 

ぼそりと呟かれた刃夜の言葉に反応したのは、ランサーだった。

五騎ものサーーヴァンとが一堂に会したあの夜。

あの場に刃夜はいなかったはずだというのに、自らの呪いを正確に見抜いたことに驚いたのだ。

 

「ジンヤ……あなた、何故?」

「消してやろうか? 邪魔――」

 

だが問答をしている暇は、周りの海魔が与えなかった。

周囲の海魔が、動きを止めた三人へと一斉に攻撃を仕掛けてきた。

手を止めていた三人は再度動き出すが、口も止めなかった。

 

「何故お前が知っている!? ジンヤ!」

「何、その手の負のものは俺の得意分野だ! 正しくは、邪龍のだがな!」

「龍!?」

「まぁ、それは今度だな!」

 

触手だけでなく、つっこんできた海魔を蹴飛ばして、刃夜は話を終わりとでも言うように、

右手を掴む動作を行って野太刀を消失させると、次に左手に拵えも柄もない、刀身だけの打刀を出現させた。

茎の下の方を握り、まるで投げ飛ばすかのように頭上に振り上げた。

 

「何をする気だ? ジンヤよ?」

 

思わずというべきなのだろう。

ランサーがいぶかしげに刃夜へと視線を投じる。

そのランサーに対して……刃夜はニヤリと、不敵に笑った。

 

「見ての通り、投げ飛ばすんだよ!」

 

信じられぬほどの速さで振り投げられた打刀が、キャスターへと飛んでいく。

しかし刃夜とキャスターの間には当然のように、海魔が大量に存在する。

故に海魔が自らの主の危機に対して、何もしないわけがなかった。

刃夜とキャスター間に無数の触手が投げられた打刀をはたき落とそうとするのだが……

 

「!? な、なんと!?」

 

幾十、幾百の触手が、打刀に斬り捨てられる。

あまりの鋭利さ故か、その勢いはとどまることを知らずキャスターの眼前に迫り……

 

刃夜がニタァ……と、邪悪に笑った。

 

「爆散!」

 

その言葉と共に、投げ飛ばした打刀が刃夜の言葉通りに木っ端微塵に爆ぜた。

 

「なっ!?」

 

さすがにこれはキャスターも予想だにしていなかったのか、驚きの声を上げるが……しかしすぐに対応し、自らの体を覆うように海魔を展開して打刀の爆発を防いだ。

すぐに体勢を立て直し、海魔の殻から出てきたそのときには……

 

 

 

すでに勝負が付いていた。

 

 

 

「!?」

 

海魔の殻から出てきたキャスターの目に映ったのは……眼前へと迫っているランサーの朱槍破魔の紅薔薇(ゲイ・ジャルグ)だった。

 

「抉れ! 破魔の紅薔薇(ゲイ・ジャルグ)!!!!」

 

破魔の紅薔薇(ゲイ・ジャルグ)

ランサー……ディルムッド・オディナが持つ二槍の内長いほうの紅の槍。

刃であらゆる魔術を打ち消す能力を保持した槍だ。

その槍の刃先が……キャスターが胸に抱く魔書へと伸びて、その本を切り裂いた。

 

魔術を打ち消されたその瞬間……魔力の供給が断たれたことにより、海魔が一斉に血の霧と化して消失した。

その様子を、刃夜は実に興味深そうに……だが悟られることなく静かに……観察していた。

 

封絶と同じ類の武器かぁ。まぁあいつよりは弱そうだし、意志もなさそう――ってそれが普通か

 

まさに一瞬の攻防だった。

刃夜の打刀の爆散によって出来た一瞬の隙。

キャスターが刃夜達を認識しなくなったその瞬間。

再び手に二刀を持ち、瞬時にセイバーとランサーに迫る海魔達を、刃夜が斬り捨てる。

さらに投げ捨てた刀によって出来た僅かな細い道を……セイバーが風の槌によって強引に道を飛ばし拓く。

そして拓かれたその道を……ランサーが瞬時に駆け寄ったのだ。

 

それぞれが一定レベルの実力者であり、また目的が一緒だったからこそなせる、瞬時の連携だった。

 

「き、貴様らぁぁぁ!?」

「ま、我らほどの実力者が三人も揃えば、当然の結果というやつだな」

 

ニヤリと、実に不敵に笑いながらランサーはその槍の先端をキャスターへと向ける。

そしてそのキャスターを逃がさぬように、刃夜とセイバーが更に行く手を阻み、三人でキャスターを取り囲んだ。

 

