桜花を護る、超野太刀を持つ開拓者   作:刀馬鹿

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状況確認

初めて自らのサーヴァントを使役したその後。

その違和感は雁夜に訪れた。

 

……なんだ?

 

自らの身体を喰らい、痛めつけていた虫が一瞬で静まりかえったのだ。

虫が静まりかえったというその事実は、雁夜に悪い想像を働かせるには十分すぎた。

故に痛む身体を歯を食いしばって耐えて……走った。

そして自らの生まれた家で、二度と近づきたくもなかった家へと入った。

普段なら間桐臓硯がいるためにそんなことは出来なかった。

だがそれ以上に救いたいと思った存在がいたのだ。

その救いたいと願ったそばに、まるで守るように寄り添っている謎の存在がいた。

 

これが雁夜と刃夜の出会いだった。

 

 

 

「聖杯戦争?」

「何でも願いが叶うと言われる聖杯。その聖杯が満ちるために今英霊達を戦わせて最後の一人……つまり聖杯を手にすることの出来る存在を見極めるための闘いが行われている。マスターと喚ばれる魔術師は、過去に実在した英雄達を英霊……サーヴァントを使役して、最後の一人になるために戦っているんだ」

「んで……そのサーヴァントってのに俺がなってると?」

「サーヴァントになってるって……英霊じゃないのか? ステータスだって見えるし」

「皆目見当もつかんし、ついでに言うと俺はまだ死んでない。生きてます」

 

桜をつれて雁夜にそして、現界した存在……鉄刃夜と名乗った青年が来たのは夜の公園だった。

少し肌寒い気候だったが、それでも鉄刃夜……刃夜が召喚された洋館である間桐家からそう離れていないため、その場所が選ばれた。

そして雁夜よりいくつかの説明を受けていた刃夜だったのだが……説明を聞いた瞬間に頭を抱えた。

 

英霊って誰が? 俺がか? 自分勝手な理由で色んな世界跳び回されている俺がか? 笑えない冗談だな

 

どこか遠い何かを見るような目で……何か想いを馳せるかのようにしている様子に、雁夜は一瞬心配になったが、しかしすぐに心の中で警戒を強めた。

 

サーヴァント開拓者(フロンティア)だって? 一体何だこのクラスは? あの爺から説明を受けたクラスは七騎だけのはずだ

 

遠い目をしている目の前の存在、鉄刃夜。

雁夜はその鉄刃夜がただの人ではなく、サーヴァントであることは一目で見抜いていた。

正当なる契約を果たしたマスターには霊格を見抜き、その力を見ることが出来る一種の透視力が付与される。

その透視力で見た刃夜のクラス名が、あまりにも異常だった。

そう雁夜が思うのも無理はなかった。

何せ開拓者(フロンティア)などというクラス名は、あり得ない物なのだから。

刃夜にのみ与えられる、特殊なクラス。

それが開拓者(フロンティア)というクラスだった。

 

「まぁいい。ともかく状況は把握した。もちろん……この子の状況もな」

 

そう小さく呟きながら、刃夜は自らが腰掛けている足を枕にして寝ている存在、桜の頭を優しく撫でた。

掛けられた上着は規則正しく呼吸によって上下しており、静かに眠っているのがよくわかった。

その桜の様子を見て、雁夜は絶句するしかなかった。

 

桜ちゃんが、ここまで安心しきっているなんて……

 

静かに眠る桜の様子は、完全に安心しきっていた。

出会ってまだ数時間と経っていない存在の膝枕で寝ているにもかかわらず。

それを言うのならば雁夜自身も安心……というよりも油断していると言っていいのかも知れない。

何せイレギュラーな存在のサーヴァントであり、マスターが桜であるとはいえ、敵であることに変わりはないのだ。

確かに雁夜の目的は桜の救済だが、それは間桐臓硯に聖杯を渡すことによって達成される願いなのだ。

間桐臓硯が聖杯を受け取ったとしても桜を解放するかのかは正直あり得ないことなのだが……それでも雁夜としては間桐臓硯との約束に縋るしかなかった。

 

だがもし……、もしもだ……

 

もしもこのイレギュラーな存在が何か意味があるとしたら?