「覚悟しろ外道」

「……この類は面倒だから油断しないようにな」

 

子供を殺そうとしたキャスターを鋭く睨みつけるセイバーに対して、刃夜は他の二人ほど殺意を抱いてないように見受けられた。

というよりも、一段落した途端にやる気をなくしように見受けられたのだが……周りの二人は目の前のキャスターに細心の注意を払っているので気付いていないようだった。

そのとき……

 

「!?」

 

ランサーが何かに気付いたかのように、目を見開いた。

その時間はまさに刹那の瞬間。

その僅かな隙を……キャスターは見逃さなかった。

 

 

 

「ぬぅぅぅぅぅあぁ!」

 

 

 

そんな奇声と共にキャスターが胸に抱えた宝具から凄まじいほどの魔力が噴出した。

それがキャスターの何かしらの行動を行うことの動作であることは疑うべくもない。

故に、セイバーが剣を振り上げて突進したが……海魔が血のような液体となって消滅したその血のような液体が、魔力を放出しながら爆発した。

爆発といっても威力はなかった。

だがそれでも視界と行動を阻害するには十分すぎた。

そしてその爆発によって生じた血煙が辺り一帯の視界を奪った。

視界が晴れた時には……すでにキャスターの姿は消えていた。

 

「くそ。逃がしたか」

 

悔しそうに顔を歪ませるセイバーだったが、しかしランサーは何かに捕らわれたかのように、何も話さなかった。

そのランサーを、刃夜は実に冷ややかに見つめていた。

 

うーん。なんというか隙だらけにもほどがあるんだが

 

自らの得物を虚空へとしまいつつ、刃夜は何も言わないランサーに対して何も行わない。

この状況であれば簡単にランサーの命を取ることができるにも関わらず。

先に冬木教会で聖杯を求めていないという刃夜の言葉は本当のようだ。

 

「どうした、ランサー? 何かあったのか?」

 

無言のランサーにセイバーが何かあったのかと声をかける。

それに対して、ランサーは実に沈痛な面持ちで、静かにこういった。

 

「我が主が……危機に瀕している。どうやら、そちらの本丸……あの城へと攻め入ったようだ」

 

契約によりマスターと繋がっているランサーは、自らの主の窮地を明確に察しているようだった。

そして今のこの状況下で……刃夜とセイバーと相対している状況下で背を向けるのは、いくら休戦状況であるとはいえ躊躇われるのだろう。

それを……

 

!?

 

自らの背後の猛烈な気迫を感じ取り、セイバーは咄嗟に剣を頭上の防御のために振り上げる。

その見えない剣に……目にも写らぬ速さで白刃が振り下ろされた。

 

!!!!

 

先ほどまで全くしていなかった強烈な金属音が、辺り一帯の空気を震わせる。

その音を発生させた存在は……セイバーとランサーを除けば、一人しかいなかった。

 

「なんの……つもりだ! ジンヤ!」

「ちょっと西洋の騎士と斬り合いたくなっただけだ!」

 

その言葉と共に、振り上げているためにがら空きとなったセイバーの横っ腹に、刃夜の回し蹴りが綺麗に入り……セイバーを彼方へと吹っ飛ばし、その後を刃夜が追った。

そしてその場にはランサーが一人、残される。

 

!? ジンヤ……かたじけない

 

その意味することをすぐに悟り、ランサーは僅かに頭を下げてすぐに霊体化して姿を消した。

吹き飛ばされたセイバーは、いちど体勢を立てない直して足から地面に着地して……前方の刃夜へと視線を投じていた。

そして殺意の籠もった目を向けられた刃夜は……呆れた物を見るように、ため息を吐いていた。

 

「どういうつもりだ? ジンヤ」

「さっき言ったとおり……とは思ってないだろうが、まぁこれはお前のためでもある」

「私のため……だと?」

「ランサーとお前がどういう関係かはわからんが、とりあえず聖杯を求める同士敵であることは間違いない。だがその割にはお前らには先ほどの状況下で相手を殺す気がないように見受けられた」

 

先ほどの隙……ケイネスが危機に陥った事を悟ったランサーが棒立ちとなった隙。

それをもってキャスターは危機を脱した。

暫定的な特別ルールとはいえ、最終的には敵であることに変わりはなく、あの場で殺そうと思えばランサーを容易に殺すことが出来ただろう。

しかしそれをしなかった。

しかもランサーが自らのマスターの窮状を暴露までしたのだ。

これだけでも二人が互いに一種の信頼関係を気付いているのは明白だった。

それを読み取るのは、そう難しいことではないだろう。

 