そんな気持ちが雁夜の中に芽生えているのかも知れない。

だからこそ、雁夜はこうして刃夜に事情を話しているのだろう。

 

「んで、そのサーヴァントってのはマスターがいないと存在し続けることが出来ないと」

「あ、あぁ。マスターからの魔力供給がないと、現界するための魔力が生成できないから」

「うーん。そんな事は全くないようなんだが……まぁいいか。んで……気のせいでなければ俺のマスターってのは……」

「あぁ……。桜ちゃんの右手の甲を見れば間違いない。桜ちゃんがお前のマスターだ」

 

雁夜が向けたその視線の先……自ら丸まるようにして横になっているために、右手が上着からはみ出しており、その右手の甲には真っ赤な色の紋章が浮かび上がっていた。

その赤いのは令呪と呼ばれる、サーヴァントを縛るための呪文であり、サーヴァントに三度だけ絶対の命令を下すことの出来る権利。

昨日まで桜の右手にはなかったその赤い紋章は、桜のサーヴァントが刃夜であるという何よりの証だった。

 

「呼ばれた気がしたらそのときにはそばにいたから何とも言えないんだが……まぁいいや。やることはわかったしな」

「やること?」

「こっちの話だ。気にしないでくれ」

 

盛大に溜め息をつきながらそう言う刃夜に疑問符を浮かべる雁夜だったが、それに取り合わずに刃夜は一度目を瞑って……公園の入り口へと視線を投じた。

 

「んで……公園の入り口に来たあの禍々しい気配は、お前のサーヴァントってので良いのか?」

「え?」

 

刃夜が視線を向けたその先へ雁夜も目を向けると、まるでその二人の視線に呼応するかのようにして、漆黒の全身鎧に身を包んだ狂戦士が、忽然と姿を顕した。

そして顕れただけではなく、その身から相対しなくてもわかるほどの、純然たる敵意を刃夜へと向けていた。

マスターとしてその敵意がただごとでないことはすぐに理解して、雁夜が声を上げる。

だが……

 

「バ、バーサーカー! ま――!?」

 

狂戦士が現界した瞬間に……雁夜の中の刻印虫が暴れ出して、雁夜の身体を痛めつけた。

サーヴァントを使役することによる、魔力の消費。

生成した魔力以上に力を使役する場合は、無理矢理にでも作るしかない。

その魔力を作る源が……宿主の肉体であったとしても。

 

? ったく

 

その雁夜の様子を見て、刃夜は深々と溜め息をついていた。

そしてその溜め息を吐く刃夜へと、バーサーカーと呼ばれた漆黒の狂戦士は突貫し……その拳を振るった。

刃夜は顔を向けることもせずに、座ったまま……それどころか桜に膝枕をしたままに、その拳を受け止めていた。

「■■■!?」

「見てわからんのか? 子供がいるんだぞ? 落ち着――」

 

嘆息混じりにそう返そうとする刃夜だったが、その言葉を……

 

「GAAAAAA!!!」

「って言ってもダメか」

 

もう一つの拳を握って襲いかかってきた黒い狂戦士……バーサーカーの攻撃を刃夜は今度は受け止めずに自らの身体の前に流した。

バーサーカーの身体が流れて肩を見せた瞬間には、バーサーカーは後方へと飛ばされていた。

 

「っ!?」

「■■■!?」

 

雁夜とそして飛ばされたバーサーカー自身が驚きのあまりに声を上げていた。

だが驚いてばかりではない。

バーサーカーは飛ばされていながら、宙で姿勢を直して地面に足から着地し、再度突撃を行おうと顔を上げたその瞬間には……

 

「その狂気。はっきり言って邪魔だな」

 

そんな言葉を吐いている刃夜が目の前にいた。

長い長い……まるで血を塗り固めたかのような深紅の刀身の超野太刀を抜刀して、振りかぶっていた。

バーサーカーへと向けた姿勢で。

そして一瞬だけ狩竜の刀身が暗く赤く明滅し、その柄から黒い陰が一瞬だけ……手にしている刃夜の腕を覆った。

その刹那の瞬間に……狩竜が振り抜かれて、バーサーカーを斬り捨てていた。

確かに刀身はバーサーカーの身体を通過した。

つまりは斬り捨てた。

だが斬り捨てたのはバーサーカー自身ではなかった。

 

バーサーカーの狂気を斬り捨てていた。

 

振り抜かれたその瞬間に顕れたのは……漆黒の鎧からその暗き色が消え去り……

 

その場に、黒紫の鎧に身を包んだ……一人の騎士が、姿を現していた。

 





ステータス変化

バーサーカー

狂化C → 狂化×


赤黒い野太刀、狩竜に憎悪を喰らわれてスキルが消失
それによってステータスも大幅に変化した

変化前

筋力A
耐久A
敏捷A+
魔力C
幸運B
宝具A


変化後
筋力B
耐久A
敏捷B
魔力C
幸運B+
宝具A++


まぁぶっちゃけFGOにおけるバーサーカーからセイバークラスに移行しただけw


後々最重要な役割を担いますのでご期待くださいw
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