「そしてキャスター討伐という一種の休戦状態であるにもかかわらず、ランサーのマスターはお前のマスター……スナイパーライフルを手にしていた男、衛宮切嗣とか言ったか? にちょっかいをかけてきた」

「!? 気付いていたのか?」

「魔力のパスが繋がってないんだ。すぐにわかる。んでだ、ランサーのマスターが先にルールを破った。なのにお前はランサーのマスターの窮状を聞いたにもかかわらず、ランサーと戦おうとはしなかった。これは、お前が問題ある行動をしている……という自覚はあるのか?」

「なんだと?」

 

やっぱり気付いてないのか……。これが生粋の騎士ってやつだよなぁ。どこ行ってもその類の人間はいるのな

 

セイバーの言葉がよほどがっかりだったのか、刃夜は大きく肩を落としてこれ見よがしにため息を吐いていた。

 

「貴様……騎士である私を愚弄するのか!?」

「愚弄はしてないが、馬鹿だとは思って……結局一緒か?」

「貴様……」

「だってそうだろう?」

 

 

 

「あの場で何もしないでランサーを行かせていたら……お前のマスターはどう思う?」

 

 

 

「……何?」

 

 

 

刃夜の言葉に、意外なことにセイバーは構えようとしていた剣を握る力を抜いた。

それを確認しつつ、刃夜も敵意がないことを伝えたいのか刀を消失させて話を続けた。

 

「精神分身体、そしてさっき広間の時に衛宮切嗣を直に見た。わかっていたことだがあいつは間違いなく傭兵タイプ……完全な合理主義者だ。騎士道とかいう、曖昧な物を信用するタイプではない」

「……」

 

あの場で何もしないで行かせれば衛宮切嗣がどう思うか?

自らの絶対の守護者であるはずのサーヴァントが、ちょっかいをかけてきたマスターを返り討ちにしたにも関わらず、ランサーの妨害によって止めを刺すことが出来ないのだ。

しかも自らのそばにセイバーがいないため、もしランサーにその気があれば、その場で衛宮切嗣の命も……聖杯にかける願いも終わる。

故に刃夜はセイバーにちょっかいをかけた。

ランサーが自らの主の元に駆けつけることが出来るという……状況を作るために。

それはランサーもすぐに理解した。

そのため、ランサーも衛宮切嗣に対して何もすることも、声をかけることもなく、ただ自らの主を助けるためだけにケイネスの元へと向かった。

 

「おそらくあの人間じゃない女人……が橋渡し役なんだろうが、それでも少しは考えて行動しろ」

「……貴様、一体何がしたいんだ?」

 

本来は敵でしかないはずの他のサーヴァントとマスターを助けるという意味のわからない行動をする刃夜に対して……さすがのセイバーも不信感を覚えてしまう。

その不信感はある意味で当然であるとわかっているのか、刃夜は顎に手をやって考える仕草をした。

 

「前に使い魔向けに言ったんだが……あぁすまん何でもない。改めて言うわ」

「?」

 

何故かちらりと……セイバーとは違うあらぬ方へと視線を一度向けて、両の手を上へと向ける。

するとまるでその腕に導かれるようにして……上空からゆっくりと蓑虫桜が刃夜の腕へと降りてきて、刃夜が大事そうに優しく抱きかかえた。

 

!? 自らのマスターを頭上へと避難させていたのか?

 

直に蓑虫桜を見るまで全く気付かなかったことに驚愕を覚えながら、セイバーは刃夜へと視線を向けて……驚いた。

 

……なんと、優しい表情をするのだ

 

桜を見る刃夜の顔が、本当に大切な物を向ける笑みを浮かべていたからだ。

いくら子供を救うためとはいえ、あれだけの力を……紅の炎を子供達の防護へと回したのだ。

何か理由があるのかと、思っていたセイバーだったが、今の笑みを見て少しだけ納得した。

その笑みの……優しさを見て。

 

「俺の目的はただ一つ、この子を救うことだ。それを邪魔するのなら相手が誰であろうと容赦はしないしする気もない」

「本当に聖杯に望みはないのか?」

「ないなぁ。望みはあるが、それは俺が自らの手で造り上げなければ意味がないからな」

「造る?」

「とは別にもう一つ目的もあるが、まぁそれも俺がやり遂げないと意味はない。まぁ片方の願いはとりあえず及第点は出来たんだがな」

 

カラカラと、先ほどの叱責するような表情が嘘のように、刃夜は締まりなく苦笑しながらそう言った。

その意味するところがよくわからずに、セイバーはただ首を傾げるしかなかった。

そんなセイバーに……刃夜はまるで先導するようにセイバーへと背を向けて、桜抱きかかえていない方の手でセイバーを誘うように動かす。

 

「んで、それとは更に別にさっきの女人ともう一人の女人傭兵があっちで何かに襲われてるっぽい。助けに行こうか」

「!? アイリスフィールが!?」

「ついてこれるなセイバー? 先に行くぞ!」

 

その言葉と共に子供一人を抱きかかえているとは思えない信じられない速度で、刃夜が闇の森の中を疾走する。

その刃夜に後れをとらぬように、セイバーが後を追った。

二人して信じられないほどの速度で森を駆け抜けて……二人の女性が倒れている場所へとたどり着いた。

 

「マイヤ!? アイリスフィール!?」

 

逃げたと言っても……さすがにすぐには……。あぁいたいた

 

セイバーが倒れている二人の女性……アイリと舞夜へと駆けつけている間、刃夜はきょろきょろと周囲を見渡して……見つけた。

 

 

 

今宵の収穫は……まぁまぁってところか。必要だったとはいえ少々出だしが遅かったから、覚悟しないとな

 

 

 

 

 

 

!? 見られた!?

 

森を疾走していた綺礼は、背後から感じた猛烈な殺意と恐怖を抱いて、思わずといったように背後へと……さきほどアイリと舞夜と戦った場所へと視線を投じた。

だが月夜とはいえうっそうとした森の中だ。

おまけに距離もある。

常人の視力で見えるはずもない。

だが確かに綺礼は感じたのだ。

 

 

 

内面を見られた……視線を。

 

 

 

 

 

 

なるほど。アサシンからの報告通り、そしてギルガメッシュが気にかける男。一筋縄ではいかないと言うことか

 

一体何を目的に動いているのかわからないのは綺礼としても同じだった。

だがそれでもこのイレギュラーな存在が何故ここまで意味のわからない行動をしているのか理解できなかった。

だからこそ……綺礼も興味を抱いた。

あのギルガメッシュが気にかける男の存在を。

 

 

 

 

 

 

セイバーが駆けつけると同時にアイリが突如として回復し、刃夜が治療をしていた舞夜を二人して治療し始めた。

 

「……礼を言うべきなのでしょうね」

「別に構わんよ。俺も子供の避難部屋借りたしな。それにいくら敵の聖杯戦争関係者とはいえ、目の前で女人に死なれちゃ寝覚めも悪い」

「……おもしろい人なのね、あなた」

「変人で結構だよ」

 

舞夜の治療を終えたことを確認し舞夜を含めた四人はとりあえず城へと戻った。

子供達を避難させている部屋のドアに穴があいていることに、アイリやセイバーが少々慌てたが、刃夜は何も恐れることも慌てることもなく部屋へと入っていく。

そして宙に浮いた紅の玉を再度左腕へと戻した後、寝ている子供達を全員宙へと浮かせた。

 

「べ……便利な能力ね」

「まぁ便利だが……この使い方力自体には不評でね。いつか反旗を翻されそうでめんどくさいんだが」

「力自体? 反旗?」

「ま、こっちの話だ。では今宵はこれにて」

 

恭しく頭を垂れて、刃夜はアインベルンの森から姿を消した。

風の能力で風を引かないとはいえ、親が心配していることは考えるまでもないため、刃夜は超高速で冬木の街へと帰還した。

そうして刃夜は子供達を全員、夜勤を行っている交番の警官に押しつけた。

具体的には……

 

夜勤中の交番の警官の前に道を聞きたく訪れる。

深夜と言うことで少々警戒しながら道案内をする警官の前で、突然外に出ていく。

やはり危険人物かと思い、急いで後を追い外に出たその数メートル先の道路に……無数の子供達が眠っていた。

一瞬瞬きした警官だったが……すぐに応援を呼んだ。

複数の警官が子供達をあやしながら住所などを確認している姿を遙か遠くから確認し、刃夜はリフォームした陣地へと帰還した後、再び夜の街へと出掛けた。

 

 

 

 

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